『New Wave』
Adobe×Vook で、インハウス動画の取り組みについてご紹介するシリーズ『New Wave』。
映像・動画であたらしい制作スタイルをしている企業を取材する同企画は、動画事業が急激に伸びてきている企業をご紹介いたします。
今回ご紹介するのは、パーソルホールディングス株式会社。
たった3か月で、動画制作、ライブ配信のインハウス化を実現したパーソルホールディングス。
「インハウス化のメリットと、動画コミュニケーションの可能性」をテーマに、前後編の2回にわたってご紹介いたします。
今回の前編では、
インハウス化の経緯と動画制作のインハウス化、動画コミュニケーションのメリットについて
グループ経営企画部経営企画室の岡村知也氏と、広報室の金恩玉氏にインタビューしました。
(次回の後編では、ライブ配信のインハウス化についてをご紹介します。)
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インハウス化の経緯、0からの挑戦
動画事業のインハウス化に踏み切ったのは2020年の夏。
コロナウイルスの影響で、PRイベントなどの活動が軒並み中止に追い込まれてから。
「先が見えない今だからこそ、企業として新たなメッセージ発信の手法を持つことが必要」と、
動画でのコミュニケーションに需要があると考えていた経営戦略本部は、動画配信チームの立ち上げと配信環境の構築を決断。
有志で動画インハウス化のメンバーを募集した。
同時に、グループ営業本部でも、動画コミュニケーションの機会が増える中、その需要を感じていたこともあり、部を跨いだ2組織で動画コミュニケーションのインハウス化に踏み切った。
当初は2、3人を想定していたインハウス化のメンバーは、最終的にそれぞれ所属する部署での課題感を持った8名ものメンバーが集まった。
各メンバーは、これまで動画制作を行っていた経歴はほとんどなく、0からのスタートだった。
「メンバーはそれぞれ課題感を持ち、通常の業務にアドオンする形でジョインしてくれた」と言う。
Vookでは、この0ベースのスタートを支援するために、
動画制作、ライブ配信の講習と、11月23日にパーソルホールディングスがインハウスでライブ配信を行なった、オンラインセミナー「今、ニッポンのはたらくを考える会議」のサポートに加わった。
実際に動画制作、ライブ配信をインハウスで行った岡村氏、金氏、お二人にお話を伺っていきます。
パーソルホールディングス イベント詳細はこちら
https://www.persol-group.co.jp/special/well-being/
動画コミュニケーションの必要性
パーソルホールディングス株式会社 グループ経営戦略本部 グループ経営企画部 経営企画室
岡村知也
ーどういった部分に、動画コミュニケーションの必要性を感じられていたんですか?
私は、経営戦略本部にてインナーコミュニケーションを担当しています。
もともと、インナーコミュニケーションチームは「グループビジョンや経営戦略を社内に伝える“理念浸透”と、社員の皆さん一人ひとりの会社への“信頼構築”」というミッションを担っており、イントラネットにおける記事やメールなどのテキストコミュニケーションが中心でした。
しかし、テキストがふさわしいコミュニケーションもあれば、場合によっては動画のようなその場の雰囲気を伝えやすいコミュニケーションが望ましいこともあります。
例えば、当社のグループビジョンは「はたらいて、笑おう。」。
経営陣がこれに込めた想いを伝える時、文字では「一人ひとりが自分らしいはたらき方を通じて、笑顔になれる世界をつくる」という一文に収めざるを得ないことがあります。
しかし、グループの経営陣が伝えたい思考は、言葉で表すメッセージだけではなく、表情や雰囲気、一挙手一投足に宿ります。
人の感情に寄り添う機微というものを、伝えられる手段を必要としていたのです。
実際に、新型コロナウィルス感染症によって動画のインハウス化が進みましたが、インナーコミュニケーションのチームでは、以前から動画によるコミュニケーションの必要性を感じていました。
ー動画制作のインハウス化のメリットはどういったものですか?
