リリックビデオから実写まで手がけるクリエイター! まきのせなさんにインタビュー!
2021年6月9日(水)から始まるモーショングラフィックスに特化したオンラインイベント「モーションモンスター(MOTION MONSTER)」に先駆けて、前夜祭と称してボーカロイドやリリックビデオの分野で活躍する若手クリエイターたちにインタビューを敢行!
今回はモーショングラフィックスから実写撮影まで、様々な形式の映像を手がけるまきのせなさんにインタビュー! これまでのお仕事で培ってきたノウハウからお金の話など、色々お聞きしました!
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まきのせなさんプロフィール
まきのせな
MV・コンポジット・CG・実写撮影・ライブ演出映像など様々な映像を作成する映像クリエイター。
Portfolio : https://makinosena.tumblr.com/
Contact:makinosena@gmail.com
Twitter:https://twitter.com/3329h0rned0w1
作品紹介
映像制作を始めたきっかけは?
映像制作を始めた当時はピアプロでのコラボ制作が盛んだったんです。
ピアプロ:https://piapro.jp/
その中で、動画制作をしている人の需要が高かったんです。動画制作できる人がなかなか見つからないとか、動画師募集が目立っていて。それで動画なら必要としてもらえそうだって思ったんです。
当時アニメーションが凄く好きで、アニメのメイキングをよく見ていたせいだと思うんですけど、セルアニメで密着マルチとか着マルチとかセル多段引きって呼ばれる技法を知っていたんです。
その中で「恋は戦争」っていう動画を見た時に仕組みが分かって、これなら作れそうって思ったんです。三輪士郎さんには失礼かもしれないんですけど。笑
三輪士郎制作:恋は戦争 / supercell
やる気がむくむくって湧いてきました。なので三輪士郎さんとニコニコ動画を教えてくれた友人は恩人です。
映像制作をどうやって習得したのですか?
さあ作ろう!と思っても映像制作がすぐ出来るようにはならないと思ったので、何度かロールプレイングをしようと思いました。
そうするとピアプロは当時めちゃめちゃうってつけの場所で、コラボの名目で絵描き募集、動画師募集みたいなスレッドが立って、みんな任意で参加する文化があったんです。
そこに参加すれば締め切りがあり、依頼主があり、要望があり、楽曲があり、イラストがあり、限られた状況下で制作するっていう、クライアントワークに似た状況を体験できました。そこでロールプレイングしたのが凄く良かったと思います。
どうやってお仕事につなげましたか?
Twitterで何度か作っては発表し作っては発表しっていうサイクルはしていたので、もう既にネット上で私の作品が見れる状態になっていました。
それで、「動画制作者が必要な人はいるかな」みたいなツイートをしたら、当時のれるりりさんが興味を持って下さって、ガールシリーズボーイシリーズを作ることになりました。れるりりさんは当時から人気が高いボカロPさんだったので凄く嬉しかったですし、これはチャンスだなって思いました。
まきのせなさん制作:一触即発☆禅ガール - れるりりfeat.初音ミク&GUMI / Simmering ZEN Girl - rerulili feat.miku&gumi
あとは即売会とかで知り合いの紹介ではりーさんとか、私は関わってないですけどマジミラとかで発表するようなボカロPさんにも知り合って、そこで制作するようにはなりました。
まきのせなさん制作:【初音ミク】 - EARTH DAY - 【オリジナルPV】
当時はMVを作っている人も少なくて発表数も少なかったし、Twitterでお互いフォローしあったり、興味がある人をフォローしたり絡んでいく文化が今よりもフランクに出来た環境だったと思うので、もうTwitter様様ですね。
ピアプロのコラボの募集からTwitterに切り替えて、これはお金をとって仕事にしても良さそうだなと思うようになりました。そこから、だんだんお仕事として報酬をもらうようになりました。
アニメ撮影を参考にして映像制作を始めた
私凄いジブリが好きなんです。
当時はオープンしたての三鷹ジブリの森美術館で撮影の技法を紹介するブースがあったんです。
画像出典: 三鷹ジブリの森美術館よりキャプチャー
アニメって昔は本当にカメラで1コマ1コマ写真を撮って、フィルムに焼き付ける作業をして、初めて映像として見えるようにする撮影というセクションがあって、その内容がとても参考になりました。
今思うとその時にみたものが作品に結構活かされているんじゃないかな。
技術はどこで勉強しましたか?
