この記事ではエディットページの便利機能をご紹介します。DaVinci Resolveには、普段は隠れていて気づかないけど、知っておいたら便利なツールがたくさん存在します。この記事がみなさんの日々の編集作業を一分一秒でもスピードアップするお役に立てれば幸いです。
それでは小ネタも入れつつ、すぐに思いつくものベースで(失礼)、順に見ていきましょう。
1. ショートカットのカスタマイズ
世の中にはいろんな編集方法がありますが、やっぱりキーボードショートカットを駆使した方が短い時間で作品を作ることができるというのは衆目の一致するところではないでしょうか。ほかのページにもショートカットはありますが、ほぼマウスを使うことなくほぼキーボードだけで作業が完結できるのはこのページだけと言っても過言ではありません。
編集ソフトのデフォルトのショートカットを使いたいという方もいらっしゃいますが、ここはあえて自分の好きなショートカットを割り当てることをお勧めします。というのはDaVinci Resolveのデフォルトのショートカットでは、一部のよく使う機能になぜか複雑なショートカットが割り当てられているからです。
よく使うキーはこんな感じです。
・逆再生、停止、再生、巻き戻し、早送り、コマ送り → JKL
・先頭をトリム、末尾をトリム → Command (Ctrl) + Shift + ]、Command (Ctrl) + Shift + [
(上部のプルダウンメニューでは、トリム>リップルという場所にあります)
・ブレードを入れる → Command (Ctrl) + B
(上部のプルダウンメニューでは、タイムライン>ブレードです)
・リップル削除 → Shift + Backspace / Delete
(上部のプルダウンメニューでは、編集の項目を開くと見つかります)
ご覧のように、JKL以外は両手が必要なので、片手だけで簡単に使えるようにショートカットを変更しておきましょう。最初にこのカスタマイズをしておくだけで、編集の作業が一気に楽になります。文字どおり左うちわでいけます。
2. スタックタイムライン
DaVinci Resolveではタイムラインをタブ表示できるだけではなく、上下に並べて表示することができます。これはスタックタイムラインと呼ばれる機能です。
表示手順としては、まずタイムライン表示オプションからこの赤枠の部分を有効にします。
次にタイムライン右上のプラスマークのアイコンを押します。そうするとタイムラインが下に1つ増えます。
DaVinci ResolveのUIを表示しているディスプレイの解像度にもよりますが、タイムラインは3つ以上増やすこともできます。
タイムラインからタイムラインへ、クリップを上下に移動することもできます。使用例としてはこんなものがあります。
・上のタイムラインをカット用、下のタイムラインを作品用とする。まず上のタイムラインで「先頭をトリム」や「末尾をトリム」などを使いながら、使いどころだけを残して、サクサクと必要のないところを切っていく。次に上のタイムラインから、作品の流れで必要なものを選んで、下のタイムラインにドラッグ&ドロップやコピー&ペーストで持ってくる。
・普通のタイムラインと複合クリップを並行表示。複合クリップやFusionクリップ、クリップを右クリックで「タイムラインで開く」を押すことで、タイムラインとして開くことができる。いっぺんタイムラインで開いてしまうと、元のタイムラインは見えなくなってしまうが、スタックタイムラインにすれば、この悩みが解消できる。
3. パワービン
パワービンは、メディアプールの中にある一機能で、あまり知られていないわりにその名に恥じないパワフルさを備えています。デフォルトでは表示してくれないので、プルダウンメニューで選んで表示しておきましょう。
なんといってもこのパワービンが便利なのは、自分でよく使う動画や設定を保存しておけるからですね。保存できるものとしてはこんなものがあります。
・動画
・静止画
・Text+、テキスト
・Fusionコンポジション
・調整クリップ
つまりほとんどすべての種類のクリップを保存しておいて、どこのプロジェクトでもすぐに使えるというわけです。特にテロップとかは、よく使うやつをText+でここに入れておけば、毎回最初から設定し直す手間が一気に省けます。色もフォントもアニメーションも、全部覚えてます。あと調整レイヤーに、カラーページで作ったカラーグレーディングやFusionページで作ったトランジションを放り込んでおいて、すぐに取り出せるようにしておくのもいいですね。
これをうまく使えば毎日の仕事量を格段に減らすことができます。強いです。
4. 調整クリップ
DaVinci Resolve 16の100を超える新機能のうち、エディットページではおそらくいちばん人気が出ている機能ではないでしょうか。調整クリップにはエディットページの様々なパラメーターだけではなく、ResolveFXのエフェクトや、Fusionページやカラーページの機能も適用できます。調整クリップの下にある場所にのみ効果が適用され、上のレイヤーにあるクリップには、その効果は適用されません。調整クリップの長さは自由に伸び縮みさせることができます。
調整クリップはアイディア次第でなんでも使えます。例を挙げるとこんな感じです。
・カラーページのカラーグレーディングを広範囲に適用する
・ズームなどのパラメーターを適用して、アニメーションプリセットを作る
・Fusionページでトランジションを作ってそれを適用する
・LUTを入れておいて、複数のクリップに一気に当てる
・ResolveFXのアナログダメージで昔のテレビ風のエフェクトを作る
