2019.08.19 (最終更新日: 2019.10.19)

DaVinci Resolve 16.1 あるいは(ベータがもたらす予期せぬ新機能16個)

10月18日にベータが取れて、正式リリースされました。

8月9日、DaVinci Resolve 16が正式リリースされました。おめでとうございます。ベータを使うのはちょっと・・・・・・と考えていた方も、これで迷うことなく、心置きなく、後顧の憂いなく、DaVinci Resolve 16にアップデートできます。よかったよかった。

とまあ、それだけなら話は早くて、記事を書くまでもないんですが、今回びっくりしたのはDaVinci Resolve 16の正式リリースと同時に、DaVinci Resolve 16.1のベータ版がリリースされたことですね。これは過去になかったことです。いつもはベータ版がなくなって、正式リリースが出たら、そこでひと段落ついて、一息ついて、比較的ゆっくりできたのですが、今回は違います。16のベータが完了したと思ったら、16.1のベータが出てきました。両手を挙げながらゴールテープを切って、「やったあ!」と喜んでいたら、じつはまだ終わってなくて、地平線の向こうにまた新しいゴールテープが見える感じですね。

誤解を受けるといけないので明記しておきますが、16.1が同時に出たからといって、それは16.0の正式版が不安定であったり、未完成であったりするからではありません。16.0自体は、完成しています。これまでの15.0や14.0の正式版と比べても遜色ないどころか、それらよりもさらに安定性の高い、バグの少ないバージョンと言えます。おそらく16.0ほど完成した、瑕疵の少ない編集ソフトは探すのが難しいでしょう。これは3ヶ月のパブリックベータの期間のユーザーからの多くのフィードバック、そして開発側の絶え間ない改修作業の賜物です。16.1ベータが同時にリリースされたので一瞬混乱してしまうかもしれませんが、それはそれ、これはこれです。これまでの3ヶ月にわたるパブリックベータのバグフィクスの成果が、16.0には惜しみなく盛り込まれています。

それでは16.1のベータはどこへ向かっているのでしょうか? 答えはシンプルです。DaVinci Resolveはこれまでどおり、世界中のユーザーのフィードバックを受けて、これまでのスピードを維持しながら、また新しい地点へ進んでいくのみです。世界中のユーザーが求めていた、ささやかだけど役に立つ新機能が、このメジャーアップデートにはたくさん含まれています。

それでは16.1の新機能を見ていきましょう。16.1のリリースノートを見てもらうとわかるのですが、16.1の新機能は100項目近くあります。そうです、10ではなく、100です。もちろん4月のメジャーアップデートと比べると少ないですが、一般的なものさしを使えば、メジャーアップデートと呼んで差し支えないレベルの大きさではないでしょうか。とりわけCutページはマルチカム編集を中心に多くの点で進歩を遂げています。4月にCutページを覗いてみて、それきりだという方も、ぜひCutページにもう一度チャンスを与えてみてください。

DaVinci Resolve 16.0の新機能について知りたい方はこちらをどうぞ。

カットページの使い方はこちらの動画で詳しく解説されています。

全般

1. セカンドディスプレイへの全画面出力(有償版のみ)

これは誰もが待望していたやつです。これまではIntensity、UltraStudio、DeckLinkといったブラックマジックデザインのI/Oデバイスがないと、セカンドモニタに編集映像をフル画面で出力できませんでしたが、16.1からはグラフィックボードからセカンドモニタに全画面で映像が出せます。これは地味に多くのユーザーからリクエストがあった、そしてなぜか我々が固く突っぱねてきた機能なので、多くのユーザーが歓喜の涙にむせぶ・・・・・・ことはないにせよ、喜んでくれているのではないでしょうか。

セカンドディスプレイを接続していると、このようにFull Screen Viewer Onというメニューが表示されます。ここからフルスクリーン映像出力が可能です。ミラーリングの設定だとこのメニューが出てこないのでご注意を。

16.1正式版でこのメニューの位置が変わりました。Video Clean Feedというメニューを探してみてください。

2. 分割されたAVCHD MTSファイルの自動結合

ほかのサードパーティ編集ソフトを使っている方から要望が多かった項目。分割されたAVCHD MTSファイルの自動結合に対応しました。民生ビデオカメラでよく使われている形式なので、日々の編集で一手間省けるという方は多いはず。

3. 低速再生コマンド

低速再生というコマンドが追加されました。デフォルトではショートカットはShift + Kですが、自分で好きなショートカットを追加して再生中、または逆再生中にすぐに速度を変えることができます。速度は低速再生コマンドを使うたびに1/2、1/4と遅くなります。

低速再生中にはビューワーの上部に速度も表示されます。

カットページ

4. 音声などによる複数クリップの同期機能

Cutページで複数クリップの同期を取れます。タイムコードだけではなく、オーディオでも同期が取れます。シンクが取られたクリップは、Cutページの新しい「同期ビン」というセクションに格納されます。これでマルチカム編集が格段にやりやすくなります。


