この記事はAdvent Challenge 2020にて「かわうそデザイン」さんにインタビューした記事をまとめたものです。
Advent Challenge2020キービジュアルデザイナーかわうそデザインさんへインタビュー!
Vookのイケてるサムネイルデザインはほぼ「かわうそデザイン」さんが制作されていると言っても過言ではないくらい。今回はキービジュアルデザインを依頼したら想像の200%くらいポップでかわいいデザインをしてくれました。
「できればモーショングラフィックスにしたいのですが…」とお願いをしたところ、皆さんもご覧になっているかわいいデザインが!今回はそんなキービジュアルの制作過程やデザインで気をつけていることなどデザイナー視点のお話を伺っています。
プロのビデオグラファーを目指す学校、はじまる。入学生募集中。
PR:Vook School
かわうそデザインさんのプロフィール
かわうそデザイン
長野県生まれ。2013年からグラフィックデザイナーとして企業や行政、店舗の各種デザインを手掛ける。その後、音楽レーベルでアーティストデザイン/ディレクションを担当し、2017年にフリーランスとして独立。長野県と京都府の2拠点で活動している。地元の長野では、フリーペーパー「あいうえおぶせ」を発行している。
所属は?フリーランス?
今はフリーランスでグラフィックデザイナーをしています。もう3~4年くらいですかね。最後に会社を辞めてから4年くらいフリーでやっています。デザイン歴は8年くらいになります。
グラフィックデザインの種類はいろいろ
仕事の中心は商業デザイナー
私は商業デザイナーを中心に活動しています。ご依頼があって先方のイメージしているもの、形にはまだなってないものとかを引き出しつつそれを形にする。何かがあってそれをPRとか売り出すために相乗効果を与えるというか、もっとそれが広まりやすくなる、そういうお手伝いしてます。テーマがあってそれをもっと良くするためにデザインします。一方でアーティストデザインなどあまり商業デザインじゃないものもありますね。そういう意味では今回は後者かもしれませんね。笑
今回は自由度は高かった
アドベントカレンダーのデザインは、かなり自由な感じで制作しました。ただ、自由な分Vookさんの最終的なイメージとのずれが出ないか心配ではあったんですが結構すんなり通ったので良かったです。特になんでもいいっていう場合は修正が入りがちで。笑
自由に制作すると自分の趣味とかも出ちゃうじゃないですか、自分としては最高のものを作って提案しても、デザインって正解がない(自分だけでは決められない)のでなかなか先方と一致しないとか。それをどうやってイメージを一致させていくかっていうのはなかなか難しいです。映像でいう「いい感じで!」というのはデザインでも難しかったりします。そういう意味では今回はクリスマスというテーマがあって助かりました。
グラフィックデザインとは?
商業デザインは分かりやすい、伝わりやすいというのが重要です。チラシなどでも迷子にならないよう意識してます。自由におまかせされると私はイラストを使う事がすごく多いですね。普段はイラストはイラストレーターさんに頼むんですよ。
一人で全てを行うことはあまりない
そういえばイラスト〜グラフィックデザインまで全部自分一人でやるって人はなかなかいないかもしれません。知ってる限りですがイラストも描けてディレクション、デザインまでやるって人は本当に1人か2人ぐらいしか知らないです。
イラスト描く方とかもこんだけイラスト上手かったらもう全部自分でデザインまでしたら一人でやれていいのになって思ったりするんですけど、でも結構デザイン出来ないんですって言う方が多いんですよね、意外ですよね。今回は自由度が高かったので自分でデザインしましたが。笑
イラストレーターとの分業
昔、デザイナーになりたての時とかって頑張って自分で描いてたりしたんですけど、ある程度色々な案件受けるようになって予算とかも取れるようになったら、本業でイラストやってる人に頼むようになりました。すると時間も掛からないし、すごいクオリティが高い物が上がってくるんですよ。それからは本当にイラストレーターさんにお願いしてやるっていうのがすごく多いです。
自分の色
私の実績とかポートフォリオ見ると、ディレクションしている案件はかなりイラストが入っているのが並んでいます。結構それが色かもしれません。そういうのを見て「こういうテイストで」って言われる事が多いんです。
