続・役者のための制作ノート「ハリウッドでのオーディションの流れ」

続・役者のための制作ノート

前回、『役者のための制作ノート「ハリウッドの役者業を体験して」』と称して、TVドラマシリーズ「Heroes Reborn - ヒーローズ・リボーン」にて出演、活躍された内門徹(ウチカド トオル)くんから話を聞かせてもらう事が出来ました。彼の出演シーンをまとめた動画はこちらから見ることが出来ます。(字幕が無いのでご了承ください)

今回も引き続いて、ハリウッドでのオーディションの流れについて話を聞き、自分なりの分析があれば追記しながらまとめてみたので読んでみてください。

仕事のオファーを受けるための試練

オーディションにたどり着くまでが大変


オーディションに訪れた際の写真 / 提供 内門徹

内門:テレビの場合、まずこのオーディションにたどり着くまで大変。その理由の一つとしてまず事務所 (エージェンシー "Agency"とも呼ばれる)に所属していないといけない。

内門:なぜならテレビや映画のオーディション情報は、基本的に、事務所の人など業界関係者しか見れないから。日本人の場合、これ以前にさらにVISA(就労ビザ)を取得する厳しいステップがあるんだけど、これは製作側の方には特に関係ない話なので省略するね。

事務所とマネジメント

内門:業界向けのサイトで色々なプロジェクトの役が公募(非公開)されるんだけど、それを見たマネージャー [Manager]や事務所 [Agency]が、「ウチにこんな役者がいて、役にぴったりです!是非オーディションに呼んでください!」と担当の”キャスティングディレクター(オーディションの責任者)”に推薦する。

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鎌田:補足ですが、事務所とマネジメントの違いがとても大事なので追記させて頂きます。

タレントエージェント(事務所)

  • 労働組合「SAG-AFTRA(サグ-アフトラ)」とフランチャイズ契約(1)*した事務所でなければならない。
  • 人材派遣会社としての業務許可(ライセンス)が国から譲渡されなければならない。
  • 所属しているタレントの営業と、タレントの業務契約の交渉をするのがエージェントの主な仕事。
  • コミッション料(2)*は10%と法律で決められている。
  • マネージャーよりも影響力が大きい場合がほとんど。

(1)* フランチャイズ契約
営業権利の契約の事。この場合、SAG-AFTRA組合に登録しているタレントの営利目的の営業をする権利を事務所に付与するための契約の事。
(2)* コミッション料(Commission Fee)
エージェント経由で仕事が成立した場合に発生するエージェントの報酬

マネジメント

タレントはマネージャーとマネジメント契約をする場合がある。マネジメント契約は、エージェントとは結ぶ契約とは違う。マネジメント契約を交わす相手は、

  • 労働組合「SAG-AFTRA(サグ-アフトラ)」にフランチャイズ契約する必要が無い。
  • 人材派遣会社としての業務許可(ライセンス)が必要無い。
  • タレントのキャリアのアドバイスや仕事の方向性などのカンセリングが主な仕事であるべき。
  • タレントのために営業も出来るが、カリフォルニアとニューヨークでは、法律上は事務所しか営業は出来ない。
  • コミッション料は10-15%とエージェントよりも高い場合が多い。
  • エージェントほどの業界でのアクセスは持っていない。
  • SAG-AFTRAが認めていない事務所や個人。そのために契約履行をする以前に、弁護士のサポートを受ける事をSAG-AFTRAが公式に推奨している。

良き事務所(エージェンシー)と契約を結ぶ事。それが役者として就労ビザを取った次の関門でもあるかと思います。ちなみに、事務所にはタレント事務所とリテラリー事務所(Literary Agency)という2種類があります。タレント事務所は名前の通りですが、リテラリー事務所は、映画監督や脚本家などのクリエーターと呼ばれる人々の人材派遣をする事が出来る事務所の事です。
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インタビューに話を戻します。

一次オーディションに必要な書類


ヘッドショット(左)とレジュメ(右)は通常ホッチキスで両面ページになっている / 参照元:Fidella Grace You-Tube Channel

レジュメとヘッドショットは基本

  1. レジュメ = 履歴書
  2. ヘッドショット = 顔写真(日本でいう宣材写真)、裏には過去に参加したプロジェクトや特技、身体の特徴などが書かれている1枚紙
  3. デモリール(Demo Reel)= 演技のサンプル映像


俳優 内門徹 / 参照元:Tokyo Weekender

複数のデモリールを持つ。尺は短い方が良い。

内門:ちなみにレジュメとヘッドショット以外に、演技を見る事が出来るデモリールも必須。自分の場合、事務所(エージェンシー)やマネージャーがキャスティングディレクターに推薦しやすいように、作品に合わせてドラマ、コメディ、アクションなど1分程のデモリールをキャスティング用サイトに複数アップしてる。3分程のデモリールがメジャーだけど、キャスティングディレクターは絶対3分も見ない。ドラマの役のためにデモリールを出した際、最初の1分のコメディシーンしか見てもらえなかったら、かなりもったいない。用途に分けて使えるように、デモリールは複数に分けて持っておくのが賢いと思う。

