【Nikon Z 7II のファッションムービー制作】8bit収録カラーグレーディングで抑えるポイントを徹底解説

2021.07.21 (最終更新日: 2021.09.27)

はじめに

ビデオグラファーで活動しています。Ren Takeuchiです!

フルサイズ機で映像制作できる機会を頂きました!!

普段はマイクロフォーサーズの規格のカメラで映像制作をしているのですが、やはりフルサイズの魅力は、なんと言ってもボケ感・ダイナミックレンジの広さ、暗がりでも撮れる圧巻なセンサーサイズですね。

マイクロフォーサーズはセンサーサイズの兼ね合いで夜間撮影が厳しい場面が多いのが本音です。。

写真をメインで撮られている方やこれから映像を初めたいという方!!
8bit(内部収録)でどこまでクオリティを追い込めるのか!? 
という方もいるのではないでしょうか!

普段使用しているカメラの内部収録設定が8bitと、今回使用した Nikon Z 7IIの内部収録設定も8bitなので同じ収録設定になりますので、その一連の流れを説明していきます。

「映像クオリティを上げたい!」そんな想いを持った皆さんに是非読んで頂きたいです!

まず、今回撮影したファッションムービーはこちらになります!

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何故、ファッションムービーなのか

前述の通り、今回は Nikon Z 7IIで8bit収録でファッションムービーを制作してみました!!

何故ファッションムービーなのか・・・というと

理由は沢山ありますが
ここ最近のファッションブランドのマーケットを僕自身の目線で注目してみたところ、ブランドの世界観を代弁する表現として、映像作品に力を入れる企業が増えてきました。

ファッションブランドのプロモーションは従来、写真が柱だったのですが、SNSや動画投稿サイトの定着を受けて、映像を通じてクリエイティブコンテンツやブランド哲学を伝ようとするコンテンツが沢山増えてきました。

Dior のファッションムービー
参考出典:Dior Haute Couture Spring-Summer 2021 Collection

写真に比べ、動きや音楽で立体的にアピールしやすいうえに、感情を揺さぶる効果や物語に引き込む力に優れていることがあり、映像プロモーションが選ばれる理由だと思います。

服を魅せる為の映像です。つまり服本来のカラーを忠実に再現し、尚且つファッションクリエイターの服の世界観を表現しなくてはなりません。映像制作においてレベルの高いクリエイティブを求められます。

ここで僕自身が考えた結果、今の時代は写真も映像も両方撮れるカメラが一番良いカメラだ・・と僕自身は思っています。

8bit収録とは?気をつけるポイント

bitとは?

まずはbitそのものを少しわかりやすく解説したいと思います!
bit「ビット」とはコンピューターが扱うデータの最小単位です。
ですが、デジタルでは色や階調を表す場合もbit(ビット数 / 表せる情報量 = 階調)がその単位になるということです。

具体的には、

1bit /2x1 = 2
2bit /2x2 = 4
3bit /2x2x2 = 8
4bit /2x2x2x2 = 16
:
8bit / 2x2x2x2x2x2x2x2 = 256

と数値が上がることによって階調の幅が広くなることを表します。
表現の幅を広げたい場合、階調の幅が無いと難しくなってきます。(詳しくは後述します。)

8bitのメリット/デメリット

8bit収録のデメリットとしては、

結論から言うと、本来カラーグレーディングやファッション系の映像には向いていません

8bit収録の場合 = 256
10bit収録の場合=1024

8bit収録の場合、シャドウとハイライトはカラーコレクションする際に色情報が戻って来ないと思いましょう。なぜなら先程お伝えした階調の部分で間引かれた色情報になるからです。

8bitの色情報として256のカラー情報しかありませんが、10bitの色情報の場合は1024の色情報があります。

この差は768もの色情報の差があり、8bitでの収録の際に、カラーグレーディングなどの表現を10bit収録のように対応しようと思うと、10bit収録のように対応すると、バンディングなどがおき、想定通りの作品には仕上がりません。

逆に、8bit収録のメリットとしては
撮って出しの映像に向いている事や、工夫次第で10bitにも劣らない映像クオリティを出せる可能性があります

ちなみに、カラーコレクションなどバランスを整える範囲などは全く問題無く行えますが、自分の理想としている映像表現をカラーグレーディングで行うには、かなり技術が必要になってきます。

8bitで収録する際に気を付ける事

基本的に「白飛び」「黒潰れ」したデータは色情報が戻ってきません。
つまり、収録の際に細心の注意を払いながら撮影しなければなりません。

撮影時はウェーブフォームなどで確認しながら撮影するのは基本ですが、

  • 必ず輝度レベルが真ん中に来るように常に意識しましょう。
  • センサーにしっかり光を入れましょう。

収録形式によって変化しますが、「Log」とかはかなりシビアになります。

アンダー目(シャドウに寄って撮影しすぎる)に撮り過ぎると、撮影素材にノイズが沢山乗ってしまったりと、ポスプロ作業が大変になります。なので、ウェーブフォームを見ながら、輝度レベルが中央にくる様に撮影することが重要になります。

グレーディングを行う際に気をつけること

最近はカラーグレーディングを行った作品が多くなりましたね。

自分のイメージしている作品に世界観を寄せていく作業ですが、ポスプロ作業の際に注意しないといけない事があります。

こちらは先程も解説したことに近いお話なのですが、カラーグレーディングを行う場合は「階調」が豊かな素材、つまり10bit以上の素材でカラーグレーディングが一番ベストです!

