シークレットセッション「VICE JAPAN」
はじめに
先日開催された「VGT2019」の中で、反響の大きかったセッションのダイジェストをご紹介致します。VICE JAPANシニア・プロデューサー川口賢太郎さんと、VICE JAPANプロデューサーの催郷通範(さいごうみちのり)さんをスピーカーにお迎えして、ドキュメンタリー監督の岸田浩和さんが、VICE JAPANの考えるドキュメンタリーの本質とデジタルメディアの今後についてお聞きしました。
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登壇者
ゲスト : 川口賢太郎
VICE JAPAN シニア・プロデューサー。VICE JAPAN発足当初から、テキスト、写真、動画など、すべてのコンテンツの監修を行ってきた。今春からの新体制では、インハウスの制作物に対する、プロデュースとクリエイティブディレクションをとりまとめる立場となる。
ゲスト : 催郷通範(さいごうみちのり)
VICE JAPAN プロデューサー。フリーランスのMV ディレクターを経て、2012年よりVICE JAPANが企画する映像コンテンツの制作に携わっている。
進行: 岸田 浩和
ドキュメンタリー監督、映像記者。主にインターネットニュースメディア向けのドキュメンタリー取材を行う。シネマカメラを用いた撮影とナレーションを用いない編集が特徴。近作の「SAKURADA Zen Chef」は、2016年のニューヨーク・フード映画祭で最優秀短編賞と観客賞を受賞した。2016年よりVICE JAPANの取材に、外部プロデューサーとして参加している。
https://www.kishidahirokazu.com/
VICE とは?
VICE MEDIA(以降VICE)は、ニューヨークに本社を構え全世界36カ国に展開する、インターネットニュースメディアだ。1994年の創業当時は、スケーターやパンクキッズ向けのフリーペーパーだったが、2006年頃からいち早く動画展開をスタートさせ、
現在は月間約2.8億人の視聴者にリーチする、グローバル・デジタルメディアに変貌を遂げた。
VICEのコンテンツは、音楽やファッションなどのユースカルチャーに根ざしたものが多く、ミレニアル世代(主に18〜34歳までの若者)の支持が厚い。また、社会課題や政治問題を扱う一方、ドラッグ製造者やギャング、社会的な異端者など、他メディアとは一線を画す取材対象を、独自の視点で取り上げる事でも知られている。
現在は、北米の大手テレビ局FOXやドキュメンタリー専門チャンネル、Netflixなど他媒体へのニュース番組やコンテンツを供給も広く行っている。
歴史を変えた取材
岸田 : こちらが、VICEの歴史を語る上では外すことの出来ない、「ヘビーメタル・イン・バグダッド」という作品です。
イラク戦争の最中に、地元で活動するヘビーメタルバンドを追いかけたドキュメンタリーで、インターネットメディアとして初めて、エミー賞を獲得し大きな話題になりました。
Heavy Metal in Baghdad Trailer
川口 : VICEの創始者たちが、先見の明があって戦略的に動画を始めたと言うよりは、はじめてみたら予想以上に面白くて、のめり込んでいったんだとおもいます。
岸田 : この取材に関しては、他のメディアの記者たちがバグダッドで、イラク戦の報道に駆けずり回っているときに、VICEの記者は現地のヘビーメタルバンドを長期で追いかけていたんですよね。
究極のインディペンデント精神を感じますが、これが結果的に、VICEが動画メディアとして世間に知れ渡るきっかけになった点が興味深いです。
「リアル」ではなく、「リアリティ」を撮る
岸田:戦場に行ったメディアは、だいたい戦争そのものを被写体にするとおもうんですが、VICEは、なぜこの時ヘビメタをメインの被写体に選んだのですか。
川口:リアルを撮りに行ってないからですかね。当事者たちのリアリティを撮りに行ってるといいますか。
岸田:ストレートニュースや報道が伝える「リアル」では無く、
そこにいる人々の息づかいから見えてくる「リアリティー」を撮りに行った。
その手法がドキュメンタリーだったという、解釈で間違いないでしょうか。
この作品に限らず、VICEの映像に共通したスタンスのようにも感じます。
川口:そうですね。シリア自由軍の取材に行った時に、普段は自動小銃をぶっ放している兵士が,
