2017.03.23(最終更新日: 2017.04.26) 2040 views 三脚5 撮影54 DSLR2 カウンターバランス1 トルク1 ザハトラー1 マンフロット1 ヴィンテン1 libec6 撮影機材9

カウンターバランスのあるビデオ用三脚の設定方法

大学在学中、映像と演劇の融合を目指し発足した「ガイプロジェクト」に参加、以降、舞台映像、舞台撮影を中...

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 スチール用三脚に対してビデオ用三脚の大きな違いといえば、瞬時に水平を出すためのボールレベラーやパン&チルト構造がある事ですが、ビデオ用三脚の中でも民生用と業務用では大きな違いがあります。その一つにあげられるのが「カウンターバランス」と「トルク」設定の存在です。

 最近では写真からムービー撮影まで幅を広げる方も多くなったり、またはぜんぜん違う業種から映像の世界に入ってきてムービーを撮影する方が多くなったと思います。多くの方はまずカメラを検討し、自分の撮る画に対して欲が出てくると、やがてレンズや三脚等足回りに目が行くようになると思います。ステップアップと思い、せっかく高価な業務用三脚を買っても、使い方を十分理解していなければ機材のポテンシャルを十分に発揮する事ができません。

 そこで今回は業務用ビデオ三脚にある「カウンターバランス」と「トルク」の設定方法、またその効果を見て行きたいと思います。もしこのあたりを曖昧にして三脚を使って来た方は是非この機会にきちんとした設定方法を確認してみてください。現場での撮影クオリティーが劇的に変わると思います。またムービー撮影においてスチール用の三脚や民生用のカウンターバランス&トルクの無い三脚をお使いの方がいたら、この機会にステップアップとして業務用の三脚に目を向けてみてください。値段は張りますが、それなりの理由がそこにあります。

 まず「カウンターバランス」とは何か?これは主にチルト方向(縦方向)に対しての調整で、三脚に対してカメラがきちんと中心に置かれていると、カメラを下げても上げてもパン棒から手を離した際にピタっと止まってくれる、それを調整するための機構です。この設定をきちんとしておく事で、撮影中に不用意にカメラが下にズズズと向いてしまったり、はたまた上にグラっと上がってしまう事が無くなります。パン棒から手を離した状態でその角度を維持してくれるので、微細なカメラワークが可能になります。特に自分の場合、舞台撮影ではカメラをパン&チルトする時以外は、できるだけパン棒から手を離しておきます。そうする事で手から伝わる微振動でカメラが揺れる事はありません。またチルト方向にスーっとイージングしながら止めるといった微細な操作もカウンターバランスがきちんと設定されていると滑らかに決まります。ここがおざなりだと、行って来る、といった「返り」の動作が起こってしまったり、そのままズズズと下を向いてしまったりします。

 続いて「トルク」の説明です。トルクはヘッドの粘り具合(ヘッドが動作する際の硬さ具合)を調整する機構です。正直、この「粘り」は現場でカメラマンの好みで設定される事が多いと思いますが、基本はパン(水平方向)もチルト(垂直方向)も同じ設定にします。違う設定だとパンとチルトを組み合わせた斜め方向の動きの場合にアンバランスになってしまうためです。スーっと早い動きをつけたければ、トルクは軽めに(粘りが弱く)、ゆっくりじんわりした重厚感あるパンやチルトを行いたい場合はトルクは重めに(粘りが強く)設定します。尚、このトルクの機構は巷では「油圧式」と「機械式」が存在していて、一昔前は「油圧式」は寒冷地ではトルクが硬くなってしまうので向かない、「機械式」は油圧でなくギア比で粘りを調整する方式のため、特に寒冷地に強い、とされていましたが、最近は技術の向上で、それほどの違いを感じなくなったのかもしれません。ちなみに、リーベックやマンフロット、ヴィンテンは油圧式である一方、ザハトラーは機械式で、情報によるとザハトラー独自のダンピング[粘性]機構は特許を取得しているとの事。ちなみに弊社にあるほぼすべての三脚はザハトラーで、自分はすっかりザハトラーフリークだったりします。