実際の「同期ビン」の使い方はこちらの動画の08:57〜をご覧ください。

5. マルチカム編集の大幅な機能向上

Cutページでマルチカム編集が今までないほど快適に、効率よく進められます。とくにマルチカム編集の再生速度がすごいです。こんなに9画面や16画面でスルスル動いたっけ、という感じです。タイムラインで作業をしているとき、同じ地点の別アングルのショットを同期ビンから探すこともできます。

6. AI顔認識によるズーム機能

クローズアップを使ってタイムラインにクリップを入れる際、AIを使って顔を検出し、そこをズームして入れてくれます。DaVinci Neural Engineを使用した機能のひとつです。

7. 退屈検出、ジャンプカット検出

思わず笑ってしまったCutページの新機能。タイムラインの中から、長すぎるクリップや短すぎるクリップを検出してくれます。まあ、カットの長さがそのまま退屈さの度合いに結びつくわけではないですが、一つの目安にはなります。シネフィルの人からは「カットが長いと退屈なのか? 『ロープ』とか『バードマン』とかはどうなるんだ!」とお叱りを受けるかもしれませんが。

エディットページ

8. ブレードの機能向上

地味に嬉しいやつ。別のクリップにハイライトが入っていても、ショートカット(Command + B)で他のクリップにブレードを入れられるようになりました。

9. ショートカットによるパネルのオンオフ

エディットページの各パネルをショートカットでオンオフできるようになりました。デフォルトではキーボードショートカットは割り当てられていませんが、自分で「キーボードのカスタマイズ」で追加できます。

ちなみにショートカットといえば、またこのバージョンでもショートカットの対象となるコマンドが増えています。たとえば、下の写真のように、Fairlightの多くの機能がショートカットを割り当てられるようになっています。

10. 調整クリップの機能向上

調整クリップはDaVinci Resolve 16の新機能の中でもいちばん評価の高いもののひとつです。16.1からは、調整クリップをメディアプールに放り込んで管理することができるようになりました。そして名前をつけられるようにもなりました。

調整クリップの使い方については、以下の動画の15:50あたりからご覧ください。

Fusionページ

11. マルチレイヤーの素材のパフォーマンス向上

マルチレイヤーの素材を使用する際に、メモリの使い方が上手くなりました。これまでよりも動作が軽くなりました。ちなみにFusionではPSDを読み込む際、上のプルダウンメニューから読み込むと、レイヤーで分けて読み込んでくれます。これ、知らない人も多いですが便利ですよ。


カラーページ

12. AIショットマッチ

AIショットマッチの機能が向上しました。AIオートカラコレもすごいですが、AIショットマッチも大したものです。使い方についてはこの動画が参考になるかもしれません。

Fairlightページ

13. 96kHz、192kHzをサポート

すべてのオーディオファンに朗報です。ついに96kHz、192kHzのサンプルレートに対応しました。96kHz、192kHzを使う場合には、素材の読み込みの前に、プロジェクト設定でTimeline Sample Rateを変更しておきましょう。プロジェクトの途中で変更がきかないので。

※Beta 2からはデリバーページの書き出しの際にサンプルレートを変えられるようになりました。

ResolveFX

14. ストップモーション

簡単にストップモーション動画を作成できます。途中のフレームを抜いて、わざとカクついたように見せる技法です。

デリバーページ

15. 再エンコードなしの書き出し機能の向上

再エンコードせずに書き出しできるオプションが、これまでのProRes、DNxに加え、非圧縮コーデックにも対応しました。

16. Pro Tools用書き出し

Pro Tools用書き出しのオプションはこれまでもありました。今回のアップデートでの変更点は、Pro Tools用書き出しを選択した際、ビデオ書き出しを無効にできるようになったことです。

その他

FCP7からのXMLファイルの簡単な読み込み

FCP7のXMLをFinderやデスクトップからDaVinci Resolveに直接開けるようになりました。ちなみにFCP7に一番似ている編集ソフトがDaVinci Resolveだとよく言われます。

Saverダイアログ(Fusion)

Render All Saversでステータスダイアログが出てくるようになりました。

IMF形式のProRes

IMF形式のProResの読み込み、書き出しに対応しました。最近はMOVじゃないProResというのもあるんですね。

エラーの際にレンダーを停止

フレームやクリップが処理できなくなったら(エラーが生じたら)、レンダリングをやめるというオプションが加わりました。レンダリング時、メディアオフラインのクリップがある場合にも、レンダリングが停止するようになります。エラーメッセージも出てきます。

Resolve Color ManagementにF-Logを追加

これはBeta 2で追加された機能です。N-Log、
V-Log、S-Log、C-Log、DJI-Logなどはすでに対応しています。Resolve Color Managementを使えば、どのログ素材もいちばん理想的な形で変換できます。

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