2019.11.07 (最終更新日: 2019.11.08)

マイクロフォーサーズでまず最初に買うべきレンズはこれだ!最強ズームレンズの真価

1, はじめに

近年では、ミラーレスにスチル用レンズの組み合わせという非常にコンパクトで、機動力のある機材の組み合わせによって美しい映像が撮れるようになってきました。
さて、“F4.0の高倍率ズームレンズ” と聞いて、みなさんはどのようなものをイメージしますか?

・便利だけれどやっぱり単焦点に劣る
・F値の関係で暗く、ボケ味が少ない
・なんだかんだ単焦点ばかり使っているので、出番が少ない
・価格的に単焦点を2本買いたい

ちなみに僕はこれらすべてに当てはまる先入観がありました。しかしそれも今は昔。高倍率ズームレンズにも妥協を許さず、単焦点に迫る描写力とボケ味、表現力を追い求めて各メーカー素晴らしいレンズをユーザーに提供しているんです。

今回レビューするOLYMPUSの 「M.ZUIKO PRO」レンズもその例外ではありません。BMPCC4Kユーザーやマイクロフォーサーズを使う映像制作者に向けて『M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO』の魅力をユーザー視点でレビューしていこうと思います。

今回のレビューでは、このような組み合わせで撮影しました。

2,レビューポリシー

この記事は、以下のようなポリシーのもと執筆しています。
1. 映像制作における現場での撮影使用を想定し、現実に即したレビューであること
2. カタログスペックの羅列で終わらせない
3. 機材の評価は、良い点、悪い点をなるべく忠実に伝える

3,作例

まずは、今回OLYMPUSさんからお借りした 「OM-D E-M1X」「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」 の組み合わせだけで全編収録した作例をご覧ください!

■収録形式
C4K (4096×)/ 17:9 / 24P/ 237Mbps / OM-Log400 /H.264/ 8bit
■使用機材
・OLYMPUS OM-D E-M1X
・OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

・SIMMOD 82mm Variable Neutral Density 0.4 - 1.8 Filter
■備考
・世界最高7.5段ボディー + レンズとの組み合わせによる5軸シンクロ手ぶれ補正
・撮影時の三脚やジンバルの使用なし
・編集時のスタビライズ補正なし

4, 作例のポイント

・冒頭、揺れの大きい電車内のシーンでも手持ち撮影で不要なブレを感じない

・00:41 ローリングシャッター現象の確認
・00:52 ダイナミックレンジの広さ、8bitのカラーコレクション耐性
・00:55 絞りを絞った時の光芒の出方
・01:16 手持ち撮影での静止ショット
・01:21 手持ちで三脚使用時のパンのような動き
・01:36 手持ちでスライダーショットのような動き

・01:41〜 接写、簡易マクロショット

・02:15 F4.0で寄った時のボケの出かた、ボケ味

・02:30~ 望遠寄りの被写界深度の浅さ(F4.0)
・02:57 ピーキング・マニュアルフォーカス

5,このレンズの魅力

このレンズのなにが凄いかと言えば、35mm判換算で24-200mm相当という高倍率をカバーしながら、防塵・防滴・軽量の圧倒的機動力、さらにはIS=レンズ内手ぶれ補正を搭載するなど、高倍率ズームレンズとしてはほぼ欠点が見当たらないことです。でも、開放F4.0通しというのは、最近流行りのフルサイズと比較してしまうと暗く、マイクロフォーサーズではボケ味が足りないんじゃないか?所詮、高倍率ズームレンズで単焦点には敵わないよな。なんて思っていました。しかし、最大の魅力は次の通りです!

① 「最短撮影距離」と「最大撮影倍率」

このレンズの本当に凄いところは、最短撮影距離15cm-45cm(ワイド端-テレ端)であるところです。
ワーキングディスタンスと呼ばれる被写体からレンズ先端までの距離はなんと!驚異の1.5cm!!! 寄れる!かなり寄れる! 

