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2017.04.04(最終更新日: 2017.05.17 ) 2892 views

ドキュメンタリ撮影時に用意しておきたい出演許諾や書類

ドキュメンタリー監督、映像記者
。 光学メーカー勤務を経て独立。株式会社ドキュメンタリー4を立ち上...

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ここで紹介した文例や解釈は、筆者が経験した個別の案件に基づいて記載しております。
さまざまな撮影案件に対する、法的な有効性を保障する内容では御座いません。情報共有を目的とした、筆者個人の経験談として参考にして頂ければ幸いです。実際に許諾や契約書を作成される際は、文例を参考に、個々の案件に沿った内容を加筆・修正した上で、各自の責任でご使用ください。書面の作成や有効性の確認については、コンテンツの権利や企業間の契約に詳しい弁護士にご相談頂くことをオススメ致します。

撮影時の各許諾書について

プロモーション映像やドキュメンタリー制作、ニュースサイト向けの映像取材の際に、一般の方に出演頂くことがあります。その際の撮影許諾に付き、一般的な考え方と書面の記載例をご紹介致します。

キャスティング会社や広告代理店などを通じて、出演者に有償での出演オファーを行っている際は、通常「契約書」が交わされている為、撮影許諾を撮影者が求めるケースはまれでしょう。

いわゆるドキュメンタリースタイルの撮影や、小規模予算の撮影案件で、クライアントや撮影対象と直接交渉する際は、撮影者自身が許諾の有無を確認し、必要に応じて書面にサインをしてもらう事が必要になってきます。

書面の例

私自身が行った個別案件の例になりますが、実際の契約書や許諾文、張り紙の使用例をご紹介致します。

出演の同意書

出演される方に対して、映像出演の許諾を求める書類です。
カメラに向かってお話をされた方、被写体となる全ての方が対象となります。
通常、背景として映り込む方のサインは不要でしょう。
通行人の映り込みに対しては、張り紙の掲示(別項目に詳細あり)で注意を促しましょう。

物件使用に関する同意書

撮影で使用した施設、店舗、会場などに対する許諾書です。
学校や商業施設、工場での撮影の際は、その施設の管理者に必ず許諾を貰うように致しましょう。
個人宅でインタビュー撮影を行う場合も、持ち主の方に一筆頂く。
著作権を有する象徴的な建造物が映り込む場合は、背景であっても許諾を確認する必要があります。

有償で場所を借りた場合は、その際の金額を記入します。

撮影の注意書き(張り紙)

撮影時に「撮影の案内」(張り紙)を掲示し、この場所を通行することで映像に映り込む可能性があると注意を促し、それに対するクレームの連絡先を明示しておきます。
(ある寺院での、プロモーション撮影時に使用した張り紙の例)

ホテルや旅館、大型商業施設やアミューズメント施設での撮影は、特に注意が必要です。
背景への映り込みが原因で、不倫やカラ出張がばれたなどと、一般の方から怒鳴り込まれたというTVプロデューサーの経験談を聞いたことがあります。政治家、有名人の映り込みが原因で、撮影素材が使用できなくなったなどのトラブルもよく聞く話です。

こうしたトラブルの事前回避の意味でも、張り紙の掲示は非常に重要です。張り紙を掲示した場所を、現場の環境と一緒に写真で撮っておき、掲示したという事実を記録に残しておくと万全でしょう。

その他、許諾が必要となる例

・アーティストの演奏風景と音楽を映像中で使用した→出演及び音楽ライセンス契約書
・アーティストの楽曲を、映像中で使用した→音楽ライセンス契約
音源サイトからBGM楽曲を購入した際は、領収書と共に契約書が発行されるので、必ず保管しておきましょう。既存楽曲の使用は、JASRACへの申請や、レーベルやアーティストなど権利保持者との使用料の交渉が必要なため、別途ご確認ください。
・ストックサイトや取材対象者から、写真や映像を購入・お借りし、映像の中で使用した→映像ライセンス契約
ストックサイトから写真や映像素材を購入した際は、領収書と共に契約書や契約条項のリンクが発行されるので、必ず保管しておきましょう。

なぜ書面での許諾が必要なのか

自主制作の映像作品を映画祭に出展したり、ポートフォリオ作品をウェブ掲載した際に、過去に撮影した映像が一般に露出し、思わぬタイミングで出演者からクレームを受けることがあります。

書面での許諾が交わされていないと、出演者から事後で出演料や慰謝料を請求されたり、不本意な映像の改変や公開の取り下げを余儀なくされることがあります。事前の説明と良好なコミュニケーションが大前提になりますが、必ず書面での取り交わしも行うよう、撮影者自身が心がけましょう。

海外の映画祭では、作品のエントリー時に適切な契約や権利処理が行われているかを、詳しく問われます。近年、コンテンツの買い取りに積極的なVOD放送やドキュメンタリーチャンネル(ネットフリックス、アマゾンプライムや、ナショジオ、VICE Mediaなど)も、権利や契約の処理については、かなり厳格な規定があるようです。

将来的に作品を公開、売り込み、マネタイズしたいと考えている方は特に、書面での許諾を意識しておく必要がありそうです。

取り交わしの形式と効力

取り交わす書類の形式と効力を、イメージで表してみました。

契約書  >  許諾文(オリジナル書式)  >  口頭   >>>   取り交わし無し

正式な契約書の書式に則った取り交わしが最も効力が強く確実です。ただし、文面の仰々しさや押印と印紙の準備、コピーの作成などの手間を考えると、ドキュメンタリースタイルの取材で、契約書を現場で取り交わす運用は、かなり困難な作業でしょう。そこで、一番重要な取り交わし事項を抜粋して、シンプルな書式で双方の確認のために一筆貰らっておくのが各種許諾を取り交わす目的になります。

海外での撮影や街頭インタビューの場合、サインを貰うのも難しい状況も考えられます。その際は、ディレクターが出演者に口頭で「撮影目的、掲載される場所、掲載期間、条件」を説明し、「以上の条件での出演をご了承頂けますか?」と質問し、やり取りを映像に納める方法があります。後日、出演者から不本意な「出演料の請求」や「映像の取り下げ」の要求を受けた際は、口頭であってもこうしたやり取りが残っていれば、有利な話し合いが進められます。

厳密には、正式な効力を持つやり方ではありませんが、無いよりはあった方が良いので、どんな些細なインタビューであっても、一連の許諾のやり取りを何らかの形で残しておくのが得策でしょう。

許諾書や契約書を作成する際は?

正式な契約書や許諾書面の作成・確認は、弁護士が専門分野になると思います。、司法書士でも対応可能ですが、文面や条項の法的な有効性の判断も含めると、弁護士への相談が確実です。弁護士への相談というと、高額な相談料のイメージがありますが、費用を発生させずに相場などを情報収集することも可能です。

例えば、弁護士の資格を持つ相談員が無料で対応してくれる「法テラス」を利用して、書面作成の相場を聞いたりこの分野が得意な弁護士の紹介をお願いする事も可能です。コンテンツの権利や契約書作成を専門分野に掲げる弁護士をネットで検索し、依頼内容を伝えて見積もり依頼をすれば、おおまかな費用もクリアーになるでしょう。また、ゼロから書面を作成するより、ひな形を用意して確認と追記や修正をお願いするほうが、費用は安く抑えられると思います。

参考:「法テラス」
http://www.houterasu.or.jp

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