はじめまして。まず自己紹介させていただきます。私は2017年末までサラリーマンをしており、趣味で映像を作っていました。退社後、映像を仕事とするようになり、目下奮闘中です。
もともと音楽好きであった私は、ヴィンセント・ムーンのはじめた「Take Away Shows」に感銘を受けて映像を撮りはじめました。今回、私なりのものですが、2〜3名の撮影チームでの「Take Away Shows」のようなライブミュージックビデオ作成に関するノウハウを共有したいと思います。
かなりコストを抑えた機材も紹介していますので、これから映像を始める方の参考にもなればと思います。

使用機材

  • カメラ
    カメラ2台以上、カメラマン2名以上がベターです。logで撮影できれば機種は問わないと思います。最悪撮って出しでもかまいません。私は Panasonic GH4 で撮影しています。私の場合はほとんどの作品がYouTube用ですので、GH4のSDカード記録でも問題になることは少ないです。

  • レンズ
    シネライクな映像にするためにF2.0以下の明るい単焦点レンズを使用しています。焦点距離18mm〜35mmのものをよく使用しており、マニュアルフォーカスの方が扱いやすいと思います。Cマウントの安価なレンズでも構いませんが、Cosina や Kowa などのレンズは価格に見合った画質と操作性があります。

  • リグ
    「Take Away Shows」風にするポイントの一つは手持ちカメラということです。最近はジンバルで撮影したものもありますが、手持ちカメラが臨場感を出すのに大きく貢献していると思います。私は CamCaddie のローアングル用のハンドルをよく使用しています。胸や肩に押し付けるように持てばブレは抑えられますし、通常のリグより疲れにくく、小回りが効きやすいように感じます。

  • マイク
    本家はおそらくガンマイクとワイヤレスのピンマイクの組み合わせですが、私は有線の楽器用ラベリアマイクやコンデンサマイクを使用しています。移動しながらの撮影では使用できませんが、ミュージシャン達はマイクを使うことに慣れていますし、こちらの方がしっかりした音が録れます。また、ドラムセットが入った段階で、外部の録音エンジニアに頼むようにしています。

  • DI
    映像クリエイターの方は聞き慣れないかもしれませんが、ダイレクトボックスという、ラインで出力される楽器をレコーダーに入力する際、必要な機材です。エレキベースやキーボードを録音するときに使用することが多いですが、エレキギターもアンプの前にこれを挟んで、ライン録りした音をアンプシミュレーターで処理し使用することもあります。

  • レコーダー(音声)
    オーディオインターフェース+PCというスタイルで録音していますが、ドラムセットがなければ大抵の場合、8トラックで十分ですので、ハードのMTRでも問題ありません。

  • 電源(バッテリー)
    野外で撮影する場合はあった方が良いです。録音用PCも内蔵バッテリーだけでは頼りないので電源に繋いでいますが、ミュージシャンの機材に電源が必要な場合があります。発電機は騒音の問題から現実的ではありません。

撮影

  • ロケーション
    私が決める場合が多いのですが、ライブ撮影ですのでとにかく音出しができることが優先です。日常生活で目にする場所で、いきなり演奏が行われることが「Take Away Shows」の良さだと思っていますので、撮影スタジオを借りることはありません。
    アコースティック楽器のみなら、知り合いなどの飲食店で撮影できればラッキーですが、そうでなくても、食材持込でパーティーをするようなレンタルスペースは音出し可能な場合が多いです。公園などでもとてもいい画が取れますが、自治体により規制や使用料があるので、確認が必要です。ドラムセットが入ってしまうと、撮影場所は音楽スタジオかライブハウスに限られてしまいます。
  • GH4の設定
    ISO200〜800、シャッタースピードは40〜60、絞りは必ず開放で、屋外の場合はNDフィルタをつけています。
    Vlog で 4K24p で撮影していますが、GH4の場合、4Kで撮影するとセンサーがクロップされてしまうので、引きじりがない場合はFHDで良いかもしれません。
  • 撮影
    あらかじめ撮影曲の構成を覚え、どの部分でどの楽器を撮るか、考えておきます。照明の関係などで、立ち位置は現場で決まることが多いため、カメラワークまではシミュレーションできません。ミュージシャンに2〜3回演奏してもらいその間にカメラワークを決めます。各楽器ごとに使える構図を何パターンか決め、そのパターンを回していくのが整理しやすく、効率的です。
    ミュージシャンが納得いくまでテイクを重ねますが、5〜6テイクでOKになる場合が多いです。演奏、特に歌うことは我々が思っている以上にエネルギーを使うようなので、休憩を促すことも大切です。
  • 録音
    録音エンジニアがついていれば安心ですが、そうでない場合は演奏中に各トラックごとのモニターはできません。そんな場合でも事前にチェックし、各楽器ごとのゲインが調整されていれば、回しぱなしでも問題はありません。

編集

  • 映像
    大抵2台のカメラを同時に回しています。FCPX でマルチカム編集した後、DaVinci Resolve である程度色を合わせてLUTを当て、RED GIANT の MAGIC BULLET FILM を適用しています。お手軽にフィルムっぽい映像になりますが、やりすぎと感じる方は DaVinci Resolve のみでグレーディングしてもいいと思います。

    FCPXのみでも、黒を少し浮かせてS字カーブを描き、彩度を落としてフィルムグレインを入れるだけで、それっぽい感じにはなります。
  • 音声
    音声は ProTools や Cubase などのいわゆる DAWソフトで編集します。ミックスと言った方が良いでしょうか。私は Ableton Live というソフトを使用しています。
    Ableton Live はミュージシャンがステージ上のパフォーマンスで使用することが多いソフトですが、とにかく停止しないこと(停止する前に「この操作は再生を停止します」という確認ダイアログが出るほど)が強みだと感じています。

    通常のレコーディングとは異なり、同時録音ですのでカブリ(意図した楽器以外の音)が盛大に入っています。1チャンネルずつではなくトータルで判断し、通常ではあり得ないEQをかけることも多いです。例えば、ボーカルの High を上げると同時にカブってるアコギの High も上がってくるため、アコギチャンネルの High は逆に下げる、などの処理を行っています。

ミュージシャンの演奏さえしっかりしていれば、通常のミュージックビデオよりも容易に撮影でき、編集も簡易、かつ魅力は十二分に伝わるのがライブミュージックビデオではないでしょうか。
ミュージックビデオの革命とも言われた「Take Away Shows」の形式がもっと広まれば良いと願います。

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    コメント

    • furukawa
      私もヴィンセント・ムーンのTake Away Showsに感銘を受けた人間でして、趣味で映像を撮っています。
      (ミーハーですが、昨年末に来日した時のイベントにも行きました…)
      とても興味深い記事でした!
    • Taro Ouchi
      コメントありがとうございます。
      どちらかと言うと、ヴィンセント・ムーンが抜けてからの、最近の Take Away Shows に寄せた記事ですが、少しでも参考になったら嬉しく思います。
      私は来日イベントは逃してしまいました…