2019.08.29 (最終更新日: 2019.08.31)

【VGT】AIと友達になる-映像制作者のための時短術-

AIと友達になる-映像制作者のための時短術-

はじめに
先日開催された「VGT2019」の中で、
反響の大きかったセッションのダイジェストをご紹介致します。
Adobe Creative Cloudエバンジェリストの仲尾 毅 さんをお迎えし。
エディターのダストマンさんと一緒に
Adobe製品の時短術とAI活用についてお聞きしました。

登壇者

仲尾 毅
Adobe Creative Cloudエバンジェリスト | | 2012年、Creative Cloud登場と共にアドビ入社。Creative Cloudの伝道師として、Adobeの最新技術・製品・サービスの訴求と移行促進に従事。クリエイターにとってメリットのある最新情報をいちはやく伝える。
毎週木曜夜8時Creative Cloud道場 on YouTube LIVE放送中 #CCDojo

ダストマン
ど田舎の古民家暮らしの映像屋。
編集 / モーショングラフィックス / VFX / コンポジット / After EffectsチュートリアルのYouTube【ダストマンTips】をやってます。

イントロダクションと自己紹介

ダストマン:今日はAIと友達になるっていうことで,
Adobeの仲尾さんとセッションを進めて行こうと思います。
僕はダストマンといって、YouTubeでAfter Effectsのチュートリアルを発信しています。
本業は広島で築100年の古民家を買って、
畑を耕しながらテレビCMのオンラインエディターをやっています。
それでは仲尾さんお願いします。

仲尾:私はAdobeでエバンジェリストをやっています。
エバンジェリストって聞き慣れない言葉かもしれないですが、
伝道師、クリエイティブクラウドを広めるための活動をしています。

ダストマン:結構CC道場とか見てる方は、
仲尾さんのことを知っているんじゃないですかね?

仲尾:ありがとうございます。
毎週木曜日にAdobe Blogの中で、
Creative Cloudについての番組をやっています。
最近はビデオ関係の内容が多いですね。
CC道場はこちらからどうぞ。

ダストマン:ちなみに僕もダストマン Tipsという名前で、
After EffectsのチュートリアルをYouTubeでやってます。
もう少しでチャンネル登録1万人行きそうなのでもし
よければ皆さん登録をお願いします。
ダストマン Tipsはこちらからどうぞ

時短のために必要なコト

ダストマン:それでは、本題に入って行きたいと思います。

仲尾:今回はAIの話ということで、時短術についてお話をしていきたいと思います。
みなさんお仕事で映像制作をされている方が多いと思うのですが、
時短がとても重要になってくるのではないでしょうか。

仲尾:ビデオ関係のツールと役割をまとめるとこんな形になります。
ダストマンさんはひたすらAfter Effectsを使っている形ですか?

ダストマン:はい。そうですね。
例えばAfter Effectsで尋常じゃない量のマスクを作ったりしています。
あと15秒くらいのCMはカット数も少ないので、
そのままAfter Effectsでカット編集しちゃってます。

仲尾:次に時短の要素をまとめていくとこんな形になります。
まずはハードウェア的な面については、速いマシンにこしたことはないですよね。
数年前にはなりますけど、SSDにするのが一番効果的だなんて話もあったりします。
こういう情報についてキャッチアップしていくのはとても大事かなと。

ダストマン:なるほど。

仲尾:続いてダストマンさんのリモートで働けるみたいなところで、
ワークフロー的などう仕事を進めていくのかって要素も大事ですよね。
そして何よりも健康であることが大事ですよね。

ダストマン:映像制作だと健康が本当に大事だと思います。

ショートカットはかなり時短につながる

仲尾:最後ソフト的なところですね。
製品に対して深く習熟していることが時短に直結してくると思います。
あとは最新機能にキャッチアップしていただくと、時短につながると思います。
例えば、既存の機能では5手、10手かかったものが1手でできたりします。
他にはCC道場とかでも、紹介してるですけどショートカットですね。

