2020.12.11 (最終更新日: 2020.12.11)

【02】モーショングラフィックス-どのような力が働き、生まれるかを考える-

第一章の記事はこちら

どのような力が働き、生まれるかを考える

前回は、動きの流れを作るために共通点を探すについて話しました。

今回は動くことでどのような力が働き、生まれるかについて考えていきます。

動きには予備動作や、動作終わりの余韻があります。
物には重量、空間には重力が働いており、物と物が衝突すれば強い力が生まれます。
それぞれに力の方向や、流れというものが存在します。

アニメーションを作成するうえで重要なのは、画面内では実際に発生していない、それらの力をいかに再現し、利用していくかということです。
どんな力が働くのか?どんな重さなのか、重力はあるのか、ないのか?など、作り手が自由にコントロールできる部分でもあり、モーションを作るうえで楽しいことのひとつでもあると思います。

動くことで発生する様々な力や方向、動きの流れからインスピレーションを受けて、モーションを組み立てるヒントを見ていきます。

予備動作で次の動きを示唆する

例えば動きの流れを見たり、どんな力が働いたかで、次の動きを示唆させることができます。
分かりやすいもので言えば、予備動作です。
見る側も、「この予備動作なら次はこう動くだろうな…」と無意識に受け取り、その通りに動くことでモーションの気持ち良さが発生します。

▼実際に見てみましょう。

円形を、少し縮小させる動きをつけました。
縮小する動き縮小後の間次第で、力を溜めたり、バネのような力が働くように見え、次になにが起こるかを示唆させることができます。

この予備動作の後に、続く動きはなんとなく予想できると思います。

▼拡大です。

もちろん拡大する動きだけが予想されるものではないですが、不自然ではない流れになっていると思います。
モーションを付けていくうえで、予備動作は重要な要素です。
動かしたい流れを決めて、その方向へ向かうための予備動作をつけると、よりスムーズなモーションになります。

動きの捉え方

予備動作のほかに、動作終わりのことを考えるのも大事です。
力の方向や、強弱を感じ取って、次にどのような流れを作るかを探っていきます。

▼左から右へ移動する図形があります。

ただ左から右へ移動しているだけのモーションですが、この動きを見てどのような力が働き、どのような力が生まれるかをどう受け取るかは作り手次第です。
受け取り方次第で様々なモーションへと繋げていくことができます。

▼ヒントを見ていきます。

この図形を投げたボールと捉えれば、失速して下に落ちていくモーションに繋げることができます。
実際には投げたボールはこんな落ち方はしませんが…良しとしてください。

▼次は…

勢いあまって目的の場所を通り過ぎたと捉えれば、踵を返して戻ってくる動きにもできます。

▼次…

画面右端を壁と捉えれば、衝突の際に生まれる力を利用し、別の図形を登場させたり、色の反転や背景のトランジションなんかも面白いかもしれません。
このように動きの受け取り方で、自由なモーションに繋げていくことができます。

▼さらに、動きを発展させると…

ボールが失速して落ちたという流れを利用して、簡単なモーションを2つ追加して繋げてみました。
どのモーションも落ちるという流れを組んで構築しています。
今回は、落ちる=下方向としてモーションを作成していますが、落下したという事象を見せていれば、その後に続くカットは落下を含んだ映像にすれば、下方向でなくとも問題なく繋げていくことができます。

これは第一章の、「共通点を探す」にも当てはまります。
落ちたという事象の共通点で映像が繋がっていきます。
カット内にある要素を、次に繋がるカットにも入れ込み、うまくブレンドすることでスムーズに切り替えることができます。

ソフトクリームで例えると、
バニラ→抹茶ではなく、バニラ→ミックス→抹茶の流れを組むということです。

他にも、力の方向と流れの捉え方を見ていきます。
先ほどと同じモーションを使います。
左から右へ動いた図形の軌跡を利用するのはどうでしょう?

▼左から右へ移動した際に、図形の軌跡を認識できます。

移動した軌跡をラインとして捉えることができれば、また新たな動きを作り出す要素へと変わります。

▼ラインを利用した作例

軌跡を切り取り線と捉え、紙がめくれるような動きも面白いです。
他にも軌跡から画面を割り、上下に動かせばトランジションのような効果に繋げることもできます。

ただ上下に開く平面的な動きでも、捉え方次第で奥行きがあるように感じ取れます。

▼分かりやすい様に、カメラを動かしてみました。

見方を少し変えるだけで、新たな映像の流れを作る要素が生まれます。

▼奥行きを利用します。カメラを設置して空間を表現してみました。

カメラが奥に向かうということは、対象物は手前に向かってくるので、これもまた新たな動きの流れに使うこともできそうです。
このように、ひとつの動きから複数の流れを探ることができます。

さらにヒントを見ていきます。

▼平面に放射状ワイプを適用したモーションです。

この動きを見て、どこに動きの流れや力の方向を見出すでしょうか?
もちろん答えは一つではないです。
放射状ワイプによって半円の軌道が見えるのでそれを利用して、動きを考えてもいいでしょう。これが恐らく、基本的な動きの方向だと思われます。

例えばこういう考え方はどうでしょうか?
放射状ワイプの終点を見て、右方向への力の働きと捉えてみる。

▼右方向に力が働いているので、背景を右へスライドさせる動きが成立します。

今回は右へスライドさせましたが、放射状ワイプの軌道的に下方向へのスライドも成立しそうです。

動くことで生まれる力や方向をどう捉えるかは、モーションの幅を広げていくうえで重要な要素となります。
予備動作や、動作終わりの余韻ひとつで、自然とモーションが出来上がってくることも多々あります。
捉え方を複数見出し、新しい動きのヒントに役立ててください。

魔法の手法

最後に、先ほど少し触れましたが衝突の際に生まれる力について解説します。
個人的に最も簡単に利用できる手法だと思っています。
インパクトが強いほど、動きの方向や流れをある程度無視しても、成立する魔法の手法です。
色々と誤魔化しがきくので非常に使いやすいです。

▼衝突の力を利用した作例です。

円形がぶつかった際の衝撃、リンゴを噛んだ際の衝撃、黄色いコインが画面に張り付いた際の衝撃など、衝突の際に生まれる力を利用して簡単に画面を変化させることができます。
困ったらぶつけてみましょう!

今回は、「どのような力が働き、生まれるかを考える」についてヒントを見ていきました。
まだまだ紹介しきれない作例は数多く存在します。是非ともモーショングラフィックス作品を見る際に、力の方向や、動きの流れに目を向けて観察してみてください。
自身の作品制作や仕事に活かせる、テクニックが見つかるはずです。

次回の記事は14日公開予定…!
16日には映像つきで解説するウェビナーも予定しています。
ぜひご参加ください。

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