2020.09.11 (最終更新日: 2020.09.11)

フェードだけじゃ芸が無い!BGMを途中で切る「7つのテクニック」

皆さんは「BGM」を途中で終わらせるとき、どんな方法を使っていますか?おそらく(私も含め)大多数の方が「フェード」を一番使っていると思います。しかし、映像に多数のトランジションが存在するなか、オーディオもフェードだけではちょっと寂しいのも事実。そこで今回は、BGMを途中でカットする手法のうち、特に使い勝手の良いものを「7つ」選んでご紹介します。

まずはサンプルのムービーをご覧になって、どんな手法があるかを確認してください。今回はAdobe Auditionを使って行っていますが、他のビデオ編集ソフトやDAWでも応用できるので、ぜひ参考にしてください。

その1.リバーブ飛ばし

音の最後の部分にのみリバーブをかけ、残響で「飛ばす」ような手法です。特にオーケストラ系の曲とはとても相性がよく、様々な場面で多用されています。

部分的にリバーブをかける時は、リバーブ用のチャンネルを作って「センド」する場合が多いですが、今回は1トラックで完結できる手法として、クリップを分割してエフェクトをかけてみます。

まずは、BGMを終わらせたい部分のクリップを分割します。なるべくパーカッションなどが鳴って音量が上がった部分が効果的で、分割部分の後は残響の分だけ残しておきます。

カット後のクリップで、頭の部分だけ一瞬音が出るようにボリュームのオートメーションを描きます。設定した部分が「ボンッ」といった感じで一つの音に聴こえるような感じにすると、効果がキレイにかかります。

リバーブ系のエフェクトを「クリップエフェクト」として適用します。何回も繰り返し行う場合は、新しく作ったトラックに「トラックエフェクト」として適用し、カット後のクリップだけをそこに移動させるという方法を使うと効率的です。

動画中のサンプルは、個人的に好きでよく使っている「Valhalla Vintage Verb」というプラグインを使いました。「MIX」の部分で効果前の部分と音量の違和感が出ないようバランス調整し、「DECAY」で残響時間を長めに設定しています。

Audition標準付属のリバーブだとちょっと派手になりにくいですが、例えば「スタジオリバーブ」を下記のような設定にすると、サンプルサウンドと似た傾向のサウンドを作ることができます。

あまりジャンルを選ばずに使うことのできる手法なので、基本形として是非おさえておきましょう。

その2.ディレイ飛ばし

リバーブ飛ばしの応用で、リバーブの代わりにディレイを用いて、歌詞中の一言や楽器の1音などを明瞭に繰り返す形で飛ばします。

ディレイをかける前の音量のオートメーションはリバーブ飛ばしと同じやり方ですが、明瞭に聴こえるため、特に音の切れ際の部分が自然になるように(特にプツッとした音が入らないように)気を使うのがポイントです。

サウンドサンプルでは、WavesのH-Delayというプラグインを使いました。ディレイ音の減衰・劣化の仕方がアナログ機材的で心地よくかかってくれます。ディレイ・タイムの設定と、HiPASSでバスドラムの音を削って声のみが返ってくるようにしているのがポイントです。

Audition標準付属のアナログディレイで似た設定を作った例です。効果は似ていますが、ハイパスフィルターが付いていないため、バスドラムの音も繰り返しなってしまう所が違っています。

ディレイ飛ばしは、うまくハマると最初からそのように演出したように聴かせられるので、印象深くしたい「ここぞ」という場面に効果的です。

その3.リワインド

曲の切れる部分で、テープを巻き戻したり、レコードを高速で逆回転させたような効果です。とても勢いが出るので、ジングルにつなげたい部分などに有効です。

Auditionで行う場合は、まず曲を切りたい部分の後を4秒程度切り離し、右クリックして「固有のコピーに変換」を実行。ダブルクリックして波形編集モードに移ります。

「エフェクト>リバース」を実行して逆回転にしたあと、「エフェクト>タイムとピッチ>ピッチベンド(プロセス)」を実行します。

ピッチベンドは、オートメーションのカーブを描くことでピッチとスピードをコントロールします。真ん中(元のピッチ)から、終端で右斜め上に到達するようなカーブを作ると、サウンドが一気に巻き上がるような効果になります。

