この記事は、2019年5月17日に開催された「New wave インハウス動画の未来 セミナー vol.1」のアーカイブです。
Twitter、Facebook、YouTubeなどのプラットフォームで爆発的に数を増やしているSNS動画。
マーケティング、広報の担当者としてはこの波は見逃せないハズ。
しかし、動画制作を始めるにはまだまだハードルが高いのが現状です。
そこで、メルカリブランドクリエイティブチームの稲川 亮輔様、熊田 勇真様に「インハウス動画制作チームを作るには?」をテーマとしてプレゼンしていただきました。
※メルカリブランドクリエイティブチームとは?
メルカリ社内で発生するクリエイティブをインハウスで作るチーム。
2019年5月現在メンバーはマネージャー1名、ビデオグラファー3名、グラフィックデザイナー2名、コピーライター1名の7名で構成されている。
社内のほぼ全ての部署と関わりを持ち、幅広く企画・デザイン・制作をしている。
稲川 亮輔
株式会社メルカリ ブランドクリエイティブ部
前職は映像プロダクションのROBOT。
ショートムービーやアニメ、ゲーム、VR、AIやキャラビジネスの企画/プロデュース。
新技術をエンタメで成立させることを生き甲斐にしている。
2018年3月メルカリ入社。
使うツールはAdobe系、Unity、sketch、浅釜の包丁。
熊田 勇真
株式会社メルカリ ブランドクリエイティブ部
大阪芸術大学で映像について学び、フリーランスを経て、2017年11月にメルカリ入社。
よく使うツールはAdobe全般、Premiere Pro、After Effectsなど。
名前にちなんで熊のアイテムを毎日愛用する我の強さを持つ。
(参考記事:以下からメルカリのインハウス動画チームがどのような動画を作っているか見られるので是非ご覧になっていただきたい。)
[New Wave Vol.1] インハウス動画の未来 メルカリ編 〜動画制作のコスト削減と社内コミュニケーションを〜
クリエイティブチームを作るTIPS
まず、企業が「動画制作してフォロワーを増やしたい」と思った時どのような行動を取るべきでしょうか?
企画(プロデュース)するスキルが既に社内にあるのなら、制作は外注した方が効率的です。
予算はあるけど人がいないのなら、代理店に包括に委ねる方が無難だと思います。
自分でソフトや機器を覚えるなら、既にスマートフォンの動画含めて50本以上動画を作ったことがないと難しいでしょう。
動画を作れるクリエイターを募集するにしても、その人に与える役割を企業側があまり思いついていない状況で即採用するのはお互いにとって危険です。
まずは、社内にいるデザイン系の人に相談してみましょう。
インハウスにクリエイターを採用したり、クリエイティブチームを作るメリットが多い状況は以下の場合と考えています。
インハウスにクリエイターを採用したり、クリエイティブチームを作るメリットが多い状況
* 「何か作りたい」という需要や役割が社内全体で20個以上ありそう
* その需要が決して一過性ではなさそう
* 縦割りではない重要な組織体制(重要)
自分の部署以外の仕事を把握していないような組織体制で、クリエイターがひとつの部署担当になってしまうと、どうしてもクリエイターが手に余ってしまう。
* 動画を作るモチベーションの高い、理解のある役員がいる
また、実際に作る際、どのようなスキルセットの人材から採用すればいいのでしょうか?
まず、チームを会社に馴染ませるというハードルがあります。
周囲は全員クリエイティブに対しての素人です。何をどう依頼したらいいか分かりません。
クリエイターが担うプロジェクトの裁量の大きさも不明です。
何ができる人なのかお互いの理解や信頼も少ないです。
クリエイターが困ったことを聞ける人も最初はいません。
そして、会社内には機材もスタジオもありません
しかしながら、クリエイティブへの需要だけはとにかく多いという状態からスタートします。
このような状況下で、最初にいた方がいい人材は以下のような「名キャッチャー」と「コミュニケーションモンスター」です。
クリエイティブチームに最初にいた方がいい人材
- サービスや事業(会社組織)への理解とクリエイティブの翻訳ができる人 サービスや事業(会社組織)への理解がなければ、真に刺さるような企画も立てられない サービス担当にクリエイティブの効果を分かってもらえなければ企画は進まない
- アウトプットしたものの効果を知っている人
- 誰とでも話せて風穴を開けてくれる人
- 恐ろしい速度でデモを作れる人
- 機材を持っていてそれを仕事に使うのを厭わないどころか、知り合いを出演させるくらいのオープンさがある人
プロのビデオグラファーを目指す学校、はじまる。入学生募集中。
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メルカリのプロジェクトの進め方
1. まず作る
社内で何が必要とされているか・必要とされていないか、何がクリエイティブチームにできるか・できないかを踏まえて、まずデモを制作します。
動画の場合、動画コンテを30分ほどで制作しそれを元に社内で打ち合わせします。
2. 作りながら方向性を決める
デモを見て方向性を決めていきます。
提案する相手に方向性すべてを委ねるのではなく、お互いに意見をかわしながらプロジェクトを進めていきます。
3. 完成
様々な社内の部署と関わりを持ってプロジェクトを進めていくと、その後のコミュニケーションがさらに円滑になります。
メルカリが大事にしていること
1. サービス愛
制作物に滲み出てしまうくらいサービスへの愛がないといずれ作るのに飽きてしまいます。
2. コスト
時間や予算などのコストをあまりかけなくてもできることを考えています。
3. スピード
プロジェクトは長引けば長引くほど取らぬ狸の皮算用してしまい宙に浮きがちです。
鮮度を意識して制作しています。
4. クオリティはそこそこ
見栄えよりもメッセージ性を重視しています。
クリエイターにまず求められるのは、最初の一歩を踏み出すガッツです。
何ができるかわかってもらうために仕事を自分から取るにいかなければなりません。
御用聞にならないためにコミュニケーションしていくことも重要です。
クリエイティブチームから率先して社内に企画を提案をしていくことが必要になっていきます。
稲川さん、熊田さん、ありがとうございました!
Vook編集部@Vook_editor
「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、さまざまなクリエイターへのインタビューなどを発信しています。
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