2019.11.14 (最終更新日: 2019.12.02)

PremiereProでBlackmagicRAWを使うガイド【決定版】 Part.1

(12/1更新版)

BMPCC4KなどのBlackmagic製のカメラを持っているけど、BlackmagicRAW(以下.braw)収録したものをPremiereProで編集したい、というケースはあると思います。そこで今回は、PremiereProで.brawを編集に使う場合の現状とガイドラインをまとめてみました。(2019年12月1日時点、今後更新の可能性あり)

PremiereProで.brawを扱うメリットとは?

  1. BMPCC4K等、BlackmagicRAWで撮影した素材を、これまでの素材と混在させる事が出来る。

  2. RAW設定で、露出、ISO、WB、カラースペースやガンマ等を後から変更できる。撮影素材のリカバリーが容易

  3. 従来のRAWに比べ圧倒的に動作が軽いので、ProRes422を使う感覚でRAW動画を扱える。

.brawをPrで読み込む方法

.brawを読み込むには、現状ではPremiereProに、読み込むための専用プラグインをインストールする必要があります。選択肢は以下の2つです。

1.BlackmagicDesign社 純正プラグインを使う

  1. AutokromaのBRAW Studioを使う

で、現在のところ自分の環境では、AutokromaのBRAW Studioを使用しています。その理由はこれから話します。

PremiereProでBrawを扱う際の現時点での課題

1. あくまでプラグインでの読み込みになるので、プラグインが無い環境ではBrawが含まれるプロジェクトは開けない
・BRAW Studioで作業したプロジェクトを純正Brawプラグインで開ける。その逆も可能。

2. PremiereProの仕様により、.braw本来のタイムコードがズレる。これは再リンクする場合や、XMLに書き出す場合に大きな問題になる。
※23.98および29.97fpsの場合。尚、59.94fpsの場合はこの問題は起こらず

  1. 現像した際に切り捨てられたデータ(輝度やカラー)はその後のカラーコレクションでは戻ってこない。
      (DaVinci Resolveの場合は、現像後も切り捨てられず、データが戻ってくる)

これらを踏まえた上で、両プラグインの機能面を比較してみたいと思います。現時点で一番問題になるのは2のタイムコードのズレです。

BMD純正プラグインとBRAW Studioの比較 (12/1現在)

純正プラグインは無料というのは大きなアドバンテージですが、先に書いた通り現時点ではタイムコード問題の修正機能がありません。.braw本来のタイムコードと、PremierePro上でのタイムコードにズレが発生するため、同プロジェクトで完結する分には問題ありませんが、データの再リンク時やXMLでDaVinci Resolveに受け渡す場合など、いくつかのケースでトラブルが予想されます。このTCズレ問題の対処方法に関しては「ガイド【決定版】 Part.2」に詳しく書きますが、AutokromaのBRAW Studioであれば、ボタン一つでこの問題に対処できます。


AutokromaのBRAW Studioは専用のパネルでTCの一括修正が可能

他にもAutokromaのBRAW Studioは純正に比べてかなり多機能です。10個までRAW現像の設定を記録、読み出しが出来たり、同クリップで2つの現像設定(customA/B)を比較できたり、さらにPremiereProのプログラムパネルにて.brawのメタデータを表示可能にする機能もあります。(デフォルトではbrawのメタデータはリストに出てきません。)

またAfterEffectsに関しては、両プラグインとも対応しましたが、純正プラグインの場合、エフェクトの現像項目パネルがなぜか出てこない状況(自分の環境ではエラーになる)なので、撮影デフォルトの状態でしか.brawを扱えませんが(つまり読み込みのみの対応)、BRAW Studioの場合は、読み込んだ後でも、エフェクトパネルから問題なく現像設定が可能です。

PremiereProでbrawを読み込む、現像する

上記のいずれかのプラグインがインストールされていれば、.brawは他のムービークリップと同様にプロジェクトに呼び込まれます。違うのは.brawはあくまで「RAW」だという部分です。クリップを選択した状態で「エフェクトコントロール」パネルを開いてみてください。Prのエフェクトコントロールにはマスターエフェクトタブ(タイムライン上のクリップではなく、クリップそのものにエフェクトがかかる)が存在しますが、.brawの現像に関する設定は、マスターエフェクトタブを開くと現れます。今回はAutokromaのBRAW Studioを例にとって、一連のワークフローを説明します。(純正のプラグインも概ね同じです。)


