2021.03.21 (最終更新日: 2022.04.13)

写真・映像のライティングの新常識?!演色評価指数(Color Rendering Index)まとめ


光の色を秒速で評価する? CRI、Ra、Ri、TLCI、CQS、SSI、TM-30 など、さまざまな種類のある「演色評価指数Color Rendering Index)」のどの項目を見て、どう判断すればいいのか? そのポイントを整理していきます。

演色評価指数とは?

演色性というのは、光がどれだけ色を忠実に表現できるか? をあらわす用語です。それを数値化したのが 演色評価指数 と呼ばれるもので、1965年に CIE(国際照明委員会)が最初の規格をリリースして以来、今日までさまざまな規格が発表されています。

LED ライトの説明欄で「CRI 95 の高演色性」みたいな言葉を目にしたことがあると思いますが、その数字は一体何なのか? この記事では、代表的な 6 つの演色評価指数のデータを読み解くための基礎知識と、そのポイントを整理していきたいと思います。

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スペクトロメーター

演色評価指数を測るには、スペクトロメーター という計測器を使います。代表的なモデルとしてはセコニック社の『SpectroMaster』などがあります。露出計が光の強さを測るのに対して、スペクトロメーターは光の成分(分光スペクトル)をもとに、光の色を測るものになります。

測定結果はこんな感じで表示されます。さまざまな数値、グラフが羅列されていますが、基礎知識がないと全く読み解けないような不思議な単位と用語が並んでいることがわかります。

以降、この複雑なスペクトロメーターの数値をなんとなく読み解けるように、簡単にその解説をしていきたいと思います。

平均演色評価数 Ra

演色評価指数の中で最も有名なものが、1937年に CIE が定めた CRI という規格です。この CRI は、マンセル表色系の色をサンプルとして、人間の視覚を基準につくられた規格になります。

CRI には大きく2種類の指数があり、❶ 8 種類の基準色に対する色ずれの平均値を評価する Ra、❷ 15 種類の基準色に対する色ずれを個別に評価する Ri が、一般的によく使われています。

❶ Ra = 平均演色評価数
❷ Ri = 特殊演色評価数

CRI(Ra)の評価に使われるサンプル色は、以下の 8 色です。彩度の低い色が多いという特徴があります。

この CRI(Ra)は、何度もの改訂をくり返しながら、業界標準規格として世界中に普及しており、家庭用・オフィス用のライトを評価する上では問題ないものの 写真・映像分野では信頼性の低い指標とされている という点が、ポイントとなります。

特殊演色評価数 Ri

Ra の進化版として、1974年にリリースされたのが Ri(特殊演色評価数)という規格です。この Ri は、Ra のサンプル色に彩度の高い色を追加した 15 種類のサンプル色をそれぞれ個別に評価する もので、Ra と同じく人間の視覚を基準につくられています。

Ri に使われるサンプル色は、以下の 15 色です。彩度の高い色とあわせて、肌色のサンプルが追加されている点に特徴があります。

またライトのレビュー記事などでは、Re(Extended CRI)という Ra の派生版となる指数を紹介するものもありますが、Re はこの 15 色の平均値を評価する指数となります。

CRI の評価ポイントとしては、肌色の再現に関わる R9(赤) の重要性が指摘されており、NHK 技研の検証でも同じような結果が出ています。CRI を利用する場合は R9 の数値、肌色のサンプルである R13R15 あたりの数値を参考にするのがよさそうです。

ただし Ra の平均値にはこれらのサンプル色は含まれない ので、その点は注意が必要です。

▶︎ CRI の最高評価 95≦ の意味
CRI の数値は 95 以上が高品質とされています。たとえばライト製品のスペック表記に 95≦ という表現がありますが、あえて具体的な数値を書かないのは、CRI など人間の視覚を基準にした測定法(Standerd Observer)では 明確な色差として出るのが ±5 程度で、それ未満の差はあまり意味がない というのが、その理由としてあるようです。

カメラ基準の標準規格 TLCI

この CRI の評価方法に異論を唱えるテレビ業界の技術者により、映像に特化した規格として作られたのが TLCI です。TLCI は Television Lighting Consistancy Index を意味します。