「イスラム教徒だからって、俺は別にいつもしかめっ面してわけじゃないんだ!アンジェリーナジョリーも好きだから!」
って話す場面があるんですね。
VICEでは、こういう場面を大切にしています。
岸田:シリアの義勇兵なんだから、イスラム教の大義や祖国への想いを語ると思いきや、なぜかアンジェリーナ・ジョリーへの熱い想いが飛び出してきたと。予想外の言葉ですね。
川口:その時、当事者が現場で抱いた感情や言葉を、撮りにいっている側面が大きいですね。これが、われわれが求めている「リアリティー」です。
岸田:ドキュメンタリーや取材動画を作っているとどうしても、世間の期待や取材側の先入観から、おさまりの良い言葉や決めセリフを被写体に言わせてしまうような、予定調和をやらかしてしまうことがあります。いい戒めになりました。
身近に存在する、誰も見たことがない視点
岸田:2015年にVICE JAPANが制作した「GOKUDOU(極道)シリーズ」も衝撃的な作品でした。観てみましょう。
Yakuza, Organized Crime, and the Japanese Right Wing
岸田:まず驚いたのが、街宣車の中から撮られた映像です。
右翼の活動家視点の映像は、いままで見たことがありませんでした。
特に最近は、コンプライアンスなんかの関係で、こういった反社会勢力と呼ばれる人たちの密着取材は、難しいんじゃないかなと感じます。
川口:これは暴力団とか右翼取材に強いドイツ人のスタッフが、潜入して撮ってきた映像ですね。
岸田:そのスタッフはどうやって、右翼や暴力団の取材対象にアプローチしたり、取材を取り付けたんですか?
川口:彼独自のコネクションですね。
一般人が気軽に足を踏み込んではいけない世界です。
岸田:他にも視聴者の反響があった作品について教えて下さい。
川口:たとえば、 朝鮮学校の映像や、保見団地の作品は、反響が大きかったですね。
岸田:保見団地とは?
川口:愛知県にある団地なんですが、 住人の約4割が日系ブラジル人、ペルー人など、南米系の住人で占められている、日本最大級の移民コミュニティーです。
岸田:団地の狭い一室に何十人も日系ブラジル人たちが集まって、爆音で音楽ならしながら、大パーティーをやってるシーンや、特攻服を着た暴走族たちが団地の中の木に登っている不思議な写真が印象的でした。
催郷:編集部と親交があった写真家の名越啓介さんが、現地に住みながら3年にわたって取材を続けていました。VICEがこの写真集を出版することになり、彼の取材の様子を映像で記録して、記事にしました。
岸田:名越さんがご自身の取材スタイルについて、「切り口によっては、ジャーナリズム、サブカルチャー、感動ポルノにもなるだろうが、被写体の感情の機微を積み重ねることに集中した」と、VICEの記事内で書かれていました。
「衝撃の初潜入!」と煽ったり、「日本人は、在日外国人に対して○○あるべき」といった解釈を語りがちですが、あくまでもフラットな記録に徹したという事ですね。
VICEはよく「異端」や「過激」なメディアと語られていますが、取材自体はものすごくフラットな姿勢でドキュメンタリーを作っている。
VICEが考える公平な取材とは
アレッポの生霊① シリア反体制派の素顔
ダーイッシュ(自称イスラム国) 野望の行方① 潜入取材編
川口:これはイスラム国の騒ぎが大きくなった2015年に、リリースされた映像なのですが、イスラム国と、イスラム国に敵対するシリア自由軍を
両方全く同じ切り口で取材して、別のストーリーとして公開したシリーズです。
岸田:片方の作品だけ見ると、取材対象がそれぞれ自分たちの主張を繰り広げている内容になっていますけど、視聴者が両方の映像を見ることで、バランスが取れるような構図になっていますね。
川口: ちょうど湯川遥菜さんが、イスラミックステート(IS)に捕まってニュースになっていた時だったので、公開後のコメント欄には、「これ、ISのプロバガンダじゃん」っていう書き込みがありました。VICE側としては、それに対して肯定も否定もしていません。両方観ればわかりますからね。あくまでも視聴者に判断を委ねます。
岸田:取材者が勝手にまとめて結論づけるのではなく、視聴者自身が判断できるような余白が残されていますね。とてもフェアな情報の出し方だと思うのですが、視聴者側の映像に対するリテラシーが試されるのかなとも感じます。
それにしても、よくISの支配地域に入れましたよね?
