2019.10.10 (最終更新日: 2019.10.25)

時は金なり 〜DaVinci Resolve 16でカットページを使う8つの理由〜

DaVinci Resovle 16では新しいページとして、カットページが追加されています。これまではDaVinci Resolveはエディット、Fusion、カラー、Fairlightという4種類のページを主軸として展開してきましたが、ここに新たにカットページが加わりました。エディットページと似ているだけあって、「なんで必要なの?」「なにがすごいの?」と思う方もいらっしゃると思います。そこで今回は簡単にカットページを使う利点を紹介してみます。

カットページにはブラックマジックデザインのCEOグラント・ペティの考え方が色濃く反映されていますが、興味深いのは工場経営のメソッドがこの新しいページに生かされているという点です。ブラックマジックデザインでは、すべての製品を外注せずに自社の工場で製造しています。工場では、いかに効率よく作業をするか、いかに無駄を省くかが重要になります。そのこれまでの経験が、DaVinci Resolveのカットページの開発に活用されたわけです。カットページの開発はエディットページを含む、これまでのNLEを見直す作業から始まりました。必要のない機能はないか? 作業の中で省ける無駄はないか? こうした疑問と向き合うことで、あまりこれまでになかった斬新なカットページが誕生したのです。

カットページの思想を一言で表すと、Time is money ということになるでしょうか。実際、このページは最初の開発段階では「ファストページ」と呼ばれていました。編集の時間を短縮化したい、という方に特にオススメです。ぜひ編集の効率化、高速化を体験してみてください。

詳しく知りたい方はこちらの動画もご覧ください。

1. 素材を探しやすい

カットページではタイムラインを一から作っていくというワークフローが想定されています。タイムラインに素材を効率よく並べていくためには、素材が探しやすくないといけません。ソーステープモードでは、メディアプールのフォルダの中の素材が、一本のクリップとして、それこそテープのように、一気に並びます。こうすることで素材を探し、確認する作業が高速化します。

2. 高速で正確な素材チェック

ファストレビューというボタンが、プレビュー画面の左下に搭載されています。これは素材を満遍なく、しかも高速に確認するための機能です。普通、複数の素材をチェックするときには、一個ずつマウスでクリックしたり、タイムラインに持ち込んで早回しで再生したりします。しかしこれでは時間がかかりますし、短いクリップを見逃してしまう恐れがあります。

このファストレビューボタンを押すと、長いクリップは早送りで、短いクリップは普通の速度で再生されます。クリップの長さに応じて、x1からx8までの再生速度で素材が再生されます。だからカットページを開いて、素材をインポートして、ファストレビューボタンを押せば、あとはマウスもキーボードも触らずに、タピオカミルクティーでも飲みながら、画面をじっと見ているだけで素材をすべてチェックできるのです。

3. タイムラインのズームイン、ズームアウトが必要ない

これまでの編集で一番時間がかかっていた作業のひとつが、タイムラインのズームイン、ズームアウトではないでしょうか。タイムラインを編集する際には、細かいところを見るために拡大したり、一歩引いて全体像を見渡すために縮小したり、とにかくズームインアウトをよく使います。1時間編集すれば、何百回、何千回とズーム機能を使わないといけません。もちろんキーボードショートカットを使えばいいのですが、余計な手数が必要になることには変わりありません。

しかしカットページでは、タイムラインのズームインアウトが必要なくなっています。というか、ズーム機能そのものが存在しません。なぜならカットページはデュアルタイムラインを採用していて、常に全体タイムラインと拡大タイムラインとが見えるようになっているからです。上にある小さいタイムラインが全体像を見渡すためのもの、下にある大きなタイムラインが一部分を拡大して細かい調整をするためのものです。どちらのタイムラインにもプレイヘッドがあり、2つのプレイヘッドは完全に同期しています。

4. クリップの挿入が簡単

タイムラインにクリップを追加する際に、末尾に追加(アペンド)と並んで、挿入(インサート)ほどよく使われる機能はありません。通常だと、クリップを挿入するには、タイムラインで編集点にプレイヘッドを持っていって、そこからソースビューワーに素材を表示して、それを挿入するという作業が必要になりますが、カットページではもっと簡単です。

マウス

びっくりするほど簡単です。素材をそのままドラッグ&ドロップで、編集点に持ってきてください。エディットページでは同じような操作をすると上書き(オーバーライト)になりますが、カットページでは挿入になります。