最短撮影距離
レンズの最短撮影距離とは、被写体にピントを合わせることができる最短の撮影距離のこと。
ここでいう撮影距離とは、カメラのイメージセンサー(撮像素子)から被写体までの距離。
一般的に、カメラボディには「距離基準マーク」が記されている。

ワーキングディスタンス
ワーキングディスタンスとは、レンズの先端から主要被写体のピントを合わせた位置までの距離のこと。

(A)寄れるってどういうこと?

具体例を挙げると先ほど、「作例のポイント」でも紹介したとおり、作例中の01:42〜 にはドーナツを接写、簡易マクロ的ショットを意図して盛り込みました。実際に撮影した際はこのような距離感です。レンズ先端につけてあるバリアブルNDがドーナツのソースにぶち当たるくらいに寄れて、ピントが合焦します。こちらのカットは、ワイド端である12mmで撮ったので、確かにレンズの先端から被写体までの距離はわずか数センチです。

では、寄れると何がいいのか?これは作例中の02:17 あたりのドーナツのカットを見ていただくとわかるとおり、 マイクロフォーサーズで開放F値が4.0であったとしても、被写体に寄って撮影することで、ボケの出方、ボケ味をコントロールできるということです!背景をボカしたいという場面でも、マイクロフォーサーズのF4.0でも撮り方によっては十分ボケる!

また、狭い室内や細かな被写体の撮影でも、「近すぎでピントが合わない。」「画角内の周囲に余計なものが入ってしまう。」などの撮影時のストレスなく、より直感的に機動力重視で撮影できます。

(B)最大撮影倍率

2点目に、特異的な点を挙げると広角端12mmでの最大撮影倍率は35mm判換算で0.6倍相当であることです。

この倍率であれば、簡易なマクロ的表現が可能であり、被写体をより大きく写すことができます。
作例の↓の部分のように、よりダイナミックで被写体のディティールや質感が伝わるような撮影表現が可能です。

最大撮影倍率
撮影倍率とは、撮像面上(撮像素子)に写された像の大きさと、被写体の実際の大きさとの比率のこと。
たとえば、6cmの長さの被写体が撮像素子面上に1cmに写ったときの撮影倍率は1/6倍なので、つまり0.6倍。
撮影倍率が高いほど、被写体を大きく写すことができる。

② 「撮影する」ということ自体に集中させてくれる

今回は、あえて非常に狭い屋内店舗(イートインスペースは6〜7名程度)というロケーションで撮影をしました。なぜならば、三脚や一脚すら使うのが難しく、営業中の店内で他のお客さんに威圧感を与えないことが大事になるシーンでの使用を想定したからです。またこうしたシチュエーションがこのボディとレンズの組み合わせの真価を発揮すると思ったからです。

実際に撮影してみると、やはり高倍率ズームとは思えないほどコンパクトで軽量なため色々恩恵を感じました。高い機動力と汎用性の高い 『M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO』が「画をつくる」「構図を決める」ということに集中させてくれます。これは当然ただ高倍率ズームだからというわけではなく、この「12-100mm F4.0」のポテンシャルの高さがそうさせていると考えます。つまり、超万能であるがゆえに、レンズ交換や機材の再セッティングなど余計なことを考えずに済むので、シンプルに 「撮影する」こと自体に専念できるんです。

望遠側200mmを活かせば、狭い店内でも人物に近づかず威圧感を与えずにありのままの画をおさえられるし、ブツ撮りなど逆に近寄ってフォーカスしたいものがあれば広角よりで寄って撮る。この使い分けと便利さはビデオグラファースタイルのドキュメンタリー撮影や機動力が重視される屋外での手持ち撮影で活躍すること間違いなし!

