今回は2021年8月の段階で、オススメするマシンスペックのリストを、松竹梅のランクに分けてお届けします。自分のマシンがどのあたりか、今度買うときにはどれを選べばいいのか、参考にしていただければ嬉しいです。
まずはじめに
OSについて
DaVinci ResolveはMac、Windows、Linuxの3つのバージョンに対応していますが、OSは推奨のバージョンがあります。DaVinci Resolve 17の場合は、この3つです。
macOS 10.15 Catalina、11 Big Sur以上
Windows 10
CentOS 7.3
システムメモリについて
システムメモリ(RAM)はそんなに必要ありません。OSによって最低限推奨されるメモリは変わってきます。
Mac → 8GB
Windows → 16GB
Linux → 32GB
32GB以上のメモリが必要になるのは、Fusionページでたくさんメモリーキャッシュ(RAMキャッシュ)を使いたい場合くらいです。
CPU
Windowsの場合には、3GHz以上のCPUをお勧めします。Macの場合はMetalがあるので、CPUのスピードはそれほど気にする必要はありません。CPUは主にコーデックのデコード・エンコードに使用され、一般的にはコア数が多ければ多いほど、パフォーマンスは良くなります。Windowsの場合には、CPUをIntelではなくAMDにするのもコスパの面からおすすめです(ただしAMD GPUはあまりパフォーマンスが良くないのでおすすめしません)。
GPU
DaVinci ResolveはGPUに最適化されたソフトウェアです。GPUのランクは、GPUオンボードメモリ(VRAM)の量が参考になります。Windowsの場合には、HDで4GBのVRAM、4Kで8GBのVRAMを搭載したNVIDIA GPUがあれば十分です。Macの場合はM1チップへの最適化が進んでおり、M1チップ自体のメモリはそれほど大きくないですが、それでもHD、4Kの編集に問題なく使用できます。GPUは主にエフェクトやグレーディングに使用され、一般的にはVRAMが多ければ多いほど、パフォーマンスは良くなります。NVIDIA GeForceとNVIDIA Quadroのどちらがいいのかということを聞かれることがありますが、「値段が高いからQuadroの方がいい」ということはDaVinci Resolveに関してはありません。前述のとおり、VRAMを目安に最適なGPUを選んでみてください。
昔のマシンについて
基本的にここでは2021年時点で購入できるマシンを記載しています。今のMacBook Airと昔のMacBook Airではスペックは異なりますので、そのあたりはご理解ください。
どのパーツが大事なの?
すっごく簡単に言うと、GPU>CPU>RAMです。この辺りの技術的なことについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
「4K編集」ってどういうこと?
DaVinci Resolveは編集、カラーグレーディング、VFX、音声編集ができる巨大なソフトウェアです。したがって「4K編集に最適」と言ったところで、それがどういう内容を指すのかというのは個人差があります。今回のこの記事では、「編集」という場合には、メインはタイムライン編集で、そこに標準的なレベルのカラーグレーディングやVFXや音声編集が絡んでくるというワークフローを想定しています。ヘビーなノイズリダクション、フィルムグレインなどをかけるとGPUが必要になってきますし、多くのテキストを加えたりFusionページでたくさんツールを使うとCPUパワーが要求されることもあります。そのあたりはご自身の想定されるワークフローにあわせてマシンを選定してみてください。
無償版だとGPUが使われないっていう話を聞いたのですが本当ですか?
