2020.11.12 (最終更新日: 2020.11.12)

DaVinci Resolve 17の新機能ベスト17(執筆中)

11月10日、DaVinci Resolve 17 Beta 1がリリースされました。DaVinci Resolve 17は、DaVinci Resolve 16が発表されてから1年半ぶりのアップデートであり、満を持して発表されただけあって、およそ300項目もの新機能や改善が含まれています。エディターもカラリストもVFXアーティストもオーディオエンジニアもYouTuberも放送局もポストプロダクションも一度に満足させることは簡単なことではありませんが、DaVinci Resolve 17はその難事に挑戦しています。それに成功したかどうかは皆さんのご意見を待つしかありませんが、なかなか悪くないところまでいっているのではないでしょうか。この記事ではDaVinci Resolve 17の新機能をご紹介をいたします。

安心してください。今回のアップデートでは新しいページは増えていません。DaVinci Resolveは14でFairlight、15でFusion、16でCutと、毎回ページを追加してきましたが、今回は12.5以来4年ぶりに新しいページの追加はありませんでした。

300もの項目を含む巨大なアップデートであるにもかかわらず、今回もまた無料でアップデートできます。アップデート費用は一切かかりません。一部、サブスクリプション 制度が始まるのではないかと戦々恐々としていた方もいらっしゃるようですが、大丈夫です、今までどおりの買い切り精度は変わりません。アップデートするには、DaVinci Resolve 17のインストーラーをダウンロードして、そのインストーラーを使ってDaVinci Resolve 17をお使いのOSにインストールしてください。

DaVinci Resolve 17のインストーラーには新機能マニュアルが入っています。見ていただくとわかりますが、全部で240ページもある文書です。それだけDaVinci Resolve 17には機能が盛りだくさんということです。このマニュアルは懇切丁寧に書かれていて、わかりやすいのですが、やはり長いですし、英語ですので、この記事でできるだけ簡単にその内容をまとめてみたいと思います。


タイトルに「執筆中」という断り書きを入れました。もちろん最初から全部の機能を隈なく詳しく説明できるのが理想的なのですが、そうすると記事が完成するまでに時間がかかってしまって、もう記事が完成する頃には17のベータが外れて正式版が出ているかもしれません。ということで今回の記事では、とりあえず最初にメインのセクションだけを公開して、残りのセクションは今後ゆっくりと追加していきたいと思います。DaVinci Resolve 17と同じで、この記事もまだベータ版ということでお考えください。

カット&エディット
今のバージョンでも編集機能は充実していましたし、DaVinci Resolveは世界中で編集ソフトとして使われてきたわけですが、今回のアップデートではたくさんの機能を追加して、さらに使い勝手が良くなりました。

1. DaVinci Resolve Speed Editor

DaVinci Resolve Speed Editorという新製品が発表されました。これはカットページでの使用を想定して設計されたハードウェアパネルです。これまでにもDaVinci Resolve Editor Keyboardという製品はありましたが、このDaVinci Resolve Speed Editorはそれよりもサイズが小さくなり、値段も安くなり、より身近に使えるようになりました。

DaVinci Resolve Speed Editorについては今後動画を使って紹介をしたいと考えています。

2. フォントプレビュー

アップデートの主要な項目とはいえないのですが、意外に反響が強かったのがフォントプレビュー機能です。フォントを選択する際、カーソルをフォント名に置くだけですぐにビューワーに結果が反映されます。フォントを選ぶときの時間と苦労が大幅に減るはずです。プレビューも早いです。

3. AIリフレーミング(有償版のみ)

DaVinci ResolveはDaVinci Neural EngineというAI機能を搭載しています。これまでのバージョンでも、このAIテクノロジーは様々な機能に活用されてきました。

今回はエディットページで2つのDaVinci Neural Engine搭載の機能が追加されました。AIリフレーミングは、スマートリフレームと呼ばれています。たとえば1080x1080や1080x1920といった、通常の16:9ではないアスペクトの作品を作るときに、センターに自動的に適切な箇所を持ってきてくれます。

4. AIシーンカット

これまでにもDaVinci Resolveには1本の素材から自動的にシーンをカットする機能がありました。シーン検出というツールで、メディアページの左上のメディアストレージで使うことができました。今回のバージョンからは、その機能がエディットページやカットページで使えます。

このバージョンからはDaVinci Neural Engineが使われているため、機能としてもパワーアップしています。すでに作品として出来上がった1本のファイルを再編集するときに便利ですね。