8bit収録の場合は「256」の階調しかありませんので、すぐにバンディングがおこります。

例えば、階調の境が見えはじめるようになります。

※画像出典:http://shuffle.genkosha.com/products/eizo/serial/motegi/2537.html

意外と気づかなかったりするのですが、トーンジャンプ(バンディング)します。

階調はグラデーションの様にカラーが重なっていますが、カラーの許容範囲を超えると画像の通り、カラーグレーディングを行う際に8bit収録の素材は、バンディングがおこりますので注意しましょう!

Nikon Z 7II の収録設定とフルサイズミラーレス一眼の魅力

今回はZ 7IIの設定上、Log収録はできなかったので、一番Logのカーブに近いピクチャーコントロールFL(フラット)で収録することに決めました。

Nikon Z 7IIの設定はこちら:FL / 3840×2160 60p /420 / 8bit

今回の制作はカラーグレーディングを前提に収録しているので、浅いカーブの収録形式で撮影を考えました。

ちなみに Nikon Z 7IIは、外部モニターを使うことで「Log」「Braw」もHDMI外部出力可能!心強いしかない!

なにより、今回ファッションムービーの制作ということで、モデルさんのスキントーンを大事にしたいので全体的に浅く露出も飛ばないように撮影していきます。

Nikon Z 7IIで初めて撮影した印象は、人物が凄く綺麗に撮れる!でした!

正直、めちゃくちゃ綺麗でした。。(Nikonスゴイ!!!)
撮ってだしでも十分過ぎるぐらいの描写力です。。

カラーグレーディング前

こちらが撮ってだしの素材なのですが、FLで収録していてカーブとしては、浅い感じにカラーが入っているので、カラーグレーディングで追い込まなくても、そのまま使える素材として全く問題無しって感じです!

スキントーンを意識しながら撮影したのもありますが、モデルさんの肌が凄く綺麗に撮影できてます!嬉しい!撮影現場でモデルさんにプレビュー出した時の一言が「うわっスゴイめっちゃ綺麗~~!!」ってテンション上がってたのをしっかり覚えてます!

フルサイズ機の魅力を改めて感じました。

1つ1つのディティールをしっかり捉えていて、後から見返しても全体的なシャープネスがしっかりしていてポスプロ作業中に安心感がありました。

このシーンは敢えて光り物を入れて撮影しているのですが、このボケ感がたまらなくエモい。。

カラーグレーディング後

この画像は、カラーグレーディングを行ったものです。全体的なトーンを統一させ、スキンレタッチをやってみました。見たらわかるこのリッチな画!!

これを8bitで収録した映像だとはまず思わないと思います。バンディングする事もなく、全体的に良いノイズの乗り方をしています。まずこの画像を見た方は「すごく肌綺麗だな」と思うはずです。

それ以外の部分に目がいかないのは、バンディングすることもなく均等にカラーが乗っている証拠です!

シチュエーションに合わせた撮影スタイルと手軽な操作性

今回、スタジオでの撮影ということで、時間に限りがある撮影シチュエーションでした。

ただ、スタジオのスペースが小さいこともあり、足でカット数を稼げるシチュエーションだと判断し、リッチな画にこだわるために単焦点レンズのみで撮影を行うことを決めました。

今回、f/1.8通しの撮影で使用したレンズはこちらです。

NIKKOR Z 24mm f/1.8 S
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

Nikonの単焦点レンズが全てf/1.8通しだったこともあり、機材のセッティング(設定を含む)に手間をとることがなくスムーズに対応できました。

実際、設定変更の合間でも、モデルの方とのコミュニケーションをとりながら、余裕を持って設定できる操作性は短時間での撮影などでも魅力的ですね!

今回は時間との勝負ということもあり、ジンバルなんて組み立てる時間も無ければ、使用する時間の余裕がなかったので、今回の撮影スタイルはトップハンドルスタイルで撮影に臨みました!

凄くビデオグラファー感あってカッコイイビジュアルですね。
この画像のモニターはBlackmagic Video Assist 5” 12G HDRです!

収録自体は8bit(内部収録)で行いましたすが、トップハンドルスタイルに外部モニターをつけることでしっかりと映像の確認ができ、重宝しました!

