ノイズバスターズ2019 〜Premiereの新しいノイズ除去を試す〜

2018.12.26 (最終更新日: 2021.09.06)

はじめに

こちらのセッションはInterBEE2018で行われた『映像研究所 2日目 Adobe User Group』の際、大須賀 淳氏によりプレゼンテーションされたものになります。

アーカイブは以下の動画の1時間23分ごろからをご覧ください。

ノイズバスターズ2019 〜Premiereの新しいノイズ除去を試す〜


先日発表されたCC2019に、一つすごくいいツールが追加されました。
クロマノイズ除去です。
ノイズ取りのツールなのですが、すごく優れています。

ファンのノイズが大きいところでのクロマノイズ除去の実力


これは換気扇の目の前でまさにノイズが大きいところで録音した音声です。
これにクロマノイズ除去を適用します。

コントロール画面がこれなんですけど、

パラメーターがめちゃくちゃシンプルで、基本的に量だけを操作すればOKです。
これでさっきの音声を聞いていただくと、、、

ノイズがわからないところに行ってしまっています。
従来、自動でノイズが取れるツールって、適応ノイズリダクションっていうものがあったんですけど、正直、声のニュアンスが変わってしまう、C-3POになってしまうと。

クロマノイズ除去が入ったおかげでかなりニュアンスを残したままで、ノイズが取れるようになりました。
これがPremiere ProとAuditonと、怖いことに名前は言っていませんが、Rushにも同じものが入ってます。
なので、スマホで最新のノイズリダクションが使えるという恐ろしいのがあるのです。

ビーッというノイズが入ってしまった!

今日はこういう会なので、研究ということで、クロマくんをいじめてみようと、いうことで色々やってみたいと思います。

ビーッという、ワイヤレスで混線しちゃったり、接触不良を起こしたりといったようなノイズです。
これはいけるかなーということで、クロマノイズを適用します。
少しきつめにかけてみます。

だいぶ取れてきたと思うのですが、実は、取れてはいるのですが、グラフを見てみると、

青いものは元の音、赤い方はノイズ処理後の音なんです。
真ん中のあたりを見ていただくと、赤い方が少し下がってると。
これはノイズがとれたということなんです。
右側のすごく尖っているところとか、左側のもやもやとしたところとか、割とクロマくんは要領の良い子で、割と耳に聞こえにくいところは軽く手を抜いてですね、聞こえやすいところを優先しています。
この右側の尖っているところは大体16KHz以上なんですけど、悲しいことに40代の僕とかには聞こえないです...
小学生とか若い人が聞こえるいわゆるモスキートーンが残ってます。
ということは、おじさんがチェックすると通っちゃうけど、小学生には聞こえてしまうかもしれないと。
そこで、ちょっとフォローしてあげようということで、こういった高域が出てしまってるときはパラメトリックイコライザーで調整してしまいましょう。

Prmeiereに入ってるパラメトリックイコライザーはよくできていて、アナライザーがリアルタイムで見えるんですね。

見ていただくと、さっきのとんがりがちゃんと出ています。
こういうところは例えば、5のバンドが近くにあるのでそこを調整します。

それで、思いっきり下げてみると

こういうピンポイントだと、音的にもあまり影響してきません。
こういう感じでピンポイントに調整していくと。
これで小学生も安心ですね。
これで、あとは下の方はこのままだと大きいスピーカーだとボコボコと目立ってきてしまうので、声にあまり影響のない100Hz以下にハイパスを少しきつめにかけてあげると、聴きやすくなっていくと思います。

この辺りをやっていただくと、クロマくんの欠点を補うことができます。

一部分だけのノイズは消える?

では、さらに意地悪な例を出してみましょう。
今までのはずーっとノイズが入っていたので、心の準備の隙間を持たせてしまっていました。

今度はしゃべっている間に少しだけノイズが混入してしまいました。
心の準備ができないと、クロマくんはどうなるかというと、

これでは取れていないですね
やはり準備期間が必要になってきます。
このくらいのレベルになった時、初めてAuditionに飛ばしてあげます。
これも簡単で、

オーディオのクリップを右クリックして、Adobe Auditionでhクリップを編集とするとAuditionの方で開かれます。

Auditionの良いところは波形以外にもスペクトルでも表示されます。
今回はよく見えるので、この範囲を選択してしまいます。

ここに対してクロマノイズ除去を強めに適用してみます。

すると、このエリアだけ選択すると消えるんですね。

正直音はこもってしまいます。
なので、ここの部分だけ、EQでハイを上げてあげるとかすれば良いです。
こんな感じで、Auditionとの連携ができます。

楽器の音とクロマノイズ除去

では、どんどんいじめます(笑)
ここまで全部人の声でやってきたんですけど、今度は楽器もやってみます。
ギターのストロークを録音したものです。

これにもクロマノイズ除去を適用します。
結構ノイズリダクションツールはギターみたいな音は苦手なんですよね。

適用してみると、響が切れてしまってポワンポワンしてると思います。
これもクロマノイズ除去の便利さと裏腹の弱点で、全自動なので、ノイズは取ってくれるんでけど、いわゆる余韻の部分ですね、リリースの調整というものができないんです。
全部ノイズだと思ってしまうと。
その弱点を補うのもAuditonでして、Auditionに元からあるノイズリダクションツールを使います。
これは、ここがノイズだよと教えてあげて、切ってあげると。

改めてやってみると、ノイズだけの部分を選択して、エフェクトのノイズリダクション/リストアからノイズリダクション(プロセス)を適用します。
そして、ノイズプリントをキャプチャします。

ここにはスペクトルディケイレートというものがあるのですが、これが余韻を決めるところです。

ここで、ソースに合わせて調整できるので、この従来からの方法でとってあげれば、ちょっと手間がかかるんですけど、さっきよりも余韻がだいぶ生きてるかなと。

こんな風に従来のツールもまだ使えるところがある、というところです。

リアルタイムノイズキャンセル

最後にひとネタ。
こんな風にリアルタイムにノイズが消せるなら、Web配信のノイズを取りたいなというニーズがあると思うんですね。
ただ、あまりに処理に時間がかかって映像とずれても嫌だなと。
試しに、丸々HDMIキャプチャーして録画してみました。
最後にそれを流してみたいと思います(動画も併せてご覧ください)

こんな感じにリップシンクが気にならない程度の遅れで使えてしまうと。
ハードで買うといい金額するものがスルーさせるだけでできてしまうので、結構使いがいのあるツールかなと。

AIベースのツールなので、バージョンアップがあったらまたいじめてみたいと思います。
皆さんもどんどんクロマくんをいじめてやって、鍛えてやって、我々を労働から解放する方向に持っていきましょう!(笑)

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