パーソルホールディングス有志8名が動画内製化に挑戦、0→1の立ち上げに迫る【後編】|New Wave

2021.03.31 (最終更新日: 2022.07.17)

『New Wave』

Adobe×Vook で、インハウス動画の取り組みについてご紹介するシリーズ『New Wave』。
映像・動画であたらしい制作スタイルをしている企業を取材する同企画は、動画事業が急激に伸びてきている企業をご紹介いたします。

今回ご紹介するのは、パーソルホールディングス株式会社

たった3か月で、動画制作、ライブ配信のインハウス化を実現したパーソルホールディングス。
「インハウス化のメリットと、動画コミュニケーションの可能性」をテーマに、前後編の2回にわたってご紹介いたします。

今回の後編では、
ライブ配信のインハウス化、動画コミュニケーションのメリットについて
グループ営業企画部の柳田匡世氏と、経営企画部の工藤大助氏にインタビューしました。

前編では、インハウス化の経緯動画制作のインハウス化についてをご紹介しております。ぜひ合わせてご一読ください。
記事リンク:

パーソルホールディングス有志8名が動画内製化に挑戦、0→1の立ち上げに迫る【前編】|New Wave

『New Wave』 Adobe×Vook で、インハウス動画の取り組みについてご紹介するシリーズ『New Wave』。 映像・動画であたらしい制作スタイルをしている企業を取材する同企画は、動画...

パーソルホールディングス イベント詳細はこちら
https://www.persol-group.co.jp/special/well-being/

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インハウス化のメリットは情報鮮度

柳田匡世
パーソルホールディングス株式会社 グループ営業本部  グループ営業企画部 法人マーケティング推進室

ー柳田さんは、どういった課題感をお持ちでしたか?

普段は、グループ営業本部の企画部門で法人のお客様向けプロモーションの企画立案などを担当しております。

弊社では毎年「PERSOL CONFERENCE」という、大ホールを借りた大規模なイベントを開催していました。
ですが、2020年は新型コロナウィルス感染症の影響で予定していたオフラインでの開催を見送りました。
そんな中で、オフラインのイベントに代わるお客様とのコミュニケーションの場を作ることが急務でした。

5月頃から急ピッチでオフラインイベントなどはすべてウェビナーに切り替えていきましたが、オフラインイベントに比べて単調化しやすく、視聴者のモチベーションや集中力の維持が難しく、ウェビナーのクオリティをどう上げていけばよいのかという課題に直面しました。これは弊社だけではなく、どこの企業でも同じ課題があったのではないでしょうか。

ウェビナーのクオリティ向上、動画としてのコンテンツ化を考えていたところ、動画制作インハウス化のプロジェクトに募集が掛かったので、参加することにしました。

ークオリティの向上が目的なら専門の制作会社に外注するのが、一番早いのではありませんか?

そうですね。ですが、弊社ではウェビナーの頻度が多く、週に2回ほど行っていた時期もありました。これを全てアウトソーシングするとかなりの制作費になります。

それに、鮮度の高いコンテンツをお客様にお届けする際、制作会社を通すことでタイムラグが発生してしまう。お客様もホットな情報が欲しい中、このタイムラグは非常にもったいないと感じました。

ーインハウス化によって、スピード感の改善にも繋がったのですね。

そうですね。しかし、正直な話をすると法人のお客様に対してのコミュニケーションに、動画やYouTubeLiveを活用するのは懐疑的な気持ちもありました。
ですが実際に、動画やYouTubeLiveを活用することで、今まで以上に多くの方に見ていただき反応をもらうことができたのです。

これまでは、単なるストックとしてYouTubeチャンネルを利用していたのですが、動画やLive配信をするたびに着実にチャンネル登録者が増え再生数も伸びてきました。動画やLive配信が一つのコミュニケーションの方法になっているのだと実感しましたね。

ー以前からPremiere Proでの編集経験はありましたか?

以前iMovieを触ったことがあったのですが、Premiere Proで動画編集をしたのは初めてでした。
自分でコンテンツ作ったりすることは好きなので興味はあったのですが、右も左も分からない状態でした。

Vookさんに行っていただいた講習でも、Premier Proを立ち上げると、最初に出てくるシーケンスの選択もどうすればよいか分かりませんでした。本当に初期段階のことから学んでいきましたね。

ー動画編集を通して、注意したポイントはありますか?