いえ、そんなことはありません。無償版でもGPUはちゃんと使います。ただし有償版では、Windowsの場合、NVIDIA/AMD/Intel QuickSyncのH.264/H.265を対象としたエンコーダー・デコーダーが機能します。有償版だと早くなることがあるのはそのためです。たとえばNVIDIA GPUを使っていて、H.264の素材を編集してH.264に書き出すときには、デコード(読み込み)とエンコード(書き出し)でNVIDIA GPUを活用するので、有償版の方が無償版よりも圧倒的に編集パフォーマンスも書き出し速度もスムーズになります。一方、もしNVIDIA GPUを使っていても、たとえばBlackmagic RAWの素材をProResに書き出す際には速度は上がりませんし、もしH.264の読み込みや書き出しをしていても、NVIDIA/AMD/Intel QuickSyncのハードウェアエンコーダー・デコーダーがマシンに備わっていないと速度は上がりません。
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梅|HD編集
Mac
M1 Mac(MacBook Air、MacBook、Mac mini、iMac)
コストパフォーマンスの面から考えれば、M1 Macと呼ばれる、Apple Siliconの入ったMacに勝るものはありません。DaVinci Resolveは17.1でApple Siliconに対応し、17.3でさらにパフォーマンスを向上しました。10万円ほどのMacBook Airだけで、楽々と4K編集ができるというすごい時代がやってきました。M1 Macなら、HDの編集はもちろんのこと、4Kの編集もサクサクです。8K、12Kさえ、必ずリアルタイムというわけではないにせよ、ちゃんと動作します。一応この記事ではカテゴリとして松竹梅のうち梅にカテゴライズしましたが、梅と呼ぶには失礼なレベルです。竹レベルのパフォーマンスは発揮できると思ってもらって大丈夫です。
Windows
メモリ8GB、内蔵Intel GPU
よほど古いマシンでない限り、DaVinci Resolveは立ち上がるはずです。
このあたりのマシンではパフォーマンスに限らず、予期しないトラブルが発生することもあります。そんなときには以下の記事を参考にしてみてください。
DaVinci Resolveが立ち上がらない、インストールできないときに試してみたい7項目
マシンスペックが足りないと悩む前にDaVinci Resolveの再生パフォーマンスを上げるために試してみたい10のこと
竹|4K編集
梅から竹へのステップアップの近道は、GPUを補強することです。DaVinci ResolveはGPUのスペックがそのままパフォーマンスに直結する編集ソフトだからです。
Mac
M1 Mac(MacBook Air、MacBook、Mac mini、iMac)
上で書いたとおり、M1 Macの最適化はとどまるところを知らず、4Kの編集でもM1 Macは十分なスペックを持っています。もしこれでも満足できない方(あんまりいない気がしますが)は、8GB以上のVRAMを載せたMacBook ProやiMacでいかがでしょうか。ノイズリダクションやフィルムグレインなどのGPUをふんだんに使うエフェクトを多用される方は、M1 Macよりもこちらの8GB以上のVRAMの載ったMacがいいかもしれません。
MacBook Pro 16インチ(8コアCPU/AMD Radeon Pro 5600M 8GB)
iMac Retina 5K(10コアCPU/Radeon Pro 5700 XT 16GB)
Windows
NVIDIA GeForce RTX 3060 12GB
Windowsで手っ取り早くパフォーマンスを上げようと思ったら、NVIDIA GeForceを導入するのに越したことはありません。現行のラインナップでは、GeForce RTX 3000シリーズがおすすめです。3000シリーズは、従来の2000、1000シリーズに比べて、VRAMが大きいのが特徴で、これはDaVinci Resolveを使用する場合には明らかなメリットです。3000シリーズならどれでもいいと言ってしまえばそれでおしまいですが、あえて申し上げれば、3060は比較的安価ながら12GBのVRAMがあり悪くないと思います。
松|8K編集
Mac
Mac Pro
8Kタイムラインを扱う場合、もしくはMacで最高のスペックを求める場合には、MacならMac Proがベストな選択肢です。CPUもGPUも多くの選択肢がありますが、張り切って全部盛りにする必要はありません。CPUは16~28コアあたりがいいと思います。GPUについては、Radeon Pro Vega II Duo 32GBは1枚でも強力なGPUですので、これだけで8K60pの編集は滞りなく実現できます。ただ現時点では、Radeon Pro Vega II Duo 32GBはディスコンになっているようですので、その後継のRadeon Pro W6800XやW6900Xなど、1枚で32GBのVRAMを搭載したGPUモデルをお勧めします。
Windows
NVIDIA GeForce RTX 3090 24GB
NVIDIAのGPUをさらに上位のモデルにすると、さらにパフォーマンスが上がります。ここでも目安となるのはVRAMです。GeForceシリーズでは、NVIDIA GeForce RTX 3090 24GBが最高峰です。もっと上を目指したい方は、NVIDIA RTX A6000 48GBという選択肢もあります。
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