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2017.04.17(最終更新日: 2017.05.17 ) 1043 views

海外での配給までを考えた映像と音の納品形式

ロサンゼルスと日本を拠点に映像制作を承っております。映画、TVCM、ミュージックビデオからVR動画ま...

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映像の納品フォーマット

日本の素晴らしい作品は、海外でも見たい人がたくさんいます。上映して見てもらうためには、効果的なPRがもちろん必要ですが、それ以前に各地域の配給会社と直接契約をしなければなりません。その際に、配給会社に提供する納品のデータが必要です。今回はその話です。

納品する素材のことをDeliverable(デリバブル)と英語では言います。
納品形式を表した書類を、Spec Sheet(スペックシート)と言います。

映像の納品フォーマット

PRORESとH264

基本的に、映像は高解像度(UHD、DCI4K)の場合はApple Prores 4444、1080Pの場合は220Mbps以下の422HQファイルになっているはずです。

劇場公開のためには、配給会社は受け取ったPRORESファイル、音声ファイル、そしてキャプション(字幕データ)からDCP(1)*を作成します。そのため、インディペンデント映画などを配給会社に販売する場合は、DCPでの納品を求められることは聞く限りでは少ないと思います。ただDCPでの提出を求められた際に、まずDCPが何であるかを理解するために、まずはこちらをご覧ください。


参照:Digital Cinema Colorist

DCPの基礎知識は以下のサイトがベストです。超わかりやすいです。
デジタルシネマ時代の小規模映画の上映形式の研究 (外部リンク)


DCPデータの入ったHDD / 参照:Charbon Studios

制作ノート映画納品形式DCPと用語解説について

(1)* DCP:Digital Cinema Package(デジタル・シネマ・パッケージ)の略。パッケージと言うだけあって、いくつかの違うファイル(IMF、MXF、XMLなど)をまとめて1つのHDDに保存しています。個人でもDaVinci Resolve 12.5の有料版で作成することは出来ますが、それなりの知識は求められると思います。(長編のDCP作成はしたことが無いので分かりません。。。)大きな会社にDCP作成からQC(Quality Control)までを依頼するのが理想的です。アメリカではdeluxeがもっとも有名です。

You-TubeやVimeoなどのプラットフォーム納品の場合はH264ですが、細かい圧縮内容についてはSVODプラットフォームによって変わります。スペックシートと呼ばれるものがプラットフォームごとにあり、それに基づいて納品データを作ります。そのためSVODプラットフォームが変わるごとに、納品データを作り変える場合もあります。

大抵のインディペンデント映画祭の場合、納品はPRORES422HQかH264で、上映は多くの場合Blu-Ray上映になっていると聞きます。Blu-Ray上映になると、1080P 40Mbpsになります。インデペンデントの映画祭の画質が普段のシネコンなどで見る映画の画質よりも劣って見えるのは上映方式に違いがあるからです。

近いうちにUHDフォーマットに対応したUHD Blu-Rayでの上映に変わる可能性もあると思います。UHD Blu-RayはUHDフォーマット, 10bit, Rec2020, HEVC (H265), 4:2:0, 100Mbps <に対応しているので、画質ロスは少なくなると思います。

参照:flatpanelsHD

音の納品フォーマット

サラウンドとステレオ

まず音は上映する場所によってサラウンド上映とステレオ上映の二つがあります。大きな予算の作品になるほど、劇場での公開を考えての製作になるためサラウンド品質は必須になってきます。劇場公開が終わり、DVD販売やSVOD, iTuneでの配信となると5.1チャンネルの他に、ステレオ(LoRo)やドルビーサラウンド(LtRt)などに対応していることが必要になります。そのためにも、サラウンドチャンネルとステレオチャンネルの出力両方に対応出来る知識を持っていることが大切です。サラウンドミックスの提出を求められる場合、基本的には5.1チャンネルを納品出来れば、僕が知っている限りのプラットフォームは全て大丈夫です。劇場のDCPも7.1チャンネルより5.1チャンネルの方が多いと思います。

基本的にはサラウンドMIXを作成し、そこからステレオMIXを作るダウンミックス作業(Down Mixing)をします。ダウンミックスされた2チャンネルのステレオMIXには、LoRoとLtRtという2種類があります。多くのプラットフォームでは、このLoRoとLtRtの両方の納品を求められる場合が多いと思います。

LoRo (Left only Right only - 左オンリー右オンリー)

LoRoは通常のステレオです。サラウンドミックスの左(前・後ろ)とセンターチャンネルが1つのチャンネルになり、右(前・後ろ)とセンターチャンネルが1つのチャンネルになるために左右に別れた二つのチャンネルとして収めることが出来ます。これが一般的なダウンミックスされたステレオ(LoRo)になります。

LtRt(Left total Right total - 左トータル右トータル)

次に、LtRtはドルビーサラウンドと呼ばれるものです。これは左、センター、右、モノラルサラウンドの4つのチャンネルが、Dolby(ドルビー)の持つアルゴリズム技術を使って、2チャンネルの中に上手くエンコードされたものです。