挿入ボタン

カットページにはクリップをタイムラインに追加するために6種類のボタンが用意されていますが、その左端のボタンが挿入ボタンです。これは挿入ではなく、スマート挿入という機能です。なにがスマートか? 通常、挿入をするためにはタイムラインでプレイヘッドがある地点から挿入されますが、スマート挿入では、タイムラインでプレイヘッドがある地点ではなく、そのプレイヘッドに近い編集点が参照されます。だからタイムラインで細かく編集点を選ばなくても、編集点のだいたい近くにプレイヘッドを持っていけばカットページが「スマート」に判断してくれて編集点にクリップを挿入してくれます。

このインジケーションは、スマート挿入で参照される編集点を表しています。クリップをスマート挿入したら、プレイヘッドがある地点ではなく、この地点からクリップが入ってくるわけです。

5. トリム編集が簡単

エディットページのよくある失敗があります。トリムモードに入っていると思ったらノーマル選択モードになっていて、クリップの長さを変えたらギャップが空いてしまうというものです。もしくはその逆です。DaVinci Resolveだけではなく、ほかの編集ソフトを使っていても同じような失敗は誰でもしたことがあるのではないでしょうか。

なんとカットページではその失敗がありません。なぜならこのモード選択自体がないからです。カットページを作るにあたり、どういう局面でトリムモードが必要で、どういう局面でトリムモードが必要ないかといいう疑問と取り組みました。その結果、ビデオトラックの位置が関係しているのではないかという仮説にたどり着きました。すなわち一番下のビデオトラックでは、トリムモードを使うことが多い。なぜなら一番下のレイヤーで隙間が空いては困るからです。ところがその上のビデオトラックでは、トリムモードはあまり使わない。なぜなら上のレイヤーにはテキストツールや、ピクチャーインピクチャーの素材が置かれて、その長さ単体を調整することが多いからです。

だからカットページでは、一番下のビデオトラックでは常にトリムモードが使用され、その上のトラックではノーマル選択モードが使われます。トリムモードとノーマル選択モードの切り替えは、どのノンリニア編集でも存在するので、「そんなばかな。切り替えをなくしてうまくいくわけない」と思われるかもしれませんが、実際にやってみると、タイムラインズーム機能がないのと同じように筋が通っていて、慣れれば使いやすいことがわかると思います。コロンブスの卵というか。

6. 素材の読み込み、書き出しがひとつのページで完結する

カットページには素材の読み込みと書き出しの機能が搭載されています。だからほかのページに行く必要はありません(行ってもいいですが)。

素材の読み込みには、左上のメディアプールを使いましょう。下の図の赤枠内で、左側のアイコンがファイル単位での読み込み、右側のアイコンがフォルダ単位での読み込みです。

素材の書き出しには、右上のクイックエクスポートが使用できます。「ワークスペース」のプルダウンメニューの「ページを表示」という項目から、Cutページ以外のページを無効にすると、こんな感じで一番下のページ選択メニューでCutページのみを表示することもできます。

7. マルチカム編集が速い

カットページはマルチカム編集に使える機能をたくさん搭載しています。たとえば素材のタイムコードをもとにタイムラインの正しい位置にクリップを置いてくれる「ソース上書き」。またはタイムラインにあるクリップの別アングルショットを探してくれる「Sync Bin」。ここは細かく説明すると長くなるので割愛しますが、興味のある方はこちらの動画の09:00あたりからご覧ください。

8. 専用キーボード

カットページと一緒に、DaVinci Resolve Editor Keyboardというハードウェアも発表されました。これはDaVinci Resolve専用のキーボードで、とりわけカットページを想定して設計された製品です。キーボードとしては若干お高めの価格設定ですが、これはキーボード自体の品質にこだわっただけではなく、キーボードの右側に高級なジョグシャトルを搭載しているからです。なんといってもこのジョグシャトルが使えるというのは編集の作業の中で大きな利点と言えます。マウスやキーボードでプレイヘッドを移動していると、一気に違うフレームにジャンプしてしまったり、思ったようにプレイヘッドが移動しなかったりしますが、このジャグシャトルを使えば、思った通りにプレイヘッドが動きますし、全部のフレームを細かくチェックすることもできます。

あとただ触っているだけで気持ちいいという隠れた利点もあります。まだどの国の学会でも発表されていないみたいですが、コロコロ転がしているだけでリラクゼーション効果があります。

使い方のイメージはこちらでどうぞ。

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