「Adobe×DaVinci Resolve座談会」【Adobe Day in InterBEE2019】

はじめに

Adobe Day in InterBEE2019でのセッションの様子をダイジェストでご紹介します。
この記事ではBlackmagic Design社公認トレーナー ニコラス・タケヤマさん、進行の山下大輔さん、市井義彦さんによる「Adobe× DaVinci Resolve」をご紹介します。

登壇者

Nicholas Takeyama ニコラス・タケヤマ
1993年生まれ、上智大学国際教養学部卒。
ニュージーランド出身、日本と台湾のハーフ。
日英対応の映像ディレクター・撮影監督・カラリスト。
Blackmagic Design社、公認のDavinci Resolveトレーナー。
海外経験を生かしたセンスでCM・MV・映画等、幅広いジャンルを手掛けている。
少数気鋭ならではのクオリティコントロールをモットーに、時には一人で企画、撮影から編集までこなします。

山下大輔
テレビ制作の映像制作ツールとしてPremiere Proをはじめとした編集サポートに従事。
また、他の編集機から移行する方むけに講習会講師も担当。個人活動としてはFacebook上でAEユーザーグループの管理人として、アドビ製品を使った勉強会を開催中。映像講師。
https://everydayskillshare.jp/

市井義彦
1979年生まれ・大阪在住・広島出身。2000年に関西の制作会社に入社しテレビを中心に番組・CM・企業VPなどの映像制作に携わる。2014年に独立し「株式会社Command C」を設立。ディレクターのみならず、撮影・編集も手がける映像作家・ビデオグラファーとして活動。2015年よりPremiereProユーザーグループをスタートさせ、代表としてグループミーティングなども展開。またAdobe Community EvangelistとしてPremiereProの布教活動を幅広く展開中。
http://www.command-c.com

Premiere Pro vs DaVinci Resolve

山下:
みなさんAdobeのソフトに限らず、色んなソフトを使いますよね。特にPremiere Proで編集してカラーグレーディングをDaVinci Resolve でやる人がとても多いかなと思っています。
今回は決してケンカするつもりはなく、Premiere ProもDavinci Resolveもみんな持ってるよって話に結局なるじゃないですか。
ニコラスさんはどんな感じで編集ソフトを使われているんですか?

ニコラス:
僕、最近ポスプロを実はあまりそこまで強くやってなくて、どちらかというと現場の
撮影に携わることが多くなってきたので。
ただカメラマンとしてやっぱり1つ強みだな、と思うのは色までできるカメラマンっていう立ち位置かなと思っています。
カット編集はもちろんDavinci Resolve内でもできますが、僕もDavinci Resolveを使うまではFinal CutやPremiere Proを使ってたので。
新しいソフトに慣れるハードルの高さってみなさんあると思うのですが、最初は両方のソフトを使ってましたね。

山下:
やはり減っていくものですか?慣れてきた方を使っていく?

ニコラス:
面白いのは、案件によっては「Premiere Proのプロジェクトファイルが欲しいです」ということもあるので、結局Premiere Proから抜け出せない、というのは未だに感じます。

山下:
納品先が何のソフトを使っているか問題はどこでもありますよね。

ニコラス:
じゃあカラーをやりたい、カラーをもっとこだわりたいよねというときにDaVinci Resolveを起動せざるを得ないっていうのが結局多いですね。

山下:
市井さんとかはどうなんですか?Davinchi Resolveとか触ります?

市井:
触りますね。
基本はPrtemiere Proでやるんですけど、このカットどうにかしたいな、とか。

山下:
追い込みたいとき。

市井:
画を救いたいときとか。

山下:
自分の場合、メインの機能というよりは素材のエンコーダーとして使っています。
DaVinci ResolveならGPU使うし、リードアシストでテープ番号埋め込んだりできるし、Premiere Pro上でリンク切れしませんから。
Adobeさんも見てるかも知れないから言うと、Media Encoder問題は自分も悩んでまして、両方使ってます。

比較:音声

ニコラス:
僕はDaVinchi ResolveではOMFが書き出せないのが困ってますね。

山下:
書き出し自体のオプションがないんですか?

ニコラス:
ないです。

市井:
音声ファイルを書き出すときはどうするんですか?

ニコラス:
この前エンジニアさんにOMFファイルをくださいって言われたときは、トラック毎に全部音声ファイルを書き出して、それをPremiere Proか何かのソフトに入れて書き出しました。

山下:
カットのつなぎの情報は渡せなかった?