コスト削減に大きく貢献できるのが、一つの理由です。
というのも、インナーコミュニケーションは弊社に限らず、「KPIを求められたとしても、数字で示すのが難しい」というジレンマを、どこの企業でも抱えているのではないでしょうか。
常にチャレンジングな企画を立てたとしても、予算の関係で規模感を縮小しなければいけない場合が多々あります。ですが、動画事業をインハウス化し、社員のスキル拡大によってコミュニケーションの手段を増やすことで、チャレンジの幅を広げることが可能なのです。
毎年行われている、代表取締役社長CEO水田正道氏による、今年の一文字の発表。これまで、イントラネット内に記事として公開されていたが、2021年は動画で公開された。
ーこちらの動画の編集を岡村さんが?
そうです。3分程度の動画ですが、慣れない編集作業でしたので
完成までに5時間程度掛かりました。
Adobe Premiere Proの編集において「動画内でやりたいことを解決する方法」を探し当てるのが、一番難しかったですね。
徐々に音を小さくするための「指数フェード」や、テロップの入れ方。特にテロップの入れ方には正解がありません。
自分がベストだと思う方法を探すのには、経験が必要だと感じましたね。
ー社内での反応はいかがでしたか?
制作してから、社内での感想を直接聞けたのは嬉しかったですね。動画は文字よりエンタメ要素が強いので、そこに興味を持っていただけたのだと思います。
YouTubeにある動画の様に、親近感のある柔らかさを動画で演出できれば、より会社のメッセージや戦略、経営陣の言葉などを身近に感じてもらえるかなと思っています。
今後はインナーコミュニケーションチーム内で動画部隊を作り、より影響力のあるコンテンツを作っていきたいです。
ーこれから動画編集をやる方にアドバイスがあればお伺いしたいです。
私もまだまだ動画をたくさん作っているわけではありませんので、アドバイスを言える立場ではないと思っています。ですが、間違いないのは、記事も動画も見られるものは、結局面白いと思ってもらえるコンテンツです。
プロの動画には様々なエフェクトが使われており、それがどういった効果を生み出しているのかとても参考になりました。効果の入れ方を体感し理解することが上達への一歩だと思います。
まず1分くらいの動画でもいいので、プロの動画を真似て作ってみるのは大切だと思います。動画編集は、一度でも完成までのプロセスを踏むことで、ある程度のことは学べますし、記事に比べて遊びの要素などを入れる余白が多いものです。工夫の余地がかなりあるんじゃないでしょうか。
パーソルホールディングスでは、動画はまだまだ育成の余地があるコミュニケーションツールです。ここからさまざまな挑戦をしていきたいですね。
動画だから伝わる、インハウス化のメリット
パーソルホールディングス株式会社 グループ経営戦略本部 グループ経営企画部 広報室
金恩玉
ーインハウス化のメンバーにコミットした経緯はどういったものでしょうか。
普段は経営戦略本部の広報室で主に社外広報をやっています。
普段はニュースリリースの作成・配信やメディア対応など、社外に向けてパーソルホールディングスのニュースを伝える業務を行っています。
私が担当している「外国人材」領域は、コロナ禍により現地での説明会、面接がキャンセルになるなど、その影響は大きく、企業様と海外の外国人材の方々との新しいコミュニケーションの方法を探すことが課題となっていました。
外国人材の方々のモチベーションも含めて、この領域の課題をどう解決すればいいのか相談を受けたのが、自己紹介動画を制作するようになったきっかけですね。
事業部では、動画を活用して外国人材の方々のことを企業様に紹介したいと考え、何本か外国人材の方の自己PRを撮っていました。ですが、撮り続け動画をストックしたのは良いものの、撮った映像をどういった形でアウトプットすれば良いか分からなかったのです。
ー動画の利点はどういったものと考えていましたか?
岡村が言ったように、文字だけでは伝えられる情報に限界があります。
例えば、外国人材の場合、自己紹介文に日本語能力試験何級と書いていても、実際はどれくらい話せるかは、企業様がよく持たれる疑問の1つです。日本語のレベルや人柄など企業様が気になさっているポイントは、動画でないと伝えるのが難しいです。
ー実際に企業様に見ていただけるように、金様が編集されたということですか?
そうですね。外国人材の方々は日本語が100%完璧というわけではないので、字幕が付いていると見る側が非常に助かります。
より企業様にベストな形で見ていただきたいので、オープニングを挿入したり、テロップを付けたりしました。
ー編集の際、どういったポイントに注意しましたか?