高校2年くらいから制作を始めたんですけど、AdobeのPremiere Elementsを学校の授業で使うようになっていて、基礎操作みたいなのは身に付けていたんです。そこからAfter Effectsに切り替えました。Premiere Elementsの基本操作を応用しながら勉強した感じです。
Premiere Elements:https://www.adobe.com/jp/products/premiere-elements.html
私が今でも多用しているじわパンっていう技法もちゃんと勉強したのは大学生からです。アニメーション大好き人間なので実写の技法というよりはアニメーションの技法を多く取り入れていると思います。
じわパン:左右どちらかにゆっくりスライドする技法。
じわパンを開発した人は出崎統さんって言う方なのですが、今のアニメーションとかでも凄く多用されている技法をたくさん開発した人なんです。
当時は限られた環境下で急いで作らなきゃいけないっていう状況があって、だからこそ、たくさんのアニメーションの技法が生み出されていったんです。
今の私達のMV業界も同じく時間、お金、人の手が足りないところが当時のアニメーション業界と凄く似ていると思います。だからアニメーションの撮影技法って、MV業界とも相性がいいんじゃないかな。
私がアニメーションの撮影技法を多用しているのはそのせいもあると思います。
影響を受けた人は?
江畑諒真さんは凄く好きなアニメーターさんですね。
骨格を感じるアニメーションを描くアニメーターさんで、人間らしい動き方がとても魅力的です。
映像だと、BLEACHのオープニングが凄く好きなんです。一番最初の「*~アスタリスク~」のオープニングもめちゃめちゃ秀逸で、原作のアートワークを結構そのままオープニングに落とし込んでいるんです。
BLEACH:週刊少年ジャンプで2016年まで連載していた漫画。
画像出典:公式サイトよりキャプチャー
あとこれは全然アニメーションではないんですけど、PlasticTreeっていうV系のバンドが好きです。Plastic TreeのMVは毎回監督さんが変わるんですけど構成が昔から凄く綺麗で、実写映像を撮る時には結構参考にしたりしてますね。
Plastic Tree:https://www.plastic-tree.com/
後に紹介する「曖昧さ回避」のMVの魚を使った表現とかは、PlasticTreeの「静脈」のMVから影響を受けていますね。
Plastic Tree - 静脈 【MUSIC VIDEO】
私は自分の中でオリジナルな表現をひねり出せるほど天才ではないので、色んな所から要素を組み合わせてコラージュしています。
映像を始めたきっかけも、PlasticTreeの仕事がしたくて、ファンでいるよりも同じ作り手側になったら同じステージに上がれるんじゃないかと思ったことが一つありました。制作側でいたらいつかPlasticTreeのMVを担当出来るんじゃないかとか思ったんです。
あともう1つ、好きなバンドにV系のNIGHTMAREがいて、いつかNIGHTMAREのMVとかライブの演出映像も作れたりするんじゃないかとか思って映像を始めました。でも今は、ファンでいた方が幸せかもしれないと思ったりもします。笑
NIGHTMARE:https://www.nightmare-web.com/pc/
MVの構成はロジカルに――「花鳥諷詠 / 天月-あまつき- 【MV】」
ーここからは楽曲の制作過程について伺います。
この曲は元々ビルシャナ戦姫っていうオトメイトが提供している乙女ゲーのエンディング曲でした。
ビルシャナ戦記~源平飛花夢想~:https://www.otomate.jp/birushana/
ビルシャナ戦姫は源平の話なので、まずは歴史をざっとおさらいしつつ、本編ゲームのシナリオを全部取り寄せてもらいました。それを読んで、実際の史実と照らし合わせて補正していきました。
MVの作り方について
普段は作りながら調べたり、起承転結の話を考えたりしながら作っていきます。
以前は大サビで一番盛り上がるように作っていたのですが、最近は前と少し変わって、1コーラス目のサビで大サビくらい勢いをつけた演出にしています。