・ResolveFXのビネットやフィルムグレインを入れて、映画っぽくする
この記事で紹介しているパワービンと一緒に使えば、プロジェクトを変えてもすぐに調整クリップを取り出せます。ひと目でわかるように名前をつけておきましょう。
5. 音声波形を表示
どんな編集でも、そこに音がある限り、音声波形を表示するに越したことはありません。DaVinci Resolveではどーゆーわけかデフォルトでは音声クリップに波形が表示されないようになっているので、忘れずに「タイムライン表示オプション」で音声波形を表示するボタンを有効にしておきましょう。
6. クリップのスワップ
Shift + Command(Ctrl)を押しながらクリップを横に移動すると、タイムラインの中でのクリップの位置を変更することができます。なんてことない機能ですが、知っていると便利です。
7. ギャップを削除
DaVinci Resolveにはタイムライン上のギャップを一括削除する機能があります。これで一発でギャップが埋まります。編集に熱中しすぎると、まれにいつの間にかギャップが生まれてしまていることがあります。だから作業の終わりにこの「ギャップを削除」というコマンドで必要のないギャップを削除しておきましょう。
この機能は、イン点アウト点の設定とも連動します。タイムラインにイン点アウト点が打たれた状態で「ギャップを削除」を押すと、その領域の中だけにこの機能が適用できます。そして「自動トラック選択」をオフにすると、そのトラックを無視して「ギャップを削除」することもできます。コンテクスト依存ということですね。
8. 複数クリップのパラメーターを一気に変える
タイムラインをある程度組み上げた後に、複数のテキストのフォントを別のものにしたいな、と思ったことはありませんか? もう音声クリップをたくさん放り込んだ後に、一部の音声クリップだけレベルを一括で上げたいと思ったことはありませんか? 編集あるあるですね。そういうケースでは、エディットページでは複数クリップを選択して、インスペクタに行けばすぐに数多くのクリップのパラメーターを一度に変更できます。
もしくは属性のコピー&ペーストでもいいですね。Command(Ctrl) + Cでコピー、Option + Vで属性だけペーストできます。
9. 重複フレームを表示
タイムラインの中で、同じソースクリップを2回以上使うことがあります。自分で意識して使っていればいいのですが、意識せずに使っているとしたら、困ったことになります。作品上同じセクションが2度出てくることになるので、視聴者に「えーと、それさっき見ましたけど」と思われてしまうわけですね。この重複フレーム検出機能は、そういう不慮のデジャブを防ぐために存在しています。デフォルトではこの機能はオフになっていますが、「表示」→「複製フレームを表示」から複製フレームの検出機能をオンにすることができます。
この機能はクリップの重複だけではなく、フレームの重複まで探してくれます。だからクリップの中の一部だけが重複している場合にはこんな表示になります。
あとそれに関連して便利なのは、メディアプールの中でのタイムラインでの使われどころを表示する機能です。メディアプールのサムネイルクリップの下に赤い線が出ていますが、この線のあるセクションは現在開かれているタイムラインで使用されたところを示しています。
クリップを右クリックすれば、現在開かれているタイムラインのどの箇所で使われているのかがわかります。
10. クリップの長さを変える
タイムラインのクリップを右クリックで、クリップの長さを変えることができます。
プラスやマイナスの後に数字を入力すると、長さをそれだけ長くしたり短くしたりできます。ボックスの中に記入されているのがタイムコードだからといって、毎回最初に0000とゼロを何個も入れなくても大丈夫です。たとえば-100と打ち込むと、それは-1.00と解釈されて、つまりクリップが1秒短くなります。
複数選択して、一気にクリップの長さを変えることもできます。
クリップの長さ、複数のクリップの長さ、もしくは特定の領域の長さを調べるには、イン点アウト点を打ってみてください。クリップの場合には、選択してからXを押してみてください。そうするとタイムラインビューワーの左上に、そのイン点アウト点の領域の長さが表示されます。
最後に
時短といえば、お隣のカットページもお勧めです。お時間ございましたら(時間を短縮する方法を紹介するためにまたお時間をいただくというのは奇妙な話ですが)、こちらの記事をどうぞ。
時は金なり 〜DaVinci Resolve 16でカットページを使う8つの理由〜
DaVinci Resovle 16では新しいページとして、カットページが追加されています。これまではDaVinci Resolveはエディット、Fusion、カラー、Fairlightという4...
シンプルに言うなら、DaVinci Resolveでいちばん早い編集の流れは、カットページで素材の確認とざっくりとした最初の編集、そこからエディットページで本格的な編集、というものだと思います。カットページとエディットページはどちらもはっきりとした特徴と得意な分野があります。だから両方使いこなせるようになれば、きっと作品の種類やプロジェクトの状況に応じて、最短のルートを見つけることができるようになるはずです。この機会に、スピードとクオリティを高い水準で両立できるDaVinci Resolveの編集機能を極めてみてください。
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