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2017.04.16(最終更新日: 2017.05.17 ) 2281 views

役者のための制作ノート「ハリウッドの役者業を体験して」

ロサンゼルスと日本を拠点に映像制作を承っております。映画、TVCM、ミュージックビデオからVR動画ま...

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役者という仕事

「ハリウッドで役者をしたい方」のための制作ノート


参照元:Wikipedia)

アメリカで大ヒットしたTVドラマ「Heroes Reborn - ヒーローズ・リボーン(以下、ヒーローズ)」で活躍した日本人の役者、内門徹(ウチカド トオル)くん。彼のインタビューからハリウッドの役者業の事情について分析しました。ちなみに内門徹くんご本人の言葉を、ほぼそのまま本文で使用しています。役者を志す者が、ハリウッドで頑張っている先輩から学べる良記事になっていると思います。


鎌田(左)内門(右)/ 撮影:Miyazaki Yoshimasa

技術からは少し離れた制作ノートになりますが、役者の視点から業界を見ることが出来る貴重なノートになっていると思いますので、是非読んでみてください。大見出しは、筆者の質問項目です。

1) ヒーローズの現場で覚えていることは?

ポイント1「監督の考えに臨機応変に対応出来ること」

内門:テレビの撮影で個人的に一番面白いと感じたのは、エピソードごとにディレクターが変わること。ヒーローズの場合2エピソードごとに変わった。もちろん監督お気に入りのDP(撮影監督)がいたりするので、コアメンバーが監督ごとに変わることも多い。同じドラマ作品なのに、エピソードごとに違う監督が担当するから、役者としても監督の考えをつかんで合わせないといけない。監督が現場の雰囲気を左右するので、役者も現場のスタッフたちも、その監督のリードにしたがって、臨機応変に対応する必要がある。ヒーローズの撮影なのに、他の米人気ドラマ、ホームランド(SHOWTIMEの有名TVドラマ)のクリエイターがメガホンを取るエピソードもあった。

2) 撮影期間の生活は?

ポイント2「良き待遇は最高の作品作りのため、と理解する」


撮影中の滞在ホテル(撮影:内門徹)

内門:(ヒーローズの)給料はいいし、飛行機はビジネスクラス、ホテルは高級ホテル、毎日のパーディエム(1)も出るし、車の送迎もある。撮影現場では、ゲストスター(2)以上の役だと、ソファーベッド、トイレ、シャワー、冷蔵庫、レンジ、テレビ、ラジオすべて完備のトレーラー部屋が用意される。


ウィルスミスの撮影用トレイラーハウス / 参照元:ギガジン

内門:トレーラーのサイズはその役者の契約によって変わる。人によっては1人でトレーラー1台使う人もいて、そういう部屋がたまたま空いてる日があって使ったことがあるんだけど、無駄に広くて暖炉までついてた。映画スターはジム用のトレーラーとかシェフがいるトレーラーとかもついてくるって聞くよね。

(1)パーディエム(英語表記では、per Diem) = 日割りの食費
(2)
基本的に台詞が1言から3言がCo-Star、それ以上の重要な役になるとGuest Starとなる。

内門:個人的には、こんな扱い受ける身分じゃないんで恐縮してしまうが、これは全て役者が万全の状態で撮影に挑めるようにするためのもの。だから役者は、俺は偉いんだっていうんじゃなくて、これはあくまでいい作品を作るための待遇なんだって考えを持っておくのが重要だと思う。

内門:自分の場合、ヒーローズが決まったときにロサンゼルスで住んでいたアパートを出たので、トロントでは優雅にホテル暮らしなのに、撮影期間が空いてロサンゼルスに帰るときはホームレスで友達の家のリビングとかに泊まらしてもらうっていう不思議な生活をしてた。

3) 現場で役者として何か主張した?

