DCPとは

完成した映画がどういう風に劇場で公開されるのか?それを考える上で必ず出てくる言葉がDCPです。僕もあんまり詳しく知らなかったので、ちょっと頑張って調べました。以下、参考までに読んで頂ければと思います。また外部リンクでもっと参考になるものがあれば、是非コメント欄にてシェアしてください!

DCP

DCPとはDigital Cinema Package(デジタル シネマ パッケージ)と言って、劇場上映する時に必要な、素材をまとめた1つのパッケージのことです。DCPフォルダーを受け取ったDC(Digital Cinema)サーバーが決められた順序とファイル名で整理されたファイルを読み込みプロジェクターに映像を流します。ちなみにLinux OSのDCサーバーのため、DCPが保管されたHDDはLinux EXT3というフォーマットになっていて、MacやWindowsではサードパーティのドライバーをインストールしなければマウントすることが出来ない様です。


DCPの中身はこの様になっています。 / 参照:Oliver Trenouth blog

DCP = デジタル版のフィルムストリップ

DCPとは何かという質問の答えで最も分かり易かったのが、SIMPLE DCP(シンプルDCP)というアメリカの会社の回答です。SIMPLE DCPが(英語で)の言うDCPとは、「簡単に言えば、デジタルの世界で最も映画のフィルムストリップの概念に近いもの」だそうです。ストリップとは、フィルム映像の1コマ1コマが1列に並んだリールのことです。つまりDCPとは、デジタル上で、ストリップの様に1コマ1コマ並んだ映像の羅列だ、と言うことです。

そしてDCPのフィルムの1コマを作っているものが、"JPEG 2000"と言うフォーマットです。そして映画と同じコマの考えを使うために、NTSCのTV用のフレームレートである29.97fpsや23.976fpsでは無く、完全な24fpsに変換してDCP納品とします。イメージはなんとなくMPEG圧縮方式のALL-I(フレーム間予測をしない圧縮形式)に近いですね。JPEG 2000の連番で書き出された写真が1秒間に24枚(もしくは25, 30, 48枚)上映されるのが劇場の映像クオリティと言うことです。


映画のフィルムストリップ参考画像 / 参照:Bangkok Post

JPEG 2000

現在劇場で使われる画像フォーマットで、DCI 2KとDCI 4Kともに最大250Mbps 12bitで各フレームが生成されます。この際に特殊なのは、普段見慣れたRGB、YUV、CMYKの様な色空間では無く、XYZと言う色空間の座標を使ったもので記録されることです。XYZの色空間について調べた中で一番分かりやすかった記事はこちらからどうぞ。(以下の外部リンクより)CIE XYZ色空間と呼ばれるもので、Gamma 2.6(DCI P3のガンマ値)での座標表示はX’Y’Z’と表されます。白の色温度は6500K(D65)に設定されています。

DCPでは、このX’Y’Z’座標に変換されたJPEG 2000の画像連番ファイルをMXFシーケンスとしてエンコーディングします。

XYZ色空間についての説明 - 外部リンク
色空間の変換(1) - XYZ 色空間

DCP作成を業者に依頼する場合、提出する動画の形式

PRORES4444やH264(5)もオッケー

最高品質のDCPを作るためには、マスタリングするオンライン編集から16 bit DPXや16bit TIFFの画像ファイルのシーケンスを生成して提出するのが理想的だそうです。ただ、マスターファイルのPRORES4444(XQ)やPRORES422HQ、DNxHDシリーズやH264、H265などからもDCPの作成を依頼することが出来ます。

DCDMからJPEG 2000に変換してDCPが完成する

DCDMと言うのは、Digital Cinema Distribution Master(デジタル シネマ ディストリビューション マスター)と呼ばれるもので、要するに劇場で上映するDCPを作成するためのマスターファイルのことです。上記のTIFF連番シーケンスがそれにあたります。

このステップがある理由は、インディペンデント映画を配給会社へ納品する際の最終的なフォーマットであるPRORES4444で出すよりも、RAWで撮影・カラコレしたデータが、TIFFなどの非圧縮の高画像ファイルの連番として保存されるからです。現在のシネマクオリティよりも更に高品質なフォーマットで上映が出来る様になった時に、立ち戻って新しい上映用のマスタリングをすることを可能にするためのステップです。

アスペクト比はDCI仕様のもの

DCPは完全に劇場向けなので、劇場で公開するためのDCI規格に当てはまる様に、上下または左右にレターボックスを加えたDCDMが作成されます。


参照:SIMPLE DCP

音は出来るだけ非圧縮で

DCPの音声は、映像同様にMXFファイルというコンテナに非圧縮でエンコードされます。そのためDCP作成を依頼する際、音声ファイルは24-bit 48kHz Linear PCM(非圧縮)のファイルでの受け渡しを求められます。5.1チャンネルでのDCP作成の場合も含め、AC-3(ドルビーデジタル)やAACなどの高圧縮ファイルは受け付けられない様です。(You-Tubeなどのオンラインプラットフォームは、ストリームが出来る様に、高品質/高圧縮のAAC-LC [advanced audio coding]を推奨)