アドベントカレンダーのキービジュアルについて
一通りVookさんからはクリスマスのイメージで動くものになるという話をいただきました。作成自体は結構自由だったのでイメージはこんな感じです。
- クリスマスまで毎日カウントダウンされるアドベントカレンダー
- カウントダウンされる日をサンタさんが準備をしつつ待っている
このようなイメージがメインビジュアルからは感じられたらいいかなと。
デザインのコンセプト
どのくらい動くのかっていうのがまだ分からなかったのでいくつか案を考えました。
- 激しく動くようなものではない
- サンタさんがちょっと居眠りしてる
- 単純な動きとかで可愛く見せる
こんな感じを意識して作成しました。今回は図形とパスなどの組み合わせでなんとかなると思ったので自分で作成しましたがもっとアウトラインを付けてしっかりデザインするものとかいうものになってればイラストはお願いしたと思います。笑
Adobe Illustratorで作成
見ていただくとわかりますが、本当に図形の応用だけで成り立っているんです。あんまりこういうモーションデザインはほぼ機会がなかったので、試行錯誤しつつバランスと色には注意して作成しました。
リファレンス
Pinterestが多いです。Web専門の方はまとまっているサイトが色々あるじゃないですか。でも紙の方はそういうのってあんまりなくて、Pinterestとか、本当に自分が好きなデザイナーさんの個人、会社のホームページの実績とか、あとはもう本買いますね。デザイン例みたいなのがいっぱい載ってるやつ。Pinterestは自分が気に入ったのをまとめられるじゃないですか、それがすごい便利ですね。
Pinterest:写真共有サービス
尊敬する人々
私出身長野なんですけど、すごいフリーランスで活躍されてるデザイナーさんが周りに多くて、そういう方とかはすごいなぁと思っていつも実績を見ていたりする方がいますね。
横のつながり
長野では年に一度デザインの品評会というかコンテストというか、グランプリを決めるみたいなのもやってます。そういう所に関わってる人とかは横の繋がりとかもあって色々交流とかもあります。私は今京都なんで、京都と長野を行ったり来たりです。京都にもデザイナーさんいると思うんですけど、なかなかこういう仕事って家に篭るじゃないですか。なので忙しかったりすると本当に出ないじゃないですか。そういうのもあって京都に来てなかなか人と出会うチャンスがなく…。苦笑
デザイナーになるきっかけ
元々はウエディングプランナーになりたかったんです。でも会社の方針もありスタートがサービスからでした。1日何百人ものお客さんが来るような人気の所で、それで大勢の方と毎日話したり、接客するのが疲れてしまって、向いていないんだなっていうのが発覚して。苦笑
専門学校に入ったわけでも無い
そこの会社がちょうど席次表とか席札とかペーパーデザインを専門にするプランナーさんという役職を置いていて、すごくいいなと思って志願しました。
昔から絵を描いたり、レイアウトデザインとか全然勉強してこなかったんですけど、そういうものが好きだったのもあるし、その役職につけば、毎日大勢の方と接する機会が減るのではないかという、甘い考えでした。笑。でも、そのころはMacやAdobeのことももちろん知らなくて、給料でMacを買って休みの日にデザイン事務所に通って学び始めたらすごい楽しくて、1年後に辞めてデザイン会社に入って…。
使っているマシンについて
初めて買ったのはたしかiMacのシリーズだった気がします。途中でフリーズとかしたりしてたんですけど頑張って長く使ってました。Adobe製品は頑張りすぎると「ちょっと休んで(フリーズ)」って言ってくれることもあるじゃないですか?笑。それを見た旦那さんが「そんなのすぐ替えた方がいい」って言って、すぐすごいハイスペックな物を全部選んでくれました。作業マシンは毎日、長時間一緒にいるので大事ですね。
デザイナーになるためのオススメの勉強法
人によると思うんですけど、私がオススメするのはコンペサイトで作品を作りまくるです。私が最初にデザイン方面で入った会社もデザイン業務もやりながらもデザイン自体を教えてくれる所でした。会社で実際に受けた案件を生徒さんにやらせてみて学ぶみたいな形式が多かったんですよね。