なぜかというと、最近はTwitterとかでトリミングしてPRする人が増えたので、トリミングされる事前提で方向性を考えているんですよね。
1分半でとりあえずなんとなくの起承転結を作って、その後2ABではちょっと抑え目にして、最後のラスサビで1サビよりも盛り上げていく。私が作ったどのMVを見ても、たぶんこの構成になっていると思います。
イントロから1コーラスで起承転結、Bメロでサイドストーリーみたいなのを紹介して最後にどちゃどちゃ盛り上げて終わりみたいな。
てぐされ!のオープニングみたいな王道が好きでおすすめですね。「カメラが下からグイっとパンしてタイトルロゴがどーん」みたいな、作り方もそっちに寄ってます。
てさぐれ!部活もの:https://www.ntv.co.jp/tesabu_1st/
画像出典:公式サイトよりキャプチャー
でも、基本どの楽曲も構成がイントロ、Aメロ、Bメロ、サビみたいに決まっているので、タイトル入をれる部分は決まってきてるんですよね。
伊東歌詞太郎さんの「よだかの星」とかは「下からタイトルロゴがドーン」してるかも。アニメの影響が強いですね。
まきのせなさん制作:【伊東歌詞太郎】よだかの星【歌ってみた】
Twinmotionを使って土地を再現する
自然とかはCGで作ったんです。
花鳥諷詠 / 天月-あまつき- 【MV】 01:09
これはTwinmotionって言われる建築ビジュアライザーのソフトなんですけど、それを使用して適当に木を生やしました。
Twinmotion:https://www.unrealengine.com/ja/twinmotion
TwinmotionはUnrealEngineを使用した建築ビジュアライザーです。
UnrealEngineってちょっと難しいなって手を出せない人に直感的に使えるのでオススメです。当時はフリーで使えたんですけど今35ドルくらいするんですよね。
UnrealEngine:https://www.unrealengine.com/ja/
ゲームでは、「義経は幼名の時に架空のお寺に隠れていた」という設定になってるんですけど、舞台だと言われている鞍馬寺とか、その周辺の地形とか植生とかをざっくりモデリングして、映像にしました。
鞍馬寺に行ってきましたみたいなブログとかがあって、写真はもちろん、歩くとこういう感じで植物があってとか、レポを上げている人が結構いるので、参考にしました。
源平の有名なモチーフっていう部分もあって結構調べやすかったですね。
あと、Godray(※木漏れ日)を3DCGソフトで作ろうとすると結構難しいですけど、UnrealEngineを使うと大気の煙、ガス具合をいじる事も出来るし、リアルタイムで確認しながら作れて凄く効率がいいですね。
花鳥諷詠 / 天月-あまつき- 【MV】 00:58
適当に森を駆け抜けるとか草原をドローンでぷわーっと行くみたいな、そういうちょっと難しい画面をとても簡単にリアルタイムレンダリングで作ってくれるんです。
TwinmotionはAEオフというイベントで、「草原を駆け抜けるっていう表現は映像で作ろうとすると難しいよね、でもこれを使えば凄く簡単に出来るんだよ」って紹介している人がいたんで使わせてもらいました。
目指す表現に向かって工夫を重ねる――【FRENZ2019】曖昧さ回避【MV作ってみた】Ambiguity Avoidance
楽曲の解釈が重要
この映像は楽曲の解釈をしてから作成しました。起承転結の流れが分かると次に何をすればいいかが明確になってくるんです。
作業はどんどんショートカットとか左手デバイスとかを使えば効率良くする事が出来るんですけど、考える時間は短縮出来ないんですよ。それで、何をすれば良いかをはっきりさせる、まずは起承転結を付けるというのが一番ベーシックな解決方法でした。
時間がない時は頭の中だけなんですけど、ちゃんと作ってほしいみたいに言われたりすると構成表みたいなのを作る事もあります。
これは別の作品で絵描きさんにこういう絵を描いてくれっていう指示を出したものなのですが、こういう資料を作って、こういうようなイメージ、モチーフでやって下さいみたいな感じで頼んだんですよね。
特に構図は指定していなくて、というのも私より絵描きさんの方がもっと色んな絵を描けるはずだと思ってるんです。
動画の素材はどうやって探しますか?
