2020.09.04 (最終更新日: 2020.09.04)

【LUMIXユーザから見る LUMIX S5の魅力とは】

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自分の場合、GH2から始まり、業務機のAG-AF105、そしてミラーレスのGH4/GH5と、Panasonicのマイクロフォーサーズ(以下MFT)機種を長年現場に投入してきた。レンズ含めシステム全体がコンパクトに収まり、絶妙なセンサーサイズゆえに、時にビデオカメラのようにも使え、時に作品性のあるボケ味を活かした撮影もでき、どっちにも振ることができた。

「MFT機種が自分には合っている」という部分がまずLUMIXを使い始めた入り口。しかし、使い続ける過程で、それ以外の大きな理由が見えてきた。それは「先進性」と「確実性」。

GH2は一眼ムービーとしては業界初の時間制限のない撮影を実現、のちにHackファームがキッカケで大ブレイクしたのは記憶に新しい。GH4の時は、2時間半ある舞台撮影で、4K30pをバッテリー1本で、途中で止まる事なく余裕で撮り切った。これが6年前。(後のファームウェアでV-Log Lも搭載された)GH5では4K 10bit 4:2:2がデュアルで内部収録出来るようになりグレーディングの幅が一気に広がった。さらに5軸5段のボディ内手ブレ補正も搭載され、現場でほぼ三脚を使わなくなった。この記事を書いている時点でもう3年以上も前の話だ。

現場でのトラブルが非常に少ない、というのもLUMIX GHシリーズを使い続けてきた理由だ。GHに出会う前は、他メーカーの一眼カメラを現場で使用していたが、途中でオーバーヒート表示が出て強制的にシャットダウンしたかと思うと、復帰もできない状態に陥った。はたまたバッテリーが持たないので、ゴテゴテにリグを組んでVマウントバッテリーで給電する事もあった。

GHシリーズに切り替えてから、現場でのトラブルは劇的に減った。撮影が途中で止まる事もなく、インタビューでも舞台撮影でも、これまでのビデオカメラのように安心して投入できた。余分なものをつける事なくボディひとつで十分な動画性能を発揮。LUMIX GHシリーズの動画機能は当初からスチル機の「オマケ」的存在ではなく、ガチで動画カメラとして使えるものだった。

そんな中、LUMIXはフルサイズセンサーを採用したLマウントアライアンスを発表、そしてGH5/GH5Sをしのぐ「ミラーレス一眼という皮を被ったシネマカメラ」が登場する、それがS1Hだ。S1Hに関しては現場に何度も投入し、事あるごとにレポートを上げてきたので、ここで改めてS1Hのモンスターぶりを語るつもりはない。ここ数日で様々なメーカーからフルサイズセンサーの動画機能を強化したミラーレス一眼が投入されたが、ガチで動画を撮影するユーザーにとってS1Hの魅力はまったく色褪せない。

ただ、往年のGHファン(MFTファン)から見れば不満点もある、それはボディの大きさ。完全なる放熱処理のためFANが搭載されている事や、業界初のチルト式とフリーアングル式を組み合わせたチルトフリーアングル液晶採用など、いろんな面で大きくなってしまう事は理解できるが、長年GHを使ってきたユーザーにとっては多少重い腰を上げる感じ、というのは否めない。やはりここはGH5の後続機を待ちたい、と思っていたのが正直なところ。

メーカーとしてはその答えというわけではないだろうが、今回Panasonicから小型フルサイズミラーレスのS5というモデルが投入された。前置きがとても長くなってしまったが、今回はMFT機種のGHシリーズ、フルサイズLマウントSシリーズ、この狭間で揺れ動く想いを抱えながら、果たしてS5というカメラは実際どうだったのか?というのをレポートしたい。

ファーストインプレッション


ボディ単体で言えば、かなり小型に収まっていて気軽な大きさ。GH5よりも少し小さく感じ、相対的にフルサイズのセンサーが巨大に見える。全体的な意匠もS1H譲りで、ボディ前面のRECボタンこそ省かれているが、上面部左側に高級感ある赤シルバーのRECボタンが目立ち、どこかの芸人の言葉を借りれば「ちっちゃくなっちゃった!」カワイイS1Hという感じだ。

