2020.08.21 (最終更新日: 2020.08.21)

【VGT】初心者向け機材講座 2020年度版

この記事は、2020年5月27日に開催された「VIDEOGRAPHERS TOKYO@ONLINE」にて、ライブ配信を行ったセッションのアーカイブです。

やりたいことを明確にする

動画制作を始めたい人が最初に悩むのは、機材選びではないでしょうか?
例えば、カメラだけでも数えきれないくらいの種類があり、価格も上から下まで幅広くあります。

高性能な新商品が次々と発売される中で、「結局どのカメラも綺麗に撮れる」、「スマホのカメラで撮影は十分」といった声が上がるのも無理はありません。

ただ、「道具には用途があり、やりたいことを最適な道具を使ってやるために機材を選ぶ」、と映像ディレクターの伊納氏は言います。

そして、「やりたいこと」を明確にするのは、実はいちばん難しい

そこで今回は、これから映像を作りたい!という方へ向けて、用途に合わせたオススメ機材(カメラ、レンズ、三脚、マイク)を紹介いただきました。

まだ何をやりたいのか分からないという方も、やりたいことを探すきっかけに、ぜひ以下からセッションのアーカイブ映像をご覧ください!

アーカイブ映像

登壇者

伊納達也
inaho Film代表 / 映像ディレクター
ノンフィクション・ショートフィルムの形式を中心として、社会課題を解決するための挑戦にフォーカスした映像の制作に取り組む。2019年からは栃木県鹿沼市にスタジオを移転。地域に根付く文化の力を借りて、新しい映像表現を追求中。
東映CM株式会社で制作進行として勤務後、2012年からビデオグラファーとしての活動を始める。2014年からは株式会社umariにてソーシャルプロジェクトの映像での発信を担当。
▼Twitter
https://twitter.com/TatsuyaIno2002
▼Instagram
https://www.instagram.com/ino_inaho/

ニコラス・タケヤマ
撮影監督・ディレクター
上智大学卒。ニュージーランド出身で日本と台湾のハーフ。日英対応の撮影監督・ディレクター。DaVinci Resolve 認定トレーナー。WEBCM・MV・映画等、幅広いジャンルを手掛けている。
ワンマンでのビデオグラファースタイルの案件から数十人規模のスタジオセットでの撮影・照明のディレクションにも対応。「世界標準の映像」をモットーにしている。外国人キャストを起用した作品や海外クルーとの共同制作等も得意とする。
▼Twitter
https://twitter.com/nico_takeyama
▼Instagram
https://www.instagram.com/nicholas_takeyama/

【カメラ・レンズ】設定の度合いと画の見え方で分類

何が良いカメラなのかは用途によって異なるため、価格やスペックが高ければ高いほど、万人にとって良いカメラだとは言いきれません。

それでは、エントリーの時点で、ざっくりとどんな用途が考えられるか、下の図をご覧ください。

一例ですが、カメラでやりたいことを、横軸「オート(設定をカメラに任せる) or マニュアル(自分で細かく設定する)」と、縦軸「見やすさ or シネマルック」で分けています。
ここに挙げられた3つそれぞれについて、オススメのカメラを見ていきましょう。

YouTuber的撮影

<オススメのカメラ>
Sony ZV-1 (※画像はSony社ウェブサイトより引用。)

撮影者がカメラに向かって話しながら撮っている画を確認できフォーカスがきちんと合って音もきれいに録れるといった、自撮りに最適な機能を備えたカメラ。

映像の見やすさを重視し、コンテンツの構成や企画で面白さを見せたいという方に、ぴったりのカメラです。

これから本格的に勉強したい

<オススメのカメラ>
Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K
(※画像はブラックマジックデザイン社ウェブサイトより引用。)

約15万円という価格帯ながら、シネマカメラの機能をギュッと詰め込んだカメラ。
価格には、DaVinci Resolve(編集~カラーグレーディングまでできるソフトウェア)の有料版のライセンスが含まれています。
同じメーカーのカメラとソフトウェアなので、ワークフローがスムーズなのも特徴です。

一方で、手ぶれ補正がないオートフォーカスがいまいち電池がもたない、など欠点もありますが、使いこなせばハイエンドな仕事でもある程度使用できます。
画作り、カラーグレーディングを含め、映像制作の撮影の技術を習得していきたいという方にオススメです。

レンズについてはマイクロフォーサーズ規格なので、PanasonicやOlympusのマイクロフォーサーズレンズが付きます。


伊納氏が勧めるのは、最初は安価な単焦点レンズ。例えば、Panasonic 25mm/F1.7は2~3万円台で購入でき、描写も美しくてコスパ抜群です。(※画像はPanasonic社ウェブサイトより引用。)

単焦点レンズは、ズームレンズのように1本で様々な画角にすることはできません。
しかし、繰り返し使うことで、ミリ数の感覚を体で掴めるようになってきます。
様々な画角にチャレンジするのは、「○○mmのレンズより広く撮りたい」など、自分の中で基準を持てるようになってからでも遅くないでしょう。

BMPCC4Kが気になる方は、こちらから伊納氏によるレビューをご覧いただけます。

手軽にフィルムルックにしたい

<オススメのカメラ>
FUJIFILM X-T30 (※画像はFUJIFILM社ウェブサイトより引用。)

