2017.02.01(最終更新日: 2017.03.23) 6775 views 作曲2 レビュー1 映画音楽4 劇伴2 サンプル音源1 翻訳1 DAW1

プロ仕様のストリングス音源レビュー・特徴一覧

フリーランスで映画音楽等のコンポーザーをしています。ロサンゼルス在住です。

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サンプル音源のクオリティは常に進化していて、新しい音源もさまざまなディベロッパーから毎日のようにリリースされています。そうすると、どのサンプル音源を使えばいいのかよくわからなかったり、市場に出回る高価な音源を片っ端から買う余裕がないという方も多いかと思います。

一番早いのはそれぞれのウェブサイトに行って、デモ音源を聴いたり、可能な場合は体験版をダウンロードしたり、YouTubeの解説動画を見ることなのですが、そもそもどんな音源があるのか常に全てを把握するのは大変ですし、すべてを細かくチェックする余裕がない、という人もいるかもしれません。

そういった方のために、海外フォーラムのVI-Controlというコンポーザー向けのサイトから、"Buyer’s Basic Guide To Orchestral Sample Libraries”というスレッド、さらにそこからストリングス音源の部分を抜き出して、手早くいろいろな種類の音源の比較をしたい、という方のためにご紹介したいと思います。

(価格は、*のついているものは海外公式サイトの値段を1月現在のレートで日本円に直したものです。それ以外のものは日本代理店サイトでの価格です。)

Hollywood Strings (East West)スクリーンショット 2016-01-27 13.30.42

Silver: 約¥30,000* /Gold: ¥37,800 /Diamond: ¥232,200

http://www.h-resolution.com/eastwest/hs.php (注:SilverはSoundsOnline公式サイトからのみ購入可。また、公式サイトではセールで80%オフになることもしばしば。)

長所:シンプルで優れたオーケストラの音色を持ち、またマイク・ポジションの選択肢も使いやすい。様々な演奏法のオプションがあり、また演奏時のレスポンスも優れている。

短所:非常に動作が重い。また、時々音色に均一性のない部分があったりバグがあったりする。サクサク使いたいのであれば、SSDは必要不可欠。

Los Angeles Scoring Strings (Audiobro)LASS25

Full: ¥151,200 /First Chair: 約¥47,000* /Legato Sordino: 約¥35,000 /Lite: 約¥60,000*
http://www.crypton.co.jp/mp/do/prod?id=32724 (注:First Chair以下はAudiobro公式サイトからのみ。)

長所:それぞれのセクションで首席奏者・グループA/B/Cのディヴィジセクションに分かれており、また動作も非常に軽い。
レガート・パッチは非常に操作性に富み、リアルなサウンドで短音もそれに引けを取らず良い。
StageやColorといった便利な機能も付いている。

短所:人によっては音源そのままだと音がザラついていたり、多少耳障りに感じる人もいるかもしれない。いわゆる"ハリウッド・サウンド"を作るにはそれ相応の注意と微調整が必要。

その他:今市場に出ている音源の中ではいちばんディヴィジ性に特化しているが、それに関しては多くの場合好き嫌いが分かれる。最終的には個人の好みなので、メーカーであるAudiobroのウェブサイトからデモを聞いた方が良い。(リバーブの録音されていない)ドライ音源なので、他のオーケストラ音源と合わせる際はリバーブを使用。

Berlin Strings (Orchestra-Tools)

Main 約¥108,000* / Special Bows 1 約¥27,000* / Special Bows 2 約¥20,000* / SFX 約¥32,000*

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http://orchestraltools.com/libraries/berlin_strings.php

長所:綺麗で繊細な音色を持つ。
(レガートの速度がリアルタイムで変更できる)アダプティブ・レガートはパワフル。
第一ヴァイオリンのスピカート・パッチにおいてはラウンド・ロビンが24通りも録音されているなど、非常に細やかなサンプリングが行なわれている。
アーティキュレーションが非常に広範囲に渡る。

短所:多岐にわたるアーティキュレーションだが、肝心のミュート(Con Sordino)・パッチが抜けていて珠に傷。
値段も市場の多くの音源に比べると2倍近くする。また、コンピューターのパワーもそれなりに必要。

CineStrings Core (CineSamples)9jqxx4ebnns3vtjalqzw0dyj972

約¥60,000*

https://cinesamples.com/product/cinestrings-core

長所:LA Scoring Stringsのようなザラついた音色とCinematic2(後述)のようなふくよかな音色、2つの音色のバランスのとれた音源。
レガート・パッチは演奏性に優れ、ヘアピン・クリエーターは音の膨らみ(クレッシェンド→デクレッシェンド)を作るのに便利。
短音は行きすぎない程度にアグレッシブで程よい。アーティキュレーションの選択肢も良い。

短所:ヘアピン・クリエーターはバグが出ることもあるようだ。また、音色そのものに感情やヴィブラートがあまり含まれていない。

その他:他の音源では、本来録音された音の始めの部分をほんの少し切り取ることで鍵盤を弾いてから音がなるまでの時間を短くしているが、この音源では、よりリアルな音に近づけるべくその部分も残しているため、常にやや早めに(50msから100msほど)弾かなくてはタイミングよく音が出ない。エピックな、音の抜ける比較的アグレッシブなサウンドに向いている。