③ 編集が軽く感じる

これは、レンズではなくボディに依存することですが、以下のような収録形式にも関わらずAdobe Premiere Proでの編集が軽く感じ驚いたのでピックアップします。プレビュー画面「フル画質」再生でも、タイムラインがサクサク流れました。PCのスペックもそこそこ、他のメーカーのカメラで収録したもの(同じような設定)よりも明らかに軽い気がします。

■収録形式
C4K (4096×)/ 17:9 / 24P/ 237Mbps / OM-Log400 /H.264/ 8bit

■PCスペック

6, 例えばこのようなレンズだったらもっと欲しくなる

先ほど"非の打ち所がない"と言いましたが、強いて言えばという点がありました。期待を込めて、

① 価格2/3

このスペックでこの価格はかなりの企業努力によってユーザーに提供されているようにも思います。ですが、価格はこの記事の下に記載しましたが、BMPCC4Kのボディとほぼ同等の価格というのは、「はじめの1本」にしてはハードルが高いように思います。なぜなら、記事冒頭で述べたような先入観がユーザーにあるからです。

② マニュアルリング・ズームリングの感覚を改善

シネレンズではないのでここまで求めるのは酷かと思いますが、BMPCC4Kのはじめの一本として購入する映像制作者のユーザーが多いと想定すると、改良の余地があると思います。基本MFを使うユーザーにとってはピントリングの回転幅がすごくシビア。また、ズームリングはずっしりと重みを感じ、個人的には好みではなかった。

③ 期待を込めて

例えば、このレンズがアップデートされた「12-100mm F4 PRO Mark2」みたいなレンズが登場するならば、F2.8スタートに変更・価格2/3で、OLYMPUSレンズ特有の素晴らしいマニュアルフォーカスクラッチ機構はそのままに、ピントリング、ズームリングをより滑らかで動画撮影時も使いやすいものだと、きっともっと売れると思います。

7, 仕様

・24-200mm相当(35mm判換算)
・最短撮影距離15cm(ワイド端)
・最大撮影倍率0.30倍(換算0.60倍)(ワイド端)
・レンズ内手ぶれ補正(イメージスタビライザーIS)搭載
・防塵・防滴
・561gの圧倒的機動力
・クリアな描写を実現するレンズコーティング
・マニュアルフォーカスクラッチ機構

8, 価格

・希望小売価格 :192,500円(税込)
・実売価格 : 130,000円程度

9, まとめ

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROだけで撮影し、それを編集、それを自ら振り返ってレビューという流れをとりました。

そして、何回も撮影で使ってきて、3周くらいまわって今回の撮影を経て改めてこれは素晴らしいレンズだなと実感しました。下手な単焦点を数本買うなら、この1本にしたい。そう思わせてくれるレンズでした。上で解説することができなかったのですが、OLYMPUSのレンズにある程度共通していると思うのが、レンズコーティング技術の産物か、描写が非常にクリアで精細感があって美しいということです。これは、ただ解像感がありパキッとしているわけではなく、程よいボケ感と解像感のバランスによって絶妙な空気感を演出できるため、ほかのメーカーとは違った独特な魅力があります。また、自然光との相性もいい感じがします。

マイクロフォーサーズ高倍率レンズの王者であり、スタンダードというレンズでした。

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    コメント

    • digiosa
      以下、私的な使用感ですが…
      このレンズを使ってしまうと他のレンズの「一長一短」の「一短」が気になるようになり
      結局12-100F4に戻ってしまうという沼に陥ります。様々な観点でバランスが良いレンズです。
      小型ジンバルを使うとき以外は常にこのレンズを付けっぱなしにしています。
      付けっぱなしという事で、突発の撮影でも機材の準備をせずに飛び出せるのがいいですね。
    • Ryuji Suzuki
      @digiosa さん
      コメントありがとうございます。
      このレンズを一度でも使ったユーザーは、他のレンズの「一短」が気になってこのレンズに戻ってしまうでしょうね。まさに、ボディにつけっぱなしで「とりあえず」でも妥協なしの撮影ができるところが本当にいいですよね!