この記事はAdvent Challenge 2020にて「Yazhirushi|矢印」さんにインタビューした記事をまとめたものです。
洗練された映像と世界観が支持される若手映像作家Yazhirushi|矢印さんへインタビュー
ボーカロイド発の音楽はその映像世界も人気の一つ。そんな人気の一端を担い、近年多くのファンを獲得する映像作家Yazhirushi|矢印さん。今回はAdvent Challenge2020へ参加いただくにあたって作品制作の過程や制作姿勢についてインタビューさせていただきました!
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Yazhirushi|矢印さんプロフィール
Yazhirushi|矢印
映像制作者
1999年生まれ。2018年7月に映像を作り始め、現在フリーとして活動中。
2D、3DCGを駆使しMVやLive映像を主に担当し活動している。
代表作としてKradness「Diorama」、ちゃんげろソニック2020オンラインライブにて一部映像担当などがある。
Portfolio : https://yazhirushi.tumblr.com
Contact:yazhirushi@gmail.com
Twitter:https://twitter.com/Yazhirushi
好きな作家さん:reiyaさん、山口駿さん、佐藤隆之さんetc...
作品紹介
Kradness - Diorama (Official Music Video)
【オリジナルMV】ヘラ veno feat もぁくん
アヌビス/ veno ft.初音ミク (“Anubis” veno ft.Hatsune Miku)
主な仕事内容を教えてください
基本的にはボカロのMVだったりPVや、ライブのバックグラウンド映像を担当しています。今は北海道の大学で勉強する学生でありつつフリーランスとしても活動しています。割合は半々ぐらいですね。学校でのプロジェクトで映像を使うっていうので僕が駆り出される事もあれば、自分でも仕事をやることもあるでのだいたい半々くらいの感じです。
お仕事の営業などもされてますか?
基本的にポートフォリオを見た方が連絡を下さることが多いので今の所はした事はないですね。個人の案件ではDMで相談をいただくことが多いです。企業さんから突然メールがきてびっくりする事もあります。笑
映像制作を始めたきっかけは?
19歳の時に始めたんですよ。今年で多分2年目だと思います。きっかけはTwitterでCubeさんっていうクリエイターさんがいて(今は仲良くさせていただいています)その映像を一番最初に見た時にこれすごいなって初めて魅了されました。
MVとかボカロが好きだったのでYouTubeで見てたんですけど、ボカロの曲を使って自分でMVを作るっていう事をしている人をその時は見た事がなかったんです。それが流れてきた時にこういう人がいるんだ、俺も作ってみたいっていう気持ちで始めたのが最初でした。
とにかく質問した
本当に映像のことは全く知らない状態でしたが我慢できなくてDMしたんですよね。何のソフト使ってるんですか?って。そこからaviutlって無料のソフトがあって、そこからそういう界隈みたいなものにちょっとずつのめり込んでいって沼に落ちるわけです。笑
aviutl : 動画編集ソフト
好きなジャンルは?
最近は3DCGをちょっとずつ勉強し始めてきたので、魅せるって意味では結構世界観があるような形を意識してモーショングラフィックスを作ってます。2Dというよりは今はちょっと3D寄りな感じで。今はAfter effectsとCinema 4Dを使ってます。僕の場合は周りの人たちがCinema 4Dを使っていてAfter effectsを使っていてっていうのがあったので、すぐ身に付きやすいかなっていう理由で選びました。
何かを調べるときのバランス
すぐに問題を解決したい場合は人に聞いた方が解決出来るんですけど、じっくり勉強したい、理解をしたいっていうのであれば本の書籍やチュートリアルだったりを見るので、用途によって使い分けというか、そういう感じですね。僕の場合、寝る前に1回考え直さないと頭に入ってこない感じがするんで寝る前にチュートリアルを頭で再生したりします。笑
作品を作る上で大切にしている事
比較的にコンセプトというか世界観っていうのをクライアント様から聞いたりとか、歌詞とかを拝見、拝聴して、そこでどういう気持ちでこういうリズムになってみたいな、そういう企画っていう所に視点を置いて制作してます。ヒアリングはしっかりやります。
リファレンスはどうしてる?
基本的に僕はYouTubeを垂れ流して作業してます。たまたま流れてきて、あ、これいいなって思ったものをチェック付けるだったりとか、YouTubeの方で1個にまとめてたりとかするので、そこから作風に合うのはどれなんだろうっていうのを探して。まふまふさんいるじゃないですか、歌い手の。かなり参考にさせていただいていますね。
YouTubeの音はテレビから流していて、作業する時、Aeから出る音はヘッドフォンで聞いているんですよ。なのでヘッドフォンしていればちょっとテレビから音聞こえるなっていう程度で。本当に環境音という感じです。
1日の作業時間
平均で半日12時間ぐらいはやってると思います。そうしないとたぶん間に合わない感じなので。レンダリング時間は大学の課題に費やしたりとか他の勉強時間に費やすっていう。笑
工数の考え方
- 通常さの作業時間 + クオリティ担保する時間
算出する時は働いている先輩からこういう風に計算したらいいよってアドバイスをもらったりしました。(まぁこれは金銭面が発生したときの考え方です。)
作業とインプットのバランス
まずは自分が持っているリファレンスに当てはめていきます。それでこれ合うんじゃないかなとか、基本的に音を聞いて判断するんですけど、これ結構ゆっくりめだからもうちょっとフラクタルノイズ系がほしい、フレア系が多いものを探してみようとか、自分の参考の中から探してます。なのでリファレンスのストックは非常に大事にしています。それでもしっくりこなければ探しに行きます。
作業前にはイメージが既にある
基本的に曲を聞いた瞬間に何かしらのイメージがでてきます。こうした方がいいだろうなぁとかこういう文字の見せ方がいいんだろうなっていうのをだいたい思い付くことが多いので、イメージがある部分は作業を始めて、そのほかの肉付けをしていく感じです。
クライアントチェック
基本的には結構がっつり作り込んで、Aパート...Bパートとかって一区切りきたぐらいで1回見せます。こういう色合いだったりとかこういうエフェクト使いますけどどうですか?っていう風に。
制作はチームで?