ダストマン:ショートカットは大事ですね。中級者とか上級者の方でも、
新しく増えたショートカットを見落としがちだったりするんですよね。
これまで使ってきた手癖のままでやっちゃうことがあるので
改めていろんなソフトのサイトを見直して、
「これ全部ショートカットでできるんだ」ってなることありますもんね。

仲尾:最近だとショートカットがカスタマイズできるようになってたりしますしね。

ダストマン:あとはこのトレンドってなんなんでしょう。

仲尾:これは、クリエイティブクラウドになってからは、
ビデオ製品は年に2回大きなアップデートがあることです。
できなかったことがすぐにできるようになっていたりします。
こういうところに関心を持ってもらうのもおすすめのポイントになります。

Creative Cloudの時短対応

仲尾:このスライドはソフトを作っている側が、
どこにポイントを置いているのかという説明です。
下の緑の部分はハードウェアに対応し時短していこうという部分です。
例えばマウスコンピュータさんでも、
最新のCPU,GPUを製品に取り入れていきますけど、
ソフトがハードに対応しないと能力を最大限引き出せない問題があります。

ダストマン:そうですよね。

仲尾:Premiere Proは他のどのビデオのソリューションよりも対応が早いと思います。

ダストマン:Adobeさんに、ユーザーさんから「早く対応してほしい」って、
要望が上がって来るんですよね?笑

仲尾:今はハードウェアベンダーさんにお願いをして出荷前に対応をするようにしています。
例えば外付けのeGPUが最近トレンドだと思うんですけど、早期に対応をして、
ハードが発売された時にはもう対応しているようにしています
あと最近カメラが4K,8Kとかで新しいカメラが出てきていますけど、
それもメーカーさんと協力して発売前に対応できるようにしています。

ダストマン:それはすごいですね。

仲尾:次に上の赤い部分がソフトの機能の部分になります。
これが手数を減らす部分になります。
例えばクライアントへの提案が3つ4つあった時に、
納期を考えると1つしかできない場合があると思うんですが、
これをドラフトでもいいから3つ4つつくることができるようにしてあげる、
機能の多くはこういうことをコンセプトに作られています。

Adobe SenseiでAI活用

仲尾:AdobeはソフトのベースになるテクノロジーとしてAIの活用に力を入れています。
ダストマンさんはAIって聞くととどういうイメージですか?

ダストマン:全自動アンドロイドロボットみたいな(笑)
あと仕事がなくなるってみんなよく言いますよね。
AIの普及によって世界中の仕事の何割かが奪われて行くみたいな話はよく聞きます。

仲尾: Adobeもクリエイターの方がAdobe製品にAIが入ることで、
危機感を持たれると困ると思って調査をしています。
そしたら74%のクリエイターの方はAIを使って時短をしたいって考えているんですよね。

ダストマン:本当に時短はしたいです。
例えば僕は車のCMの案件の時に「運転席を消してくれ」って言われたら、
1フレームずつ延々とマスク切ってますからね。
ハリウッドとかだとマスク専門の会社があるみたいですし(笑)
もっとクリエイティブなことに集中できるようになってほしいと思ってます。

仲尾:そういうのって、結果はもう頭の中に見えていて、
そこにたどり着くのに3日くらいかかるんですよね。この時間を減らしたいんですよね。

ダストマン:ほんとにこの時間がなくなれば、
もっとエフェクト作り込めるのにとかずっと思いながら作業しています。

仲尾:Adobeとしてもこういうオペレーショナルな作業を減らして、
クリエイターをサポートしたいと考えています。
AdobeでもAIをブランディングしてAdobe Senseiという名前がついています。

ダストマン:これすごいですよね。日本語なんだなって。

仲尾:自分は3年前に発表された時は、「やめろ」って思いました笑。
逆にアメリカでも「先生」っていうことばが認知されていることに驚きました。
「先生」にははものごとを伝授しながら、
自らも学んでいくといった願いも込められています。