Premiere Proはプロ仕様ということで、やれることが本当に多いです。一度、専門家の知識を入れてから触ると一歩進んだ状態でスタートができますが、分からないことを自ら調べて一つひとつクリアしていくプロセスは重要かと思います。

敷居は高そうに思えますが、動画制作のプロセスを踏めばある程度できるようになりますし、自分が使うエフェクトを使っていくうちに理解していくものだと思います。

ー具体的にどういった動画を編集されていたのですか?

60分のウェビナーの要点を切り出し短い尺の動画にすることをメインにしていました。一つひとつテロップを入れて編集するというよりも、長い尺のウェビナーを見やすく整理するというのが目的です。これまで20本程度の動画を編集しました。

そのほかにも、オンラインセミナー「今、ニッポンのはたらくを考える会議」のライブ配信を行いました。

テロップなどの素材を私の方で用意したのですが、映像に対して見やすさを追求することで興味関心を持ってもらえるので、積極的にクオリティアップをしていきたいと思っています。AdobeにはPhotoshopやIllustratorといった、クリエイティブなソフトが多く存在しますので、今後もこれらを活用してクオリティアップに取り組んでいきたいと思っています。

2021年3月8日にインハウスで配信を行ったオンラインセミナー
「今、ニッポンのはたらくを考える会議~国際女性デーに考える女性とはたらく~」

ーこれからやる方にアドバイス何かありますか。

分からなくても、まずは触ることが大事だなと思っています。難しいと思い過ぎていた部分もあって、実際に触ってみると意外と使いこなせたりするので、まずはトライしてみてほしいです。

ライブ配信による双方性のコミュニケーション

工藤大助
パーソルホールディングス株式会社 グループ経営戦略本部  グループ経営企画部 

ー普段はどういった業務を行っているのでしょうか?

普段はグループ経営戦略本部で経営企画とブランドコミュニケーションを担当しております。

11月23日のオンラインイベントでは、ディレクターを担当しました。具体的にはカメラや照明、音声やコンテンツ制作、全体の台本作りなどといった、全体の統括です。

ーそもそも、なぜ動画に着目したのかお聞かせ下さい。

以前から文字と静止画だけのコンテンツだけではコミュニケーション手法として不足感を感じていました。これは岡村や金が言っていたことと同じです。

また、個人的にもここ数年でYouTubeやTikTokなどさまざまな動画コンテンツに触れる時間が多くなってきていると実感していました。なので、私達が企業コミュニケーションとして発信する側になった時、動画に対する理解が必要だと思ったのです。

コミュニケーションの手法が動画にどんどんスイッチしてきているのは、新型コロナウィルス感染症に関係なく、以前より感じていました。なかなか優先的に手が付けられない分野でしたが、コロナが良い意味でのきっかけになってくれたと思っています。

パーソルホールディングスには、新しいことへのチャレンジを後押してしてくれる環境があります。これまでの生活様式が一変していた時だからこそ、チームとして何か工夫して企画したい意欲がありましたので、挑戦するのに良い機会だったのではないでしょうか。

ーここまで大規模な配信は、通常ならば制作会社に依頼するのが定石かと思います。イベントの配信をインハウス化にしようと思ったきっかけはどういったものになるのでしょうか?

たしかに外部に任せることでクオリティや安全性の担保はできるかと思います。内部のリソースも最小限で済みます。

しかし、我々のブランドコミュニケーションという観点から見た際、ターゲットは世の中で働いているすべての人々。
その方達から共感を得るためには、発信の手法を広げていかなくてはなりません。これまでもwebサイトやSNS、ツールの進化に合わせて、さまざまな手法にトライしてきました。
オンラインが主軸になった昨年、動画配信に新しく挑戦してノウハウを得ることで、我々自身がさらに成長する機会にしたいと考えました。

webサイトのコンテンツを拡充したり、SNSでのテキストと静止画の発信はできたとしても、動画配信ではなにをすればより良いかわからないという課題感があったので、そこをもっと進化させたかったのです。

単純にライブ配信や動画の制作回数が増えることで、工数面での負担は増えてくるのですが、インハウス化によるメリットというのは、やりたい企画を自分たち自身で手を動かして実施することによる、企画そのもののクオリティ向上だったのです。
外注では得られない、自分たちで企画から運営まで最後まで一貫して行う事の効果はあると思っています。

自分たちで動画配信や制作をインハウス化し、フットワークを軽くして生の声を届けることがこれからは必要ですし、その役割がこれからも増えていくかと思っています。
かつ、グループ内の各社で、配信や動画のニーズがあるので、ノウハウを伝播できればグループ全体としてプラスに働くはずです。