めちゃくちゃ一人です。笑。本当にタスクがきついっていう時じゃないと一緒に人を呼んだりとかしないんで、基本的には一人でずっと作業してます。
データのやり取り
作業場が北海道なので離れた作業が多いので、データのやり取りはギガファイル便を使いますね。
オススメのAeエフェクト
自分はめっちゃエフェクト重ねるんですが強いていうとこんな感じです。
- グレイン
- フラクタルノイズ
- Looks
- QUICK CHROMATIC ABERRATION 2(色収差をしてくれる) QUICK CHROMATIC ABERRATION 2は友達に聞いたらたぶん色収差はこれでやったらいいんじゃないっていうので教えてくれました。笑
今後の展望と目標
Vimeoに載っかっているような3DCGを軸にした映像をちょっとずつ勉強しているというか、そっちの系統で進んで行こうかなって風な形で今勉強していて、でもUNDEFINEDみたいな作品を1人で出来るようになるような、魅せ方なども考えていきたいです。笑 ノードとか大変ですけど、3DCGって出来た時の達成感が凄いですよね~。
UNDEFINED:https://twitter.com/undef_official
これから始める方に
好きを貫けですかね。笑。どれだけ難しい事であっても。他の人がこの映像凄いよねって言ってくれた時の嬉しい気持ちが自分の原点だと思います。そういうところ全部含めて映像って好きなんですよ。なのでその好きっていうものを原点に置いて、そこからどう進んでいくかが初心者の方達だと思うので、わからなかったら聞けばいいと思います。色んなやり方があると思うんですけど貫いていてほしいなって。
どっかで一回落ちちゃってもいいからある程度周りと比べて凹みながら成長するっていうのも一つですし、そこら辺は難しいんですけど、比較的には自分自身との戦いだと思うので、そこら辺はずっと好きでいて欲しいなと。完全に憧れる人を一つに絞って、その人と対等になるために突き進むのも一つの方法だと思います。
無料ツールからAfter Effectsに転換した時期
aviutlからAeに移り替えたのは2019年の5、6月です。なので使い始めてまだ1年半くらいしか経ってないんですよ。僕は本当にタイミングが良かったんですけど、aviutlからAeに移った時点で、ちょっとずつお仕事を貰えるようになった感じです。そこでいろいろと表現の幅が広がったというか。特に被写界深度。あれは感動しました。笑。あとはもう使い方はほぼ同じっていう風に先輩から聞いてたので戸惑いはあまりなかったです。大丈夫だよって後押しされて、じゃあちょっとやってみるかってそんな感じですかね。
作品作りで何か意識して変えた事
エフェクトを使うっていう事を意識していきました。aviutlの場合は結構動きで魅せるをモットーに考えてたんです。なのでもう動きは大丈夫っていう事にして、Aeに移った時にはエフェクトをやろうと。手探りで1個ずつ調整レイヤー、シェイプレイヤー、平面レイヤーを用意してこのエフェクト何なんだろうって1個1個模索しました。被写界深度もかけすぎて重くなる時は各レイヤーにブラーをそれぞれかけまくったり。笑
モチベーションはどう保つ?
先ほどもお話ししましたが僕はMVとかをみながら作業します。なので色んな人のMVが流れてくるんでそれがもうモチベーションの一つですよね。こう作ってるんだったら僕もこれ作れるんじゃないかっていう。なので僕はもう基本的に映像を流しています、そこでずっと勇気を貰ってたりとかモチベーションを保ってたりとかはします。こんなの無理だよ作れるわけないじゃんって思いながら作ってます。自信満々で映像なんか作った事ないです。ずっと不安です。
最後に一言
映像というのは、難しいとされています。確かにプロセスや理解は難しいです。しかしそれは後から付いてくると思うので論理的に動くのも良いですが、まずはやってみる!というチャレンジ精神を大事にしてみてください。そしたら色んな道が広がると思います。
Yazhirushi|矢印さんのAEP配布はこちらから
DLはこちら:https://www.dropbox.com/s/5ju2fcci3f526k4/new%20my%20logomotion.aep?dl=0
※このAEPは素材ではありません。
※改変、配布はご遠慮ください。
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