10万円前後の価格帯で、撮って出し、つまりカラーグレーディングなしでも雰囲気良く仕上げられるフィルムシミュレーションが魅力のカメラ。


各フィルムシミュレーションの特徴は、こちらをご覧ください。

グレーディングを勉強する時間も自信もない、手軽にフィルムルックにしたい、という方にはとても心強いカメラです。

レンズについてはFUJIFILM独自のXマウントで、リーズナブル且つコンパクト、写りも良いシリーズが充実しています。


例えば、XF23mmF2XC35mmF2なども、画がきれいで人気です。
(※画像は同社製品ページより引用。)

予算が許せば、こちらの用途にはX-T30と同じセンサーを搭載したX-T4もオススメです。伊納氏のX-T4レビューは以下よりご覧いただけます。

汎用性の高い機材でいろいろやってみたい

<オススメのカメラ>
G99α6600α7Ⅲ

グレーディングを練習したいけれど、オートフォーカスは欲しいし自撮りもしたい。
カメラの経験を積みながら、やりたいことを決めていきたい、という方へ提案する3つのカメラ。

Sonyのαシリーズに関しては、YouTubeでもレビューや作例が数多くアップされています。
それらを見て効率的に勉強できたり、困ったときに必要な情報を探しやすかったりするのは大きなメリットです。

PanasonicのG99は、同じ価格帯の他のカメラと比べて何でもできるの極致のようなカメラで、エントリー用として非常にコストパフォーマンスに優れています。
マイクロフォーサーズマウントなので、ゆくゆくレンズを揃えていくとなったときに、比較的安価に抑えられます。

【三脚】必ず"映像用"を選ぶ

一見どれも同じように見える三脚ですが、まず映像用と写真用で機構が違います。

こちらの写真の「雲台」は、三脚の頭にあり、カメラを装着する台の部分です。

基本的にカメラを固定して撮影する写真に比べて、動画では上下左右にカメラを動かす(パン/ティルトする)シチュエーションが多くあります。
そのため映像用の雲台は、最初にカメラの水平を取ったら、縦横に動かしても常に水平を保てるように作られています。
また、この縦横に動かすときの動きが滑らかなのも、映像用の特徴です。

ただ、映像用に絞っても様々な三脚があり、その主な違いの1つに重さが挙げられます。

重い三脚はしっかりとした安定感があるものの、持ち運びなどの点で扱いにくさもあります。
一方、軽い三脚は機動力に優れるものの、軽いが故に底が浮いてしまったりします。

このように、三脚はメリットとデメリットがはっきりしており、用途に合わせて軽い三脚はとことん軽く、重い三脚はとことん重く作られるため、上の図の両端に行けば行くほど、高価な商品が多くなります

エントリーの時点でオススメなのは、図の中間辺りの三脚。
特に、小型で色々な場所に持ち歩いて撮るという目的の場合はManfrotto Befree live持ち運びよりしっかり据えて撮ることが多い場合はLibec TH-X あたりが、品質や価格の面からも安心して使えそうです。

他の機材も揃える都合で三脚にあまりお金をかけられない、という方には、VelbonEX-447が比較的に動きも滑らかです。

【マイク】どんな撮影でマイクが必要か?

撮影によって、マイクが必要なときと必要でないときがあります。
例えばミュージックビデオの撮影だと、大抵あとから音をのせるので、撮影中にマイクは使わないことが多いです。

マイクを使うのは、クリアな音(声)が欲しいとき…
インタビューを撮りたい
対談映像を作りたい
セリフのある映画を作りたい
といった状況が考えられると思います。

こうした撮影でよく使用されるマイクは大きく2種類あるので、それぞれのオススメを見ていきましょう。

ラべリアマイク


ラべリアマイクは、日本語でよくピンマイクとも呼ばれていて、服の中に隠したり服に留めたりしてその人の声を拾うタイプです。


中でもオススメは、RODEのWireless GOLavalier GOの併用です。

Wireless GO単体でも使用できますが、これにLavalier GOを挿して使うと、より隠しやすく音もきれいに録れます。

ラべリアマイクの取り付け方については、以下の記事にもまとめられています。

ガンマイク

演者に近づける、またはカメラの上に付けるタイプのマイクです。
TV番組や映画のメイキング映像などで映り込んでいるのを、ご覧になったことがあるかもしれません。


ガンマイクのオススメはRODEのVideomicroや、よりこだわる方には少し値が張りますが、VideoMic NTGも良いマイクです。

おわりに

本セッションでは映像初心者という方に向けて、2020年度版のオススメ機材を紹介いただきました。

ここで出てきたもの以外にも、用途や撮影スキルによって、多くのメーカーがたくさんの良い機材を作っています。

やりたいこと、最適な道具、それを使いこなす知識と技術が揃えば最強」と伊納氏は言います。
これは実際、プロにとっても簡単なことではなかったりするのですが、機材選びの際にぜひ意識して、どんどん作品作りを楽しんでください!

※記事内の画像で特に記述のないものは、伊納氏のプレゼンテーション資料より引用させていただきました。

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