 さて、カウンターバランスとトルクの説明をしたところで、具体的に現場での設定方法を見て行きましょう。今回は弊社にある「sachtler(ザハトラー)Cine DSLR」を例にとります。このsachtler Cine DSLRは、一眼レフカメラやミラーレスカメラのような軽いカメラでも使えるように、従来からあったFSB6をベースにカウンターバランスのバネを弱めにしたモデルです。またDSLR専用のカメラプレートが付属します。(その他はFSB6となんら変わりません)

以下、三脚の設定方法を順を追って説明します。最初は面倒と思えても、一旦流れを覚えてしまえば現場でのセットアップは瞬時に出来るようになると思います。現場で時間が無く面倒だから適当に、という方もいらっしゃると思いますが、要は「慣れ」「クセ」ですので、クセをつけておく事が肝要と感じます。

1)三脚に目的のカメラ一式(リグ等やモニターもあればそれも含む)を取り付けます。

2)三脚のボールレベラーできちんと水平を合わせてください。

3)カメラの中心点を探ります。これはジンバルの設定方法となんら変わりません。その際、チルト方向のトルク(垂直ヘッドについているリング上の0〜3のダイヤル)はフリーポジションの「0」にしてください。またカメラプレートの固定ツマミを緩め、プレートごと前後にスライドできるようにしてください。この状態で、カメラをしっかり支えながら中心点を探りつつカメラプレートを前後させます。(尚、この時、三脚背面のカウンターバランスの設定ツマミを0にしているとバネが弱すぎてストンとカメラが急激に傾く危険性があるので、2〜3くらいにしておくといいかも。逆にバネが強すぎると中心点が探りにくい。)

4)カメラの中心点が分かったらカメラプレートをしっかり固定します。

5)その状態で次にヘッド背面のカウンターバランスのツマミ(1〜10のメモリがある)を回します。軽めのカメラであれば、試しに2や3に設定して、パン棒でカメラを上下に傾けてみてください。カメラが止まらず、レンズ方向が上がってきてしまう場合(返りがある場合)は数字を下げていき、バネを弱くします。逆にレンズ方向がズズズと下がってしまう場合は数字を上げてバネを強くしてあげます。同時にカメラ後方も同じように試します(やじろべえのようにバランスを見る)この作業を繰り返して、カメラを傾けても止まってくれるポイントを探ります。ただしsachtlerのような段階的なカウンターバランスだと、ピタっと完全に止まらない場合もあるかもしれません。その場合は、いちばんマシなところでカウンターバランスの数字を設定しておきます。のちにトルクをかける事である程度解消できます。(尚、リーベックなどは無段階調整を採用しています)

6)カウンターバーランスが取れたところで、チルトのトルク「0(フリー)」から任意のトルクに切り替え、同時にパンのトルクも同じ設定にします。トルクの設定量は各メーカーの三脚によりますが、sachtler Cine DSLR(FSB6)の場合はトルクが4段階で、0〜3までの設定値があり、数字が大きいほど動きが重く(硬く)なります。弊社の場合、通常は「2」で、状況によって「3」に切り替えています。先述しましたが、基本的にはパンもチルトも同じトルクにしておきましょう。

以上で設定は終わりです。これで一度カメラを操作してみてください。意図したところにスーっとカメラを動かして、ピタっと止まってくれると思います。

 もし動きが微妙な場合は、上記3)〜6)を今一度やってみて、自分が納得いくまで調整してみてください。
きちんとカウンターバランスを取り、場面により適切なトルクを設定してあげれば、実に滑らかなショットが撮影できると思います。(中には、カメラが止まってくれないという理由で、ヘッドのストッパーネジを締め付けたままパン&ティルトをやっている方をお見受けする事もあり、機材の消耗や故障につながりますので、そういった誤操作は避けたほうが良いでしょう。)
今回はsachtlerのヘッドを例にとって解説しましたが、他メーカーの業務用三脚も概ね同じ操作で設定が出来ます。
 三脚は実は体の延長になる機材で、カメラ以上にクオリティーに影響する部分だったりします。なんとなくで使ってきてしまった方も、これから業務用三脚の購入を検討されている方も、参考になっていただけたら幸いです。

気になる制作ノートは、
クリップしておくと
あとからいつでも見返したりできます。

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