エフェクトコントロールパネルの「マスター」と書かれた部分をクリック

現像に関する項目がザっと並んでいますが、ここではポイントとなる部分だけ説明します。「Decode using」はデフォルトで「Camera Metadeta」になっていると思いますが、ここを「CustomA/B(純正plug inでは「Clip」と表記)」にする事で、カラースペースやガンマ、ISO、露出、WBなど、本来なら撮影時に決めておかなければならない様々な項目が変更可能になります。まずはいろいろ変更して、RAWの醍醐味を味わってみてください。


赤字の部分をCustomもしくはClipに変更する事で、RAW現像を後から細かくコントロールできる

一般的な色(Rec.709)で編集する場合

カラースペース設定(Color Space)→ Rec.709

RAWだから眠いトーンで編集する、というのは間違った認識です。最初から色付きで編集したければ、カラースペースは「Rec.709」にしておきます。

ガンマ設定(Gamma) → Rec.709 / BlackmagicDesign Video / Blackmagic Design Extended Video

ガンマに関しては、最も簡単なのはRec.709BlackmagicDesign Videoを選ぶ事です。露出やWB等、基本的な項目が変更できるため、最もインスタントなリカバリーフローになります。ただ、シャドーからハイライトにかけては、場合によってはコントラストがキツい印象もあるかもしれません。

Blackmagic Design Extended Videoに設定すると、Rec.709ライクな画づくりはそのままに、ハイライトやミッドポイント、ブラックレベルなど、さらに細かな調整が可能になります。PanasonicのCineLike DやCanonのWide DRなど、高輝度がゆるやかにロールオフするピクチャースタイルが得られるためオススメの設定です。

補足)撮影の時点での設定(撮影からのフロー)

Blackmagic製のカメラを持っていて、かつ最初からRec.709での編集を想定しているのであれば、撮影の時点でのピクチャースタイル(Blackmagic Design製のカメラでは「DYNAMIC RANGE」と表記)をBlackmagic Design Filmではなく、Blackmagic Design VideoもしくはBlackmagic Design Extended Videoに設定しておきます。そうする事で、編集に入った時点で、リカバリしたいクリップのみ選択し、「CustomA/B(純正Plug inはClip)」に変更して、設定を直す、というフローが可能です。グレーディング目的でなく、最初からリカバリー目的で収録するのであれば、後のフローが早くなります。

グレーディング前提(Log)で編集する場合

カラースペース設定(Color Space)→ Blackmagic Design

ガンマ設定(Gamma) → Blackmagic Design Film

この設定にする事で、Logのワークフローを実現できます。好きなLUTを当てたり、LumetriColorを使ってじっくりグレーディングしたい、という用途に向いています。逆にいえば、撮影の時点でRec.709ライクな色味で収録されていたとしても、この設定に変更する事で、いつでもLogのワークフローに切り替える事が可能です。このあたりの柔軟性はRAW収録ならではです。

さらに先に書いた通り、PremiereProの場合は、現像後に切り捨てられたデータは、後のカラーコレクションでは戻って来ないようです。もしハイライトやシャドーをのちのカラーコレクションで戻したい、と思った場合は、一旦Blackmagic Design Filmで現像し、調整レイヤー等でLUTを使うフローにした方が良いでしょう。

補足)撮影の時点での設定(撮影からのフロー)

最初からグレーディング前提を考えているのであえれば、カメラのDYNAMIC RANGEBlackmagic Design Filmにしておくのが良いでしょう。もっともBlackmagic製のカメラを使っている方のほとんどが"Film"に設定していると思います。

もう一つTIPSを言うとすれば、.brawはLUTをメタデータに埋め込むことが可能です。撮影の時点で好きなLUTを当てて収録しておけば、現像項目の「Apply LUT」のチェックを入れることで撮影時に使用したLUTを使って現像できます

カスタマイズしたRAW現像設定を他のクリップへ適用

  1. マスターエフェクトのコピペ
    もっともシンプルな方法はマスターエフェクトのコピー&ペーストです。個別に適用する場合は、タイムラインで必要に応じてクリップを選択し、互いのマスターエフェクトの名前([fx]マークの隣の文字)をコピー&ペーストします。1つの設定を一括適用したい場合は、元クリップのマスターエフェクトの名前をコピーしたのち、プロジェクトパネルにてクリップを複数選択してペーストします。ただし、BMPCC4Kなど、デュアルネイティブISOで撮影された素材の場合、一括適用は避けるべきです。この理由は次の項目で説明します。

  2. 現像設定のプリセット作成(BRAW Studioに限る)
    BRAW Studioの場合はエフェクト項目に10個までのプリセットを作成する機能があり、こちらを使うと他のクリップへの設定が便利になります。