川口:ISの活動が世界的に大きなニュースになる直前で、彼らもまだ、他の反政府組織同様に、自分たちの活動を取りあげてくれるメディアを受け入れていた時期でした。あと一ヶ月ぐらい遅かったら一切接触すらできないような状態だったとおもいます。
刺激的な映像の意味
ISHIGAKI 陸上自衛隊配備についての住民の声
岸田:こちらの作品のオープニング部分なんですが、かなり気合いを入れて撮ってありますよね。ウェブメディアのコンテンツでここまで作り込むのかという、良い意味での過剰さを感じます。
催郷:これを撮影したクルーが、尋常じゃなく映像へのこだわりが強くて。
ニュースは現場に行って、効率よく取材対象を撮ってくることを念頭におきがちですが
われわれは映像作品として、見てもらえるものを撮るという意識が必ずあります。
この取材では、石垣島の当時の景観を、意識的にかなり撮影しています。
川口:当時、石垣がどんなところで、どこに自衛隊がくるのか石垣以外の人は理解できていなかったと思います。どうやって視聴者に、石垣の現状を伝えるかを意識して、現地に行ったことを覚えてます。
岸田:刺激的というと、紛争とかドラッグみたいな派手なシーンを思い浮かべますが、この作品は一見静かですよね。でも、本来見えにくかった緊迫感が、じわじわ見えてきたときの驚きが大きかったです。
催郷:石垣は尖閣諸島が管轄内にあるので、沖縄本島とは全然違う空気や危機感を感じました。取材では特に、この「現地に行ってみないとわからない感覚」を記録することに力を注ぎました。この作品に、麻薬の売人や爆発シーンは出てきませんが、
身近にある非日常も、実は刺激的だと感じて貰えたらと思います。
伝える側の責任とコンプライアンス
川口:2012年にVICE JAPANがスタート時は、勢いで取材していた部分もありましたが、現在は許可取りに関してはかなり慎重になりました。
特に最近は、グローバル共通の取材ルールが運用されはじめたので、日本のやり方からすると「こんなことまでサインするの?」っていう、むしろ慎重すぎる手続きを踏んで、取材を行っています。
今後は、勢いできわどい現場に突っ込んで行ったとしても、出演者の許諾の書類がとれなかったら公開出来ないとか、いままでと同じようなスタンスでは戦えなくなっています。
催郷:webメディアの記事や映像は、地上波の番組と違って必ずアーカイブが長期に残るので、公開後すこし経ってから記事や映像の発言が批判されたり、出演者の過去の発言と紐付けて、あげ足を取られるリスクがあります。
それを警戒して、取材対象者が話をしてくれないこともありますし、当初は快諾してくれても、あとから批判が集まってメディア側も対応を求められるケースがあります。
ベトナムっ娘ジャンのアルバイト事情 - GIANG'S PROFESSION
川口:「ベトナムっ娘ジャンのアルバイト事情」も公開して少し経ってから、
YouTubeのコメント欄が荒れました。
岸田:主人公のベトナム人留学生ジャンが「来日の目的はお金」と、はにかみながら発言していましたね。彼女の素直な人柄がにじみ出る良いインタビューだと感じましたが。
催郷:主人公のキャラクターを伝えたい狙いがあって、この場面を使ったんですが、視聴者の中には「出稼ぎアジア人は出て行け」と、反射的に怒りをぶつけてくる方もいます。
取材によって、誰かが不幸になることは望んでいないので、意図しないリアクションに関しても、伝える側が責任を持って対応する必要があると考えています。
岸田:VICEがここまで考えているのかと、ちょっと意外なお話でした。
取材に巻き込まれる
CRAZY DOCTOR Heals Myanmar ミャンマーを癒すクレイジー・ドクター①
岸田:コンプライアンスの言葉で思い出しましたが、私が2016年にはじめて取材に参加させてもらったこちらの取材は、なかなか強烈な思い出があります。
あらすじ
常識外れの行動力を持つ日本人医師が主人公のストーリー。「国境なき医師団」に所属し、ミャンマーの山奥で医療活動を行っていた医師が、エイズに罹患したり生活が困窮する数万人単位の難民を前に、「彼らが生き延びるには、医療では無く自らお金を稼いで、薬を買ったり自立することだ」と確信する。
アイデアを実現するため、「換金作物を植えて、作物を売ったお金で、抗エイズ薬を買い、自立してもらおう!」と、自らの経験の無かった農業に乗り出す。
「八角」っていう、スパイスの原料になる果実があるんですけど、この種子が、抗インフルエンザ薬のタミフルの原料なんです。
医師が、薬の需要や原料の希少性に目をつけて栽培に乗り出すんですが...
