以前、XDCAM関連の記事で、以下のようなことを書きました。
<REC中プレビュー映像の注意点>
もっとも注意しなければならないのは、REC中に本体から出力される映像(確認用の表示)は、本体に入力されている映像がスルーで表示されているものであり、RECされた映像の表示ではないということです。つまり、HDCAMの時とは違い、生成されるファイルにノイズがのってしまっていても、REC中のプレビュー映像に表示されない(気づけない)可能性があるということになります。なので、書き出し後に、もう一度メディアを再生して確認作業をする必要があると思います。今までにない一手間が。。
つまりは・・・
「PremiereProからXDCAM VTRへの書き出し中は、書き出されている映像のチェックができない」という趣旨だったのですが・・・
すいません・・・
条件付きで可能のようです。
これによってエンコードを行いながらのエンコード済みの映像再生チェックが可能になりました。
→ココの重要性がいまいち伝わりにくいかも知れませんが・・・XDCAMワークフローではかなり大きな課題でした。
(いや、ホントはできるのに気づいていなかった&意外に知られていない、というのが本音ですが・・・)
今回のシステム概要
<パソコン>
Mac:Mac Pro (Late 2013)
CPU:2.7 GHz 12-Core Intel Xeon E5
メモリ:64 GB 1866 MHz DDR3
GPU:AMD FirePro D700 6144MB
PremiereProバージョン:2019(13.1.2)
<XDCAM VTR>
XDS-PD1000
(追っかけ再生可能なのはXDSシリーズのみのようです)
<接続に使用するデバイス>
LANネットワーク(ルータを使用)
VTRは前回と同じく「XDS-PD1000」を使用しています。
ワークフロー
取り急ぎ、やり方をご説明します。
基本的な方法は、以前ご紹介した②の「LANネットワークを使った記録方法」です。
今回は、ネットワークでXDS-1000の内臓ディスク(Internal)をマウントし、PremiereProから内臓ディスクへ直接MXFを書き出すワークフローで行います。
XDS-1000の設定
SHIFTボタン + PAGE/HOMEボタン + MENUボタン でメンテナンスメニューに入ります。
M397の「PORT CONFIGURATION」を「1-in / 1-out mode」にする。
(必ずsave(F5)ボタンを押すのを忘れずに)
XDS-1000本体を再起動。
これで「1-in / 1-out mode」に切り替わります。
(リモートコントロールが効かなくなり「PORT SELECT」の切り替えが可能になります)
「PORT SELECT」の「PB1」ボタンを押す(選択)。
「MEDIA SELECT」の「INTERNAL」ボタンを押す(選択)。
「THUMBNAIL」ボタンを押して、内臓ディスクのサムネイルを表示状態にする。
いざ、書き出しながらの追っかけ再生!
PremiereProのMXF書き出し先を、XDS-1000の内臓ディスク(INTERNAL)に設定し、
MXFファイルの書き出し(生成)をスタート!
書き出しスタート後、10数秒後には、XDS-1000のサムネイル画面に書き出し中のファイル名が現れます。
そのクリップを選択し、再生ボタンを押すと・・・
MXFファイルの生成中にも関わらず、生成中のファイルを追っかけ再生ができます。
これによってファイル化しながら、ほぼ同時にファイル化(エンコード)後の、映像再生チェックが行えることになります!
おお、できた。
ベースバンド(SDI)入力の録画&追っかけ再生
上記で紹介したのは、ファイル転送での記録方法でしたが・・・
一応、条件付きで・・・
ベースバンド(SDI)での録画中にも追いかけ再生ができます。
メンテナンスメニューで「PORT CONFIGURATION」を「1-in / 1-out mode」に切り替えて
「INTERNAL」を選択し、サムネイルを表示状態にするまでは一緒です。
違うのは・・・
「PORT SELECT」で「REC/PB2」ボタンを押す(選択)。
そしてRECをするわけですが・・・
「1-in / 1-out mode」なので、リモートコントロールがききません。。
なので、アナログな方法でRECします。
編集ソフト側でタイムラインを再生します。
(世に言う「ポン出し?」ですかね?)
再生と同時に、XDS-1000側はRECをスタート!(RECボタン+PLAYボタンを押す)
ええ、アナログです。
そして、RECスタート後、10数秒後には、XDS-1000のサムネイル画面に書き出し中のファイル名が現れるので・・・
「PORT SELECT」の「PB1」ボタンを押して(選択して)、
REC中のクリップを選択し、再生ボタンを押すと・・・
追っかけ再生ができると!いうわけです。
この「ベースバンド(SDI)入力の録画&追っかけ再生」の条件としては・・・
1.SDIにタイムコードがのっている(Embedded)こと
2.編集ソフト側でコマ落ちのない「ポン出し?再生」ができること
ですね。。うーん、、それぞれの環境にもよりますよね。。
ちなみにPremiereProは、安定した「ポン出し?再生」が・・・できなさそう。。
注意点
今回、メンテナンスメニューで「1-in / 1-out mode」にしましたが・・・
インサート編集をする時には「VTR mode」にする必要があります。
この辺がめんどくさいですよね。。
また、お気付きの方もおられると思いますが、今回のチェックではあくまで内臓ディスク(INTERNAL)への書き出しチェックとなります。
生成されたクリップを、さらにXDCAMメディア(Professional Disc)にコピーしなければなりません。
まとめ
今まで書き出し中にエンコード済みの映像再生チェックはできなかったので(そう思い込んでいただけですが)今回の情報はすごい大きかったです。
本来は納品メディアであるProfessional Discを再生してチェックしたいところですが・・・
現状、Professional Discへの記録と同時の追っかけ再生はできないようです。。
おしい・・・。まぁ、どこまでシビアにチェックすべきかというトコですが・・・。
ですが、この追っかけ再生をうまく利用すると、理想のワークフローへの足がかりにできそうな・・・気がします。
いかがでしょうか。。
今回も三友株式会社さんに技術協力をいただきました。
XDCAMに関する知識量に圧巻です、ありがとうございました。
などなど、映像編集に関係するノウハウが飛び交うPremiereProユーザーグループがあります。
また、PremiereProに関する知ってお得な情報を
Youtubeチャンネル「プレミアノート」で発信しています。
よろしければそちらもどうぞ!
市井義彦@ittsui
株式会社Command C 代表取締役。大阪で映像制作を生業にしています。Adobe Community Evangelistであり、PremiereProユーザーグループの代表です。
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