ダストマン:先生って響きは可愛いくていいですよね。

仲尾:既にAdobeが提供している製品にはSenseiが入っています。
Senseiと名乗りだしたのは3年前です。
それまでAdobe MagicとかPhotoshop Magicとかに相当する機能になります。
クラウドベースになったので、ユーザーさんが行った操作からの学習がやりやすくなって
どんどんどんどん進化しています。
個別に機能を見ていくと、Photoshopのゆがみフィルターだったりとか、
あと素材のデータベースであるAdobe Stockで絞り込みを行うフィルターですね。

Adobe Sensei 事例1:モーフカット

仲尾:動画の部分ではPremiere Proのモーフカットをまず紹介します。

ダストマン:これ結構すごいですよね。びっくりしました。

仲尾 :映像編集の場面で
YouTuber的なところはあると思うんです
、カットでつないでいきますよね。

ダストマン:ジャンプカットね。
1カメでバシバシ切ってくやつ。

仲尾:当然カットしたって分かるんですよね。
表現の中でこれを残したいときもあるんですが、
短い時間でカクカクすると不自然ですよね。

ダストマン:「えー」とか「あー」をカットする時とかも飛んでほしくないです。

仲尾:このエフェクトで、意図しないジャンプを自然にすることができます。
モーフィングってテクノロジーはそこまで新しくはないんですが、
カットとカットの間を自動補完してスムーズにしています。

ダストマン:これ本当にすごいんですよね。
普段のYouTubeだとジャンプして良いところはジャンプしてるんですが、
噛みすぎた所とかはあとで全部モーフカット入れてます。

仲尾:手作業でもできるんですが、
モーフカットを使うことでさらに高速で作業をすることができます。

Adobe Sensei 事例2:カラーマッチ

仲尾:次も新しめの機能なんですけどカラーマッチです。

ダストマン:これは大事ですね。

仲尾:Adobeではカラー編集にも力を入れています。
このカラーマッチは複数台のカメラで色が違う時に合わせてくれる機能です。

ダストマン:昨日Vlogをやっている大川さんと話したんですけど、
1つの動画でミラーレスカメラを使ったり、
アクションカメラ使ったり、
空撮でドローンを使ったりすると
色味が合わないっていうことが起きるんですよね。
結構色って感覚的な部分なので、
これをいきなり合わせるのは難しかったりするんですよね。
カラーマッチでとりあえず合わせて、
その後手で合わせるとか使い方は色々あると思います。

仲尾:この一旦合わせるっていうのがポイントなんですよね。
1回カラーマッチで合わせたものを更に手で修正できるんですよね。
なのでカラーマッチに全部おまかせじゃなくて、そこから更に追い込めるんです。
粗編集の部分にかかる時間を減らせるっていう所でカラーマッチが使えるっていうことですね。

ダストマン:合成の仕事だとカメラの色が違う時に、
一旦同じような色に色を揃えるんですよね。
この時少しの色の違いだと、「シャドウに青が足りないな」とかって分かるんですが、
あまりにも違うとどこから合わせるのかわからないんですよね。
そこを自動でカラーマッチしてくれるのは楽だと思います。

Adobe Sensei 事例3:Character Animator


仲尾:続いてなんですけど、キャラクターアニメーターというツールです。
特にアフターエフェクトとかで最近、
顔の目とか口とか鼻とか要素別に編集したいって時はありますよね。
例えば目を青く編集したいとか。

ダストマン:ありますよ。
フェイストラッキングでいうと、
アイアンマンとかのHUD系の表現をしたい時に,
アフターエフェクトのフェイストラッキングをよく使います。

仲尾:5年ほど前にシーグラフというイベントで、
顔の認識について発表をしていた学生さんがいたんですよね。
その方にAdobeに入っていただきまして、
After Effectsにフェイストラッキングの機能をいれました。
その時の副産物で顔を使ってキャラクターを動かして見ようということで、
PhotoshopやIllustratorで作ったキャラクターに、人の顔の動きや音声で動かせるものを作りました。

