この記事はAdvent Challenge 2020にて「12s」さんにインタビューした記事をまとめたものです。
変幻自在の表現力を操る12sさんの制作過程をインタビュー!
作風の幅が広く、作品のテーマに合わせてぴったりの映像を常に打ち出している12sさん。幅広い表現の中にもブレない個性があり、12sさんに憧れるモーショングラファーも多いです。彼をきっかけに3DCGを始めたという人も多いのでは?
今回はそんな12sさんの実際の作品を参照しながら制作過程をインタビューしました。どうやって作品ができているのか、何を考えてこの作品になったのか、知りたい人は多いはず!
2種類のAEPについてインタビューさせていただいたので、1つずつ紹介していきます。最初のAEPは作品「PATTERN」について。
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12sさんのプロフィール
12s
映像ディレクター/映像クリエイター
多様なジャンル・媒体の映像制作にかかわった経験をベースに、
演出・編集から3DCG・モーショングラフィックス、サウンド・撮影のディレクション等、
映像制作に関する工程を幅広く担当するスタイルの映像屋。株式会社STUDIO KAIBA所属。
PATTERNのコンセプト
AEPダウンロードはこちらから
https://www.dropbox.com/s/8zmblh39yc05gqj/PATTERN.aep?dl=0
※このAEPは素材ではありません。改変や再配布はご遠慮ください。
この作品はパターン化されたものでやりたいなと思って作りました。習作でもあるのでコンセプトを作り込んではいないです。紺色と赤と白のパターンや配色で何かしらできないかなと思って作り始めました。イメージ的には8個くらいの正方形の中に、いろんなモーションを集めてます。それをじゃあ並べてみようかって並べてみたのがテストになります。
一回全体を作ってみる
こういうビジュアルになると、まず具体化してから動きやサイズをどんどん変えて、どうすれば面白くなるのかなと思いつつ作成しました。オブジェクトは大まかに分けてそれが、ポポポン!って出てきます、この後どうしようかなと考えつつ、回転してみるみたいな感じですね(伝わってます?笑)。もちろん色も変化をつけてます。そこからブワーって広がったら少しは広がりが出るかなっていう感じです。起承転結も起承までできればいいなとかそのくらいで進めてました。笑
コンポジションについて
映像と音声のコンポジションは別にする
コンポジションは分けることが多いです。どこで差し替えが出来るかもそうですが、後で変更しやすように作ります。例えば、フレームレート調整で24コマにすると一緒に音までずれるのは困るので。ずれないように、音はちゃんとしたものをあてるっていう形で考えてます。
コンポジションの命名規則
OBJと頭に名前がついているコンポジションは素材です。中身が一目で素材とわかるようにオブジェクト(OBJ)という名前をつけています。chartは色をスポイトで取るため用のレイヤーです。パッとみてわかりやすいようにしています。
エクスプレッションでカラーパレットを作り効率化
100×100の平面図を作り、エクスプレッションのindexを使って右に100ずらすよ、みたいなのを組んで、どんどん複製して配置しています。レンダリングに影響しないようにガイドレイヤーにしてロックしています。これで色を取ってこれるので。結構重宝してます。
作品のこだわりポイント
大体2秒くらいのところなんですが、8個ぐらいの同じサイズ感のパターンを均等に小さくして敷き詰めてます。そのままだとベッタリしてしまうのでそれらの交点を中心にして円がくるようにしました。これが境界を割と曖昧にしてくれました。笑。それがあるだけでパターンっぽく見えなくなるんですよ。
よく使うと思うエフェクト
Looks
Cartoon Moblur
単純にLooksを最後の仕上げで使ってしまいます。Looksの多重がけなんかも。笑。Cartoon Moblurはエコーみたいな効果がお手軽に得られるし軽いんです。今回も使ってはいたんですけども。配布用に標準エフェクトのエコーに置き換えました。
作成にかかった時間?
手を実際動かすのだと5〜6時間くらいだったと思います。だいたい1日の内に終わらせちゃうことが多いです。もう満足いかなくても、これはこんなもんだという形で終わらせちゃいますね。締め切りって大事です。
リファレンスは?
Twitter 見始めてから逆に何も見なくなっちゃいましたね。笑。あと大体何か日常的に結構デザインみたいなもんって溢れてるとは思うんです。最近は街を歩くとか、テレビ番組のスポットだったりとか、なんかそういったものから得ることが多いなと思います。自然の中で自分が見ているものの中に表現がつながってるって感じなんですよね。
速度グラフと値グラフはどちらを使う?
僕は速度グラフですね、大体いつも使っているのは…。あー、違いますね。値で出来る方は値でやりたいっていう感じですね。どっちも使います。笑
1年前は次元分割を使っていなかった
1年前は次元を分割することすら、そんなに知らなかったというか。それでもやっぱ分割したくはなるのでどうしようかな みたいな。笑。X座標を動かす用のヌルとY座標を動かす用のヌルみたいなのを別々に作ってました。例えば、動かしたいものがあったらその上にヌルを置いてそれと紐づけるんです。で、別のプロパティをコントロールするヌルに紐づけるみたいな。すごく不毛なことをやってました。笑。でもTwitterで見て分けられるじゃんってなりまして。次元分割便利ですね。笑
書き出し形式について
最終的にはmp4に書き出す場合でもAVIを一回通します。AVIに一回エンコードして、出力をしてそれをエンコーダーの方でエンコードしています。仕事の修正的な話なんですけど、mp4は容量が軽いのでプレビューに向いていますよね。ここで一つ考えておくことがあります。
- プレビューで使うもの
- 納品する非圧縮のAVI
この2つの形式があるとします。これをコンポジションから別々に作成してしまうとその mp4はコンポジションのプレビュー用にしかなりません。AVIは経由していないので納品物の確認にはならないという考え方です。納品物のプレビューを書き出すということが重要だと思うので順序はこうなります。
- 最終納品用のaviを書き出す
- aviからmp4を書き出す
こうする事で最終納品物からのプレビューの作成になります。業務の癖ですが大事なところだと思っています。
是非皆さんも実際にaepを触ってアレコレ触ってみてください。それでは!
12sインタビュー第二弾は10日に記事更新予定です!
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