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2017.02.01(最終更新日: 2017.05.17 ) 2311 views

ATOMOS NINJA ASSASSIN の HDR表示がすごいって感じたのでそれについて

映像に手を出し始めたウェブ屋さん。

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ATOMOS NINJA ASSASSIN、ファームウェアがv6.6になって、HDR表示可能になったので、こないだの撮影で使ってみたんだけどこれすばらしい。

ATOMOS NINJA ASSASSIN とは

映像撮影向けの外部モニターを生産、販売している「ATOMOS」社の製品ラインナップの一つである。同社の主力は「SHOGUN」というシリーズなのだが、このSHOGUNは、将軍を名乗るだけあって、非常にパワフルなのだ。入力端子としてHDMIはもちろん、SDIにも対応し、音声入力としてXLRにも対応してる。ソフトウェアとしては、4K(UHD)60pをyuv4:2:2の10bitsのまま、無圧縮で記録することもできる。内部レコーダーとはなんだったのか。一度これを使ってしまうと、もうこれ無しではレコーディングができない身体になってしまう!

しかしこれだけの性能があると、それなりにお高いわけだ。そうなると、ビデオグラファーなどにはナカナカ手が出なくなってしまう。正直、SDIなんてあまり使わないし、音声だって3.5φのミニジャックで良い。必要なら音声さんにレコーダーを持ってきてもらおう。あと、無圧縮だとファイルサイズが大きすぎて、管理も編集も大変だ。

そこで登場したのが「NINJA」シリーズである。SHOGUNをベースに、一部機能を削除、制限することで価格を抑えている。だいたい35%OFFくらいだ。入出力はHDMIとミニジャックのみで、記録も、Apple ProRess HQ / DNxHR HQXが最大。4Kは対応しているが30pまでだ(yuv4:2:2 10bitsまでの記録は変わらず)。しかし一般的な動画向けデジタル一眼レフでは、HDMI出力自体も4K30pがせいぜいなので、充分なのである。

現在、NINJAシリーズは「ATOMOS NINJA FLAME」が最新なのだが、俺が持っているのはその一つ前の「ATOMOS NINJA ASSASSIN」なので、今回はこれに関する話である。

HDR表示とは

さて、そんなATOMOS NINJA ASSASSINに追加された、HDR表示というのはどういう機能なのだろうか。

ざっくりいうと、カメラ側から送られてきたLogガンマのデータを、ASSASSIN側でカラコレして表示してくれる、というものだ。もともとLUT(Look Up Table)を元に、色味を調整して表示してくれる機能はあったのだが、それは言ってみればダイナミックレンジの幅をある固定の範囲に収めてしまう、というものだった。

ところが、今回のHDR表示によって、この表示するダイナミックレンジの幅を可変にする、つまりHDR映像として表示してくれるようになったのだ。

Logについて

この説明だけでは、メリットがわかりづらいのでLogデータについて補足しよう。

「一般的な設定で撮影した映像(ビデオガンマ記録)」というのは、「記録できる明暗の差が狭い(ダイナミックレンジが狭い)」ので、「暗いところは真っ黒に、明るいところは真っ白に」なってしまうことが多い。これは記録するデータ(H.264とか)の都合であって、最近のカメラのセンサー自体はもっと広い明暗の差を受光できていることが往々にしてあるのだ(ダイナミックレンジが広い)。

もったいない。

そこで、センサーが受けた光をそのまま記録してしまおう、というのがスチルでよく利用されているRAWなのだが、なにぶんRAWは情報量が多すぎて、ファイルサイズが尋常じゃなくなる。

じゃあどうしようか、となって考えられたのが「Logガンマ記録」だ。一般的な設定での撮影では「センサーが受光した光の、明るいところと暗いところを削除して記録する」のだが、Logガンマ記録では「受光した光の幅はそのままに、【間】を間引いて、同じ容量になるように記録する」のである。普通に考えると破綻しそうな方法だが、「人間の知覚として、差がわかりにくい部分を間引いて、差がわかりやすい部分を残す」というルール(プロファイル)に従っているので、破綻しにくいのだ。

つまるところ、暗いところも明るいところも、ファイルサイズを抑えたまま、1画面に収めて記録できるのである。


ビデオガンマ。
ISO 800, SS 1/50, F10
明部(もにまるず)も暗部(ダンボーの顎下)も入れようとしたが、どちらも潰れてしまっている。

Logガンマ。
ISO 800, SS 1/50, F4
全体的に淡くなってしまっているが、ひつじのもにまるずが白飛びしていない。目視ではわかりづらいが、暗部のデータも残っている(次図参照)

Logのデメリット

こんなに素晴らしい記録方式だが、もちろんデメリットもあって、1つは上記でも書いた「間引く」ことによるトーンジャンプが起きる可能性があること。もう一つは「カラーコレクションが必要になる」ということである。

