現在ATEM Miniシリーズは5種類の製品が提供されています。どれも配信やウェブ会議に使用できるパワフルなスイッチャーですが、種類が多すぎてどれを買えばいいのか迷ってしまうかもしれませんので、それぞれの差異をこの記事でまとめておきたいと思います。「ああ、あっちを買えばよかった!」とならないように、この記事を参考にしてもらえると幸いです。
ATEM Miniシリーズのそれぞれの製品は違いはいくつかありますが、端的に言えば、購入する前にご自身で問いかける必要がある質問は3つあります。
- Zoomなどの会議ツールで使いたいのか、YouTubeなどで生配信をしたいのか
- 収録もしたいのか
- 個別収録もしたいのか(後に編集もしたいかどうか)
この3つの質問にどう答えるかで、おのずとあなたにぴったりのATEM Miniは決まってくるはずです。
Zoomなどの会議ツールで使いたい
Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Cisco Webexなどのウェブ会議ツールで使うには、最も安価な ATEM Mini(¥35,980) をお勧めします。
これはいちばんベーシックなモデルです。カメラやコンピュータをHDMIでATEM Miniに接続し、ATEM MiniからUSBでコンピュータに接続することで、ZoomやTeamsなどでウェブカメラとして使用できます。
ATEM Miniをさまざまなウェブ会議ツールで使う方法は、この記事にまとめられています。
ATEM Mini & ATEM Mini Proをウェブ会議サービス、オンラインコミュニケーションツールで使う方法
ATEM Mini、ATEM Mini Proを各種オンライン会議サービスで使う方法をまとめておきます。いずれもATEM MiniとPC/MacをUSBで接続するだけですぐに使えます。ドライバの...
YouTubeなどで生配信をしたい
YouTube、Facebook、Twitch、Vimeoなどの配信プラットフォームを使用して、生配信をしたい方は ATEM Mini Pro(¥56,980) をお勧めします。
なぜATEM MiniではなくATEM Mini Proを使うかというと、生配信なら、ATEM Mini Proの方が簡単で、しかも安定して配信ができるからです。ATEM Miniでも、OBSやWirecastなどを使用すれば、YouTubeなどへの生配信はできます。しかしその場合には長時間の配信が安定してできるパワフルなマシンが必要です。ATEM Mini Proなら、本体にエンコーダーが内蔵されていますので、そのような配信マシンがなくても、イーサネット経由で、YouTubeなどへの配信ができます。
直接配信についてはこういう記事もあります。
ATEM Mini & ATEM Mini Proを使ってYouTube Liveで生配信をする方法
ATEM MiniとATEM Mini Proを使うと、簡単にYouTube Liveで生配信ができます。とりわけATEM Mini Proの場合には、イーサネットを繋ぐだけで、OBSなどを使用...
YouTubeなどで生配信をしつつ、収録もしたい
この場合にも、上と同じATEM Mini Pro(¥56,980)で大丈夫です。ATEM Mini Proにはエンコーダー配信機能だけではなく、HDD、SSDなどの外部ディスクへの収録機能も搭載されているからです。
ATEM Mini ProのUSBを利用した、YouTube Studioのウェブカメラ配信、もしくはOBS経由でのエンコード配信はお勧めできません。どちらも必ずしも安定して配信できるとは言えないからです。やはりYouTubeへの配信は、ATEM Mini Proのイーサネット端子からの直接配信をお勧めします。
Zoomなどの会議ツールで使いつつ、収録もしたい
会議ツールで使いつつ、収録もしたい場合には、ATEM Mini Extreme(¥113,800) をお勧めします。
ATEM Mini Pro以上のモデルには、外部ディスクへの収録機能が備わっています。しかしATEM Mini Proの場合には、USBポートが1系統しかないため、それをZoomなどのウェブカメラ出力のために使うか、外部ディスクへの収録のために使うかのどちらかを選択する必要があります。そのためウェブカメラ出力と外部ディスクへの収録を両方やりたい場合には、2系統のUSBポートを持つATEM Mini Extremeを用意する必要があります。
YouTubeなどで生配信をしつつ、ISO収録(編集)もしたい
ISOというのは、Isolation(アイソレーション)を意味しています。ISO収録とは、つまり個別収録のことで、入ってきた映像信号をすべて個別のファイルとして収録する機能です。個別収録を希望される方には ATEM Mini Pro ISO(¥89,980) をお勧めします。
ATEM Mini Pro ISOで個別した場合には、プログラムの映像と音声の入ったMP4ファイルのほかに、4系統の入力映像のMP4ファイル、6系統の入力音声のWAVファイルが生成されます。しかもそれに加えて、DaVinci Resolveの.drpプロジェクトデータも作成してくれます。これにより、配信の後の編集で配信時のミスを修正したりテロップを入れ直したりできるだけではなく、すでにタイムラインが組み上がった形から編集作業を開始することができます。その結果、編集の効率を飛躍的に向上させることができます。
Zoomなどの会議ツールで使いつつ、ISO収録(編集)もしたい
会議ツールで使いつつ、ISO収録もしたい場合には、ATEM Mini Extreme ISO(¥147,800) をお勧めします。この最上位機種なら、それと同時にYouTubeなどのプラットフォームへの直接配信もできます。
この場合、なぜATEM Mini Pro ISOではなくATEM Mini Extreme ISOが必要かというと、ATEM Mini Pro ISOにはUSBポートが1系統しかないからです。もしISO収録をしたい場合には、USBポートにSSDを接続する必要がありますが、そうするとウェブカメラ出力機能は使えなくなってしまいます。ATEM Mini Extreme ISOならUSBポートが2系統あるため、ウェブカメラ出力機能を使用するのと同時に、ディスクへのISO収録もできます。
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