2020.09.09 (最終更新日: 2020.09.09)

どうやってデザインを勉強したの? 独学派/通学派【大石結花 × mooograph VGT】

イントロダクション

このセッションでは、動画の分野の中でどのようにデザインを勉強していけば良いかということについて2名のゲストを招いてお話を伺いました。
独学で学ばれた大石結花さんと、海外の美大でモーションデザインの基礎から身につけられたmooographさん、異なる2つの方向から学び方をご紹介いただきます。

登壇者

ゲスト:大石結花
サンフランシスコでフリーのデジタルクリエイターとして活動中。
大学卒業後、日本のIT企業に就職。2年後にPinterest日本法人へ転職を経て、サンフランシスコ本社へ転勤とともに移住。2019年に独立。
現在はYouTubeでのチュートリアルやVlog配信、AR関連の制作、チュートリアルコミュニティの運営などを行っている。

ゲスト:mooograph(モーグラフ)
海外の美大にてモーショングラフィックスを学び、卒業後に東京の映像制作会社に就職。
2019年より独立し、フリーのモーションデザイナーとして企業のサービスの紹介映像・CM制作などを行う。
YouTubeにてアニメーションやモーショングラフィックスのチュートリアルチャンネルも運営中。

進行:伊納達也
inaho Film代表/映像ディレクター。
ノンフィクション・ショートフィルムの形式を中心として、社会課題を解決するための”挑戦”にフォーカスした映像を制作する。2019年から栃木県鹿沼市にスタジオを移転し、地域に根付く文化の力を借りながら新しい映像表現の追求を行っている。

デザインの勉強法 case1_大学に通って学ぶ


伊納:早速ですがmooographさん、海外美大ではどのようにモーショングラフィックスを学ばれましたか?

mooograph:私が所属していたのはWeb design New Mediaという学科です。メインはWebデザインとUI・UXのデザインの学科ですが、その中にこのモーショングラフィックスの授業があり、もともと映像の勉強がしたかったのでこの学科に入りました。
こちらにMotion Graphics 1という基礎の授業のカリキュラムを紹介しますね。

mooograph:内容としてはAfter Effectsの使い方を学びながらモーショングラフィックを作ってみるというもの。授業1コマが約2時間で、シェイプの作り方やエフェクトのかけ方、カメラの使い方などかなり細分化されていて、技術的な内容を体系的に勉強することができます
そして学んだ技術を使って図のような課題に取り組み、それを発表してみんなでクリティーク(評価・検討)するというのが一連の流れです。

伊納:カリキュラムにはモーショングラフィックス以外の授業もありましたか?

mooograph:基礎的なグラフィックデザイン、ロゴやポスター制作、ブランディングのデザインや映画の授業、AR・VRの最先端の授業もあったりと、幅広く勉強できる学科でした。
生徒はWebやUI・UXデザイナーを目指す人が多く、映像やCGの方に進む人はわずかでしたが、私もモーショングラフィックスの授業を受ける前に基礎的なデザインの授業を受けていて、それがデザインの軸として生きているという感じがします。

伊納:モーショングラフィックスの勉強法として、授業以外にプラスαでやったことはありますか?

mooograph:Webデザインの方の授業や課題もあり、プライベートで自主制作をやる時間はなかなか取れなかったのですが、課題に対して自分なりにやりたいテイストやテーマを決めて取り組みました。例えば、今回はストップモーションをやってみようとか、ロトスコープで手描きで作ってみようなど。見たもので「素敵だな、これ作ってみたいな」と思うものをとにかくやってみるという感じで、好きなようにやってました
やっていくうちに自分の得意・不得意というのが見えてくるので、自分の手法や強みが見つかるんじゃないかと思います。

デザインの勉強法 case2_独学で身に付ける

伊納:大石さんは独学で映像を勉強をされたということですが、どうやって学んでこられましたか?