5. トランジションやエフェクトのリアルタイムプレビュー

エフェクトライブラリにあるビデオトランジションやエフェクトにマウスカーソルをホバリングすると、自動的にその適用結果がプレビューウィンドウですぐに見られるようになりました。なにげない機能ですが、これは編集が楽になっていいですよ。

Fusion
Fusionページはもともと合成、つまりコンポジットに強いセクションでしたが、今回のアップデートでモーショングラフィックスにも強くなったと思います。まだFusionページになじみがないという方も、2D合成、3D合成、トラッキング、VFX、タイトル作成、モーショングラフィックスなど、多様な分野で使えるFusionページにこの機会にぜひ親しんでみてください。

6. リアルタイム音声出力

そんな当たり前な、とおっしゃるなかれ。今でのFusionページは音が出ないのが大きな難点でした。クロマキーやモーショントラッキングをするときはいいんですが、モーショングラフィックスやタイトル合成をするときには、タイミングが図れなくてなかなか苦労することが多かったと思います。17からは音が出力され、キーフレームエディターでは音声波形も見られるようになっています。ずっとDaVinci ResolveでFusionを使ってきた方は感涙にむせぶ・・・ことはないですが、まあ喜んでいただけるのではないでしょうか。

7. マーカーの共有

これも音声の話と同じで、特にモーショングラフィックスを作る際に便利なのではないかと思います。もちろんモーショングラフィックスではなくても、エディットページでマーカーを打っておいて、そのあとでFusionページでそのマーカーを頼りにテキストを入れたり、合成をしたりすることもできます。キーフレームエディターの右クリックのコンテクストからは、マーカーリストも出せます。これもFusionページを知らない人からすると、そんなの当たり前じゃんと言われかねないですが、じつはFusionページとほかのページの間にはこうした壁がいくつかあったのです。壁が一つでもなくなることはいいことではありませんか。

8. シェイプツール

これもモーショングラフィックス寄りのアップデートですね。これまでもFusionページにはシェイプツールというのはあったのですが、どちらかというとグリーンバックのキーイングを補正したり、ロトスコープに使ったりするために設計されていたため、いわゆるモーショングラフィックス的な、単純な図形を作って動かしたりするような作業には向いていませんでした。今回、sStar、sEllipse、sRectangleなど、sで始まるシェイプツールがたくさん追加されています。これはpで始まるパーティクルツールと同じで、最後にsRenderツールを入れることではじめて図形がレンダリングされます。音も出て、マーカーも管理できて、シェイプツールも揃っているとなれば、Fusionページでモーショングラフィックスを作らない理由はないのではないでしょうか。

カラー
カラーもすごいです。そもそもDaVinci Resolveのカラーページは数年前から完成された感じがあって、ユーザーの方からも大きな不満の声をほとんど聞いたことがなかったのですが、今回のアップデートでは驚きの新機能がたくさん追加されています。プレゼンでCEOグラント・ペティは「カラーページはDaVinci Resolveのヘリテージ(遺産)だ」と言っていましたが、豊かな遺産に安住することなく、さらに向上していこうという強い意志が感じられるアップデートと言えます。

9. HDRカラーホイール

リフト、ガンマ、ゲインでおなじみのカラーホイールは、DaVinci Resolveの大昔のバージョンから存在した、いわばカラーグレーディングの屋台骨を支える最も重要なツールと言っていいでしょう。しかしずっと変わらないものというのはないもので、今回新たにその進化系、HDRカラーホイールというツールが追加されました。ぱっと見るとすごい複雑に見えますし、実際に簡単に使いこなすのは難しいかもしれませんが、これは簡単に言ってしまうと、従来のカラーホイールよりも細かい区分で調整ができるカラーホイールです。従来はリフト、ガンマ、ゲインと3つの区分で明るさが分けられていましたが、このHDRカラーホイールでは、ブラック、ダーク、シャドウ、ライト、ハイライト、スペキュラーという6つの区分が導入されています。

HDRカラーホイールの6つの区分はリフト、ガンマ、ゲインのように固定化されていません。下図のグラフで、自由に範囲を設定できます。HDRという名前はついていますが、必ずしもHDRの素材しか使えないというわけではありません。通常のSDRの素材でも、ダイナミックレンジが広い素材であれば、このHDRカラーホイールが大きな効果を発揮するはずです。

6つの区分の簡略図はこちらをどうぞ。

10. カーブの巨大化

カラーホイールよりはカーブで色や明るさを調整したい方も多いと思いますが、そういう方からしばしばいただいたリクエストとして、カーブを大きくしたいというものがありました。というわけで、17ではカーブを大きく表示できるようになりました。カーブの細かい調整をしたいときには便利なのは間違いないです。

