2021.06.06 (最終更新日: 2022.06.09)

【リレーインタビューVol.5】映像クリエイターに立ちはだかる”壁”。そのCG制作の裏側に迫る。

Vookは、2020年末に新たなビジョン 「映像クリエイターを無敵にする。」 を発表しました。これをより広く伝えていくためにVookビジョンムービーの制作に着手。クリエイティブディレクター、ディレクター、撮影、VFX、3DCG、音楽…と、多くのクリエイターが集い、制作を進めてきました。

5月12日に公開となったこの映像は、各クリエイターがそれぞれの力を発揮し、意見をぶつけ合い、バトンを受け渡して完成まで辿りついたものです。 そんなVookビジョンムービー制作の舞台裏を、リレーインタビューとして掲載しています。

完成した映像はこちら!

第4回に登場した菅原一樹さん(音楽)からのバトンを引き継ぎ、第5回に登場するのはVFXを担当したダストマンさんと3DCGを手掛けたTaka Tachibanaさんです。

前回Vol.4<音楽>篇はこちらから!

【リレーインタビューVol.4】熱量を音楽で表現する。ビジョンムービー楽曲制作の舞台裏。

Vookは、2020年末に新たなビジョン 「映像クリエイターを無敵にする。」 を発表しました。これをより広く伝えていくためにVookビジョンムービーの制作に着手。クリエイティブディレクター、ディ...

今回のビジョンムービーの特色ともいうべきCG。映像クリエイターに立ちはだかる壁を表現するなど、ビジョンムービーの世界観を際立たせたCGは、どのようにして生まれたのか?――ダストマンさんとTachibanaさんに話を聞きました。

ダストマン
3年間勤めていた映像プロダクションを退職し田舎へと移住。広島を拠点に、TVやWebのCMをメインにエフェクト・モーショングラフィックス・VFX・コンポジット業務をフリーランスで請け負いながら、After Effectsのチュートリアル動画を主に発信するYouTubeチャンネル『ダストマンTips』を運営。

Taka Tachibana
台北在住の映像作家。CAPSULE Inc. / CHINZEI Inc.所属。 SSFF&ASIAをはじめ多くの映画祭で入選、受賞。近年はCG/VFXを駆使した新たな映像表現に取り組んでいる。

映像クリエイターのために、自分たちができることを

――今回、ビジョンムービーに参加したキッカケを教えてください。また、「映像クリエイターを無敵にする。」というビジョンムービーのコンセプトに関しても考えをお聞かせください。

ダストマン:
Vookとはずっと関わりがあり、その流れで岡本さん(Vook代表)から声をかけてもらいました。きっと、「CGがあるからダストマンに参加してもらおう」となったのではないでしょうか(笑)。

映像クリエイターを無敵にする。」というコンセプトについては、単純に「いいな」と思いました。僕自身、YouTubeでAfter Effectsのチュートリアル動画を発信していますが、クリエイターを目指す人に情報格差がなくなればという想いが強くあります。Vookとは共通理念を持って、二人三脚で活動してきたと個人的には考えています。クリエイターを無敵にするだけの情報量をVookは持っていますし、これからも発信してほしいと思っています。

Tachibana:
私も参加のキッカケは、岡本さんです。以前、福岡のイベントでご一緒させていただいて、それからの付き合いなんです。「Vookのビジョンムービーを作るから、CGをお願いしたい」とオファーをいただいて。ダストマンさんも参加するとその時に聞きました。実はダストマンさんのYouTubeでCGの勉強をしていたので、一緒にできると聞いて興奮しましたね(笑)。

映像クリエイターを無敵にする。」というコンセプトについては、面白いなと感じました。ずっと福岡で活動していて東京との格差も見てきたので、それを解消するお手伝いができればと思ったことも参加した理由の一つです。

――現在、Tachibanaさんは台湾を拠点に活動されており、今回は100%リモートで参加されています。福岡から台湾に移られた理由は?

Tachibana:
台湾の知り合いから誘いがあったのがきっかけです。もともと海外に興味があったので、拠点を移すことに決めました。台湾ではYouTubeをはじめとした新しいメディア向けの映像制作をメインで行っています。

――ダストマンさんとTachibanaさんに加え、【リレーインタビューVol.3】に登場したモデリング担当の星子旋風脚さんの3名で構成されるCGチームに関しては、最初の顔合わせとしてVRChatで交流したと聞いています。

ダストマン:
星子さんとは一緒に仕事をしたことがあるのですが、Tachibanaさんとは初めてだったので、一度ワークフローなどを相談しようとVRChatで集まりました。でも、VR上にあるコンテンツで遊んだだけで、誰も仕事の話はしませんでしたよね(笑)。

星子さんの担当したモデリングについては、こちらの記事をどうぞ!

【リレーインタビューVol.3】デフォルメとディテールのバランスを追求。3Dモデリングの制作プロセスに迫る

Vookは、2020年末に新たなビジョン 「映像クリエイターを無敵にする。」 を発表しました。これをより広く伝えていくためにVookビジョンムービーの制作に着手。クリエイティブディレクター、ディ...