PremiereProで.brawを扱う際のポイント

Point ①:ビューワーの解像度を下げると、かなり軽快になる。

オフライン編集等、デスクトップのみで編集する場合は少なくありません。Prの場合、ビューワーの解像度を下げる事で、画質と引き換えに再生パフォーマンスを上げる事が可能ですが、h.264等、これまでの圧縮系映像ファイルではそこまで操作が軽くなる感じはありませんでした。ところがbrawの場合は、ビューワーの解像度を下げると劇的に再生パフォーマンスが上がります。編集時、解像度より再生パフォーマンスを優先したければ試してみてください。正直フル画面で編集しない限り、オフラインであれば1/4画質程度で十分だったりします。(もちろん再生パフォーマンスは保存先のメディアや接続しているケーブル環境も影響します。できればメディアはSSDで、ケーブルもUSB3.1以上のスピードが望ましいでしょう。)

Point ②:デュアルネイティブISOで撮影したBMPCC4K素材は、Low側とHigh側をまたいでの設定コピーは避けたほうがよいです。

BMPCC4Kはデュアルネイティブに対応おり、ISO100〜1000までのLow側と、ISO1250〜25600までのHigh側の2つに分かれます。Pr上で、この境目をまたいでRAW設定をコピーしてしまうと、エラーが起こる場合があります。なお、BRAW Studioは警告を出してくれる一方で、純正Brawプラグインの場合は、最悪の場合、画面がバグって元にもどらなくなります。(この場合、新規プロジェクトで読み込み直すと正常な表示に戻ります)


純正plug inはDual ISOをまたいで設定コピーすると、速攻でバグる。

純正プラグインとBRAW Studioの同時インストール?

同時にインストールしておくことは可能ですが、純正プラグインが優先されるようです。ただ、何かの際に動作が不安定になるかもしれないので、個人的にはオススメしません。

BRAW Studioで作業していたプロジェクトを純正Pluginで開くことは可能です。またその逆も可能ですが、いずれの場合も現像パラメーターは一旦リセットされます。これを回避するには.brawの大きな特徴であるSidecarを利用する方法があります。Sidecarはクリップ自体に影響をあたえない外部メタデータファイルです。少し面倒ですがクリップ毎にSidecarを書き出し、プラグインを切り替えたのち、RAW設定画面でSidecarを再び呼び出せば、2つのプラグイン間で設定を受け渡す事は可能です。(個人的にはかなり面倒でやらないと思いますが、何かの理由でプラグインをスイッチしたい場合は有効な方法と思います。)

プラグインを一時的にスイッチしたい場合、または外したい場合

プラグインをスイッチする場合は、基本的には一方のプラグインをアンインストールし、もう一方をインストールする必要がありますが、自分の経験上、以下のディレクトリ(MediaCore)にインストールされている各プラグインファイルをドラック&ドロップで入れ替えるだけで特に問題なくスイッチ出来ています。 (自己責任ですが、Macの場合、「MediaCore」フォルダのアクセス権を読み書きOKにしておく必要あり。)

Windowsの場合:C:\Program Files\Adobe\Common\Plug-ins\7.0\MediaCore

Macの場合:ライブラリ/Application Support/Adobe/Common/Plug-ins/7.0/MediaCore

以上が、これまで自分が.brawをPrで使ってきた上でのまとめ(黙示録)になります。特にタイムコードのズレ問題により、現状では純正plug inでのフローは若干厳しく、AutokromaのBRAW Studioを使うのが安心と思います。ただBlackmagic Design社の開発スピードは早く、最近リリースされたBRAW1.6で、Aeに対応したり、安定感が増したり、新機能も追加されてきていますので、近いうちにその差も無くなるのではないか?と予想しています。

.braw本来のタイムコードとPr上のタイムコードが大きくズレる問題の回避策と、.braw再リンク時に起こる問題の回避、DaVinci Resolveへの受け渡し方法を、Part.2で詳しく解説します。ざっと書いてしまった部分があるので、この時点でもし疑問点や質問があれば、コメント欄にどうぞ。

関連リンク

・しゃべりきりRADIO Vol.08「BlackmagicRAW、のお話」
https://youtu.be/lV124NAj9tk

・純正plug inとBRAW Studioの違いについて(英語)
BlackmagicRaw Plugin and BRAW Studio - What’s the difference ?

・Pr上のタイムコードのズレについて(英語)
Blackmagic RAW (BRAW) Wrong Timecode Issue in Adobe CC

・Pr上で.brawを再リンクの際、クリップエラーが起こる件(英語)
How do I avoid the Shift Issue in BRAW Studio ?

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