テキストレイヤー特論​【Adobe Day in Inter BEE 2019】After Effectsユーザー会

2020.01.15 (最終更新日: 2022.07.20)

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はじめに

Adobe Day in Inter BEE 2019でのセッションの様子をダイジェストでご紹介します。
この記事ではAfter Effectsユーザー会 村上 慎弥さんによる「テキストレイヤー特論​」をお届けします。「AEオフ」を開催している村上さんに、After Effectsのテキストレイヤーの使いこなしを教えていただきました。

登壇者

村上 慎弥(むらしん)
1985年生まれ。2015年に6年間務めたメーカー研究職を辞め、趣味が高じて使い続けていたAfterEffectsを武器に映像業界へ飛び込む。
AfterEffectsユーザなどを対象にした勉強会、もといエンターテイメントショーであるAEオフを2010年から毎年開催。新しい技術好き。

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イントロダクション

こんにちは。村上と申します。今回はテキストレイヤーについての話をさせていただきたいと思います。

まずは自己紹介です。
もともとAEを趣味でやっていて、映像業界に転職して大体5年目ぐらいになります。
もしかしたら、このアイコン見覚えある方はいるんじゃないかなと思うんですけど、AEオフっていうイベントの主催をやっています。

毎年1回開催しておりまして、左側のやつは去年のAEオフの写真、あとはスモーク炊いた印象的な過去回の写真など、勉強会というのは建前でエンターテイメントショーと僕らは言ってたりするんですが、こんな感じのイベントをやってます。
気になった方、VimeoとYouTubeにアーカイブがあるんでAEオフとかで検索してみてみてください。

AEオフアーカイブ(YouTube)はこちらから!

強力なテキストアニメーター機能

本題ですが、AEのテキストレイヤーって実は結構すごいです。
テキストレイヤーにあるアニメーターという機能がとても優秀でして、アニメーターの機能を使ったことがない人もすぐに使えるおすすめの方法があるのでまずはそれを紹介します。
メニューバーの「アニメーション」→「アニメーションプリセットを参照」から「Bridge」を立ち上げます。

例えばこれの「Text」→「Organic」っていうフォルダをクリックしましょう。
この中にあるアイコンをクリックするとアニメーションのプレビューが見れます。

AEのテキストレイヤーをアクティブにした状態でBridge内でアイコンをクリックすると、
選択したアニメーションプリセットが適用されます。
これAdobeが標準で用意している機能です。この方法ですぐにテキストにアニメーションを追加することができます。

テキスト1文字ずつバラバラに動かすこともこの方法で簡単にできます。

複数のレイヤーの制御がレイヤー1枚でできる

これはテキストレイヤーのテキストアニメーターの機能で3次元的に位置を押し出していますが・・・・
実質1枚のレイヤーで多数のレイヤーを制御しているのとほとんど同じことになります。

他の3Dレイヤーともちゃんと干渉して、前後関係が正しく計算されてるんですよ。
こんな機能がある他のソフトでは見ないんじゃないかと。

このように紹介した通りAfter Effectsのテキストレイヤーはすごい。
テキストアニメーター機能はとても強力です。
レイヤー1枚で実質複数のレイヤーを制御することができます。

テキスアニメーターの機能

テキストアニメーターには大きく2つの機能があります。
アニメータープロパティは、テキスト1個ごとにどういう変化をつけるか選択できます。トランスフォームのパラメーター、文字の行間、ブラーや文字コードなどの変化を追加できます。

テキストセレクターでは、アニメータプロパティでつけた変化に対して変化量の調整を行うことができます。1番オーソドックスなのは、範囲セレクターです。他にランダムで変化量を変えることができるウィグリーセレクター。上級者向けのエクスプレッションが使えるエクスプレッションセレクターがあります。

テキストアニメーターの使い方を実践


これがアニメーターを適用した初期の画面なんですけども、
なんかパラメーター多くないですか?
プロパティがちょっとよく分からないですよね。
そもそも、この高度って何? みたいな。

最初触れた時、高度っていうのがちょっと直感的に理解できなかったり、結構敷居が高いと思います。

アニメーターを使いこなせるようになるため、これだけぜひ覚えてってください。
上へ傾斜”です。
実際やってみますね。
こちら、何もアニメーターがかかってないテキストがありますね。
ここにアニメーターを追加します。