大きな液晶パネルがあったS1Hの軍艦部だったが、S5ではパネルは省かれ、モード変更ダイヤルも右側に戻った。GHユーザーにとっては、こちらのほうが馴染みがある。

ちょっと残念だったのはHDMIがTypeD(マイクロ)になってしまった部分。加えて、S1Hの専売特許だったチルトフリーアングルも省かれ、GH5と同じフリーアングルに。そうなると気になるのは各端子と液晶モニターとの干渉だ。そこで、マイク・イヤホン・HDMIと、特に自分の現場で使う3要素をすべて接続してみた。

これまでGH5ではマイク端子が干渉して煩わしかったが、S5では干渉しない部分に逃がされている。加えてHDMIがTypeDになった分、駆動領域は多少マシになっており、USB-Cを刺さない限りハイアングル時はそこそこフリップできる。ただローアングル時は難ありで、ここはGH5と同じ。あくまで業務視点から見れば、少し大きくなってしまってもいいからチルトフリーアングルを付けて来てほしかったが、「気軽に使えるフルサイズカメラ」という視点からは妥当な判断かもしれない。

カードスロットはSDカードの2スロットで、しっかりデュアル記録も可能なようだが、UHS-II対応は1スロットのみになっている。

収録フォーマットはMOVとMP4が選べるが、出来る限り高ビットレートで撮影したい場合はMOVを、一方で記録撮影などそこまで高画質は求めないし、できる限り低ビットレートで撮影したい、という場合はMP4を選択すると良い。フルサイズの画質を、28Mbps程度のFHDで収録したい、なんていう使い方はS5に合っているかもしれない。(ただし、MP4の場合は長尺を撮影すると、とある分数でファイルが分断され、タイムラインに並べた際に、分断された部分音声が一瞬途切れた記憶がある)

若干気になったのは電子ビューファインダーの解像度。GH5と比べても少し解像感が劣る印象があった。ただ普段自分はピーキング機能と組み合わせて使っているので、フォーカスを見る事に関して問題になるレベルではなかった。

S1Hからは、いろいろ省かれた部分は感じるものの、全体的にとても気軽なサイズ感で、ある意味Lマウントシステムを始めるにはふさわしいモデル、という印象だ。MFTのGシリーズで言えば、GH5/GH5Sに対してのG9やG99あたり、と見ればしっくりくる。ただしS5は後発機種だけにS1Hにはない新機能も搭載されている。このあたりは後述する。

刷新された小型バッテリー

今回、ボディーの小型化に合わせてバッテリーも刷新された。S1Hのそれと比べてもおよそ2/3程度の大きさで、GH5に採用されているDMW-BLF19とほぼ同じ大きさだ。ただし内容的にはDMW-BLF19が14Whなのに対し、S5のバッテリーは16Wh(1860mAから2200mA)なので、同じサイズ感でもおよそ15%程度アップしている。

エントリーモデル以上のS5

先ほど、Lマウントを始めるにふさわしい機種と位置付けたが、スペックもS1Hに対して見劣りするかと言えば、そうでもない。センサーはS1と同じもを搭載しているようだが、Logモードに関してはV-Log Lでなく、S1H同様、無印のV-Logが既に入っている。自分が見た限りでは、ダイナミックレンジもS1Hと同じ14+STOPだろう。そして4K60p10bitまで、内部でしっかりデュアル記録できる。グレーディングを見据えたカメラとしても必要十分だ。

ただしS5にはIntra収録モードは搭載されておらず、全ての収録形式の中でLongGOP 200Mbpsがもっとも高いビットレートになる。さきほどUHS-II対応は1スロットのみと伝えたが、ほとんどの収録形式においてUHS-IIを求めるような収録は無いのでは?と思う。なお、発売時はDCI4K非対応だが、ファームウェアアップデートによって2020年内に対応予定とのことだ。

4K60p 10bitの場合、サンプリングは4:2:0でh.265というのはS1Hと同じ。h.265は編集ソフト上でまだまだ処理が重い印象だが、DaVinci Resolveでは最適化ファイル(プロキシ)を作る事で、難なく編集、グレーディングも出来る。この件に関してはS1Hの素材を使ったチュートリアルも作っているので、よかったら参考にしてみてほしい。


「DaVinci Resolve、最適化メディアの作成とフロー」

若干痛いのは、4K60p時にAPS-Cにクロップ(約1.5倍クロップ)されてしまう部分。これは10bit/8bit関係なく、4K60pの場合は一律でクロップモードになる。一方30pであれば、クロップされることなくフルフレームのまま撮影できる。