モノラルサラウンドは、背景スピーカーの左と右の音を一本化して、1つのチャンネルに変えたものです。

基本的には左右の2チャンネルの中に、センターとモノラルサラウンドをSurCode( Dolby E )と言うプラグインを使ってエンコードしていきます。ちなみにProToolでは無く、Adobe PremiereやDaVinci Resolve 14上でもVSTフォーマットでプラグインを取り込むことで作業することが出来ます。LtRt(ドルビーサラウンド)は通常のステレオスピーカーでデコードされてアナログ変換(再生)される時には、ステレオとして再生され、サラウンドスピーカーが正しく設定された音環境では4チャンネルに正しくデコードされて再生されます。


参照:XDA Developers

LtRtでのエンコーディングの際には、サブウーファー用のチャンネルであるLFE(Low Frequency Effects - 低周波数エフェクト)はエンコーディングに含まれません。LFEはいろいろな呼び方がありますが、要は普通のスピーカーでは再生出来ない低い重低音だけのチャンネルです。他のチャンネルの音圧を圧迫しないようにIMAX導入時に開発されました。このLFEが120Hz以下くらいの超低音だけを扱うので、フルレンジの音域を使わないチャンネルという意味を込めた名前として、5.1チャンネルと呼ばれます。このLFEはLtRtには含まれません。

LFEについてはコチラで詳しく書かれています。
LFE(.1)チャンネルとは何ですか?**](http://www.otaritec.co.jp/products/genelec/faq/multichannel/lfe-channel/index.html))

吹き替え用のM&E、SFXとPFX

更に納品用にはM&Eと呼ばれるものを提出します。これはMusic & Effectの略語で、MIX後の一本化作業前にオーディオトラックからダイアログ(会話)を消したトラックのみを一本化したファイルのことです。理由は海外での吹き替え版の作成のためで、セリフが入っていると吹き替えが出来なくなってしまうためにこういう工夫がなされます。

ちなみにキスやタバコの煙を吹く音など、実際に撮影時にブームマイクやピンマイクで会話と同じトラックに収録されている音などは効果音扱いになります。その際に、ダイアログ(会話)トラックに入れたままにしておくと、M&E作成の際に一緒に消えてしまいます。そのためにダイアログのトラックから使用した効果音を抜き出す作業が、音響技師(サウンドデザイナー)によって行われます。これはアメリカのテレビ業界や映画業界では通例なので、必ずと言っても良いほど行われます。そしてこの際に抜き出された効果音のことをPFX(Production Effects - プロダクションエフェクト)と呼びます。このPFXは後で追加されるSFX(Sound Effect - 効果音)とは別のレイヤーで処理・記録されます。(整理の都合上)

細かなスペックシート

海外配給の際にスペックシートで求められる形式は、こんな感じだったと思います。

  • 映画全編と各リール(映画を30分で区切ったファイル)のミックス - LtRt / LoRo
  • 映画音楽のみミックス - LtRt / LoRo
  • SFX(PFXも含む)のみミックス - LtRt / LoRo
  • M&Eミックス - LtRt / LoRo
  • ダイアログのみミックス(映画全編と各リール) - LtRt / LoRo(吹き替え録音の際の参考用)
  • 5.1チャンネルミックス
  • 5.1チャンネル SFX(PFX含む)ミックス
  • 5.1チャンネル音楽のみミックス(基本的にはステレオと同じ)
  • 5.1チャンネルM&Eミックス

QCをクリア出来ない理由いろいろ

納品用のファイルを提出する際に、DCPなどを求められる場合なども含め、配給会社もしくは製作者がQC(クオリティコントロールチェック)をパスした検査結果を一緒に提出することを求められることがあります。これは専門の業者に頼むしかないですが、アメリカでは基本的にA1、A2、A3の3つの結果が検討されます。

A1, 2の場合は、プラットフォーム側がオッケーと言えばオッケーですが、A3は業界の放送基準以下、つまり失格となりプラットフォーム側や配給会社は受け付けてくれません。こうなると製作者側で修正をすることを余儀なくされます。以下にA3の結果が出る主な理由を翻訳しました。元サイトはQCチェックを行うアメリカの業者サイトからの抜粋です。

QCをパス出来ない映像の例

  • 圧縮されすぎてカラーバンディングが目立つ
  • 撮影された素材のフレームレートを変換した際に生じるフリーズフレーム
  • 目立ったノイズ
  • 明るさや色彩の過度な変化

などです。

QCをパス出来ない音の例

  • 無音
  • ポップ音
  • 間違ったチャンネル設定
  • ダイアログのラウドネス設定ミス
  • ピークの設定ミス
  • 映像とのシンクミス

などです。

事前に確認を

配給スペックを維持した製作を行うため、事前準備をしっかりとし、クオリティに理解を持ったチーム(撮影監督、編集、音声、カラリストなど)を作ることがプロデューサーにとっては大切になってくることが良くわかりますね。

気になる制作ノートは、
クリップしておくと
あとからいつでも見返したりできます。

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