Cinematic Strings 2(Cinematic Strings)

http://www.crypton.co.jp/mp/do/prod?id=93222
¥47,282

CSCS2-1

長所:艶やかで豊かな音色を持ち、演奏性にも優れている。高らかなメロディー・ラインに向いている。アンサンブル・パッチも美しく、サッとスケッチを書きたいときに便利だ。

短所:アーティキュレーションの不足。
(主によく挙げられるのは、Sordino(ミュート)やSpiccatoなど)

Sable Vol.1-4 (Spitfire)SPFBMLCS1

Volume 1 / Volume 2 それぞれ ¥67,802 / Volume 3 約¥50,814 / Volume 4 約¥25,326

http://www.crypton.co.jp/mp/do/prod?id=97386

長所:小アンサンブルのストリングス音源としては最も重宝されており、少人数ならではの美しい音を捉えている。非常に細部までこだわったサンプリングで、使いかってもとても良い。トラックにさらに細かいディテールを与えるのにはもってこいだ。

短所:非常に高価。すべてのボリュームをそろえるには$2000(*クリプトンのウェブサイトでは20万円強)かかる。

その他:その他のSpifireに音源と同様、Wetで録音されている。また、あくまで小アンサンブルの音源であるため(4.3.3.3)、広大なオーケストラ・サウンド向きではない。上記の(*元の記事に評価の記述がないため、この記事では割愛)Muralを購入した方がよい。

Adagietto (8dio)スクリーンショット 2016-01-27 16.12.19

約¥47,000*

http://8dio.com/instrument/adagietto/

長所:8dioの音源で評価の高いAdagioシリーズで使用されたサンプルを使い、よりシンプルで使いやすい音源に仕上げてある。フルアンサンブル・パッチはスケッチ用によく適しており、Dyanmic Bowingパッチも非常に自然な膨らみを持っている。異なるタイプのレガートを揃えており、とりわけヴィオラが非常に美しい。

短所:第二ヴァイオリンは含まれていない。また、連続した短音の間隔が一定に鳴らなかったり、細かな部分で音の均一性がとれていないなど、小さな問題がある。

その他:(これは私の個人的な意見なので、それを踏まえたうえで)8dioの音源は非常に特徴的な近代的サウンドをもっており、いわゆる古き良きハリウッド・サウンドを目指すのには向いていない。

Adagio (8dio)スクリーンショット 2016-01-27 16.13.17

Violins 約¥47,000* / Violas 約¥35,000* / Cellos 約¥47,000* / Basses 約¥24,000* / Full Bundle 約¥130,000* (Adagietto同梱)
8dioのメインとなるストリングス音源で、アーティキュレーションも広範囲に渡る。

http://8dio.com/instrument-category/orchestral/#instrument/bundle-9-all-adagio-strings/

Agitato (8dio)

Grandiose Violins 約¥18,000* / Grandiose Violas 約¥17,000* / Grandiose Cellos 約¥18,000* / Legato Arpeggio 約¥21,000* / Sordino 約¥35,000*

http://8dio.com/instrument-category/orchestral/#instrument/adagietto/

8dioのオーケストラ系・ストリングスの音源で、音の機敏さや移り変わりの滑らかさを重視している。

Symphonic Series: String Ensemble (Native Instrument)Screen Shot 2016-01-28 at 11.15.25 PM

約¥60,000*

http://www.native-instruments.com/jp/products/komplete/orchestral-cinematic/symphony-series-brass-collection/

長所:ディヴィジ・セクション、それから自動ディヴィジ機能が含まれている。
アーティキュレーションも十分に取り揃えられており、音色も美しい。
短所:ディヴィジ・サンプリング・メソッドという手法でサンプリングされており、他の音源に比べやや音のふくよかさに欠ける。

その他:音色に特徴があり、(LASSのように)ディヴィジ性に優れている。好きか嫌いかは人によって分かれる。オフィシャルウェブサイトからデモや解説動画をみて判断したほうがよい。同じSymphony SeriesのBrass Sectionとは異なるホールで録音されている。

Soaring Strings (Musical Sampling)BoxArt_White

約¥30,000*

http://www.musicalsampling.com/soaring-strings/
長所:非常に高品質なサウンドを持っており、レガート・パッチもとてもよくプログラムされている。

短所:レガート・パッチとサステイン・パッチしか含まれていない。また、第二ヴァイオリンは含まれていない。

まとめ

いかがでしょうか。
あくまでスレッド主個人の評価なので、音源によってコメントの量にばらつきはあるものの、基本的な特徴はとらえていて、これからストリングス音源を買おうとされている方の参考にしていただければと思います。
また、Vienna Instrument系の音源含まれていないので、改めて載せていければと思います。

気になる制作ノートは、
クリップしておくと
あとからいつでも見返したりできます。

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