11. Resolve Color Managementの進化

DaVinci Resolveにはカラースペースをプロジェクト単位で管理するツールとして、Resolve Color Managementというものが用意されていました。17ではこのResolve Color Managementが大きくパワーアップしています。プロジェクト設定でのカラースペースの管理がよりわかりやすくなり、DaVinci Wide GamutというDaVinci Resolve独自の巨大なカラースペースが導入されました。

DaVinci Wide Gamutは名前にワイドと入っているだけあって非常に大きいカラースペースです。世間で一般的なRec.709はもちろん、広いとされているRec.2020のカラースペースよりもさらに広いです。べつにこんなことで張り合ってもしょうがないんですが、世界カラースペースオリンピックという競争があったら一等賞を取れる広さだと思います。

カラーパイプラインに興味がある方のために、いちおうResolve Color Managementを使ったときのDaVinci Resolveのプロセスの順序がわかる図を置いておきます。

Resolve Color Managementってなんじゃいな、という方はこちらをどうぞ。

12. カラーワーパー

これもHDRカラーホイールと同じく、完全に新しいカラーページのツールセットです。やっていることはこれまでのvsカーブに近いのですが、また違った角度から映像の色をダイナミックに変更することができます。一見するといろんなボタンや項目があってわかりにくいかもしれませんが、蜘蛛巣城、じゃなかった、クモの巣状のグリッドをぐいぐいいじってみると、映像がみるみる変わっていくのがわかって面白いと思います。

13. マジックマスク

これも新しいツールセットです。AIを使って人物や顔や腕などをトラッキングすることができます。これまでにも「フェイス修正」というResolveFXはありましたが、それの進化版と言えるかもしれません。これを使えば、人の顔だけを正確にトラッキングしてグレーディングすることもできますし、VFX的な使い方もできると思います。

Fairlight
Fairlightはほかのページに比べて手堅いアップデートという感じがします。Dolby AtmosやNHK 22.2ch対応などをべつにすればあっと驚くような機能はないように見えますが、詳しく見ていくと日々の作業を楽にする機能がたくさん入っています。ここでは2つ挙げてみます。

14. 音声の切れ目の自動検出

これはエディットページのシーン検出機能に近いかもしれません。音声の切れ目を検出して自動的に分け目を入れてくれる機能です。この機能を使うには、トラックヘッダーで右クリックをしてTransient Detectionにチェックを入れて、タイムライン上のツールバーのTransient Detectionのアイコンをクリックします。そうすると自動で切れ目が入ります。無音部分を削除したり、言い淀んだ部分を取り除いたりするのに便利なツールだと思います。

15. スピーディーなラウドネス測定

これまでもFairlightページではラウドネスを測ることはできましたが、ラウドネスの測定にはタイムラインの最初から最後までを再生する必要があったため30分番組なら30分の時間がかかってしまっていました。17からは、一瞬で計算してくれます。

ラウドネスってなんですか、という方はこちらの記事をどうぞ。

ResolveFX
これまでにもDaVinci Resolveには標準搭載のエフェクト、ResolveFXがたくさん入っていました。

17ではさらにたくさんのエフェクトが追加されました。

16. ビデオコラージュ

ビデオコラージュという新しいResolveFXです。簡単に複数の画面が入った映像を作ることができます。多画面の合成はこれまでもFusionページでできましたが、このビデオコラージュというエフェクトを使うとあっという間にそれが可能になります。パラメーターもたくさんあるので、かなり細かく調整ができます。

17. 3Dキーヤー

DaVinci Resolveにはパワフルなクロマキーヤーがありますが、これらのツールはFusionページやカラーページに行かないと使うことができませんでした。今回からはカラーページにある3DキーヤーがResolveFXとして追加されたため、エディットページやカットページですぐにグリーンバックやブルーバックのキーイングができます。

じつは今回のアップデートでは、エディットページやカットページでできることが格段に増えているのが特徴です。新たなResolveFXとして、この3Dキーヤー以外にも、ルマキーヤー、HSLキーヤー、ノイズリダクションなどの、従来ではカラーページでしか使えなかったエフェクトが搭載されています。だからわざわざカラーページに行かなくても、エディットページにいながら、ノイズを消したり合成をしたりすることができます。

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    コメント

    • karikuma
      解説がシンプルでわかりやすく、クスクス笑わせてくれて最高です。