自分で撮影したのもあるんですけど、撮影するだけだと大変なので、フリー素材サイトのpixabayを使って探す事が多いです。
pixabay: https://pixabay.com/ja/
pixabayでは、例えば花って検索した時に透明性っていうカテゴリがあって、ここにチェックを入れると切り抜かれた素材が出るのでめちゃめちゃ使いやすいです。
ただ、一つ気を付けなければいけない所があって、特に宇宙系の素材がそうなんですけど、盗品が多く出ている場合があります。明らかに普通の一般人はこれは撮れないなっていう写真とかは気を付けないといけないですね。
盗品が少ないのもあって、最近はAdobe Stockとかも使ってます。
Adobe Stock:https://stock.adobe.com/jp
VRoidでイラストを作成
私は全然絵が描けないタイプの人間でめちゃめちゃコンプレックスが凄いので、VRoidっていうソフトを使って、この主人公の女の子をざっくりモデリングして、それを元に実際のイラストに寄せる感じで描いてます。
VRoid:https://vroid.com/
このモデルは衣装などは買わずにデフォルトの衣装をアレンジして使っています。デフォルトのプリーツスカートと短いTシャツにテクスチャを適用してアレンジして描いていますね。
当時クリスタのデッサン人形がめちゃめちゃ優秀って話題になってて、それの応用でVRoidを使いました。
ClipStudio:イラスト・マンガ制作ソフト。
VRoidはポーズのパターンが凄くいっぱい作れて、何回でもテストが出来るので一番いいポージングみたいなのを探しやすいし、たくさんポーズを出力しましたね。
色んなポージングと角度とかをテストしながらより画面に映えるポーズみたいなのを決めていきます。
棒人間とかで描いたりするんですけど、そうすると完成と等身が違ったり、髪の毛の具合とか全体的に見たらやっぱりちょっと変だったみたいなのがあったりするんです。けどこれはもう完成された画で見る事が出来るので、凄く勝手がいいです。
歌詞からイメージしてデザインする
コラージュのデザインは歌詞から発想する事が多くて、その歌詞から連想したモチーフを画面に置いて、見栄えがいいように配置しています。
曖昧さ回避はその点でなかなか難しい曲でした。
ハーバリウムとかは「思いがいっぱいあるんだけど、それを瓶詰めにして並べて見ててまだ解決してない」っていうモチーフです。
あと、最初の黒電話とかも「急いでいる訳は ぶら下がる運命が 空っぽだって知ったから」の「ぶら下がってる運命」=黒電話、みたいなのとか、例えの例えという感じでモチーフを選んでいます。
トーン&マナーは撮影でも大事――「Attitude covered by 柾花音【歌ってみた】」
3DCGの動き自体はモデルを持っている元の3DCGの会社さんにお願いしています。VRoidでこういう動きでお願いしますっていう指示を出したんです。
Vroidはプリセットのモーションがいくつかあって、それを出力してイメージ共有して、画像を送りました。
https://twitter.com/3329h0rned0w1/status/1323615001253355522?s=20
言葉で説明すると結構面倒臭い所とかも、実際Vroidを使って説明した方が伝わりやすくていいです。資料作成にVroidはとても向いています。
https://twitter.com/3329h0rned0w1/status/1323615949459652608?s=20
肩の位置とか顎の位置とかちょっとした事なんですけど、イメージを共有すると、よりキャラクターのイメージに合ったポージングとかモーションが出来るんじゃないかと思って、こういう風に作ってもらえませんかってCG会社さんの方に資料を送りました。
撮影に使った機材やスタジオは?
カメラは自分で持っているSONYのα6500です。ちょっと古いモデルではあるんですけど、未だに中古でそれなりに買いやすい値段で出回っています。カメラではかなり綺麗な画が撮れる方だと思います。
デジタル一眼カメラα6500
https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-6500/index.html よりスクリーンショットで引用
撮影場所は自宅です。普通にここでご飯を食べてます。笑
撮影で気を付けていることは、世界観を撮影セットできちんと作った上で、関係のないものは極力映り込まないようにする事ですかね。合成したりするのって凄く大変で面倒臭いです。あとライティングですかね。
Attitudeのセットのテーマは人生です。Mrs. GREEN APPLEさんの原曲にも寄せたモチーフも入れつつ、今までに自分が人から貰ったものとか、自分の家族から受け継いだものとかをモチーフに入れたりとかしながらこのセットを作りました。
今回は抽象的な方が想像の余地があっていいかなと思って、抽象的なセットを作りました。私はちょっと油断すると凄く説明的な画作りとかになりがちなんですけど、あんまりそうだと見ててつまらないし味わいもないなと思って、極力説明的じゃないようにした画作りです。
どんな映像でもルールを定める
この映像はキャラの絵が出てくる所が一番のサビに持ってくるくらいのルールしかないです。そこが一番の見せ所なので、キャラが出てくる所を1番サビに持ってくる。それ以外はこのセットの画面を続けて見せていくという凄くシンプルなルールで作ってます。
これは火種さんとかりゅうせーさんも話題に出していたんですけど、トーン&マナーをやっぱりちゃんと決めた方がいいです。
トーン&マナー:デザインの一貫性にもたせることを指す
そうじゃないと画面がとっ散らかっちゃうし、自分も次何を撮ったらいいかとか、どういう構成にしたらいいか、どういう編集にしたらいいかって迷っちゃうので、1つでも3つでもルールは最低限は決めるようにしてます。
ちゃんと仕事として、ある意味工業製品として製品を出荷していくにあたって、行き当たりばったりで作ってるとやっぱり生産が安定しないので、安定生産をするためにも理論立てて作ってるんです。
金額設定はどうしてますか?