動きが分かりやすい位置のプロパティを追加しましょう。
アニメータープロパティを適用すると、位置のプロパティと範囲セレクターっていうものが自動的に1個つきます。
範囲セレクター内の高度のプロパティのツリーを開くとシェイプというプロパティがあるので、これを”上へ傾斜”に選択します。
ここまでできれば、皆さんテキストアニメーターを使えたようなものです。
追加した位置のアニメータープロパティの値を調整して文字が上に変化するようにしてみます。文字列が右にいくほどその名の通り上に傾斜してきましたね。
そして、この範囲セレクターにはオフセットというプロパティがあるのでこれを変化させると文字列が1文字づつ上下に変化します。


これを図式してみます。

シェイプの「上に傾斜」はこの下の赤線のグラフを表しています。
オフセットのプロパティを変化させると、グラフ全体が左右にずれます。
開始と終了というプロパティを変えると、グラフの傾斜が付いている範囲を調整しているということになります。
シェイプのプロパティは、この下のグラフの大本の形状のことを表しています。
経験上テキストレイヤーアニメーターの機能でインアニメーションを作ることが多いのですが、シェイプの「上に傾斜」はインアニメーションを作るのにとっても向いているんです。

このテキストレイヤーにさらに不透明度のプロパティを追加します。

今は、不透明度がテキスト全体にかかっているので、
不透明度0にすれば全てのテキストの不透明度が0になります。

オフセットを動かすと、上から1文字づつテキストが出現するインアニメーションの完成です。
複雑なアニメーションもこの応用です。この操作を覚えればテキストアニメーターを使いこなせるかと思います。
他にもイージングプロパティなど緩急をつけるようなプロパティや、弾ませるような動きを付けるのに向いているシェイプのプロパティなどがあります。

こういった複雑なアニメーションも、先ほどのインアニメーションを組み合わせるだけで、簡単にできます。
これはアニメーターが4つ組み合わせてできています。1つのアニメーターは先ほどの応用で縦、もしくは横方向の位置から戻る動きがついています。
バラバラな移動量で文字のインが始まるのはウィグリーセレクターを追加することでできます。

あとは4つのアニメーターの時間をずらして横方向、縦方向の動きを重ねてることで、複雑なアニメーションを作ることができます。
単純な動きのアニメーターを組み合わせればこのように複雑な動きを生み出すことも簡単にできます。テキストアニメーターってすごいでしょう?

テキストレイヤーを文字以外に使う

 また、テキストレイヤー別に文字として使わなくていいんですよね。

例えばこの動いてる図形、テキストレイヤーには丸いマスクパスが設定されてるんですが。

テキストレイヤーマスクを指定できるプロパティがあります。
このプロパティにテキストレイヤー上に追加したマスクを指定することでマスク上に沿ってテキストが配置されます。
●とか✖など図形のテキスト並べ、アニメーターでランダムな位置の動きを追加することで、パーティクルのような表現が簡単にできます。

後ろのこの模様も実はテキストアニメーターで。
♦や♠といったトランプの柄を表示させています。

集中線をテキストレイヤーで作る

これは面白いなと思ったネタなんですが、テキストアニメーターで集中線ができるんですよ。

円形状のマスクの縦棒のテキストいっぱい配置します。
これウィグリーで揺らすと集中線ができます。
テキストレイヤーではこんなアイデア勝負もできたりします。

エクスプレッションの活用

After EffectsのCC2019以降からJavaScriptが使えるようになりまして、
ソーステキストに”text.sourceText.repeat(任意の整数)”とエクスプレッションを追加すると、
指定した数だけ元のテキストを増殖することができます。
先程の集中線の表現は” | ”をコピペで連打して入力してたんですが、
このエクスプレッションで簡単に文字を増やすことができるんで、ぜひとも使ってみてください。

上級編:文字コード を変更してアニメーションを作る

上級編というか、最近個人的に使えないかなぁと研究してる内容になります。
アニメータの文字コードプロパティでは、
テキスト文字の内容自体を変えることができます。
こちらはその応用パターンになります。

インのアニメーションは、文字コードで元のテキストを四角い文字に置き換えるアニメーションをいれています。
文字コードをつかうことでこのような面白いモーショングラフィックスができます。
次に別の応用パターンをお見せします。

なんでこれアニメーションしてるの?と疑問もでるかと思いますが、これもテキストレイヤーなんです。
フォントデータにアニメーションのシェイプを埋め込んであって、
テキストアニメーターの文字コードで1文字づつアニメーションするように調整してあげることで、このような煙がでる表現になっています。
インアニメーションにプラスしてさらに効果エフェクトのアニメーションをこの方法で追加することで、
手軽にリッチな表現ができないかと最近研究しています。

今回はざっくばらんにテキストアニメーターの良いところを紹介してみました。
ぜひともテキストレイヤーの機能をどんどん使ってみてください。
それでは、ご静聴ありがとうございました。

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