2019.09.15 (最終更新日: 2019.09.18)

無料で字幕付きDCPを作成する方法

お金をかけずDCP(Digital Cinema Package)を自作する方法は広く知られるようになりました。かつては少々面倒な作業でしたが、現在では動画編集ソフトの出力選択肢の一つに収まっています。

DCPとは何かや、かつての面倒な作業については、下記をご参照ください。

さて、海外作品の上映や、国際映画祭への出品にあたっては、字幕版の制作が必要になります。字幕付きDCPの制作方法について、特に日本語での情報は少ないように思われましたので、ここにご紹介したいと思います。

2通りの方法

字幕を入れるには2通りの方法があります。

A. 映像内に字幕を焼き付ける(Burn-in)
B. DCPの字幕機能を利用する

Aの方法は難しくありません。字幕データを作成し、動画編集ソフトで文字を入れていく、という方法です。
映画祭によっては、こちらの方法を指定している場合もあります。理由としては、映像の中に焼き付ける方法であれば、文字化けや、意図と違った表示がされてしまうといった上映トラブルのリスクが回避できるからです。

しかし、この方法では、既にある完成版の動画データを再エンコードすることになります。JPEG2000の再エンコードで視覚的な劣化が気になることはほとんど無いかと思いますが、エンコード処理には時間がかかります。

一方、Bの方法では、既に完成版のDCPがある場合、それをもとに字幕版を作成できるため、再エンコードの時間を省略できます。字幕の修正や差し替えも早くでき、便利です。

字幕データを作成する

上記したAとBと、いずれにしても、まず字幕データが必要です。何時何分何秒何コマから、何時何分何秒何コマまで、どのような文字を表示するのか、という指定です。
以下のソフトを使用して、字幕データを作成します。無料でも使用できます。

Subtitle Edit

字幕作業中は、対象となる動画を再生したり、コマ送りしたりという作業を繰り返します。再生しやすいように軽量化した作業用の動画データを用意したほうが良いでしょう。解像度は元と同等でなくても構いません。
ただし、要注意なのは時間です。時間については、字幕作業に用いる動画と完成版とは全く同じ、1フレームたりともずれてはいけません。例えば、冒頭のロゴやタイトル、終わりのクレジットなどは、完成後に手が加えられがちな箇所ですので、要注意です。

Subtitle Edit は様々な字幕形式に対応しています。特に凝ったことをしないのであれば、SRT形式で作業することをお勧めします。SRT形式の正体はプレーンテキストで、テキストエディタで開いたときにも読みやすいからです。

DCPの字幕

Subtitle Edit は字幕データをDCP用のXML形式で書き出す機能が備わっています。縦書きにしたい、ルビを振りたいなどといった場合は、ちょっとややこしくなりますが、普通よく見る、画面の下部に横書きの字幕であれば、特に難しい設定をせず、そのまま保存すれば完了です。出力した字幕は下記のように設定されます。

  • フォントサイズは42ポイント
  • 文字は白色、黒色で縁取り
  • 水平位置は中央揃え
  • 垂直位置は底辺を基準に、下から1行目:8%、2行目:14%、3行目:20%

DCPの字幕についての詳細は下記の文書をご参照ください。

A. 映像内に字幕を焼き付ける方法

字幕のデータが用意できたら、字幕版DCPの作成に入ります。
まず、「A. 映像内に字幕を焼き付ける」方法から説明します。
ここでは DaVinci Resolve 16で作業することにします。

字幕なしDCPは既に用意されているものとします。
メディアページでプロジェクトに素材ファイルを追加します。
DCPはXMLやMXFが複数入ったフォルダで1まとまりという構造で、映像と音とは別のMXFファイルになっています。しかし、DaVinci Resolve 16 は、DCPを1つの動画ファイルと同様に扱う事ができます。つまり、フォルダ内の映像と音と、それぞれのMXFファイルを個別に読み込んで同期を合わせるといった作業をする必要はありません。ただ、現状では字幕データを一緒に読むことはできないようで、字幕付きDCPでも、映像と音のみが読み込まれます。

エディットページに移り、読み込んだ素材を右クリックして、「選択したクリップで新規タイムラインを作成」を選択します。

次に、メディアプールの空の部分で右クリックしてポップアップメニューを出し、「字幕の読み込み」を選択します。

SRT形式の字幕ファイルが指定できます。
ファイルを指定すると、素材として読み込まれます。
そして、これをタイムラインにドラックすると字幕トラックが生成され、字幕が表示されます。

字幕の位置、大きさ、文字効果などは、インスペクタから一括指定できます。
「スタイルタブの設定を使用」チェックを外すと、字幕個別に指定することもできます。

書き出しのため、デリバーページに行きます。今回はJPEG2000の静止画連番として書き出すことにします。
「字幕の書き出し」をチェック、フォーマットを「ビデオに焼き付け」に設定して、レンダーキューに追加、出力します。

あとは出力された連番を素材として字幕版DCPを作成します。

B. DCPの字幕機能を利用する方法

DCP-o-matic というソフトを使用します。このソフトは無料でも使用することができます。
DCPの作成ソフトとしては OpenDCP が有名ですが、DCP-o-matic は、より機能が多彩です。

DCP-o-matic

まず、上のメニューから「File」→「New」と進み、新しいプロジェクトを作成します。

素材から新たにDCPを作成する場合は、「Add file(s)…」ボタンを押して、素材となるファイル(映像、音、字幕)を読み込みます。字幕はDCP用のXMLのほか、SRT形式でも読み込めます。映像素材として、JPEG2000連番静止画を選択する場合は、「Add folder…」ボタンから、JPEG2000連番静止画の入ったフォルダを指定します。

既存のDCPから字幕版を作成する場合は「Add DCP…」ボタンを押します。一般に、元となるDCPはOV、新たに制作される別バージョンはVFと区別されます。
読み込んだDCPを選択して、下段のVideoタブで、「Use this DCP’s video as OV and make VF(このDCPの映像をOVとしてVFを作成)」にチェックを入れます。
Audioタブでも同様に、このDCPの音をOVとしてVFを作成にチェックを入れます。

字幕ファイルを選択して下段パネルに字幕の設定を表示し、下部にある「Fonts…」ボタンを押します。「Edit…」ボタンから、字幕に使用するフォントのファイルを指定します。
ライセンスが再配布可のフォントを用意して、選択します。選択されたフォントファイルが、このDCPに組み込まれます。

次に、「Fonts…」ボタンの隣の「Appearance…」ボタンから、字幕表示の仕方を設定します。
文字は白色、効果は黒色アウトライン、フェード無しで良いかと思います。

素材の準備ができました。
このDCPの名前を設定しておきましょう。
作品名を入力し、「Use ISDCF name」をチェック、「Details…」ボタンから規則にそった命名ができます。

DCP命名規則については、下記を参照してください。
Digital Cinema Naming Convention

設定が完了したら、メニューの「Jobs」から「Make DCP」を選択して、出力します。

作業フォルダ内にDCPが出力されます。

DCP-o-matic にはDCPプレイヤーも付いてきますので、再生して確認することができます。

6クリップする
クリップしておくと
あとからいつでも
見返したりできます。

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