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テープに書き出す、テープから取り込む方法【DaVinci Resolve質問箱】

2020.02.04 (最終更新日: 2020.02.04)

DaVinci Resolveはテープ書き出し、テープ取り込みの機能を持っています。あまり目立たないですが、ちゃんとHDCAMやXDCAMと接続して、ファイルベースではなく信号ベースでデッキとのやりとりができます。この記事では、DaVinci Resolveを使用したテープベースワークフローについてご紹介します。

この記事の対象がマニアックなものであることは論を俟ちません。「テープってなんのこと? HDCAMって?」という方はこの記事のことは忘れてください。ポータブルMDプレイヤーの使い方と同じように、たとえ知らなくてもなんの実害もありません。


(写真はイメージです)

用意するもの

DaVinci Resolveでのテープ編集のためにはDeckLink、UltraStudioといったI/Oデバイスが必要となります。SDIがあって、RS-422を搭載した製品としてはこんなものがあります。

DeckLink SDI 4K
DeckLink Studio 4K
DeckLink 4K Extreme 12G
UltraStudio HD Mini
UltraStudio 4K Mini
UltraStudio 4K Extreme

マザーボードに挿し込むPCIeタイプならDeckLink SDI 4K(¥33,980)、ラップトップにThunderbolt 3で接続する外付けタイプならUltraStudio HD Mini(¥56,980)が一番安価な選択肢です。


これらのI/OデバイスはDesktop Videoというドライバで動作します。Deskop Videoドライバをサポートページからダウンロードしましょう。Desktop Videoドライバで製品が認識されていれば、Desktop Video Setupでこのように表示されます。

Desktop Video Setupの中の設定は細かく確認する必要はありません。ただ一点、入力ポートのところだけをチェックしておきましょう。テープデッキとの接続なのでSDIを選びます。

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接続

テープデッキとI/Oデバイスは、SDIで接続します。デッキからI/Oデバイス、I/Oデバイスからデッキという具合に、2本のSDIで入出力をつなぎます。テープを制御するために、RS-422(いわゆる9ピン)も接続する必要があります。

UltraStudio HD Miniの裏側はこんな感じ。

HDCAMの裏側はこんな感じ。

テープデッキを制御する際には、テープデッキ側で「リモート」のボタンを押しておくのをお忘れなく。

DaVinci Resolveの設定

DaVinci Resolveでは、まずI/Oデバイスが認識されるようにしておく必要があります。環境設定で、「キャプチャー・再生用」の項目でI/Oデバイスを選んでおきます。ここの設定を変更したら、DaVinci Resolveを再起動してください。DaVinci Resolveのアプリを再起動しないと、環境設定のここの項目は反映されません。

プロジェクト設定側も重要です。2つの箇所で、ビデオフォーマットを正しく選択する必要があります。「マスター設定」と「キャプチャー・再生」のタブで、今回使用する解像度、フレームレートを選びます。多くのケースにおいて、ここは1080i59.94が正解です。


テープに書き出す

デリバーページに移動します。左上の「テープ」のタブを押します。もしここでエラーメッセージが表示される場合には、SDIやRS-422が正しい接続ができていない可能性が高いです。上の「接続」のセクションを再度チェックしてみてください。

テープの書き出しの方法は、インサート、アセンブル、クラッシュの3種類があります。テープ書き出しモードのプレビュー画面の右上で、書き出し方法を選択できます。

2種類しか出ていないという方もご安心を。そういう仕様になっています。左側の設定セクションで、「ソースタイムコードを出力」を有効にすると、選択肢がAssemble、Crashになり、「ソースタイムコードを出力」を無効にすると、選択肢はInsert、Assembleになります。

この3種類のうち、いちばんよく使われるモードはインサートではないでしょうか。テープにビデオとオーディオを書き込み、タイムコードはテープにあらかじめ存在するものを使用します。

インサート、アセンブル、クラッシュの違いについては、Yamaqさんの記事が詳しくて、しかもわかりやすいです。

インサート書き出しをする際には、イン点にテープの書き出し開始タイムコードを打ち込みます。あとは左下の「パワーマスタリング」を押してください。いつものファイル書き出しと同じように、右側のレンダーキューにジョブが追加されます。

書き出しを開始するには、ジョブをクリックして、下の「記録を開始」ボタンを押します。あとはDaVinci Resolveが勝手にテープへ書き出す作業をやってくれます。

テープから取り込む

今度はキャプチャのお話です。テープからの取り込みは、メディアページを使います。右上の「キャプチャ」タブを押します。

キャプチャしたいイン点、アウト点のタイムコードを入力してから、キャプチャのセクションの一番下にある「指定キャプチャ」をクリックします。

実際にうまくいくの?

せっかくなのでうちでテストしてみました。条件は次の通りです。

HDCAM HDW-D1800
macOS 10.15.3
MacBook Pro 2018
UltraStudio HD Mini / UltraStudio 4K Extreme
DaVinci Resolve 16.1.2
Desktop Video 11.4.1

インサート書き出しとキャプチャを試してみましたが、うまくいきました。問題はありません。作業が途中で止まることもなく、オーディオが書き込まれないということもなく、イン点もアウト点もずれることはありませんでした。

ほかの編集ソフト上でのテープ書き出しが安定しないという話を耳にすることがありますが、今回検証したかぎりでは、DaVinci Resolveでのテープ書き出し、テープ取り込みは十分安定しているように見受けられます。テープベースのワークフローを使用されていて、精度の問題や頻発するトラブルに苦しんでいる方は、この機会にDaVinci Resolveをメインの編集ソフトとして使うことを検討されてはいかがでしょうか。

なお今回の検証ではフォトロン様からHDW-D1800をお借りしました。ありがとうございました。

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