収録時間については、4K60p 10bit/8bit および4K30p 10bit、S&Qモードは30分までという制限がある。ただし30分で一旦止まるものの、そのまま連続撮影は可能であった。もちろん他の形式は、これまでと変わらず時間無制限だ。おそらく熱処理に超真面目なPanasonicの事だから、小型軽量でFANレスという部分をみても、バッファを読んで制限時間を設けているのではないか?と思う。

最後にデュアルネイティブISOもしっかり搭載されている。任意で低/高感度を選ぶ事はできずオート切替にはなるが、V-Log使用時はベース感度がISO低640/高4000となり低照度撮影にも強い。(なお、通常モードではISO 低100/高640 のベース感度との事)

コンテニュアスAFが可能になったハイスピード撮影

S5では従来のバリアブルフレームレート機能(以下VFR)が無い代わりに、モードダイヤルで即座に変更できるS&Qモードが加わった。個人的にはフレーム単位でスピードを変更する機会はほぼ無かったので、ある程度プリセットされているほうが好都合だ。さらにこれまでVFRをやるために、いちいち画質やfpsを確認するわずらわしさもあったが、S&Qモードダイヤルに切り替えた状態で動画画質(解像度)の選択画面に行くと、S&Qできない画質は最初からグレーアウトになるのでシンプルで分かりやすい。(4Kは8bit 24p/30p時に60fpsまで。FHDは8bit 24p/30p/60p時に180fpsまで。いずれも10bitは選べない)なおS&Qモード選択時、MOV収録は選択できず、強制的にMP4収録になるようだ。

そしてとうとうS5からハイスピード時でもコンテニュアスAFが効くようになった。LUMIX Sシリーズでは初である。ただし若干制約はある。4Kに関しては APS-Cにクロップ、FHDの場合は120fpsまではAFが効くが、150fpsからはMFのみになり、さらに180fps時は少しだけクロップされるようだ。

さて、実際にコンテニュアスAFを効かせてハイスピードを撮影してみたが、この件については次のAF性能強化の部分で話したい。

ディープラーニングによる強化されたAF性能

Panasonicのミラーレスは動画撮影時のAFが弱い、というイメージは正直あった。

これまでの主な課題点を挙げるとすれば、フォーカスが行ったり来たりしてしまったり、合焦する際に微妙にピクピクするなどの挙動が見られた。また人物を追う場面で、なかなか追いきれない、というのもあったかもしれない。

今回S5では、AF性能を1から見直したと聞いていたのと、先に述べた通りハイスピード時にもコンテニュアスAFが効くようになったので、まずはS5をジンバルに搭載し人物を追いかける、という、コンテニュアスAFの利用価値が高い状態でテスト。なお、AFは「人物、顔認識」に。使用したレンズはLUMIX S PRO 50mm F1.4(F2まで絞る)、ジンバルはZhiyun Weebil Sであった。


*注釈:未成年の個人情報保護のため、一部、顔部分にモザイクが入る箇所があります。

今回はS&Qモードを使い、4K60p→24pという条件でテストしてみた。撮影中は顔が見える部分では瞳に十字線が表示され瞳に合焦、人物が後ろ姿になった時でも人物頭部にフォーカス枠が常に表示され、カメラが離れるにしたがって、今度は体全体をトラッキングするような枠が表示されていた。

このあたりが強化されたディープラーニング技術(人・動物認識)が効いている部分と思われる。画角にしたがって、瞳、顔、人物を常にトラックし、たとえ後ろ姿になっても、トラックは外れない、という感じだ。

ただ今回は試作機ということもあり、FHD60pでは概ねいい感じでフォーカスが吸い付いてくる印象だったが、4K60p 、FHD120pの順で、動きが激しくなるにつれ、フォーカスが追いきれない部分も散見された。AF精度については、製品版までにもう少し追い込んでくるかもしれない。

なおAFカスタム設定ではAF駆動速度と追随速度を細かく設定できるので、場面により細かく追い込んでみるのもいいかもしれない。AFカスタム設定自体には気に入った設定をプリセットしておく機能がないが、カメラ設定側のカスタムプリセット(モードダイヤル)を利用すればOKだ。

個人的に嬉しかったのは合焦した際の動作が滑らかだったこと。不用意に行って帰る(ウォブリングする)雰囲気もなく、スーっと合焦した。後の現場投入でのレポートで後述するが、不用意にウォブリングする事もなくなり、追随精度も確実に上がっていると感じたので、場面を選べばAFも十分使えるところまで来た印象だ。