大石:私はPinterest時代にインターナショナルチームのプログラムマネージャーというポジションで、アメリカで作ったアプリをグローバルに展開するという仕事をしていました。エンジニアやデザイナー、各国にいるチームメンバーなど様々な人と情報交換したりフィードバックを得ながら各所説得するという内容でした。いわゆるデザインは学校で学ぶようなことはしなかったのですが、コミュニケーションをする中で人に伝えることは鍛えられたと思います。

映像の学び方としては基本的にはやりたいことを見つけて、それを攻略していく感じです。
「このテロップやトランジションはどうやって作るんだろう」と疑問を持ったら、チュートリアルを探したり、それができるようにやり方を調べて自分のものにしていくイメージです。
疑問がない場合はチュートリアルを先に見て、それを取り入れることもあります。
RPGみたいに、だんだん経験値を積んでいくような感じでした。

学んでいくための3ステップ

伊納:事前の打ち合わせをさせてもらった中で、スキルアップするためにはこんなステップを踏んだらいいんじゃないかというのをまとめてみました。
観る、作る、振り返る。つまり、いいものを観て好きなものを見つけていく。そして実際やってみる。それを他人からフィードバックしてもらってうまくなっていく、というイメージです。

①観る_想像する・アンテナを張る

mooograph:私の場合は映像作品を ”観る” ときに、どういうコンセプトで作られているのかを想像してみます。例えば抽象的なモーショングラフィックスでも、見た目がカッコいいだけでなく、そこに意味があると思います。それを具体的に解説していることはなかなかないので、想像するしかないのですが。
何を伝えている動画なのかという情報から、タイトルや説明でどんなシェイプを使っているかを見ていきます。エモーショナルな部分を具現化する意味でのシェイプという形なのか、具体的なものをミニマルに落とし込むための表現なのか。
形も動きも、意味付けを考えて作品を観ていくと、自分がこういうコンセプトで映像を作りたいと思ったときに、デザインのアイデアに繋がるのかなと。単純に見た目としてカッコいいというのは最初のインパクトとしてはかなり重要ですが、映像の意味が観ている人にちゃんと伝わるというのが、本当にいい映像だと思っています。

大石:”観る”という部分では、私は他のYouTuberさんの動画もよく見ますが、それ以外にも参考になることが色々あるなと思っています。例えば最近では「どうぶつの森」のテロップの出し方がいいなと思ったり、「Netflix」の番組を見て図解の仕方が伝わりやすいなと参考になったり。本当に色んなところにインスピレーションが落ちているので、逃さないように常にアンテナを張っています。

②作る_仕事の中ですぐ実践!

伊納:次の”作る”のステップですが、”観る”でインプットしたものを自分のチャンネルやクライアントワークですぐに使っていきますか?どこか実験の場を用意されてますか?

mooograph:私の場合は実践ですぐ使っていることが多いですね。仕事の中だと、責任感を持って作らなきゃという意識につながるので、レベルの高いものが作れるんじゃないかと思います。

大石:私もすぐに実践しています。というより、できるようになったら「早く見て!」という感じでテンションが上がってしまうので、うまく仕事にはまるようであれば、すぐに使いたいなと思いますね。

③振り返る_時間・距離を置いて見る

伊納:では”振り返る”のステップですが、どのタイミングで振り返りますか?

mooograph:自分で振り返る場合には時間を置いて見るのが一番効果的かと思います。作っている間はずっとその映像ばかり見ているので、見慣れて新鮮さがなくなります。1週間〜数カ月後に見直すと、全く違う映像に見えたりするので、良かった点・良くなかった点が客観的に見れるようになります。今ならこれができるなという気付きにもなります。フィードバックは他のデザイナーに意見を聞いたりしますね。

伊納率直な意見をくれる仲間は大事ですよね。

大石:私もずっと編集してやっと出せたものはしばらく見たくないわ!っていう感じです(笑)。私の場合、素人から始めていて日々成長しかないので、しばらく経ってから見ると、やっぱり成長したなと実感するし、そのために見たりします。
フィードバックは皆さんからコメントでいただいたり、友達から直接言われることもあります。なぜか友達からやたら**「見たよ」と言われる動画と、視聴回数が伸びる動画は違ったりします。**他に”振り返る”と言えば、友達と一緒に作ったVlogなどは、一緒に何度も見返せて思い出の1つになるのもうれしいですね。