仲尾:ライブを中心に活用が広がっていて、
アメリカではシンプソンズを生放送する時に使われました。
シンプソンズはアメリカでサザエさんのように、
長く放送されているアニメーションです。
フェイストラッキングだけではなくて、
キーボードを使って操作ができ、人形劇のように操作できます。
一番AIの恩恵を受けているのがリップシンクです。
大体4通り口の画像を作れば話してくれます。
後は音声に合わせて自動で口が動きます。
プリセットで「あ」の口や「い」の口を作って行くと、
もっとリアルに喋らせることができます。
またアップデートで顎の動きも自動で対応できるようになりました。

ダストマン:ぼくこれでおじいちゃんになってもYouTube続けられそうです笑
「ダストマン年取らないなって」思ったらいつのまにかイラスト化してたみたいな笑

Adobe Sensei 事例4:オートダッキング


仲尾:さて続いては、オートダッキング。
ビデオ素材として人の声の部分とBGMがあったりした場合に、
当然人が喋ってる時は音楽をさげたいんですけど、
自動的に人の声や音楽を識別して人の声がある時は音楽を下げてくれる。
いわゆるMAの作業ですね。

ダストマン:これ非常に助かっていて、
各々聞いている環境で声が大きく聞こえやすかったり、
BGMが大きく聞こえやすかったりバラバラなんですよね。
その中でこの自動化をやっておけば、
安定的に80点から90点のレベルになるんですよね。

仲尾:音の専門家がいなくても80点から90点の音ができて、
しかもチームのワークフローを組めば、
これをベースに更に作り込むことができます。
更に少ないリソースの方向けのRushでも、
こういった機能は盛り込まれているので活用することができます。

NAB2019アップデート情報1:Premiere Pro テロップ強化


仲尾:さて最後にNABについて触れていきたいと思います。
ダストマンさんNABはどうでしょうか?

ダストマン:いや、ぼく行って無いんですけど笑。編集ソフトのアップデートで盛り上がったんですよね?

仲尾:AdobeではこのNABに合わせてビデオ製品のアップデートをしています。
特にエッセンシャルグラフィックスパネルのアップデートがあって、
みなさん聞き慣れないかもしれないですが、テロップが今回進化しました。

ダストマン:テロップって日本独自の文化なんですよね。
例えば海外のムービーだと白一色の文字とかでほとんど需要ないんですよね。
日本だととにかく文字を飾る傾向にあって、
テレビとかこの集大成だと思います笑

仲尾:日本以外だとテロップを装飾する文化がないので、
中々調整が難しかったのですが、
Premiere Proのユーザーグループの方にもフィードバックをたくさん送っていただいて、
今回機能が盛り込まれました。

ダストマン:「ストロークをたくさん付けたい」とか、「ストロークでもグラーデーション付けたい」とかですね笑

仲尾:あと文字の量に応じて下(背景)がつく機能ですね。

ダストマン:特に最近はスマホ用のコンテンツだと、
テロップに背景をつけるのが必須になってきているのですごく助かります。

NAB2019アップデート情報2:After Effects コンテンツに応じた塗りつぶし


仲尾:一番話題になったのがビデオ版コンテンツに応じた塗りつぶしですね。
簡単に言えば消すってことですね。After Effectsではまず消したいもののマスクを自動でトラッキングしてくれる機能があります。

ダストマン:しかもこのトラッキング機能どんどん精度が上がってきてるんですよね。

仲尾:最新のハードウェア対応もそうなんですけど、
いまデモで使ってるのは3年前のMacBook Proなので、
これくらいの処理は現場でできるってことですね。
今回はさらにここに「コンテンツに応じる塗りつぶし」が追加されました。
ぱっと見であれば全然使えることも多いと思いますし、
ここからさらに作り込む場合はマスク情報が残っているので、
それを基に追い込むことができます。

ダストマン:最近だとやっぱりドローンの影を消すのが、
一番需要があると思うんですけど、
それをここまで簡単に消せるのはすごいと思います。
最後に、こういう新機能って最初はそこまで使えないことも多いです。
自分で研究しながらどうAI機能と友達になれるのか探っていくのが良いと思います。

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