DaVinci Resolveには50種類以上にも及ぶResolveFXが搭載されています。ResolveFXは標準搭載されているエフェクトで、追加のプラグインを入れなくても誰でも簡単に使えるツールです。従来は凝ったことをするには有償のプラグインを購入しないといけませんでしたが、今ではもうそのような必要性はほとんどありません。DaVinci Resolveが標準でたくさんの映像エフェクトを持っているからです。この記事ではその数多くのResolveFXから、よりすぐったものをご紹介します。
ResolveFXは、エディットページ、Fusionページ、カラーページのどこでも適用できます。
一つひとつのクリップに載せていくのが面倒だという場合には、調整クリップに載せてしまいましょう。これで適用範囲を自由に変えることもできます。使い方は、エフェクトライブラリの「エフェクト」のタブから調整クリップを選んで、それをタイムラインにドラッグ&ドロップするだけです。
この調整クリップには映像データは入っていませんが、そこにResolveFXを放り込んで、その調整クリップの下にある画像にエフェクトとして適用できます。調整クリップの長さを変えれば、適用時間を変えられますし、調整クリップの上に映像クリップを置けば、その映像クリップは調整クリップの影響を受けません。
ResolveFXはちゃんとキーフレームにも対応しています。
カラースペース変換
Resolve Color Managementは、プロジェクト単位でカラースペースとガンマを変換するための機能ですが、これをクリップ単位で実施するのがカラースペース変換です。内容はカラーマネジメントと変わりありませんが、個別に適用できるのでちょうどLUTと同じような感覚で使用できます。この機能を使えば、LUTの問題点は回避できます。
LUTの問題点、Resolve Color Managementの利点についてはこちらの記事をご覧ください。
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色順応
色温度の正確な変換ができます。日本でまだ使用されている9300Kの色温度に、6500Kから一発で変更することもできます。
シャープ
DaVinci Resolveには多くのシャープネス関連ツールがありますが、その中でこのResolveFXに辿りつく人は少ないかもしれません。しかしこれを見つけた人はなかなかシャープな目の付けどころを持っていると言えるでしょう。このResolveFXでは、画像の中のディテールに応じてシャープネスの度合いを変えることができます。ディテールの細かいところをよりシャープにしたりすることができます。
カラーパレット
映像の主要な色成分がどのようなものか教えてくれる機能です。実際の作品に使うというよりは、ルックを分析するときに使われます。先日事例に取り上げられた『フォードvsフェラーリ』でやってみましょう。
ビネット
四隅に黒を入れる機能です。上下に黒いフチを入れるのと並んで、簡単だけどすぐにシネマティックなルックにできる方法の一つですね。これまではカラーページでパワーウィンドウを使ってビネットを入れることが多かったですが、今ではこのResolveFXでもっと手早く同じことができます。
アナログダメージ
作品によっては古めのルックが要求され、過去のテレビで見ていたような映像が求められることがあります。そんなときにはアナログダメージを使ってみてください。多くのパラメーターを搭載した便利なツールであるのと同時に、用がなくても遊ぶと楽しいツールの一つでもあります。
この記事で詳しく解説しています。
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フィルムグレイン
これもカラーグレーディングでしょっちゅう使われるツールです。作品によっては、フィルムっぽいルックを作るために、わざとノイズを載せることがあります。撮影のときには蛇蝎のごとく嫌われるノイズですが、ポスプロでは作品を豊かにするためにノイズをつけることもあります。広義では同じノイズなんですが、それはそれ、これはこれ、という感じですね。わりと細かくフィルムのタイプを変更して、リアルなフィルムグレインを載せることができます。
ブラー
ResolveFXには多種多様なブラーが用意されています。いちばんスタンダードなブラーはガウスブラーですが、そのほかにもいろんなフレイバーを用意しています。邪魔なものをモザイクでぼかしたいときにはモザイクブラー、画面の上下でボケ感を変えたいときにはティルトシフトブラー、という感じで、状況や方向性に応じてお好みのものをご選択ください。
アパーチャー回折
この名前はちょっとわかりにくいですが、ヘッドライトなどの強い光源の光を拡散させる機能です。もしもっと良い名前のアイディアがありましたらコメント欄で教えてください。
グロー
編集ソフトにはよくついているエフェクトです。明るい箇所をさらにリッチに輝かせることができます。
レンズフレア
リアルなレンズフレアを追加します。70年代SF風、ヘッドライト風など、使いやすいプリセットも用意されています。J・J・エイブラムスが喜ぶレンズフレアも(たぶん)作れます。
レンズ反射
レンズフレアが固定されたフレアエフェクトだとすると、レンズ反射は動くフレアエフェクトです。このエフェクトを使うと、ハイライト部分の移動と連動してフレアが動きます。
パッチリプレイサー
映像の中に存在して欲しくないものを、映像の他の場所の画像を利用して隠してしまう機能です。いわゆるバレ消しと呼ばれるものです。Fusionではもっと細かく、もっと自在にバレ消しができますが、いきなりFusionでやるのは大変なのでまずはこのパッチリプレイサーを使ってみてください。
フリッカー除去
リバイバル関連のResolveFXのひとつ。撮影ミスで現れてしまったフリッカーを驚くほど簡単に除去できます。
ビューティー
顔のディテールをぼかしてビューティールックを作ります。端的にいうなら美肌効果です。パラメーターが少ない分、すごく短い時間である程度のクオリティの美肌をもたらすことができます。
フェイス修正
ResolveFXの人気機能。AIが顔を検出して、目、口、頬、などの各セクションを個別に調整できます。
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