この記事は、2019年4月15日に開催された「VIDEOGRAPHERS TOKYO」にてライブ配信を行ったセッションのアーカイブです。
1,はじめに
「ビデオグラファー基礎講座」と題して、これからビデオグラファースタイルや少人数のチームで映像制作をしていきたいと思ったとき、いったいどのようなワークフローでやればいいのか。また、すでにやっている方々は最前線で活躍されているビデオグラファー講師「伊納達也」氏がいったいどのようなスタイルで制作しているのか。
このようなヒントが散りばめられているセッションとなっています。
まずはアーカイブ映像をご覧ください!
伊納 達也 / Tatsuya Ino
ノンフィクション・ビデオグラファー
CM制作会社で制作進行として勤務後、2012年からビデオグラファーとしての活動を始める。少人数のラン・アンド・ガンスタイルで、特に各地域の食文化にフォーカスして映像制作を行っている。また、プロジェクトに寄り添った形の「映像を使ったコミュニケーションの構築」にも力を入れて取り組んでいる。
2,このセッションのポイント
Point1:「ビデオグラファー」の定義
まず、「ビデオグラファー」という単語について考えてみます。
「ビデオグラファー」とは、ここ数年で広く使われるようになってきた言葉で、
伊納さんが考える「ビデオグラファー」の定義とは ディレクション・撮影・編集など通常なら専門家によって細かく分業される役割を少人数マルチタスクのスタイルで行い、作家性を持って映像作品の制作・発表を行う人のこと。 です。
Point2:データ管理の重要性
1,撮影準備
2,撮影
3,バックアップ
4,仮編集
5,修正
6,カラーグレーディング
7,MA
ビデオグラファースタイルのワークフローは、大まかに1〜7に分けられることでしょう。ここで、特に重要なところが 3,バックアップ です。
伊納さんが常に繰り返し唱えていることは、
「撮影に行く前はカメラが一番大事。帰りに最も大事なのはデータ。」
「撮影の仕事をするときに一番気をつけていることです。いい撮影をすることだけでなく、撮影後のデータを確実にコピーして、安全に持ち帰って初めて
最終的な映像に撮った画を活かすことができます。」
ビデオグラファーの仕事道具として、行く前は収録するためのカメラが一番大事であり、帰りはその収録したデータ。つまり、HDDやSSDがもっと大事です。
いい画が撮れても、データがなければ編集はできない。
そこで、鉄則は。
「データは必ず同じものを2箇所以上の別の場所に保存する!」
これは当たり前のことのようですが、案外ここができていなくてデータを消失、事故に、、という話も映像業界ではあるらしく、すべてのフローを自己管理しなければならないビデオグラファーだからこそ、基礎中のキソを疎かにすべきではないということです。
このあたりの話は、以下のチュートリアルや伊納さんの記事でもより詳しく解説しているので合わせてご覧ください!
ポータブルHDD/SSDの運搬安全性を徹底的に追求してみる。ー伊納達也
Vookチュートリアル動画
ビデオグラファー基礎講座 〜ビデオグラファースタイルのデータ管理を知る〜
Point3:Low/RAW 撮影の場合のワークフロー
●メリット
自分の思い描く映像のイメージに合わせ、あとから色を作っていくことができる。カラーコレクション、カラーグレーディングを行うことで作品性・作家性を出すことができる。
▶デメリット
LogやRAWで収録することで、必ずポスプロの段階でカラコレ・カラグレをしなければならず時間がかかる。納品まで短期間の場合に向かない。
Point4:撮って出しの場合のワークフロー
●メリット
尺が長く撮影量も多い、長編ドキュメンタリーや納品までに時間的余裕がない案件などは、撮影時に決まったルック・色で撮ってしまったほうが良い場合が多い。
▶デメリット
撮影前に完成のカラーイメージを決めて設定しておく必要がある。基本的にはあとから大きく修正することができない。
そこでおすすめしたいのが、FUJIFILMのXシリーズと呼ばれるミラーレスカメラに搭載しれている「フィルムシミュレーション」を活用することです。簡単に言うと、フイルム時代のカラーをデジタルで簡単にカメラ内で再現できることです。詳しく知りたい方は、以下の記事が参考になります。
3,まとめ
「制作する各映像に最適なワークフローを、撮影前の段階でよく考えること。」
基本的には、制作の途中でワークフローを変更したりすることは困難です。
制作する前、特に撮影する段階の前でどのように編集し、納品までの期間はどのくらいなのか?よく考えた上でもっとも効率のよい方法を考えましょう。
特に、撮影時の設定(カラー設定や収録形式)はRAWでない限り、編集・ポスプロの段階で後戻りして設定をし直すことがほぼできないので気をつけます。
このように当たり前のように思われることを1つひとつ大事にしていきましょう!
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Vook編集部@Vook_editor
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