S5に見るカメラマンの立場に立った設計思想

これはGH5やS1Hを使ってきた人なら誰もが頷く部分だと思う。スペック表だけでは見えてこないカメラの実力が、本当に細かい部分にあったりする。まず一つ挙げるとすれば、カメラ設定をSDカードに保存し、他のボディで瞬時に読み出すことが出来る機能。こういった機能はビデオ業務機には見られるが、他メーカーのミラーレスではなかなか備わっていないのだ。

実は今回、S5を2回に分けて借りたのだが、1回目に自分好みにカスタマイズした設定を、再度借りた時にもう一度1から設定しなおすのは骨の折れる作業だ。まして、ムービーの現場では同機種を複数レンタルする場合はかなりある。特にPanasonicのミラーレスはFnボタンのカスタマイズ性もかなり高いので、それらの設定を保存、読み出しできる機能は本当にありがたい。
(ちなみに、S1Hの設定をS5に読み込もうとしたが、案の定出来なかった。互換性は無いらしい)

また撮影中に設定を変更できるのもPanasonicのミラーレスならでは。撮影を開始した途端、WB(ホワイトバランス)やISOが変更できなくなるミラーレスがほとんどだが、動画は常に時間軸で動いているもの、撮りながらその場で変更したい、という場面は多々あるのだ。S5は録画中でもWBやISOは固定されず、ボタンを押せばいつでも変更できる。こういう細かい部分が実際の現場で大きな意味を持ってくる。

録画中の赤枠フレーム表示も地味に見えてとても役立つ機能。バタついた現場で必死に撮影していて、RECしたつもりがRECできていなかった、という経験はないだろうか?録画中に液晶画面およびファインダーの枠全体が赤くなればいやがおうでも「REC中」と気づく。ATOMOS SHOGUNなどを使ってきたユーザーはかなり馴染みのある機能だが、確かS1Hから搭載され、S5にもしっかり搭載されている。

また、これは一般ユーザーには多少マニアックに聞こえるかもしれないが、S1Hと同様、S5もレンズのフォーカスリング動作を、リニア・ノンリニアから選べ、回転角度も任意のプリセットから選べる。特にスチル用のAF対応レンズでは、リングを動かすスピードでフォーカスの移動距離が変化してしまう「ノンリニア」のレンズがほとんど。これでは、A地点からB地点へフォーカスを送る、という動画的なマニュアル操作が出来ない。その場合は「リニア」を選ぶと良い。また回転角度の設定と組み合わせれば、自分のフィーリングにあったフォーカシングを追い込むことができる。

他にも、細かい部分で語るときりがないが、ちゃんと動画制作の現場を考えて、かゆいところに手が届く機能を搭載してくれている、自分がLUMIXを使い続けている大きな理由の一つだ。

シグマMC21を介してEF資産を活かす

時にマウント変換を使うことで、Lマウントの可能性はさらに広がる。カールツアイス Planar 50mm/85mm F1.4との組み合わせはとても良好だ。手ぶれ補正ブーストもしっかり効くのでビタ止まりのまま雰囲気のある深度の非常に浅い画が手に入る。S5との組み合わせもサイズ感、ホールド感ともに良い。

またAPS-Cレンズで人気のSIGMA Art 18-35mm F1.8も装着してみたが、自動的にAPS-Cクロップモードになり、これも手ぶれ補正ブーストをONにすることでビタ止まり。

S5は、オールドレンズや手ぶれ補正機構のない明るいレンズも、三脚なしで遊べる気軽なフルサイズミラーレス、といったところか?
一方で、EF 24-105mm/F4や EF 70-200mm/F4など、かつての定番IS付き標準ズームは、手ぶれ補正ブーストをONにできず、逆に手ブレを解消することが出来なかった。このあたりは素直にLマウントレンズに買い替えたほうが良さそうだ。

現場投入で見えたS5の真の実力

自分の場合、カメラの真価は現場に投入してみて初めて問われるものと思っている。机上のスペック表では分からないカメラ本来の実力が浮き彫りになるからだ。ということで、まずは実践投入。(ただし試作機という事もあり、バックアップとしてS1Hも借りた。)

今回は、エレベーターのリニューアルや開発・メンテナンスを行っているメーカー、ESTEMの会社案内の撮影でS5を使用した。ところで当日のカメラセッティングだが、後のポストを簡略化するために、今回はV-Logは選択せず、あえてシネライクD2を選んだ。メインは4K60p 10bit(MOV形式)を選択、場面によって4K30p 10bitに切り替えた。