すごくいいデザインが出来たら、それをプロが手直ししてくれるとかってすごいモチベーションが上がるんです。私は実際の案件とかに繋がらないとちょっとやる気が出ないって部分があって。笑。自分の好きなものを作るって言うよりはそれが少しでも採用に繋がるとか、それで少しでもお金が入るとか、やっぱりそういうモチベーションがあるとすごくやる気がでました。
コンペって色んな人が同じ条件で作ったデザインが見られるし、それってすっごく勉強になって、グランプリの人のデザインはなるほどなーと。そういうのってすごく私は参考になったので、デザイナーになりたての時は休みの日とかずっと出してやってましたね。1回グランプリを獲るまでで出し続けるみたいな感じで。
コンペに勝つまでやり続ける
勝ち取るみたいなのを目標にしてとにかく実践。そうするとコンセプトの事を考えなきゃいけないじゃないですか?やっぱりそういうのって商業デザインには必要だと多います。お客様が求めている物を具現化する。こういう所を強調したいからこういうデザインにする。とかそういうのも考えたりとかもしながらデザインが出来る。それはすごく勉強になったなあって思いますね。独りよがりにならないことは大切です。
勉強方法
本当にそれは人の性格によりますよね。私の場合は本が全く読む気にならないのでとにかくいじる。笑。あと出来れば人に聞きたい。周りに聞きつつ一通り操作を覚えたりとかして、あと分からないのはその都度、壁にぶち当たった際に調べる。
ネットやオンライン講座も使いよう
今って結構オンラインで教えてくれたりするじゃないですか、学校行かなくても。高いお金払えばマンツーマンとかもあります。今思うと効率がいいと思うならお金出してもそれやりたいですね。あと本当に細かい部分や、ここだけ分かんないとかピンポイントで調べたいこともネットで調べれば基本出ます。だから自分に合う勉強法を見つけるのがいいと思います。ただ、本当にぶち当たって調べるやり方が一番頭に入ったりしますけどね。苦笑
今後のグラフィックデザインはどうなる?
これは私もよく考えますね。今はいろんな所でWebデザイナーがすごく募集されているんです。しかもコーディング出来る人がすごく需要がある。その点、私は本当にずっと紙ベースでやってきたのでWebもデザインだけなら出来るんですけどコーディングまでは出来なくて…。
デジタル化の波
紙ってどんどん需要が減少していくというのも言われてます。それでもなくなる事はないと思うんですが、Webとかそういう方にすごく需要があるんだなっていうのはすごく感じてます。
私の知り合いでWebデザインからコーディング、納品とか管理も全部出来る方がいらっしゃるんですけど、フロー全てに対応できると絶対仕事なくならないよなという感じがしてすごく羨ましかったり。笑。なのでコーディング学ぼうかなっていうのは本当に悩んでます。でもそのうちもっと簡単にコーディング出来るようなのをAdobeとか作るんじゃないかなって。XDとか。笑
どこまでが自動化されるのか?
コーディングまで全部やってくれるようになるなら、もうデザインに特化した方がいいなとか思うし、その辺りが難しい。もっと早くコーディングを自動化してくれって思います。仕事しながらだと勉強時間もなかなか確保できないことも多いですがこのままずっと同じ事ばかりをしていてもやっぱりいけないと思うので、日々いつも例えばXDとかも去年に取り入れたりとか、新しい事は常に出来るようになっていかないと、みんな日々進化してるから。
グラフィックデザイナーを目指す方へ一言
本当に向き不向きのある職業だと思います。とりあえずはコンペとか、他になんでもいいんですけど、自分の作品というよりも依頼された作品を作ってみてください。そして、何かクライアントが発生するものにチャレンジして色々考える。それがすごく楽しいと思ったりしたら、どんどんもっと上手くなりたいと思うようになると思います。そうでない場合は向いてない可能性も。私の周りでもこの職業やっている人は好きでやっている人が多いんです。本当にこの職業は好きじゃないとやっていけないので。
本当に努力は夢中に適わない
デザイナーの仕事は楽しくて夢中になったから努力出来たみたいな感じの職業かもしれません。色々やってみて夢中になっていたら自然に上達していけるし、しんどいなって思ったらなかなか辛くなっちゃうと思います。
最後に一言
はじめから、良いデザインをつくってみるというのはなかなか難しいかもしれません。
とりあえず最初は好きなデザインのチラシを全く同じように再現してみるのも良い勉強になるし、
頭で考えているだけよりも、まずは手を動かしてみることがオススメです。
コメントする