Tachibana:
そうですね(笑)。でも、VRChatで遊んだおかげでみんなと打ち解けることができ、CGチーム内のコミュニケーションが円滑になりました。

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スムーズなCG制作を行うため、撮影現場にも立ち会う

――CGに関しては、どのように制作を進めていったのでしょうか。

ダストマン:
最初にビジョンムービーのクリエイティブディレクター(CD)である曽根さんの絵コンテをもとに、ディレクターのSHINTANIさんがVコンを作って、某テレビゲームのシーンをイメージした壁を壊す演出が決まりました。壁になるレンガの質感にこだわりながら、ゲームっぽいイメージが合うかなと、CGチームで話していました。

ワークフローに関してはそこまで複雑ではなく、壁などのCGを担当するTachibanaさんと、“映像クリエイターの必須アイテム”のモデリングを手がける星子さんが制作したデータを僕がもらって、実写に合成していきながら進めていきました。

――ディレクターのSHINTANIさんは、大規模なCGを使った映像制作は今回が初めてとのことでした。撮影当日の現場に、ダストマンさんも入られたと伺いました。

ダストマン:
そうですね。マッチムーブという合成をする際にカメラの動きなどのポイントがとれないと、CGに違和感が出てしまいます。そこで、撮影に立ち会いました。TachibanaさんとはZoomで繋ぎながら、撮影現場で色々と相談しましたね。

撮影当日、広島から現場まで来てくださったダストマンさん。

Tachibana:
ダストマンさんが撮影現場に行ってくれて本当に助かりました。トラッキングもダストマンさんがマーカーをつけてくれたので、作業がスムーズに進められました。

ダストマン:
78カ所もマーカーを打ったので、後で消すのが大変でしたけどね(笑)。

――CGの作業については、どのように進んでいったのでしょうか?

Tachibana:
わりと淡々と作業していましたね。ダストマンさん、星子さん、私の3人の分担がしっかり決まっていたので、それぞれがしっかり作業を進めていました。CGチームだけのグループチャットがあるので、疑問点などはそちらにポストしていました

――グループチャットに関して、何か助かったなといった場面はありましたか。

Tachibana:
データを渡す時に複数のレイヤーに分けて渡すのですが、コンポジットで自分には分からない部分があったので質問したりしましたね。チームで作業すると、他の人の知識を吸収できて勉強になりました

ダストマンさんが現場で仕込んだマーカーをガイドに、TachibanaさんがCGを制作、最後にダストマンさんがコンポジットを行います。

――その他、何か実感した点などありましたか。

Tachibana:
私たちは案件によってはディレクターとして関わる場合もあるのですが、今回はCGの専門家としてアサインされていました。その立ち位置は、ちょっと難しかったですね。こちらとしても、作品のクオリティを上げるためのアイデアがあるのですが、どこまで提案するべきかといったバランスの取り方には反省点があったと思っています

壁を乗り越えるには、コミュニケーションが何よりも大切

――ビジョンムービーの制作において苦労した点などありましたら教えてください。

ダストマン:
ビジョンムービーの見所の一つである壁を壊すシーンですが、最初の案ではレンガで表現することになっていました。しかし、最終的には発光するブロックになっています

このシーンに関して、Miyuさん演じる女性クリエイターの衣装が反射する素材なので、発光するブロックにするとCGを馴染ませるのがかなり難しい作業になってしまうんですね。そうしたこともあり、レンガの方が高いクオリティを出せる自信があったので、最初の打ち合わせでは「レンガでいこう」という話になっていました。

撮影当日も壁はレンガの想定だったので、発光するブロック用には撮影していませんでした。その後、CGの初稿を出した段階で、ディレクター側から「今回のムービーの演出としては、発光するブロックの方が適切だ」という判断があり変更することになりました。

レンガから発光するブロックへの修正に関しては、まさに納期の壁が立ち塞がりました。厳しいスケジュールの中、CGチームで何とか乗り越えようと試行錯誤しましたね。

Tachibana:
この変更に関しては、「CGチームとしてはレンガが良いと思う」ともう少し提案を入れながらディレクター側と話し合いを持つことも出来たのかなと思います。イメージの共有とそのコミュニケーションの難しさを改めて実感しました。

ダストマン:
付け加えるなら、初稿の見せ方についてもう少し、僕たちCGチーム側で工夫の余地はあったのかなと。星子さんとTachibanaさんが作ったCGを僕が合成して、さらにカラリストの下川さんに渡して色味を調整してもらわないと完成形に近い映像にならないんです。スピードを重視する必要があったため、その部分の工程を最小限にして初稿ではCGも仮で入れたものにしました。

そうした経緯もあり、初稿で完全な状態のものをお見せできたわけではなかったので、判断しづらかったかもしれません。もっとクオリティを高めたCGで初稿の試写をすることも出来たなと。

Tachibana:
ただ、発光するブロックの壁に関しても、ダストマンさんが最後きっちり仕上げてくれたと個人的には感じています。

――それでは最後にビジョンムービーに関わって、学んだこと・気づいたことがあればぜひ教えてください。

ダストマン:
クリエイターの前に壁が立ちふさがるというのは、様々なシチュエーションにおいてあり得ることなのだと実感しましたね。そして、その壁を越えるためには、コミュニケーションが何よりも大切なのだと学びました。これからも言いたいことは言って、対話することを大切にしながら映像制作に関わっていきたいと思います。

Taka Tachibana:
チームでCG制作をすることは初めてだったので、そこでの学びは多くありました。また、制作途中のCGのイメージ共有は難しいなと。こちらとしては仮で入れていても、確認する人が本番レベルであると思ってしまう場合がありますので。どの段階のCGなのかを、初稿などの試写前にしっかりと説明する必要があります。これも非常にためになる、気づきになりましたね。

Vookビジョンムービーのリレーインタビューは、こちらのページでお読みいただけます。撮影現場の様子を垣間見ることのできるメイキング映像も多数掲載!是非チェックしてみてください。

Interview&Text:Yukitaka Sanada

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