現在、ブラックマジックデザインでは定期的にATEM Mini、ATEM Mini Pro(以下、ATEM Miniとまとめて呼びます)をご購入された方を対象として、定期的に無償でATEM Miniのトレーニングセッションを開催しています。すでに2回開催してのべ100名を超える方々にご参加いただいていますが、そこでユーザーの皆さんとお話しする中で、一部の機能や使い方があまり知られていないのでもっと積極的に広めた方がいいことに気づかされました。というわけで、今回はその第一弾として、PinP(ワイプ)関連のFAQをご紹介します。
PinPはカメラ1でしか使えない?
ATEM Miniの本体でPicture in PictureのボタンをOnにすると、HDMI 1に入っているカメラの映像がPinPされます。ATEM Miniのハードウェア自体にはこのHDMI 1以外の入力を選択する機能がないので、一部の方はもしかしてHDMI 1しかPinPはできないのではないかと誤解されているようです。
ATEM Software Controlを使用すればHDMI 1以外の入力をPinPの素材として使用できます。ATEM Software Controlのスイッチャーのタブの右側で、パレット→アップストリームキー1→DVEと進んでください。これがPinPの設定です。このフィルソースというところで別の入力を選ぶと、その素材がPinPのボックスの入力として使用されます。
PinPはサイズや位置が変えられない?
これもよくある誤解ですね。ATEM Miniの本体では4つのプリセットの中からサイズと位置を変えますが、上と同じ場所で位置とサイズが変更できます。下の図のような分割画面も作れます。ただし本体のATEM Miniの4つのプリセットボタンのいずれかを押すとリセットされてしまうのでご注意を。
ちなみに「回転」という項目がグレーアウトしていますが、これは異常ではありません。この機能はATEMの上位機種で有効になっている機能です。ATEM Software ControlはATEM MiniからATEM Contellation 8KまでのすべてのATEMスイッチャーに対応しているので、機種によって対応していない機能はグレーアウトします。
ついでに言うと、オーディオのタブのこのあたりもATEM Miniでは使えない機能です。だからグレーアウトしています。あまりお気になさらず。
iPhoneを合成できる?
できます。iPhoneをそのままPinPとして使うと、両端に黒が入ってしまうのですが、下の画像にあるように「マスク」という項目で左右上下をクロップできます。切り落とすことができます。あとは位置とサイズを調整すれば完璧ですね。
ボーダーを入れられる?
入れられます。その名のとおり「ボーダー」というセクションを使ってみてください。
丸ワイプは作れる?
はい。この場合、アップストリームキーのDVEではなくパターンのタブを使います。パターンキーですね。パターンキーのセクションの下の方にフライキーという項目があるので、そこを有効にしてみてください。そうすると自分で決めたシェイプの画像を好きなサイズと位置で配置できます。
たまにDVEのセクションが使えないことがあるのはなぜ?
ときとしてに本体のPicture in PictureのボタンをOnにしても有効にならなかったり、ATEM Software ControlのDVEのタブをクリックしても選択できなかったりすることがあります。これは故障ではありません。ATEM MiniにはDVE(Digital Video Effect)という機能を使ってPinPを作るのですが、じつはこのDVEはトランジションにも使われています。プッシュやスクイーズといった凝ったトランジションを使うためには、このDVEが使われます。そしてATEM MiniにはDVEは1つしかありません。だからトランジションでDVEを使うとPinPは使えなくなるし、PinPを使っているとトランジションが使えなくなるわけです。
PinPがうまく機能しないぞ、と思ったら、まずはトランジションでDVEが使われていないか疑ってみてください。ATEM Software Controlでは、下の図のようにDVEのボタンが黄色くなっているとトランジションのためにDVEが使われていることを示しています。だからその横のMIX、DIP、WIPEのいずれかを選び直せば、貴重な一つのDVEが空くので、PinPが使えるようになります。これはフライキーの場合も同じです。フライキーもDVEを使うので、パターンキーの中のフライキーをオンにしていると、トランジションでDVEのボタンは選べなくなります。
ちょっと複雑ですが、まあ理屈を一から説明するとそういうことになります。
これまでの設定をすべて記憶できる?
はい、できます。アップストリームキーのセクションの一番下にキーフレームという項目があり、ここで「Aを設定」「Bを設定」と選ぶと、最大2つのPinP設定を記憶させられます。
2点を記憶させられるだけではありません。これらのキーフレームを使ってアニメーションを伴うエフェクトを作ることもできます。このDVEエフェクトの豊富さもATEMの大きな魅力の一つです。
電源起動時の状態を決めることはできる?
できます。せっかくいろんな設定を決めたのに、電源を抜き差ししたら最初に戻ってしまうのはよくありません。今の状態を電源起動時の状態にしたい場合には、「起動時の状態を保存」を選択してください。これで今の状態が初期状態として記憶されます。
PinPを2個使いたい!
ATEM Miniに入っているDVEは1つのみです。だからPinPは1つしか使えません。2つPinPが欲しい場合には、ATEM Miniをもう1個導入するという簡単な解決法をお勧めします。
最初に記事を書いたときには存在しませんでしたが、ATEM Mini Extremeと
ATEM Mini Extreme ISOがその後リリースされています。こちらを使えばPinPは2つどころか、最大6つまで使えます。
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