また、5.1チャンネルでのDCP作成の際には、SMPTEが規格化したチャンネル振り分けしてからWAVなどで同じく24-bit 48kHzで書き出します。ちなみにSMPTE規定の5.1チャンネルの音のレイアウトは以下の通りです。

1 Ch. - L – Left - 左スピーカー(主に音楽)
2 Ch. - R – Right - 右スピーカー(主に音楽)
3 Ch. - C – Center - センタースピーカー(主に台詞)
4 Ch. - LFE – Low Frequency Effects - サブウーファー(低音のエフェクト)
5 Ch. - Ls – Left Surround - 左サラウンドスピーカー(主に効果音)
6 Ch. - Rs – Right Surround - 右サラウンドスピーカー(主に効果音)


参照:Forum Construire

これは業界スタンダードで、DCPのためで無くても、この順序で並べたもので無ければ、5.1チャンネルのDolbyのサラウンド音声技術Pro Logic2などでエンコードしたデータが、デコーダーで上手く再生されなくなる業務上の問題も起こるそうです。気をつけよーっと。

DCP作成の流れ

DCPの流れについては、東北芸術工科大による研究プロジェクト、
デジタルシネマ時代の小規模映画の上映形式の研究」に分かりやすく記載されています。


参照:デジタルシネマ時代の小規模映画の上映形式の研究

OpenDCP

DCP作成にかかるコストが無い

DCPは基本的に劇場公開を目的としたフォーマットのために、作成には特殊な知識と技術を必要とされていました。そのためにコストもバカ高いとか。アメリカではインディペンデントでの映画制作が盛んなために、劇場公開までを狙ったインディーズ映画が数多く存在します。SXSWや大きな映画祭のためにも、DCPの作成は欠かせないステップの一つです。普通アメリカでは、DCP作成に10-30万円くらいかかります。

このコストがかけられない場合は、blackmagic designのDaVinci Resolve Studio 12.5やQuvisのWraptorなどでEasyDCPと称してDCPが自作出来る様になっています。DaVinciの有料版は凡そ10万円、Quvisはアメリカでのサービスなので日本で使えるかどうかは分かりません。

そんな中でオープンソースのDCPソフトウェアが制作されていました!実際に使った人は会ったことがありませんが、見つけてビックリしました(笑)OpenDCPを使って2時間の映画をJPEG 2000に変換したアメリカ人の記事がありましたが、そのステップだけで4日レンダリングに時間がかかった様です(爆)とりあえずダウンロードだけはしてみました。TIFFでDCDMを作る作業までをNLEソフトで行い、DCDMをJPEG 2000 (XYZ色空間変換含む)に変換する作業からOpenDCPを使ってDCP作成をすることが出来ます。誰か試されたい方は、是非是非、制作ノートと称して実験しちゃってください♪ 楽しみにしてます!

OpenDCPのダウンロードリンク


参照:The Film Bakery

実際にEasyDCPに関しては、DaVinci Resolve Studioを実際に使って作業した際などに記事にしてみようと思います。以上、DCPについてのまとめでした。

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コメント

  • 岩崎孝正
    OpenDCPでDCPを制作した経験があります。DCP素材をベルギーに送り、無事上映されたようです。上記の「デジタルシネマ〜」のDCPについての研究は、科研費プロジェクトですね。最終報告書がでて、冊子になっています(関係者にしか配られていないようですが…)。
  • Hiroki Kamada
    岩崎さん、コメントありがとうございます。OpenDCPどうでしたか?せっかくなので制作ノートに書いてください。めっちゃ読みたい^^ 最終報告書の冊子も読みたいですねー。
  • 岩崎孝正
    vookさんのコメント欄が調子悪いようで、なかなかコメント書けないので、いずれノートに書きます…。要点は二つありまして、DCPの映写ができる試写室が必要なことと、5.1chについては、5.1chで聞けるMA室が必要なことでしょうか…。
  • Takashi Homma
    <OpenDCP>で制作したんですね。意外とリアル制作ノートは公開されていないので気になりますね〜。映画祭ではプレミアでも制作してみたりもしました。
  • 岩崎孝正
    DCPはグレーディングとセットですかね…個人的な感想ですけど。単にDCPにしても、ちょっと違う程度かもしれないですね。DCP用のグレーディングをして、はじめてDCPになるのではないかと思います。ちなみにグレーディングで色を見るんですが、PCを信じるのか、Cineplayerを信じるのか、VLCやらクイックタイムを信じるのか…書き出してからの再生環境で色がわからなくなる場合がありましたね(マスモニは高価なので、お持ちの方は少ないかと思いますが)。
  • 岩崎孝正
    私の場合はマスモニはなかったので、i mac 21.5inchi retinaモデルで確認していました。DCI-P3対応なので、現状は最適解かと(http://jp.red.com/news/cinema-color-management-jp)。ドレミのCineplayerも色がちょっとちがいますし…ちょっとしか再生されないし。DCPつくったのは1、2年前ですが、忘れっぽいので、なぜか記憶が曖昧すね。整理して、覚え書きをもう一度書きます…。