催郷:一筋縄ではいかないんですよね。
岸田:このお医者さんは、思い立ったら行動するタイプで、もともと農業の経験が無かったのに、どんどん人を巻き込んで事業を進めて行っちゃうんです。
8万株の苗を栽培のつもりで土地を用意したら、実は種が80万粒あった。
1桁多かったんです。
けれど、現地の農民たちは、渡された種をほとんど蒔いちゃうんです。
当然、雨期が明けると、苗が過密状態のまますくすく育ち、畑は「豆苗のパック」みたいな状態になっていました。これはまずいと、大騒ぎで人を集めて植え替え作業に走り回っていました。
そもそも、八角を亜熱帯で栽培した記録がどこにもないのに、この医師はちゃんと発芽させ、実がなるまで8年掛かると言われたのに、3〜4年で開花させていました。カオスとミラクルが同時に押し寄せていました。
川口:そもそも、岸田さんも取材と言うより、巻き込まれてましたよね?
国境で、ペットボトルに詰めた種を一緒に運んだり、農民のケンカの仲裁をしたり。
岸田:お医者さんが、中国から栽培の専門家を呼んできて、種まき作業の指導に当たらせていたら、この専門家が異様に気が短くて、「やり方が違う!」「なぜ、俺の言うことを聞かない!」「テメー、このヤロー!」って地元の農民に掴みかかったんです。
たまたま、その場に中立的な人間が僕しかいなかったので仲裁に入ったら、巻き込まれて、T シャツの襟がビリビリに引き千切られました。
川口:取材の企画が上がってときも、この計画がうまくいく可能性は全く見えませんでした。通常のメディアは、これだとミャンマーに何日間も取材クルーを出せないと思います。
主人公の医師のキャラクターが強烈で、ミャンマーというロケーションも興味深かったので、VICEの世界観の中で、面白いストーリーが描けるだろうと予測でき、進めることにしました。
VICEのスタイルとは
Hotel 22 by Elizabeth Lo
岸田:この作品は、わたしがVICE向けの取材企画を出すことになったとき、VICE JAPANのあるプロデューサーから、「撮影と編集の参考になるから、観たほうがいいよ」と教えてもらった作品です。
あらすじ
シリコンバレーの終夜バスが、ホームレスたちの寝床になっている事実を追いかけた、7分間の短編ドキュメンタリー作品。台詞もナレーションもほとんど無く、バスの車内の出来事が淡々と映されている。芸術的に研ぎ澄まされたカメラアングルや表現が話題を呼び、世界50カ所以上の映画祭にノミネートされ、多くの賞を受賞した。
催郷:VICEには、かなり分厚い制作ガイドラインというものがあって、カメラの設定からレンズの選択、アングルのバリエーション、インタビューのロケーションまで、細かくルールが決められています。
現在、世界30数拠点でVICEのコンテンツ映像が制作されていますが、
ガイドラインを定めることで品質を保ち世界観を統一しています。
岸田:観客席の皆さんも「ああ、これがVICEの映像だ!」って、感じるスタイルがあると思うんですが、どうでしょう?