前者については、「明るさの両端を残すか、中間を残すか」の問題なので、トーンジャンプが起きても「そもそも黒つぶれ / 白飛びして見えなくなっているよりマシ」という判断もできるだろう。なので、デメリットというよりトレードオフな感じだ。

問題は後者である。Logガンマ記録は別に「Log記録のための専用ファイルフォーマット」を使っているわけではない。あくまで「既存のH.264フォーマットで記録する」ので、「それがLog記録されたデータだ」と知らない表示デバイス(普通のディスプレイとか)からすると「全体的に淡い色にみえてしまう」のである。そして、世の中のディスプレイは一般的にそうなる。これでは、いくら広いダイナミックレンジで記録しても、見た目がいいとはいえない。実際に誰かに見てもらうには、これを色編集(カラーコレクション)して、いい感じにしてあげる必要があるのだ。

LUT(Look Up Table)

カラーコレクションというと、色のプロフェッショナルでもない限り、うまく調整なんてできない。なんか赤っぽいなーと思っても、単純に赤を間引けばいい、というものでもないのだ。しかしLogガンマ記録というのは、一定のルール(プロファイル)に従って明るさを間引いて記録しているので、そのルールがわかれば、パソコンで色編集なんてしなくても見られるはずなのである。そしてそのルールが記載されたものが「LUT」なのである。S-Log2というLogガンマで記録された映像なら、S-Log2用のLUTを充ててあげれば、ほぼビデオガンマに近い色味になるのである。


Logガンマに公式LUTを充て、輝度を調整したもの。
ISO 800, SS 1/50, F4.5
カメラの都合でノイズはひどいが、明部も暗部も情報が残っているのが分かる。

そしてこれをプレビュー段階で行えるのが、ATOMOS NINJA ASSASSINなのだ。(ATOMOS SHOGUNとか、他の外部モニターブランドも同じだよ!)

LUTとHDR表示の違い

ただ、それでもう何も問題ないか、というとそうでもない。このプロファイルはあくまで「メーカーが定義した変換ルール」なので、単純に適用しただけでは「自分の気に入った感じになる」ことはあまりない。そこは主観なので、ルール化できないからだ。

そしてやっと、今回のファームウェアアップデートにより追加された機能の話になる。このHDR表示機能により、「ルール適用しつつ、自分の気に入った感じに変換して確認ができる」のである。たぶんやれるのはコントラスト調整だけっぽいけど、HDR機能という意味では、それだけで充分だ。

大抵の場合、Logのカラコレで行われる作業というのは、「露出の変更」「色温度の変更」「コントラストの変更」の3点。コントラストの変更については、もっと細分化して、ハイライトやシャドウ、ホワイト、ブラックを個別に調整するのだが、ぶっちゃけた話、あまり強くこだわりすぎなければ「露出の変更」と「コントラストの変更」だけで、なんとかなる(それでも「一般的な設定での撮影より充分にこだわれてるのだし)。そして「露出の変更」と「色温度の変更」は、カメラ側でできるので、ASSASSIN側でしかできない調整というのは「コントラスト」のみなのである。そしてこれができるようになった。すごいことではないか。

実際に試してみた感想

出だしにも書いたが、「明暗の差が激しい」環境での撮影を行なう機会があった。明暗の差が激しいので、ビデオガンマでは明暗が飛び、暗部が潰れてしまっていた。さすがにこれは辛いので、途中からLogガンまでの撮影に切り替えたのだが、パッと見では色が淡く、どこの情報が残っているのかよくわからない。いままでやっていたように公式LUTを充ててみたものの、コントラストが強すぎで、ビデオガンマ以上に上下が飛んでしまった…(なぜだ)。

しかしここで、HDR表示機能を利用し、適用料をだいたい400%にしてみると、ある程度の明暗が残りつつ、肌の色もきれいに見ることができた。これを元に、露光量を調整し、撮影。帰ってからAdobe Premiereにて調整をかけることに成功した。

結果、この機能があるかないかでは、プレビュー段階での確認のしやすさが格段に違うな、と感じた。その時々で適用量は変えることになるとは思うが、ただLUTをあてるだけではなく、その濃さを変えられることで、擬似的に「カラーコレクション」を行えることで、その後の行程も比較的楽になったように感じる。

残念な点があるとすれば、このHDRの適用状態のまま、記録することができない、という点くらいか。LUTをあてるだけの機能は、そのまま映像ファイルにできるのだが、HDR機能の方は、あくまで画面上の見た目が変わるだけで、そのまま書き出してくれたりはしなかった。これが可能になれば、もうATOMOS NINJA ASSASSINなしでは、映像が撮れない、と言えるくらいになるのになぁ。

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