梅雨明け間も無くという事もあり、当日は35度を超える猛暑日。覚悟を決めて現地に向かうも、現場は室内インタビュー撮影から始まった。レンズは迷わずLUMIX S PRO 50mm F1.4を選択。このレンズは以前S1HでWEB CMを撮影した際、その描画力にビックリした記憶がある。F1.4開放からでもかなり切れ味のある描画だが、今回は全体のバランスを見て、F2に絞った。

さて、いつもであればインタビューはMFでしっかりフォーカスを固定して撮影するのだが、今回はあえてコンテニュアスAF(常時AF)で撮影に挑んだ。AFモードは瞳AFが効く「顔認識」。念のため4Kモニターを隣に設置し、アシスタントに撮影をまかせ、自分は目をさらのようにして4Kモニターを眺めた。フルサイズ+明るめ単焦点レンズなので、ただでさえ深度が浅い。少しでもフォーカスが泳いでしまうと素材として使えないため、ここはしっかり最初に見極める必要があった。

結果として途中でフォーカスが微妙に泳ぐ事もなく、最後までしっかり顔を捉えていた。特にインタビュー撮影では対象者が微妙に前後することが多々ある。単焦点で被写界深度が浅いと、それだけで顔がボケてくる。一昔前のスチル用レンズでは、その度にフォーカスがカクカクとピクついたものだが、LUMIX S PRO 50mm F1.4との組み合わせでは、フォーカスが滑らかに追随し、高品質な映像が撮影できた。(AF駆動速度は+1、追随速度は0に設定)

それと相まって、シネライクD2の撮って出しの描画力もすばらしい。ダイナミックレンジに余裕を感じるというか、全体的な階調感の良さ、リッチさ、出てくる画はS1Hと比べて遜色は無い。

さて、涼しい現場はここまで。ここESTEMでは未来設計リニューアル研究所と呼ばれるテストセンターが併設している。中でも中核をなすのが巨大なテストタワーだ。ここからは多少厳しい条件のもと、1日としてもかなり多くの撮影を予定していたので、機動性を最重視し、ほとんどハンディで撮影した。

現場の平均気温は30度を確実に超えていた。特に混沌としたのはテストタワー内。地下の配電盤や巻上げ機等の設置してある狭い場所、テスト用のエレベーター内はかなり暑かった。

短時間で数十カットを撮影する必要があるため、レンズ交換無しで、かつS5のボディ内手ぶれ補正を活かし撮影。レンズは主に標準ズームのLUMIX S 24-105mm F4を使用。この組み合わせでファインダーに目を当ててガッチリ体を固定し撮影してみたが、S1Hと同様ビタ止まりで三脚いらず。(手ブレ補整ブーストをON)場合によっては、かなり狭い場所での撮影もあったが、体一つで入り込んで、しっかりしたフィックスの画をインスタントに撮影する事が出来た。

フォーカスは基本マニュアルで撮影していたが、ファインダーの解像度は個人的に必要十分と感じたし、ピーキングを組み合わせる事でフォーカスも難なく合わせられた。レンズのフォーカス操作に関しては、レンズ設定のメニューを開き、「フォーカスリング制御」を「ノンリニア」から「リニア」に変更、ついでに回転角度も180度から240度に変更したら、かなりしっくり合わせられるようになった。

自分は基本的にマニュアルモード(Mモード)で撮影する。オートだと、どうしても意図しない部分が明るくなったり、時間軸で変化してしまったりするためだ。現場では、あらかじめコントロールダイヤルの右にアサインしたウェーブフォームを呼び出す事で露出の目安にした。現場で即座に呼び出したい機能を、事前に好きな部分にアサインしておけるのもLUMIXの大きなアドバンテージ。コントロールダイヤルだけでも、上下左右と4つにアサイン可能だ。もちろん、すでに割り当てが決まっているボタンも機能を変更できたりする。さらにはボタン以外にも液晶タップでのFnボタンもあり、現場での操作性はほぼ死角無しのSシリーズ、S5にもしっかり継承されている。

撮影中、明るさを若干上げたいと思ったが、すでに絞りは解放だった。先にNDフィルターを装着していたのが仇になったらしい。そこで瞬時にISOボタンを押して明るさを変更した。S5であれば撮影をストップさせる必要はない。先にも述べたがISOやWBは撮影中でも変更可能だ。