キャスティングする側の立場で考える。

内門:しっかりキャスティングする側の立場になって考えている役者の方が、オーディションに呼ばれる可能性は増える。デモリールは自分で書いて友達と撮影して作ってしまうのも一つの手。学生映画・インディーズ映画に参加してデモリールに使う素材をゲットするのも手ではあるが、時間がかかる。せっかく、オーディションに受かって役が取れて撮影しても、なかなか完成までたどり着かない作品も多いからね。

自分にはどんなオファーが来る可能性があるか、そこから逆算

内門:実際に自分にキャスティングのオファーが入りそうな役を考えてシーンを自分で書いて、撮って、編集までするのが一番効率が良いと思う。特に、ハリウッドで日本人が活動する場合、この自分でアイディアを考えて、書いて、編集するというのは大事なスキルになる。そこまで多いチャンスに恵まれない中、待っているだけじゃあっという間に時が過ぎていくし、何も始まらないからね。ヘッドショットも同じで、自分に合った役柄を考えてみる。ビジネスルック、コメディルック、ギャング(ヤクザ)ルックみたいに色々持っていた方が良い。そこまでやって初めて努力が実ると思う。キャスティングディレクターに興味を持ってもらう事で、初めて一次オーディションにたどり着けるからね。

一次オーディション、その先

二次選考 ー コールバック

内門:一次オーディションの中で選ばれた人たちが、コールバックオーディション(Call Back Audition)という二次選考に進む。これにはディレクターだったりプロデューサーだったりが参加するため、プロデューサー/ディレクター・セッション(Producer-Director Session)とかプロデューサー・コールバック(Producer Call Back)と呼ばれたりすることもある。

最後の難関 ー ネットワークテスト / スクリーンテスト

内門:インディーズの小さいプロジェクトのオーディションだったら、ここらへんが最終段階になると思うんだけど、テレビのレギュラーや準レギュラーの場合、この後にキャスティングと制作会社のほうで選んだ役者を、ネットワーク(テレビ局)につれていき、そこでネットワークのお偉いさん達が見ている中で、もう一度演技をするネットワークテストというものをやる。

内門:映画の最終選考も、似たようなもので、スクリーンテストと呼ばれるものだと思う。これが最後の難関。この時、相手役の役者さんだったりも呼ばれるため、ケミストリー リード(“Chemistry Read”)という形で役者同士での相性をみることが多い。ただ自分の場合、ヒーローズの時はラッキーなことに、この最後の段階を踏む前にネットワークからオッケーが出たため、今のところその緊張を味わったことが無い。考えるだけでちょっと緊張する。。。

シーズン

鎌田:TVオーディションは1-3月にかけて多くなります。これはパイロットシーズンと呼ばれるもので、各ネットワークが新しいTVドラマ作品のパイロット(第一話)を作る時期のこと。その中でも面白い作品が実際にシリーズ化まで漕ぎ付けるというもので、予算のあるテレビ会社のパイロット数が多いシーズンなのでパイロットシーズンと呼ばれます。(もちろん作品はお蔵入り作品もあります。)ただ内門くんによると、NETFLIXやAMAZONなどのオリジナルコンテンツの様な最初からSVODでの放送作品はシーズンと言うものは無いのだそうです。

役者としての今後の展望

VOOKのクリエーターを通じて、日本での制作にも積極的に関わっていきたい。

内門:ヒーローズもとりあえず終わって、現在は、ウェブシリーズで殺し屋を演じているんだけど、まだまだ役者としての経験が全然足りないので、とにかくもっと色んな作品に関わって現場で経験を積みたい。まだ若いうちに、今しかできない若さ溢れる青春ものとかやってみたい。

ハリウッドは、正直な話、日本人にとって簡単に成功できる場所ではない。でも、決して無理ではないと思ってる。こつこつ自分を磨いて頑張りたい。

ちなみに、米国拠点で活動しているけど、日本にもよく帰るので、是非VOOKのクリエーターともコラボしてみたい。普段から、鎌田君の記事を中心に色々読ませてもらってる。日本の事務所に所属していないのもあって、実は日本での撮影経験が一度もないのです。皆様お気軽にお声がけしてください!ぜひ、一緒に作品作りましょう!

まとめ

以上、オーディションにたどり着くまでの課題、オーディションに向けての準備、一次選考が通った後の流れが分かりました。この制作ノートが少しでも多くのハリウッドを目指す役者の手助けになる事を願います。今回インタビューを快く引き受けてくれた内門徹くん、どうもありがとうございましたっ!これからも俳優業頑張ってください。そしてまた何か一緒に出来る日のために僕も頑張ります。


ヒーローズ・リボーンの現場スタッフとの写真 / 写真提供:内門徹

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