ポイント3「役者としての意見はプロダクションに伝える」

内門:ネットワーク(日本でいうフジテレビ、日テレなどのテレビ局)の大きなプロジェクトでも、プロデューサーは映画とかで見る ”ザ・プロデューサー”って感じが無くて、凄い対等な立場で話を聞いてもらえる。ディレクターも一緒。役者の意見を尊重してくれるし、相談すれば役者の意見で脚本が変わることもある。

靴を脱がせてくれた。

内門:ヒーローズでは、特に日本の文化的なもので主張することは大抵オッケーが出た。家にあがるシーンでも、道場に入るシーンでも、靴を履いたまま入る設定だったんだけど、ちゃんと説明したら靴を脱がしてくれた。ちなみに、日本にいる設定のシーンでは、なんちゃって日本な一面がたくさんあって、ひどいのだと書き初めが反対に飾ってあったりした。すぐにプロダクションに伝えて直してもらったよ。

4) 役者としての拠点はハリウッド?

ポイント4「駆け出しの役者は、ハリウッド以外の場所でも活躍の場を探す」


アメリカ、ジョージア州アトランタ(今アメリカでも映画制作が盛んに行われている街)参照元:MovieMaker

内門:(ヒーローズの)撮影はトロント(カナダの都市)だったんだけど、今ロサンゼルスで撮影しているものって意外と少ないよね。そういう状況って意外と日本で活動している役者の方々は知らないかもしれない。


Heroes Rebornの撮影地カナダの都市トロント / 参照元:Seasoned TV

ハリウッドの外での撮影は、現地の役者を雇う場合がほとんど

内門:ヒーローズの撮影時には、20個以上のテレビや映画のメジャーな米作品がトロントで撮影してたらしいよ。スーサイドスクワッドも同時期にトロントで撮影してた。トロントやバンクーバーでは20%以上のタックスクレジット(3)がプロダクションに出るのに加えて、カナダドルが米ドルに対して凄く安いので撮影地に使われることは本当に多いんだとか。ルイジアナ州やジョージア州(写真上)もタックスクレジットで誘致しているし、ニューヨークも同じみたい。ポートランドも多い気がする。そういった場所で撮影する作品は、主役級、準主役級の役をのぞいて、ローカルで役者を雇うことが多い。*

(3)* タックスクレジット(英語表記 Tax Credit) = 税額控除のシステム。アメリカやカナダで導入されている。映画やドラマを撮影する場合、製作側(出資者)が支払う税金額を一部控除出来る仕組み(タックスクレジット)を使って、製作費を数千万単位で安くすることが出来る。そのため、巨大なプロダクションを誘致することで経済活性化を進めるため、多くの州が取り入れている。

駆け出しの役者がいきなり大役を勝ち取るのはすごく難しい。

内門:駆け出しの役者がいきなり大役を勝ち取るのはすごく難しい。(その理由は次回のオーディション制度にも続く)意外とそういった場所(=トロントなどのハリウッドの外で映像制作に積極的な都市)に拠点を移すのも、駆け出しの役者にとっては、戦略の一つなのかもしれない。

内門:ちなみにトロントに住む知り合いの役者は、やっとアメリカのグリーンカード(永住権)が取れて、ハリウッドに引っ越したんだけど、翌月にはトロントに仕事で呼び戻されてた。もちろんクルーも同じで、プロデューサー、ディレクター、ライター、DP以外は現地採用が多いから、競争率の高いロサンゼルスで仕事を探すより、トロントとかに拠点を移した方が仕事は見つけやすいかもしれない。

次回

今回はハリウッドのTVドラマの現場に大役で出演した経験から学んだ役者として仕事をとってくるためのノウハウを制作ノートとしてご紹介しました。ちなみにハリウッドで役者として仕事をするためには、誰もが競争率の高いオーディションを勝ち抜いて初めてオファーを受けます。次回は、この「”オーディション”にたどり着くまでの流れ」について内門徹くんの話を分析して、説明していきます。

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