<Q&A>

独学でもできる勉強法は?

mooograph:グラフィックを含めデザイン本をたくさん読むこと。基礎的なレイアウトなどは、書籍の方がしっかりした情報かなと。やはりデザインがモーションを作る上で一番重要な部分だと思っています。

なるほどデザイン」という本は、初心者の方でも内容がすごく面白いと思います。フォントによって擬人化されたキャラクターが登場し、キャラクターイメージが絵で書かれていたりと楽しく読める本なのでかなりオススメです。

大石:「何のために何を学ぶのか」というのがないと、ただ勉強するのはすごく難しいと思うので、作りたいものを明確にして、そのゴールに向かって学んでいくのが良いと思います。今の自分にできないことが把握できると、それを攻略するためにYouTubeのチュートリアルを見たり本を買ったりして調べられると思います。

参考にしている作家・作品は??

mooograph:ロトスコープの手書きの水彩画タッチのアニメーションを描かれるシシヤマザキさんが大好きです。ジャンルは違いますが、インスピレーションはかなり受けています。

大石:私は「Netflix」の、『世界の今をダイジェスト』という番組です。難しい話題を噛み砕いて、アニメーションなどを使ってわかりやすく説明しています。あれくらいうまく説明できるようになったらいいなと、見せ方も含めすごく参考になっています。

良いものを真似するとパクリになってしまう。自分の作品に生かすコツは?

mooographポイントだけ真似るっていうことなのかなと思います。例えばこの映像のここの動きと別の映像のこの動きを真似してみようとか、別のモチーフや配色でこの動きを表現してみようとか。要素を分解して、組み合わせてやっていくと良いんじゃないでしょうか。

大石:同じ意見です。今、mooographさんのチュートリアルを必死で見てAfter Effectsの勉強してるんですけど(笑)。やっぱりその中で、mooographさんが描いたものの動きと私のものは全く違うし、同じチュートリアルを見ても他の人がやるのとは変わってくると思います。
配色を変えたりキャラクターを変えたり、そこに自分の色をどうプラスして出していくかというのも考えどころです。自分だったらどうするかを考えていけば、完全パクリにはならないのかなと思います。

海外で学ぼうと思ったきっかけは?

mooograph:日本の大学にも1年くらい通ったものの面白くなくて、何か違うことがしたいなと思いました。映像に興味があったのと、英語圏に留学したいという思いもずっとあったので、この機会に行ってみようという感じでした。もともとはピクサーやディズニーのようなアニメーションフィルムの勉強がしたくて行ったんですが、モーショングラフィックスの方が楽しいと思うようになり今に至ります。

海外で活動していて良かったことは?

大石:最近ではイベントもオンラインでできるので、物理的な距離はあまり関係なくなってきていますが、語学ができるのはクライアントの幅が広がったり、日本支社の方とすぐに繋いでもらってお話ができるので、メリットはあったのかなと思いますね。サンフランシスコはテックの企業がとても多く、私の元同僚も色々なところで活躍しているので、新しい情報を教えてもらえたり、仕事につながったりと、そういった人間関係はとても大切にしています。

まとめ:自分のやりたいことに向かって実践を積んで行こう

今回のセッションでは、独学で身に付けた大石結花さん、大学のカリキュラムを活用して学んだmooographさんのお二人の学び方をご紹介しました。

学ぶスタイルは違うものの、どちらにも共通している点は、”自分のやりたいこと(ゴール)を見据え、それに向かって学んでいくこと”と、”3ステップ(観る・作る・振り返る)を繰り返し、実践で身に付けていくこと”です。
この2点を踏まえた上で、学び方は
自分にフィットしたものを選ぶ
のが良いでしょう。
特に最近では、あらゆる場所から様々な情報を得られる環境があるので、ぜひVookも活用しながらやりたいことを実現するための近道を模索してみてください。

<参考>

大石結花さん出演アーカイブ / 「今さら聞けないVlogのこと徹底解説しちゃいます!」

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