2017.01.28(最終更新日: 2017.03.23) 477 views 予算1 準備6

ハリウッドのプロダクションマネージャーが語るハリウッド流の予算の立て方

ロサンゼルスと日本を拠点に映像制作を承っております。映画、TVCM、ミュージックビデオからVR動画ま...

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はじめに

引用: The Women's Eye

今日はハリウッドの実際の現場でいかにして予算が組み立てられているかの舞台裏を20年のベテランUPM(プロマネ)であるジョアン ペリタノ(JoAnn Perritano)氏に問うたインタビューの英語書き起こしを翻訳しました。


引用:JoAnn Perritano IMDB

ハリウッドの超大作の裏側

以下、翻訳

撮影が始まるよりも前の制作で何よりも大切なのは、Unit Production Manager(プロマネ)です。簡単に言えば、プロマネは映画予算とスケジュールを作る暗闇の中での作業の唯一の灯りです。ジョアン ペリタノ氏はハリウッドの業界で過去20年もの間、"レッドドラゴン,""バン ヘルシンキ,""ソーシャルネットワーク,"からマーベルの"アイアンマン3,""キャプテンアメリカ ウィンターソルジャー""アントマン"まで様々なジャンルの映画のプロマネを経験してきた方です。"アベンジャーズ"の最新映画の作業に取り組まれている忙しい時間の間を縫って、インタビューの時間を組むことが出来ました。ありがとうございます。

"脚本が届いたと思ったら、すぐに彼らは予算を要求してくるんです。"

"プロマネの仕事は脚本が届くと同時に始まると思うんですが、製作のどれほど早い段階で脚本を受け取るのですか?"

それが面白いんです。予算の大きな映画や大きなスタジオ映画になると、大抵の場合脚本が出来るそれより前からプロジェクトに呼ばれることがあるんです。
時には映画の中で何が起こるかを何となく聞いて、それだけで予算を組み始めることだってあるんですよ。

"それじゃ、何も分からずに予算を組むんですか?"

まぁ数多くの映画のプロマネを経験してきた分、ある程度の骨格は組めるようになるんですよ。例えばいくつの部署が必要でそれぞれ何人くらい必要か、こんな感じかなって。
そうすれば脚本が届いた時に、あとは穴埋めみたいになるんです。

"マーベルの予算立ての時なんかは、ずいぶん大きな"穴埋め"だったのでは?"

そうそう。それにいつも先を見越した予算立てをしないといけないんです。大変な作業ですよ。脚本が届いたと思ったら、すぐに彼らは予算を要求してくるんです。だから情報が無い中でいつもベストを尽くしています。

"スタジオが予算はこれくらいでと提案するんですか?"

毎回予算を削ることになります。これは必ずと言っても良いです。

"プレッシャーは感じますか?"

そこが始まりってことなんです。私は予算を組む時、脚本のあるがままを映画化するのにいくらかかるか計算するアプローチを取ります。

稿が変わる脚本ごとに、いくら予算がかかるのか計算するようにしたいんです。私は監督や他のチームの誰も安売りしたくないし、予算に収まりきらないものを収めようとはしません。誰にも良いことなんて無いからです。予算が本当はYドルかかるのに、Xドルで製作しようとしてるってことは何かが変わらないといけないんです。

"予算を組む時に監督が誰になるかも検討しているんですか?"

もちろんです。私はかつてルッソ兄弟やデビットフィンチャー、ブレット ライナーと仕事をしたことがありますが、彼らのことが分かってくると予算に変更を加えたりもします。

「ステディカムは絶対に使わない」って監督が言う時にはそもそも予算にすら入れません。もしくは「ステディカムは毎日欲しい」と言ったり、「テクノクレーンを毎日使いたい」と言う時もあります。最近は分かるようになってきましたが、昔は「テクノクレーンは5日間だけで良い」と言っていたのに結局撮影の間ずっと必要になったこともありました。
監督のスタイルを学び、それを予算作りに活かしていきます。

"製作期間はどれくらい設けるのですか?"