撮影が進む中で、エレベーターの非接触型ボタンというのもを撮影する事になり、最も難易度の高い撮影になった。というのは、ホログラムのボタンが空間に現れるので、撮影角度によってはボタンが映らない。またホログラムという事を説明するために、かなり俯瞰目からカメラを滑らかに移動させつつ、空間にボタンが浮かんでいる、というのを説明しなければならなかった。そこでS5をジンバル(Weebil S)に載せて、オートフォーカス頼みで撮影を試みたが、結果的にうまくいった。

なおAFは「追尾」を選択し、ボタンを押す指先にAFを追尾させた。かなり俯瞰から、ゆっくり斜めにジンバルを振っていく。じんわりと空間にボタンのホログラムが現れ、それを指先で押す、というショットがなんとか撮影できた。S5が小型軽量なので、S1H+DJI Roninで運用していた時にくらべ全体的に気軽であった。S5の機動性を強く感じた1場面だ。

かくして今回の撮影は無事終了。高温で過酷な現場もあったが、4K60p10bitという高負荷の収録形式であっても途中で止まったり動作が不安定になる事はなかった。なお、ほぼ1日撮影した中で使用したバッテリーは3本。バッテリー持ちは体感的にはGH5程度か、それをすこし上回る印象か。最初はGH5と同じ大きさのバッテリーで、フルサイズ機、4K60p10bit、イケるか?という不安もあったが、結果的にまったくもって問題はなかった。

総括

これまでGH5をメイン機として所有し、現場次第ではS1Hをレンタルして使い分けていた自分だが、S5はたして自分のフィールドのどこに落ちてくる機種なのか、ずっと考えていた。

今回、実際に試用させてもらって、答えはあっさり出た。「気軽にフルサイズ」がキーワードかもしれない。正直なところ、ガチンコで業務に投入するなら今でもS1Hという選択肢になる。それは実に細かい部分で、HDMI端子の事やファインダーの解像度、チルトフリーアングル、またかなり深い部分での業務仕様の機能が省かれている、という部分だろうか?ただ値段や大きさ、いろんな意味で即所有というところまでは至っていなかった。

一方で、自分の現場ではALL-Intraモードを使った事がない。むしろよりインスタントな制作を求められる事が多い。30分の時間制限という部分も、10bitで連続30分以上回す事は無いし、長回しの場合は大抵8bitで十分な時が多い。そういう視点から見るとS5はちょうどよい。GH5より若干小型のボディ、それでいて、フルサイズの28MbpsのFHD記録、なんていうのは取材にはピッタリではないか。

GH5からのステップアップ機というよりかは、同時所有する機種、それが「S5」というのが自分の結論だ。「フルサイズ機だったらなぁ」という場面はこれまで多々あった。だからいっそのこと、GH5とS5を現場に持って行って使い分けをすればいいのかもしれない。もちろんレンズは共用できない問題はあるが、フルサイズを使いたい場面は、自分の場合おおよそボケ味を活かしたい場面。たとえばインタビューなどのポートレートや食品系の撮影など。だから50mmの明るめの単焦点を一つ持っていけばいい気もする。これはあくまで自分の現場に限った話だ。

そしてS5も強力なボディ内手ぶれ補正が健在だ。フルサイズで三脚いらずでガンガン撮っていける、というのは今回の現場投入で実感した部分。デュアルネイティブISO搭載で暗所にも強いとくれば、GH5SからS5、という選択肢も出てくる。

GHではできない4K60p10bitが内部でデュアル収録できる、というのも大きな部分。そして無印V-Log搭載S1H同等の広いダイナミックレンジ。作品性が求められる現場でもしっかり使う事ができる。さらにハイスピード時のAF搭載。これはお値段次第では即買いしてしまう可能性がある。動画撮影においてLUMIXの使いやすさをとことん知っているユーザーにとっては、また目が離せなくなる機種が出てきてしまった、という印象だ。

▼今回、使用いただきレビューしていただいた機材はこちら
LUMIX S5:https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5.html
LUMIX S PRO 24-70mm F2.8:https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens/lumix_s_pro_24-70.html
LUMIX S PRO 16-35mm F4:https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens/lumix_s_pro_16-35.html
LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.:https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens/lumix_s_24-105.html
LUMIX S PRO 50mm F1.4:
https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens/lumix_s_pro_50.html

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