ー配信で注意したことはどういったことですか。

まずは時間管理はとても重要な役割かと思っています。当然動画編集と違い、多めに撮影してあとから上手に編集することはできませんからね。

長丁場で出演者がどんどん入れ替わる構成でしたので、演者の方に合わせた見え方、テロップの確認、事前にバックアップできる状態にするのは常に気を使っていました。
リハーサルでYouTubeLiveに安定した配信が行えているかどうか、確認するのも重要ですね。準備がほとんどで、本番はうまくやる、不測の事態に対応するしかないという感じです。

ーこれだけ大規模な配信ですから、現場のディレクションは大変だったかと思います。

どこのポジションも大変さは変わらないと思います。それに各ポジションの役割と意識の擦り合わせが事前にできていれば、何か起こった際も臨機応変に対応できますし。

今回のイベントは、岡村や柳田、金も含めて、この動画配信チームのメンバー総動員の配信でした。全体で6時間と長丁場でしたが、事故もなく無事に成功させることができました。

ー編集した動画を流すのではなく、ライブで配信するメリットはなんでしょうか?

ライブ配信は時間を戻せないというリスクがある一方で、オーディエンスがいる中でリアルタイムにQ&Aができるというメリットがあります。その場で登壇者に対して質問を投げて回答してもらうことできる、双方性のコミュニケーションができるのが大きな利点ですね。

それにYouTube Liveはリアルタイムで、視聴している人数が分かります。長いセッションでしたので、視聴者も入れ替わっていたと思いますが、それでも当日は3,000人近くの人に視聴していただいたのは、告知を含めて上手くいったからだと思います。当初予想していた規模に届けられたので、イベントは成功だと感じています。

2020年11月23日にインハウスにて行われたライブ配信風景
【今、ニッポンのはたらくを考える大会議】KEYNOTE SESSION 1|日本の「はたらく」を捉え直す。より良く生きるための「はたらく価値観」とは

ー動画制作チーム立ち上げの手応えはいかがでしょうか?

最初は、自組織のみにチームへの参加を呼びかけるつもりでしたが、他のメンバーに隣のグループ営業本部にもニーズがあるのではないかと提案があり、呼びかけの幅を広げました。

結果として、明確にスキルを身に付けたい、自分のやっていることをもっと高度化できる、課題が解決できると考えているメンバーが8名も集まってくれました。

2、3人のメンバーしか集まらないと思っていたので、こんなに集まってくれたのには驚いています。通常業務プラスアルファの仕事を、意思を持って参加する人がここまで多かったのは、嬉しいことですね。

Vookさんによる配信機材の講習では、意識が飛びそうになるぐらい聞いたことのない単語が多く、幸先が不安でしたが、メンバーの皆は自己学習も含めて誠心誠意取り組んでくれました。

ー非常にモチベーションの高いチームだと感じました。今後の展望をお聞かせ下さい。

南青山の本社にオンラインツールを使用した社内外のコミュニケーション活動に利用できるスタジオを作り、ライブ配信が安定して行える様に、会社のネットワーク回線とは別にNURO回線も引きました。動画制作のメンバーが事務局としてグループ全体のスタジオ利用のサポートをしていきます。

これから動画コミュニケーションは、パーソルグループのアイデンティティを世の中に伝えていくための要だと思っています
グループビジョンを実現するために多様で魅力的なコンテンツを届けていけるよう、力を入れていきたいと思います。

編集部から

Vookも動画制作スキルの導入から配信サポートを携わらせていただいたパーソルホールディングス株式会社。
取材を通して、通常業務の課題感解決のために一人一人が積極的に動画制作・スキル向上に向き合っている姿がとても印象に残った。

ライブ配信においては、6時間の長丁場にも関わらず、事故なく完遂できたのは一人一人が自分役割を果たしや、有志で集まった少数精鋭だからこそのコミュニケーションの円滑さによるところが大きく、非常に多くのことを学ばせていただく機会になった。

Adobe製品はプロ仕様のため、可能性が限りなく広い。パーソルホールディングスのメンバーが言うようにまずは、ひとつひとつ目の前の壁を乗り越えていけば、いずれ制作会社が作るようなクオリティの高い動画を作ることができる。

動画と向き合い、よりクオリティの高い制作に挑戦し続けるパーソルホールディングス動画制作チームの今後の発展に注目していきたい。

※Adobe製品を使った動画内製化の詳細はこちらをご覧ください。

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