TLCI は 2012 年に EBU(欧州放送組合)が定めた テレビ業界向け の演色評価指数で、Color Checker チャートの 18 色をサンプリングした、人間の視覚ではなく 3CCD カメラを基準にした規格となっています。

TLCI は Ra と同じく演色性の平均値を 100 点満点の数値として評価します。また TLCI には、異なるライト同士の色ズレ(マッチング率)を測る TLMF という指標もあります。TLMF は Television Luminaire Matching Factor を意味します。

人間の視覚とカメラのイメージセンサーでは、色に対する特性が異なるので、映像に特化した指標を作り直そう という設計思想が、TLCI を見る上での重要なポイントとなります。

分光スペクトルの評価指数 SSI

SSI(Spectral Similarity Index)は、2018 年に AMPAS(映画芸術科学アカデミー)が定めた演色評価指数で、人間の視覚やカメラなどの評価基準を持たず、分光スペクトルの比較による相対的な評価をおこなう ものとなります。

比較したい光源を選び、分光スペクトル上で波長(色の成分)がどれだけ近いか?を確認するものなので、SSI の数値は常に「比較する光源の名前」と一緒に表示されます。比較対象は D65 などの標準光源以外にも、ライト同士の比較をすることもできます。

この SSI は TLMF の機能と似ていますが、TLMF が Color Checker チャートの色で評価するのに対して、この SSI は光の波長(色の成分)を分光スペクトル上で評価する点が異なります。

彩度・色相の評価指数 TM-30

TM-30 は 2015 年に IES(照明技術協会)が定めた演色評価指数で、リアルな生活空間にある色 をサンプリングした、人間の視覚を基準にした規格です。

TM-30 で使われるサンプル色は 99 種類 あり、コカコーラ、オレオなど、実在する商品をサンプルしたものがあるのが特徴的です。

測定項目はたくさんありますが、おもには色の忠実度を測る Rf(Fidelity Index)、色の鮮やかさを測る Rg(Gumut Index)の数値を 円グラフ化(Color Vector Graphic)して、視覚的に評価できる指数となっています。

忠実度指数 Rf

Rf は色の忠実度を 100 点満点の数値として表示します。また数値以外にもグラフ化されたデータを見ることで、より細かな情報を得ることもできます。グラフは自然光を正円としたもので、円の形に歪みがある部分が色の再現性が悪いという評価になります。矢印は色のシフト具合を意味します。

鮮やかさ指数 Rg

Rg は色の鮮やかさを 100 点満点の数値として表示します。100 点を超える場合もあり、その場合は色が飽和してる、という意味合いになります。Rf と同じ自然光を正円としたグラフでは、正円より内側にある部分は色の鮮やかさが悪いという評価になります。

CRI では測れない色の鮮やかさ(彩度)、色のシフト具合(色相)を評価できる点が、この TM-30 の重要なポイントとなります。

下の動画では、開発元 IES の技術者による詳しい解説が見れます。

CRIの高彩度対応版 CQS

CQS(Color Quality Scale)は 2010 年頃に NIST(アメリカ国立標準技術研究所)が定めた演色評価指数で、高彩度、低彩度の色を織り混ぜた独自基準の 15 色 をサンプルに、人間の視覚を基準とした規格となります。

SSI と同じく LED の演色性を正しく評価することを目的としたもので、CRI の評価法を改良したものという位置付けになっています。CQS に使われるサンプル色は、以下の 15 種類になります。

この CQS は市販のスペクトロメーターでは測れませんが、標準化関連の機関(NIST)が開発してるだけあって、ARRI 製品などのスペック表記にはこの指数の記載があったりもします。

関連記事:
🗒 演色評価指数 CRI は信用できるのか?
🗒 分光スペクトルを極める!
🗒 LED ライトの表面が黄色いのはなぜ?

当記事は、動画制作のオンラインサロン 『UMU TOKYO』で公開されたものです。公開日:2021.2.12
https://community.camp-fire.jp/projects/view/231393

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