ニコラス:
渡せないです。
とはいえ、サウンドトラックごとに綺麗に分けてたんで波形で見ればわかりましたが。

山下:
DaVinci Resolveは音声編集はFairlight(※編集部注:DaVinci Resolveに搭載されているポストプロダクション用のDAW)でやるっていうフローなんですかね。

ニコラス:
そうなりますよね。そう言いざるを得ないですよ、DaVinci Resolve。

山下:
それちょっと意外ですね。

比較:カラー

山下:このようにPremiere ProとDaVinci Resolveの違いを見ていけたらな、と思います。
自分がDaVinci Resolveを見ていて一番良いと思うのは、プライマリーやセカンダリーなどのカラーグレーディング・カラーコレクション周りです。
DaVinci Resolveはトラッキング技術とかがプラナートラッキング使っていてスゴイ精度がいいところが素晴らしいですね。
Premiere Proだとマスクを切ってマスクトラッキングをすると限界があるので、そのような使い方で色の追い込みとか部分的に明るくできるのがいいと思います。
自分はまだノードに慣れてないんですが、DaVinci Resolveはノードベースですよね。

ニコラス:
カラーもFusionもそうですけど、ノードベースですね。
Fusionはまた異なるのですが、基本的に1個のノードが1つのレイヤーだと思ってもらえれば。
そんなに複雑なものじゃないので、30分くらい弄ればノードって何なんだろうっていうのはすぐわかると思います。

市井:
カラーを弄る楽しさを味わうにはすごいいいですよね、DaVinchi Resolve。
可能性の広がりとか何をどこまでどうできるかとか。

ニコラス:
あと、DaVinchi ResolveはYRGBで分けてるんですね。
カラーマネジメントをY(輝度,ルミナンス)とRGBで分けている。
だから、他のソフトだと輝度とRGBが連動してしまうんですが、DaVinchi ResolveならRGBだけ、輝度だけをそれぞれ弄ることができます。
色の分離性は弄っていてすごいいいなって感じますね。

山下:
Premiere Proはこういう見方じゃない。
トーンカーブでYRGBはあるんですが、こういう見方ができにくい。
DaVinchi Resolveなら直接見えるリファレンスのモニターの波形を出しながら作業できるし、レイヤーで重ねていかなくていい。
レイヤーを上に重ねていくのでPremiere Proだとよくパラメータがゴチャゴチャになってしまうんですけど、そこがわかりやすいですね。

Premiere ProのLumetriカラーは上に重ねていくと色情報が残らない、下のレイヤーで色が飛んじゃうと上のレイヤーでは戻せないんですど、DaVinchi Resolveはどうなんですか?

ニコラス:
LUTじゃなければノードは基本的にフロートで動いているので、DaVinchi Resolveなら前のノードで飛んでしまったものも後のノードで戻すことはできます。

山下:
それはすごくうらやましい。両方とも使う利点はそこにもあるかなと思います。

比較:モニター出力

市井:
Premiere Proでよく言われる質問なんですが、ソフト上で見えてる映像の色と書き出した映像の色が再生してみると違うこと、体験されたことあります?
それ、なんとかしてほしいと思うじゃないですか。
DaVinci Resolveの場合って何か切り替えられましたよね。

ニコラス:
DaVinci Resolveの場合、出力のモニターの色域も変えられますし、書き出しの色域のオプションもありますし、タイムライン上の色域を変えることもできます。
そういうところがPremiere Proとは違うかなと思います。

市井:
最終的なアウトプットがTVなのかWEBなのかによって色がまた変わるじゃないですか。

山下:
Premiere ProはシーケンスのベースがRec.709だけなのでそれで編集しないといけないし
入ってくるのがlogだろうがなんだろうが関係ないというか。
結局書き出すときにもまた変わっちゃうし。
頑張ってるんでしょうけどまだ全然追いつけていない。

市井:
切り替えとしてそこにあったら便利なのになって思うんですよね。

ニコラス:
その問題もまたややこしくて、Quicktimeに依存してるから色が変わったりとか、使っているブラウザがQuicktimeで再生してるから色が変わってきたりとか、色々要因があるんですけどね。

市井:
本来は再生環境に合わせたディスプレイで見て色を確認すべきだとは思うんですけど、WEB向けに制作されてる方が増えてるので、使っているPC上である程度まで追い込めたらいいなと思いますね。

ニコラス:
逆に放送系だとRec.709と決まっているので簡単だし、映画ならばDCPなのでそこまで手こずることもないんですけど。

山下:
DaVinci Resolveは、やはり映画ってイメージありますね。

ニコラス:
シネマっぽい感じありますね。

山下:
Premiere Proはどちらと言えばビデオって感じですもんね。
もちろん自分らがPremiere Proでビデオを作っているからというのもありますが。
映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」はPremire Proで編集されてますが、Premiere Proはビデオ系の色に慣れてる人が使うというのも考えられてるのかな、と。

Premiere ProとDaVinci Resolveの連携ワークフロー

山下:ちなみにPremire ProからDaVinci Resolveに持っていくときには何を一番使いますか?

