編集作業が終わりMA作業に持ち込む際によく使う「OMF」ファイル。いざ、このOMFファイルをMAに出す時、設定は色々とあるけれど、どれが正解かわからないということはありませんか?
実はこのOMFファイルの設定を理解するしないでは、その後の作業に大きく影響が出てくる部分でもあるんです。そこで今回は改めてPremiere Proから書き出す際に知っておくべき5つの設定とオススメ設定を紹介したいと思います。
1、そもそもOMFって何?
そもそもよく、OMFファイルと連呼していますが正式名称を知っていますか?
OMFは「Open Media Framework 」の略で、Media Composerなど編集ソフトでも有名なAVID社が開発した異なるDAWシステムやビデオ編集システム間でオーディオ/ビデオ情報をやり取りするためのファイルフォーマットです。拡張子は「.omf」が使用されるため、一般的にはOMFファイルと呼ばれています。
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2、OMFで書き出してみる
さて、いざOMFファイルを書き出そうと思ったとき、意外と書き出し方がわからないことがあります。また、いろいろな設定を求められるため、設定の仕方も迷うのではないでしょうか。
まず書き出し方から説明します。
書き出しの手順
手順はいたってシンプルで、以下の手順で書き出すことができます。
書き出す際に気を付けたいのが設定です。以下から設定しなければならないことについて詳しく説明します。
設定しなければいけないことその1: サンプルレート
まずはサンプルレートを設定します。サンプルレートとは、音をアナログ信号からデジタル信号にする時、一秒間に何回変換されているかを表す指数のこと です。例えば44,100Hzは1秒間の音の中に44,100回のデジタル音サンプリングが並んでいるというイメージです。
このサンプルレートがの値が高ければ高いほど音も滑らかになります。つまり、44,100Hzよりも48,000Hzの方が滑らかに音が聞こえるということ。
では、一般的なサンプルレートの値はいくつのか?主に次の2つになります。
- 48kHz=48000Hz
- 96kHz=96000Hz
映像業界では基本的に48kHzにする事がほとんどです。 人間の可聴域が低い音で20Hz、高い音で20kHzとなるのでその倍数(両耳という感じ)の40kHz(40000)でも範囲内となるため、CD音源などは44,100Hzが多いです。
44.1kHzと96kHzでは録音できる周波数の上限が約2倍違い、数値が高いほど高い周波数の音を良く収録できます。そのためアコースティック楽器などの収録では、96kHzの方がより高音が綺麗に録音できる と言われています。一般的な映像作品では周波数をそこまで高くする必要がないことが多いので、48kHzで設定している人が多いです。
サンプルレートについて詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。
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設定しなければいけないことその2: サンプルビット数
次にサンプルビットの設定をします。
ビットレートとは1秒間に送受信できるデータ量のこと。単位はbps(Bit Per Second)で、1秒間に何ビット転送できるか、この単位で示します。
つまり1bpsなら1秒間に1ビットのデータ、10bpsなら1秒間に10ビットのデータが転送できるということです。
ビットレートは解像度によって適正基準値があるため、映像が何のメディアで再生されるかを考慮して書き出す値を決めましょう。
サンプルビット数はさらに、分割した1つ1つのデータにどれだけの容量を与えるかを決めるものです。
一般的には以下に設定しておくことが多いです。
- 16bit
- 24bit
参考
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設定しなければいけないことその3: ファイルの種類を選ぶ
サンプリングレートとサンプルビット数を決めたら、次はファイルの種類を以下の2種類から選ぶ必要があります。
- 一つのファイル(オーディオを埋め込む)
- 個別のオーディオ
一つのファイル
この設定を選ぶと、音声データをまるっと1 つの OMF ファイルに書き出してくれます。ファイルサイズは大きいですが、持ち運びには便利です。
個別のオーディオ
この設定を選ぶと個別のモノラル AIF ファイルが _omfiMediaFiles フォルダーに書き出されます。Premiereは書き出せるデータ容量が2GBまでと決まっています。データが大きすぎる際、個別に書き出せるこちらの設定を使うことがありますが、業界的にまず使用しません。使用を考える場合は事前に各MAに相談しましょう。
設定しなければいけないことその4: レンダリング
次に設定をするのがレンダリングです。レンダリングメニューから次のどちらかを選択します。
- オーディオファイル全体をコピー
- オーディオファイルをトリミング
オーディオファイル全体をコピー
この設定を選ぶと、オーディオトラックで使われているクリップの素材全部が使われていない部分もすべてコピーされます。
オーディオファイルをトリミング
この設定は、全体をコピーとは逆で、使用している素材部分のみが切り取られて保存されます。
ファイルの容量にもかかわってくるため、「オーディオファイルをトリミング」を選ぶ方が多いでしょう。
設定しなければいけないことその5: 予備フレーム
次に設定するのが「予備フレーム」です。
動画をトリミングすると、動画の前後に使われない部分が発生します。この部分のことを「予備フレーム」と呼びます。トランジションはこの予備フレームを使って設定するため、余裕をもって設定するといいでしょう。だいたい3秒(90フレーム)くらいあると良いですが、ファイルを提出するポスプロなどにあらかじめ確認しておくと良いです。
設定しなければいけないことその6: パンを含める
最後に「パンを含める」の設定をします。
パンとは音が聴こえる位置を意味していて、日本語では「定位」と呼ばれます。
この設定は各社で使用するProToolsにインポートする際の設定に依存するためチェックはいれなくても大きな影響はないでしょう。
3、おすすめ設定
詳しく説明してきましたが、OMFファイルを書き出すときのおすすめ設定をまとめます。
大体以下のように設定するとあまり困らないでしょう。
- サンプルレート = 48000
- サンプルビット = 16
- ファイル = オーディオを埋め込む
- レンダリング = オーディオをトリミング
- 予備フレーム = 90
- パンを含めるはどちらでも(読み込み側の設定次第)
4、注意したい3つのこと
ここからはOMFファイルを書き出す際に注意したい3つのことについて解説します。
1.ファイル名
書き出すファイル名は日本語(2バイト文字)にしないでください。文字化けの原因になります。ファイル名は英語表記がおすすめです。
2.データ容量
OMFファイルはファイル制限が2GBとなっています。 シーケンスのデュレーションが長尺だったり、オーディオトラック数が多い場合は分割して書き出す必要があります。ただし、トラックを分けるか、ブロックを分けるかは各MAで異なるので事前に確認しましょう。
3.ミュート(Premiere Proの場合)
オーディオをミュートしたり非アクティブにしてもOMFの書き出しには含められるので注意しましょう。またクリップが無効(有効のチェックが外れている)の場合は逆にOMFに埋め込まれません。
まとめ
OMFファイルの書き出しについて解説しました。設定内容をきちんと理解しておくことで迷わず設定できるようになります。OMFを理解して快適な編集生活を送りましょう^^
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ヤマダイ @ymrun_jp@yamadai
映像講師。 2017年11月よりAdobe Community Evangelist。 Premeire Pro/After Effectsなどを触る生活。 日々モーションを考えるサイトを運営 https://everydayskillshare.jp...
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