具体的に分解していくと、
* 映画的な質感
* ナレーションや説明的な要素を極力減らした余白の多さ
* 当事者が語るストーリー
の3つなんじゃ無いかなと思っています。
日本のTVドキュメンタリーなどは、テロップがたくさん入っていて、識者や関係者が課題やデータを語り、ナレーションが答えまで言っちゃうみたいな。わかりやすさを重視した結果なのでしょうが、情報過多に感じます。
川口:VICEの表現は、確かにシンプルさを追求しています。
ただ今後も、われわれの表現スタイルや見せ方が、変わらず有効なんでしょうか?
岸田:えっ、といいますと?
川口:個人的な感覚ですが、Webメディアの表現方法って、めちゃくちゃ選択肢が増えていますよね。発信先に合わせた、見せ方の細分化が進んでいるといいますか。
催郷:われわれも、20分や30分の長い作品しか作らないと決めるつもりはありませんし、むしろ、短い映像にも対応できる表現の必要性を感じています。その際、従来通りのドキュメンタリー手法が通用するのかしないのか、模索している最中です。
メディアの存在価値とは
岸田 : あらためてここで、VICE Japanのコンテンツを生み出してきたお二人が考える、VICEの強みについて教えて頂けませんでしょうか?
川口:いや、むしろこのご時世にメディアの看板って何か意味あるんですかね?
情報自体は各自がスマホとかで発信できるわけじゃないですか。
そうなると、これからのメディアの役割や信憑性ってなんだろう?ってなります。
岸田:メディアが看板を掲げることで、そこに載っている情報の信頼性にはなるんじゃないですかね。VICEのブランドイメージには、大きな価値があると感じています。
川口:もちろんこれまでは、少なからずあったと思いますよ。
いまとなっては、新興のデジタルメディアに、そんな資本力もありませんから、
われわれだけでなく、多くのメディアがこの先どうしていくか、岐路に立たされていますよ。
岸田:確かにここ数年、新興のデジタルメディアはどんどん投資を受けて急成長してきましたが、今年の2月に、BuzzFeedやハフポスト、それにVICEも、大きなリストラを行ったとニュースに出てきました。
背景には、デジタル広告の収益は、GoogleやFacebookのような上流のプラットフォームに集中し、コンテンツの制作費はNetflixやアマゾンプライム、huluのようなサブスクリプションサービスの会社に集まる流れが来ているように感じます。
お金の流れが変わって、広告収益を基盤にしたデジタルメディアが全体的に儲かっていないというか、以前から儲かっていなかったにもかかわらず、期待値が膨らんでいた状況を、改めて認識できました。
川口:メディアも営利企業ですから、ビジネスとは切っても切れない関係にあります。取材者の熱意やジャーナリズム的な問題意識とメディアの目指す方向が、必ずしもシンクロしているとは限りません。
岸田:広告収益が基盤にある以上、PV至上主義からなかなか脱却できないというジレンマですよね。
川口:ですから今後は、個人やフリーランスの方々が、横のコネクション作って、きちんとしたルールを決めて発信していったほうが有意義じゃないですか。取材内容を世間に伝えることの意義深さは、取材する当事者が一番よくわかっているとおもいますよ。
岸田:ここ10年ほどで急成長し、舞台の中心にいた新興デジタルメディアが、今まで通りの存在感を発揮できるかはわからなくなってきました。じゃあ、次に何が本流になるのかというと、それも見えない状況に感じます。
ただ、知りたいと感じる人々の欲求とニュースの関係、ドキュメンタリーの
「届ける力」自体が失われることはないでしょうから、必ずどこかに正解はあると信じています。
川口:いまは過渡期で、さらにこれからメディアのあり方が変わっていくと思います。
もう、広告代理店がメディアをコントロールして消費者の需要を無理矢理つくりだす時代も終わるでしょうから。
Vook編集部@Vook_editor
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