ニコラス:
結局Premire ProでXMLで書き出ししてもDaVinci Resolveにまったく反映されないんで。

山下:
あれどっちが悪いんですかね。

市井:
仲良くしなきゃアカン。

ニコラス:
だから僕はクリップ毎に書き出しちゃって、DaVinci Resolve上で並べ直しています。
もちろんタイムラインがどれくらい長いかにもよるんですが、1分とかの広告だとそれでいいかなって思っちゃうんですよね。やり直す。

山下:
XMLについても今年の初めに確認したとき、速度変更をPremiere Pro上でするとDaVinchi Resolveに持っていけないというかズレてしまう。
あと、イン点アウト点がちょっとズレる。
ただ、それが絶対にズレるのではなくて、何かがトリガーになってる。

市井:
それがまたあやふやなのが困りますね。

山下:
そこの部分が明確化するリリースノートとか、何かしらあればいいんですけどね。

市井:
お互いのXMLの規格がちょっと違うのかな。

山下:
断固として「Final Cut Pro XML」って書いてありますよね。
元々はFinal Cut 7とか6とかを想定しているんでしょうか。

ニコラス:
7だと結構きれいにDaVinci Resolveの中に入るんですけどね。
10だとあまりうまくいかない。相性的にも微妙なんですよね。
僕だけかもしれないんですが、Final Cut 10のプロジェクトのXML自体DaVinci Resolveで読み込まなくなってしまって……。

山下:
そこらへんの連携はちょっとね。

ニコラス:
メーカー側もね、一番直すべきところではないのかも知れないですね。

市井:
難しいところでね、仲良くしてもらえるとユーザー的には嬉しいんですけど。
EDIUSもFinal Cutも。

ニコラス:
DaVinci Resolveをカラーのソフトと割り切って使うのであれば、ピクチャーロックがかった段階ですべて書き出して、カラーはDaVinci Resolveで作業するっていうのは理にかなってるかなと思います。

まとめ

市井:
そう言えば、DaVinci Resolveにカットによって自動的に分けてくれる機能ありましたよね。

山下:
どんな機能ですか?

市井:
画の変わり具合を判断して、全部カット点を入れてくれる
1つの映像素材になっているのに全部切ってくれるんですよ。
カット点の調整もできるから、すごく便利です。

ニコラス:
ぜひ有料版買ってほしいなって思ってます。
DaVinci Resolve有償版のノイズ除去はとても優秀で
アレだけで3万円払う価値ある。

市井:
色を弄るとノイズどうしても出るしね。

ニコラス:
LOGとかはかなりノイジーなので。

山下:
DaVinci ResolveはGPUを使って動いてくれるっていうのは羨ましくてしょうがない。
同じMacを使ってもDaVinci Resolveで編集するとすごくソフトが動くんですよ。
GPUは羨ましいです。

ニコラス:
DaVinci ResolveでOMFが書き出せればいいんですけどね。

山下:
決してPremiere ProがOMFに強いわけではないんですけどね。
結局Avidのビデオ編集ソフトの方が強いし。

市井:
FairlightからOMFを書き出せないのは意外ですけどね。

ニコラス:
僕自身がFairlightをあまり弄らないので、何とも言えないんですが……。

市井:
DaVinci Resolveはあまりにもオールインワンすぎるくらい入ってる。

山下:
Premire Proも相当オールインワンだなと思いましたけど、DaVinci Resolveにはジャンルが違う「音」編集まで全部入ってる。
Premire ProにAfter Effectsが混ざってるようなもんじゃないですか。
ヴァージョン上がるのも早いですし。

ニコラス:
早いですね。サポートも早いですね。

市井:
β版をβ版として出しちゃうじゃないですか。その割り切り方がいいなって。
何かあってもそうだよなって思える。

山下:
結局ヴァージョン前後両方使わないとだめなので。

市井:
両方使ってみて、いいとこ悪いとこわかってくれば使い分けもできるので。

山下:
高いヴァージョンから低いヴァージョンにはプロジェクトを移行できるんですか?下位互換?

ニコラス:
DaVinci Resolveのプロジェクトの、低いヴァージョンでも開けはできると思いますよ。

山下:
それPremiere Proでもほしいですね。

市井:
下のヴァージョンでも開けはしてほしいですよね。

ニコラスさん、山下さん、市井さん、ありがとうございました!

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