リグを組んでみると、さすがフルサイズ機という重量感もあり、安定感があって撮影しやすかったです!

カラーグレーディングの方向性を決める

今回のファッションムービーは全てDaVinci Resolveで編集しました。
まずは基本の色構成を考えましょう!色彩学でもあるダイアード(補色)Red系とBlue系で構成していきます!この2色を使用するイメージです。

先にLOOKのBefore Afterを見ていきましょう!

【Before】


【After】

カラーグレーディングでここまで世界観を変えることが可能です!

まず、このトーンを選んだ理由は、強い女性を魅せながら着ている衣装でクールな印象を与えるという演出的な理由があり、RedとBlueのカラーを用いてます。

今回使用したスタジオが暖色系だったので、現場でソフトにライトを入れて撮影をしました。ただ、【Before】 を見て頂ければわかるとおり、全く印象的なカットではないですよね。

このシーンの素材で、バンディングしないことを意識して、DaVinci Resolveというソフトで、カラーグレーディングを行っていきたいと思います!

DaVinci Resolve によるカラーグレーディンの工程を解説

方向性も決まったことで、これからカラーグレーディングの工程を簡単に解説していきます。

1、カラーコレクション・ホワイトバランスを調整する

まずは、カラーコレクションを行います(特にファッションムービーのクライアントワークの場合、商品カラーをしっかりと合わせて出さなければならないので注意してください。)※今回、カラーコレクションの作業詳細説明は省きます。

手順:コントラスト・ホワイトバランスを調整するシリアルノードを追加


まず、シリアルノードを追加して「contrast&wb」とでも名付けましょう

ホワイトバランス・コントラスト調整のプライマリーホイールとカーブ

2、色相と彩度の調整する

手順:シリアルノードを新たに追加して「hue vs sat」とでも名付けます。カーブの「色相×彩度」を触ります!

自分のイメージに合う色相に調整していく。


シリアルノードを追加


Red系のカラーを少し弱くして、Green系を立たせます!


色相の仕上がりはこちら

全体的なトーンが下がり、コントラストがしっかりついてくれました!
ここからなら、カラーがしっかり入りそうです!

3、部分の調整(ハイライトの色を調整する)

手順:さらにシリアルノードを追加して各部位の色を変更していきます。

ここからカラーの方向性を変えていきます。


次に「highlight」とでも名付けておきましょう!

プライマリーのゲイン(ハイライト部分)でBlue系にホイールを振ります!

ちなみに参考までに、各の部分は下記のホイールで調整できます。

  • ゲイン=ハイライト
  • ガンマ=ミッド(中間色)
  • リフト=シャドウ
  • オフセット=全体

そのまま、色相を+6ほど振りながら色相 vs 彩度でRed系を強くしていきます!


自分のイメージ通りです。。w

4、自分なりのカラーに調整する(RGBで調整)

手順:さらにコンバイナーノードを追加して各色のカラーを調整していきます。

このトーンに磨きをかけていきます!


スプリッター/コンバイナーノードを使用します!*コンバイナーノード:RGB各のカラーで調整可能

各RGBチャンネルのカラーをそれぞれのノードで綺麗にして(整えて)いきます!

5、好みのテイストに仕上げ

ここからは好みです!

最後にウィンドウからマスクを切ってシャドウを落としビネットを完成させます!
*ビネット:画像の中心が明るく・周囲色が暗くなっていること


09のノードでマスクを切る


自身の思い描いてたカラー通りになりました!(ナイスグレーディング)

まとめ

今回、Nikon Z 7IIでファッションムービーを制作するために撮影・カラーグレーディングまで触ってみましたが、素材そのものが本当に綺麗でした。。

Nikon Z 7IIのカメラそのもののポテンシャルが凄く高かったです。
8bitで収録して、カラコレの調整だけで十分な映像クオリティだと思います!

逆に、私はこだわりたいんだ!!!って強い思いをお持ちな方でも今回作品のグレーディングでもバンディングせず、ゴリゴリグレーディングできたので、凄く楽しめると思います!!

僕たちは最高のカメラに囲まれて幸せですね(キラッ)

また次の記事でお会いしましょう!!

<今回、使用した機材はこちら>

Z 7II
https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_7_2/
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
https://www.nikon-image.com/products/nikkor/zmount/nikkor_z_50mm_f18_s/
NIKKOR Z 24mm f/1.8 S
https://www.nikon-image.com/products/nikkor/zmount/nikkor_z_24mm_f18_s/

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URL:https://vook.vc/p/8creators

ニコンイメージングジャパン公式オンラインショップNikonDirect

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Japan Kyoto 株式会社GLAS 映像ディレクター / DaVinci Resolve公認トレーナー TVCM, PROMOTION VIDEO,MUSIC VIDEO 様々な案件をディレクターで担当しております。 takeuchi@grove...

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