金額設定についてはロジカルに考えてます。
これが都内で一人暮らしをする私が一か月に必要な生活に掛かる金額です。
何年か前なので家賃とか電気代、ガス代、通信費とかはちょっと変動してるんですけど、だいたいの金額を算出しました。
都内ではだいたい20万あれば生活出来るんですけど、貯金とかも欲しいし、本とか好きなものも買いたいし、そうなると1ヶ月だいたい30万くらいあれば、凄く貧乏でもなければ凄くリッチでもないけど生活出来そうだと考えました。
それで、実際1ヶ月の間に自分がどのくらい動画を作る事が出来るかを算出した所、私はだいたい平均3本だったんです。3本作るのは結構キチキチだったので、1ヶ月2本で一人暮らしに必要な金額を満たすようなギャラだったら生活出来るよねと考えました。
じゃあ1本15万が最低の金額っていう風に考えたら、例えば自分の付加価値とかあんまり目に見えないものとかを考えるよりは、簡単に自分のギャランティーの適正価格みたいなのが判明しやすいです。
本当は15万って金額もそんな高い方じゃなくてむしろ安い方なので、そこからちょっとずつ上げていくなり交渉して何か価値を生み出すなりした方がいいと思うんですけど、最低金額15万取れればバイトとかしなくても映像制作1本で生活する事が出来るって事が分かりました。
映像制作はみんなが適正価格っていうものを決めあぐねてて、1本1万とか2万とか5000円とかで受けてる人がいるからどんどん相場が下がっていってしまうと思ったんですね。だからこのくらい取っていいんだって事をたくさんの人に知ってほしいんです。
これからやっていきたいこと
今後そういう情報共有みたいなのを、もっとチャンスを広げたいなぁと思って、今は動画師による動画師のための動画師Discordサーバー、「修羅の庭」を運営したりしてます。情報交換が出来る適度にクローズドなコミュニティみたいなのを築いてみたいと思ったんです。
※修羅の庭にご参加希望の方はまきのせなさんにDMなどで直接ご連絡ください。
修羅の庭はオープンな場所では話せない内容とかクライアント情報とかお金の相談、こういう話が来たんだけどこれってこの金額で大丈夫なのみたいな相談も出来るような環境を作っています。
今は特にコロナで、AEオフ、FRENZ、Mフェスとかのオフラインイベントが軒並み開催出来ない状況なので、オンラインで常に情報交換が出来る場所みたいなのを作りたかったんです。
FRENZ:映像作家による映像上映イベント。
M→フェス:明治大学の映像イベントサークルによる映像上映イベント
3DCGでもアニメーション作画でもない私のような作品を作ってる人達、エディターとかアニメの撮影などに関わる人達は、最終的なアウトプットの品質を決める立場であるにも関わらず、あまり認知されていなかったり地位が低かったりするので、そういう人達の地位をもうちょっと上げていきたいなとも思っています。
あと、ドガコレもそういう風に思って企画しました。
ニコニコ動画は動画っていうコンテンツを扱っているにも関わらず、フィーチャーされるのはボカロPや絵描き、3DモデラーとかMMDとかだったりするんです。
ニコニコ動画の特にボカロ文化を支えている、動画師って言われる人達が、ボカロP達と肩を並べてクレジットされているにも関わらず、いない者として扱われているこの現状を、何とか変えていきたいと思ってます。
最後に
映像って凄くいいなって私が思ってる所があるんです。
私は高校生の時に絵の才能の無さにめちゃめちゃ挫折感を覚えていたんですけど、動画は理論で作れるので才能は実はあんまり関係ないって私は思ってるんですね。
この記事でずっとお話ししてきた事も、全部自分の才能とかじゃなくて周りのいい所をつぎはぎに縫い合わせているようなものが私の作品になっているので、自分の才能にあまり左右されにくいクリエイティブの一つだと思っています。
やっぱり絵っていうのは描く人の生まれてから今まで見てきた好きなものとかに左右されるし、歌も自分の喉や声質とか、もう生まれながらにして決まってるわけですよね。モデルも生まれた時の身体で勝負するしかないじゃないですか。
でも動画はそういう生まれながらのものって左右される要素は少ないと思うんですよね。なのでとても間口の広いというか懐の深いというか、そういう所があるので私はとても好きだなって思います。
Next Interview!
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