だいたい最近は22,23週間です。たまに30週間近くなることもあります。映画製作の準備には大変な時間がかかるんです。

"プロジェクトにGOサインが出るまで待つことは多いですか?"

私の経験では、準備万端になった状態で待たなければならなかったことがたくさんあります。でもそれは何のために映画を作るのか、そして誰と一緒に映画を作っているのかにもかかっているのです。

私はもうその時期を過ぎました。最近では脚本を待っているか、構成のアクト3を待っていたりで。映画制作はとても大きなプロジェクトなので、待つことには慣れっこです。

"どうやってロケーションを決めるんですか?"

最近は全てリベートにかかっています。違う州を見比べてベストなリベートをオファーしている州を選びます。そこから作業を始めるのです。アトランタに今いますが、今とても映画制作には良い環境です。

課題はアトランタをどうやって他の街のように見せるかと言うこと。"アントマン"では、サンフラで3日間撮影をして、残りはアトランタで撮影しました。VFXのお陰ですね(笑)見ても分かりませんよ。

"キャプテンアメリカ"の撮影はクリーブランドをワシントンDCに見立てました。DCにいたのは3日間で、クリーブランドには7,8週間、残りはLAのスタジオで撮影です。

VFXの進歩があるからこそ、こんな芸当が出来るんです。小さいスタッフをヘリコプターに乗せて、背景素材を撮る、残りは魔法です。

テクノロジーは驚異的な速さで進歩しています。私なんて仕事しながら学校に戻ったような気持ちです。

引用:No Film School

"コミュニケーションが大事なんですか?"

コミュニケーションはいつもとっています。全体がコミュニケーションを取れるシステムを考えます。夜のシーンを1stユニットと撮影している間に2ndユニットが昼間の撮影を何日も進めていると、彼らは撮影後にとても長いメールを送ってきます。雨が降ったことを知らせてくれたり、撮り切る時間が無かったことなど、映画を終わらせるためオイルの効いた機械のようにお互いを支えあいます。頭が混乱してる時にも、お互いを助け合うことが要です。

"テクノロジーの進歩にどうやって追いついていくのですか?"

ここ数年で全てが変わりました。昔は脚本の中で車が爆発するシーンがあると、いくらお金がかかるのかすぐに分かりましたが、今は違います。今やテクノロジーの進歩が驚異的で、学校に戻って勉強し直しているような気持ちです。それが楽しいんですけどね。

監督には必ず「ノー」と言いません。でも彼らが望むこと全てを叶えることも出来ないんです。

"監督が何か変更したいことがある時や、予算に無いことを追加したい時には、どうするんですか?"

監督には「ノー」と言いません。でも全て「イエス」と言って叶えることも出来ません。現実的で無ければいけませんから。私たちの仕事はスタジオのために責任を果たすことで、与えられた予算で傑作を制作ことです。
だから監督が何かを望む時には、何と引き換えに出来るかを考えるんです。理想的にはプリプロで全て固められることですが、現実的にそうなることは稀です。

"将来のプロマネに何かアドバイスはありますか?"

プロマネの仕事を生業にするためには、なりふり構ってはいけません。知識を貪欲に吸収しましょう。"マニアックコップ3"や"チルドレン オブ コーン4"の様な超低予算の映画を作っていた頃の経験は、何事にも代えがたいです。それらの現場で学んだ知識は今関わっている映画の現場にも生きています。PA(ピーエー:プロダクション アシスタント)になって、一所懸命働き全て吸収しなさい。どんな機会もものにすることです。

引用: Directors Guild of America

インタビュー: JoAnn Perritano
記事: Daron James (No Film School)

最後に

なかなか聞けないハリウッドの事情がよく分かるとても面白いインタビューでした。彼女の言葉は全て経験と自信に裏打ちされているんですね。今後もさらなるご活躍を期待しております。

気になる制作ノートは、
クリップしておくと
あとからいつでも見返したりできます。

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