そうですね。動画の構成からしっかり組み立てるようにしました。
例えば、字幕をつける際、日本語の表現がおかしい場合に字幕で直します。実際に話してもらった内容を文字に起こし、必要のない箇所はカットし、言い回しがくどければシンプルな表現に直すなど、台本レベルでチェックするようにしました。
ー編集は以前から経験があったのでしょうか?
慣れているわけではないのですが、もともとAdobe Photoshop Lightroomを使っていたり、Premiere Proでテロップを付ける程度の経験はありました。
ーこれまでPremiere Proで重宝した機能などはありますか?
直接的な機能というより、エフェクトのテンプレートを活用できるAdobe Stock には助けれました。素材は、各国でそれぞれ撮影したものを集めているので、動画のサイズもバラバラでしたが「フレームサイズに合わせてスケール」を選択すれば、シーケンスのサイズに合わせることが可能ですので、非常に便利かと思います。
動画のオープニングもモーショングラフィックスのテンプレートを利用することで、より動きのある動画にできました。Adobe Stockは非常に便利ですね。
ー実際に動画を活用してから、変わったことはありますか?
動画の効果を実感していただき、事業部の方々がより積極的に構成や内容を工夫してくださるようになりました。
「この動画は何秒ぐらいにすればいいか」「この人材の方とこの方を一緒の動画にすると、より企業様に伝わる」といったように事業部の方々と一緒になって効果的な動画を作り上げるのは、貢献できているようで嬉しいですね。
私も本業で動画編集をやっているわけではないのですが、やりがいを感じます。
それと、採用を行う企業様から良い反応をいただくこともありました。例えば、人が足りないのは事実だが、外国人材が働くのは日本語のコミュニケーションの部分で少し不安がある、と仰った企業様も「思ったより日本語が上手。この雰囲気だったらうちでも十分に働けそう。」と言って下さったことがありました。
動画で、外国人材の方の日本語力と雰囲気を伝えられた瞬間でした。
ー動画制作チームはメンバー8人とまだ規模としては小規模かと思います。メンバーは兼業でやられているため、業務的にはかなり大変かと思います。
そうですね。ですが、私の担当しているところ以外にも、グループ内で映像をやりたいという相談は様々な部署からいただいております。
私たちのノウハウを含め、動画コミュニケーションの手法をどのように広げていくかは、メンバーを含めて皆で考えていく必要があると思います。
立ち上げ時は、私たちもVookさまのような動画制作・配信のプロに入っていただき学ばせていただきましたので、インハウス化したいグループ会社には「最初は専門家がしっかり」とアドバイスしています。また運営に関するノウハウは、こちらでこれまで感じたこと、成功・失敗を一緒に伝えていこうと思っています。
ーこれから動画制作を始める方にアドバイスがあれば、ぜひお聞かせください。
Premiere Proはプロ仕様のアプリケーションなので、敷居が高いように感じますが、触ってみたら意外とできたりします。
そもそも、何事も最初は壁にぶつかるのは当たり前ですから、やってみるといいかもしれませんね。
最初からプロのようなものを作ろうとするのではなく、自分の今できるレベルで作れるのものを作って、徐々にステップアップしていけば、楽しくできるはずです。
映像の分野には、プロフェッショナルがいるわけですから。すぐにそこを目指す必要はないかと思います。
私自身も、基本ができるようになってきたこともあって、次はクオリティの向上を目指しています。先程の動画を含めて、もっと綺麗にしたいですし、その他にもセミナーのライブ配信だけではなく、セミナー全体の動画をまとめて、見やすく編集した動画や事業部で行っているサービスそのものをアピールする動画が作れたらと思っています。
編集部から
0ベースで動画制作を学び、挑戦することで、各部署の課題解決へとつなげているお二人。
動画コミュニケーションが持つ可能性と、それがさらなる業務向上につながるのだと感じました。
後編では、ライブ配信のインハウス化について、グループ営業企画部の柳田氏と、経営企画部の工藤大助氏にお話しを伺っております。ぜひご一読ください。
※Adobe製品を使った動画内製化の詳細はこちらをご覧ください。
Vook編集部@Vook_editor
「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、さまざまなクリエイターへのインタビューなどを発信しています。
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