映像編集者として、【クオリティを担保しながら納期を守ること】は、永遠の課題なのではないでしょうか?
今回は、インフォグラフィックスやモーショングラフィックスの監督兼モーショングラファーとして案件に携わっている私の経験から、私が案件で意識していることを実際の案件を例に紹介します。
納期に間に合わせるために映像編集者が考える4つのこと
納期に余裕があるなしにかかわらず、必ず考えているのが以下の4つになります。
- 映像制作のフロー
- 適切な時間配分
- 案件の全体像を作る
- 整理整頓をして効率の良いデータを
これを念頭に置いて作業するかしないかで、大きく作業効率も変わってきます。どういうことか以下で1項目ずつ詳しく説明していきます。
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映像制作のフロー
まず簡単に映像制作のフローについてご紹介します。
スケジュールを明確に区切ることによって、案件の進捗を把握することができます。
- 案件の受注 ▼
- 依頼主もしくはディレクターと打ち合わせ コンセプトや方向性をすり合わせます。 ここで納品日確認をすることを忘れずに。 ▼
- スケジュールを立てる このタイミングで、映像に必要なデザインやナレーション原稿のFIX日を決めておきましょう。 ナレーション収録日やデザインの制作日数も考慮し、スケジュールを立てていきます。 代理店や依頼主などの、フィードバックのタイミングもコントロールしましょう。 何かに備えてスケジュールにバッファを持たすことも忘れずに。 ▼
- 構成案の制作
- デザイン制作 構成案をもとにデザイン制作を進めていきます。 構成作業とデザイン制作が同時進行すると、作業が行き来してしまい、時間のロスに繋がります。 ▼
- *初校* 仮ナレーションやBGM、効果音を付けた状態でクライアントチェックに回します。 ▼
- 修正・再校 オンライン素材に差し替え等を行います。 ▼
- 納品
上記が実際に映像を制作する上での流れとなります。
前の工程に戻らないように、心がけましょう。
適切な時間配分
次に案件の時間配分について考えてみましょう。
納期までの時間がどのくらいあるかで、1カットあたりどれだけの時間をかけられるか検討します。
例えば下記のような2つの案件があったとします。
① 制作費 ¥1,000,000 / 納品 2ヶ月後
② 制作費 ¥10,000 / 納品 12時間後
①の場合は、制作費・納品まで余裕があるため、スケジュール管理をしながら制作をすることができますが、②の場合はそうもいきません。
納期までの時間が限られており、時短を意識しながら制作をする必要があります。
そこでアセットの使用や、動画素材を用いたり、プラグインなどを使って時短対策を行います。
しかし、これらは時短になる反面どこか見覚えのある映像になってしまうこともあります。
そのため、編集者としてどこまでツールに頼るかのバランスが難しいです。
編集者としてこだわりの積み重ねが、その人に依頼する意味になってくると思います。
時間に追われながらも、こだわりを追求する姿勢を大切にしてください。
案件の全体像を作る
私の場合は、全カットを70%ほどのクオリティで一旦完成させ、全体像を見えやすくしていきます。
そうすることで、どこのカットがより注力しなければいけないかが見えてきます。
その後、また頭から70%を80%に、80%を90%にする作業を繰り返し、100%に近づけていきます。
そうすることで、未完成・遅延のリスクを回避します。
整理整頓をして効率の良いデータを
急ぎの案件こそ、コンポジションやシーケンス、ファイルの管理を行うことで後々効率上がります。
基本的なことではありますが、必要な作業の妨げとなるリスクを事前に防ぐことにつながります。
また、どんな修正指示にも対応できるように、前回のバージョンのデータを残しておきましょう。
最後に
納期を守りながらもクオリティを担保するためには、リスクの管理が重要です。
このカットにどれくらいの時間が掛かるか?
修正のリスクがある箇所はどこか?
など考えられることは事前に対策の準備をしておきましょう。
その対策がムダになることもあるかもしれませんが、いつか役立つときが来ます。
ただ、どんなに対策をしても何が起きるかわかりません。
何かが起きた場合は、【気合いと根性】で乗り切りましょう。
そのためも、体力と健康に気をつけて制作をしていきましょう。
青沼シン@aonuma_shin
1992年千葉県出身。 株式会社BABEL LABELに入社。 web CM、TV CM、MV、タイトルバック等のモーショングラフィックス、インフォグラフィックスの制作、監督を行う。 2019年7月独立。 Aftereffect、Premiere、Il...
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