同様の効果は、DJのプレイや、FMラジオの編集などでも散見されます。映像に派手なトランジションを適用する場合に使用すると、相乗効果でインパクト抜群です。

その4.テープストップ

リワインドの逆で、テープやレコードが急停止して徐々にピッチが下がるような効果です。ちょっとコメディチックに内容が転換するような場面に有効です。

設定は途中までリワインドと同じで、波形編集でリバースをかけずに、ピッチベンダーで真ん中から右下にオートメーションを描くことで作成できます。ちょっと余韻が長いので、作成後にマルチトラックで後半を切って調整します。

テープストップはリワインドと逆で、映像がシンプルなフェードでも、音の効果でただならぬ雰囲気を作ることが可能です。

その5.フィルタリング

サウンドの高音、または低音を徐々にカットすることで、うねりを伴いながら印象的にフェードさせる手法です。

こうした効果を作る際に使う「ローパスフィルター」「ハイパスフィルター」は単体のプラグインも色々出ていますが、Auditionでは「スペーシャル>ギタースイート」の中に入っているので、それをクリップエフェクトとして適用します。

ギタースイートの中で「コンプレッサ」「ゆがみ」「アンプ」の3項目は使わないので、「バイパス」にチェックを。「フィルター」の部分で下記画像のように設定し、「周波数」の値をオートメーションで動かすことでサウンドサンプルのような効果になります。「共鳴」(一般にはレゾナンス)の値が少し上がっていることで、周波数の変化によりショワっとしたうねりが生まれます。

周波数の変化は、直線にしてしまうと、前半は効果が薄く、後半一気に聴こえなくなってしまうので、変化がわかりやすい部分が長く続くように調整します。

サンプルサウンドでは、音が徐々にこもっていく「ローパス」を使っていますが、「ハイパス」にすると音がだんだん軽くなって消えていく効果を作ることが可能です。

その6.センターキャンセル

曲中で、ステレオの中間にある素材(ボーカル、ベース、キックなど)が聴こえなくなり、印象がガラッと変わった状態でフェードします。

フェードさせたい部分のクリップを分割し、クリップエフェクトで「ステレオイメージ>センターチャンネルエクストラクター」を適用。画像のような設定にした上でフェードアウトさせるだけなので、今回の中では最も適用が簡単です。

ポイントとしては、モノラルの音源だと音がすべて消えてしまうので、左右に空間の広いミックスの曲を使うとより効果的です。

その7.ボム

ある意味最強の手法、爆発ですべてが終わります(笑)。爆発は半ばギャグですが、同様にキャラクターの強い効果音を入れて曲を強制停止させる手法はかなり有用です。

ありものの効果音を使っても良いですが、今回はAuditionの中で効果音を作ってみました。まずは新規オーディオファイルをチャンネル=ステレオで作成。

「エフェクト>生成>ノイズ」を下記画像のように設定してノイズを作成し、「テンプレート>フェードアウト」を5回適用して「バーン」と鳴る音を作ります。

フィルタリングでも使った「ギタースイート」をかけて下記のような設定にすると、大爆発っぽい効果音が作れます。フィルターの「周波数」と、ゆがみの「量」を変えると、爆発の雰囲気を細かくコントロールできます。

あとは、曲を切った部分の直後にこの効果音を配置するだけ。かなり密度の高い音なので、にぎやかな曲が鳴っていてもスパッと強制終了させることができます。こうした、ノイズを加工した効果音は非常に多くのバリエーションが得られるので、値を変えたり、他のエフェクトをあわせてみたりして工夫してみると面白いでしょう。

BGMは鳴っている途中だけでなく、始まり方や終わり方も演出の一部になります。ぜひ今回ご紹介した手法を試しつつ、自分好みの加工法を編み出してください!

83クリップする
クリップしておくと
あとからいつでも
見返したりできます。

    コメント

    • まだコメントはありません