はじめに

前回は「History of KIMONO」の撮影現場の裏側をご紹介しました。今回は同作品のポスト プロダクションのワークフローを公開、検証したいと思います。まだ作品を見ていない方は、続きを読むかどうかを判断するために一度作品を御覧ください。

ちなみに撮影現場の雰囲気は、こちらの記事からご覧頂けます。

高フレームレート撮影のポスプロ

撮影はREDカメラのDragon。高フレームレートの撮影でした。
今回の編集工程は、以下の通り。

プロキシ作成 > Premiere Pro CC編集 > DaVinci Resolve 12 Studioでカラコレ > After Effectで最終調整

一つ一つのプロセスを説明します。

まずはプロキシ変換

5K画質で96fpsや48fpsで撮影したRAW素材を、オフライン編集用720P画質の23.976fpsに素材変換しました。


ダウンコンバートはRED CINEで行います。タイムライン上では23.976fps。オフラインで編集する際に、96fpsで撮影したものは、速度を400%にすることでほぼリアルタイムと同じ速度でプレイバック出来るようになりました。(同様に48fpsで撮影したものをリアルタイム再生するには、速度を200%にします)

オフラインで作り込む

様々な編集トリックを駆使して作業してくださったのは、ロサンゼルスで編集マンのお仕事をされている木村晋さん。ありがとうございます!クリップ速度を自在に操りながら、音楽に合わせて映像を編集していきます。

概ね映像の流れが固まると、素材の中から使えそうな「障子カット」を選びます。マスクツールで素材の障子の部分だけを切り抜き、ベースとなる映像の上に重ねます。そして、キーフレームで微調整しつつ動かしてカメラの動きに合わせていきます。

そして「障子カット」が画面を覆っているタイミングで、次の時代へカットです!

こうすることで、時代と時代の間のカットを感じさせない映像を演出することが出来ます。


こういう風にして出来た繋ぎ目マスクに「ぼかしエフェクト」をかけることで、更に精巧な作りにしていきます。カラコレ前の完成タイムラインは以下の通り。オフライン完成の段階で、エフェクトも入り、最終的な作品とほぼほぼ同じ見栄えのする映像になります。

次のステップはカラコレなんですが、ここで気をつけることがあります。

Premiere Pro CCからDaVinci Resolve 12 Studioへの移行手順と気をつけること

オンライン編集を経て、カラコレ用のソフトであるDaVinci Resolveに移行する上で、注意点が2つありました。

1)Premiere Pro CCで使用したエフェクトを、カラコレ後マスタリングした際に正しく復元出来るようにすること。

作品の編集で気をつけたことは、全部で5つの時代(戦国・江戸・明治・現代・未来)を出来る限りカットを感じさせないこと。そのために多くのショットにエフェクトをかけました。カラコレ後の素材をPremiere Pro CCで再接続した時に、エフェクトのキーフレームが正しく反映される必要がありました。

2)高いフレームレートで撮影した素材の速度をランプさせたものが、カラコレ後に正しく復元されること。

スローモーションで撮影した素材を、タイムライン上で速度変換することによって、リアルタイムで見られるようにしました。カラコレ素材を再接続した場合、画が音楽のタイミングと寸分違うことなく一致する必要がありました。

この二つの課題を一番確実に解決するために、カラリストであるロバートに相談しました。
その結果、求められた素材は以下の条件でした。

  • オフライン編集のタイムラインを、オンライン編集でPremiere Pro CC上で復元
  • タイムラインを同シーケンス上で複製
  • 複製されたタイムラインをベースとなる映像と、「障子」マスク用の映像の二つに分ける
  • それぞれの素材のクリップ速度を100%に戻す
  • 全てのエフェクトを消去する
  • 一連の作業が終わった後、カラコレに必要の無い素材を全てデリートした上で、タイムラインをXMLで書き出す。

最後のXMLで書き出す直前のタイムラインは以下のようになりました。




左から 1. オフライン編集 、2. ベース(速度変換、エフェクト無し)、3. 障子エフェクト(速度変換、エフェクト無し)となっています。速度を400%で使ったり、もっと早くして使っている素材もあったため、オフライン編集の尺よりも、ベースが随分長くなってしまいました。

カラコレ後に書き出す際にも注意が1点。

(2: ベース)と(3: 障子のエフェクト) のタイムラインを素材の前後ハンドルが何フレームかを正しく把握することです。

でないと、カラコレ済みの書き出した素材が、Premiere Pro CC上でオフライン編集同様に復元することが出来なくなるからです。書き出した素材はショットの合計数だけあります。

こうして書き出して、(1: オフライン編集タイムライン) で残していたクリップ速度、動画ズームサイズ、マスクエフェクトなどのキーフレーム情報を全てコピペして完全にオフラインとカラコレ済みのオンラインカットが同一のものになるまで作業を続けます。

仕上げはAfter Effect - 気になる背景を消していく

ここまで頑張ったら、あとは仕上げにAfter Effect上で背景の気になるものを消していく作業です。

広範囲にマスクをかける場合、ロトブラシツールを使って、フレームごとに背景を消していきます。

結構手間かかりました(笑)

小さい白の点みたいなやつは、黒色でマスクレイヤーを作って、キーフレームで必要箇所だけプチ修正します。

そして字幕を入れて完成です!

まとめ

高いフレームレートで撮影した素材を使ったスピードランプ(変速クリップ)、オープンFXでは無いエフェクトの使用、キーフレームの使用などは、Premiere Pro CCとDaVinci Resoveの互換性にサポートがまだ整っていないため、未だ障壁です。

この障壁をビビること無く、映像制作したい方は、それぞれのステップで事前準備しておくことが肝心です。完成への近道は地道な計画なんですよね、何気に。でも、ロードマップを準備しておけば、時間のかかる作業もさほど苦しまず、ストレスフリーで作業出来るようになりますよ。

楽しんで、オフラインからオンライン編集への移行や、ソフトウェア間の移動をしていきましょう!以上、「History of KIMONO」の制作メイキング2回に分けてお送りいたしました!読んでくださった方、ありがとうございます。

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