【ウェビナーまとめ記事】『EVEN』制作チームが語る “縦型動画”の魅力とセオリー

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2021.10.27 (最終更新日: 2022.07.06)

今まさに盛り上がりを見せている 「縦型動画」 。

スマートフォンによって縦画面が当たり前になったものの、まだまだ「縦型動画」を作る、その一歩を踏み出せていない映像クリエイターも多いのではないでしょうか?

縦型動画は、横型に比べて情報量が制限されてしまうため、これまでの構図や編集などの常識が通用しない局面があります。

そんな中Vookでは、「縦型動画」のいろはを伝えるべく、9月29日に「【 必修!「縦型動画」とクリエイターのこれから① powered by Nikon】『EVEN』制作チームが語る"縦型動画"の魅力とセオリー」と題したウェビナーを開催しました。

ウェビナーアーカイブ動画も無料でご覧いただけます

今回登壇していただいたのは、縦型動画の“いま” を作りだしている映像クリエイター 宮原拓也さんと、村上岳さんです。

講師

映像作家
宮原 拓也 / Takuya Miyahara
東京都出身。もともとインディーズバンドのドラマーとして音楽活動に没頭。やがて映像に触れる機会が増えたことで、映画制作の活動を開始。TikTok TOHO Film Festival 2021のファイナリストである作品の『EVEN』の監督。監督作『ROUTINE』が、ぴあフィルムフェスティバル2021など多数入選した経歴を持つ。

撮影監督
村上 岳 / Gaku Murakami
写真からキャリアをスタート。現在は企業VPやショートフィルム、MVなどの撮影監督として活動。TikTok TOHO Film Festival 2021のファイナリストである作品の『EVEN』では、撮影を担う。

ファシリテーター

bird and insect CEO / Image Branding Director / Photographer
shuntaro
1985年、東京生まれ。京都工芸繊維大学で建築・デザインを学び、広告系制作会社を経てフリーランスへ。2013年、University for the Creative Arts で写真の修士号を取得。その後、bird and insectを立ち上げ、代表取締役を務める。2017年には、日本のファッション写真史の研究で博士号も取得した。

講師のお二人が制作した縦型動画作品『EVEN』 の制作過程をもとに、縦型動画の魅力や縦型だからこそ表現できること、そして作り方のポイントを解説していただきました。

  • 縦型動画における着目するべきポイント
  • 構成や縦構図の考え方
  • 縦型動画を撮影するにあたってのポイント

TikTok TOHO Film Festival 2021 ファイナリスト作品『EVEN』予告編

『EVEN』が第34回東京国際映画祭「Amazon Prime Video テイクワン賞」部門内にて、唯一縦型動画で入選されました!
気になる全編はAmazon Prime Videoでご覧いただけます。

縦型動画ならではの着眼点とは?

縦型の動画は登場から時間は経ったものの、いまだに映像作品としてはあまり認知されていません。そんな中でお二人は縦型動画をどのように捉えているのでしょうか?

宮原:
私たちにとっても「縦型動画」は馴染みのないものでした。

なので、前回のShort Shorts Film Festivalに応募された作品たちを調べてみました。どれも横ではできない表現をふんだんに使っており、どれも面白いものばかりでした。

村上:
村上:個人的に、これからもっと縦型動画はフィーチャーされると感じています。ですが、実際にテストシュートでカメラを縦にして撮影してみたのですが、かなり酷かったです。まず横比率が狭い分、手振れが大きく出てしまい気持ちの悪い映像になります。横の常識が通用しないのは、注意しなければいけません。

それと、構図に工夫をしなければ素人がSNSにアップしているような画と、何も変わらないような表現になってしまいます。

宮原:
縦はスマホで見慣れているので、できそうな気がしますが、実際にやってみると狙いを定めるのに苦労します。

shuntaro:
これまでの横の常識が通用しない中で、「縦型動画の魅力」というのはどういったものになるのでしょうか?

宮原:
「新しい未来感」「閉塞感」、この2つを感じました。あくまで僕たちは、この2つに着目しただけで、もっと着目するポイントがあると思います。例えば、柿本ケンサクさんの作品『上下関係』のように、「上」と「下」に着目するのもポイントだと思っています。

縦型動画にはまだ、見つかっていない着眼点がたくさんあると思っています。

窪塚洋介主演 × 柿本ケンサク監督 上下関係 Episode 10「旅立ち」予告【LINE NEWS VISION】

ポイント

縦型動画の魅力は、まだ開拓されきっていません。自分ならではの着眼点を持つことが重要です。
今回は「新しい未来感」「閉塞感」に着目されました。

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縦型動画の構図の作り方

今回『EVEN』の中で出てくる構図は、とても印象的なものばかりでした。
映像を考える上では、ストーリー・脚本があり、そこから映像に起こしていくのかと思います。映像作りにおけるアイデアの出し方、また縦型動画における具体的な構図の作り方をお伺いしました。

村上:
作品のアイデアを膨らます際に、Pinterestを使用してイメージを共有したのですが、個人的には、縦型動画は「映像」というより「絵や写真」に近いと思いました。

村上:
ファッション雑誌で使われている写真は、直立のモデルさんが全部のページにいてもつまらないし、目を引くためのアップの写真があったりと、ページをめくる中で様々な構図や配置の仕方が工夫されています。

左のグスタフ・クリムトの絵画のところまで深掘っていくと、昔の人たちも人を描くとしたら縦。画面いっぱいに人間を入れ込むので、今回の縦型動画もこの考え方にマッチしているかと思います。

宮原:
実際に構図に落とし込む時は、映像の基本は「3分割法」ですが、縦型においては「4分割法」のような考え方も面白いと思っています。
これは村上岳さんが発見した構図なので「GAKU構図」と紹介しています。

宮原:
それと、僕の見解ですと、縦型動画は横が狭いため空間の広がりが見せにくい構図だと思っています。究極論として、空間は画に映さないレベルで省略した「めっちゃ引く」もしくは「めっちゃ寄る」が良いことにたどり着きました。

宮原:
これを念頭に置きながら、画面を全部埋め尽くすフルの画や半分にしたハーフの画、これらの構図は縦の画として気持ちいい構図になるのかと思っています。もしかしたら私たちが、縦の中でも見慣れている構図だからなのかもしれません。


宮原:
その他に私たちがよく使った構図でいうと、4分の1クォーターや、逆に4分の3を埋め尽くすこともしました。あとは3分割法でいう下3分の1を埋め尽くして、上に極端に余白を作ることや、斜めに対角線を引くこともしました。


村上:
横の画面だと、自然と目が左から右に移るので、無理にカメラを横に振らなくても、画面の中だけで完結します。ですが、縦の場合は、目線の移動幅がかなり少ないです。要は、その分カットごとに構図とかを大きく変えていかないと、画自体は変わっていても、似たような構図が続き、見ている側が飽きてしまう。

画の中に少しでも変化が起き続けるようなギミックをなるべく盛り込めるようにするのは、撮影中に気付いた大事なことです。

ポイント

今回の作品では「パン」や「チルト」などのカメラワークがほぼない印象を受けますが、その分構図によって見ていても飽きないような工夫が必要となります。

『EVEN』冒頭シーンで使われた構図とストーリーの関係

実際に『EVEN』の中ではどのように構図が活かされているか。
構図の法則と、ストーリーをどう演出するかをお伺いしました。

宮原:
映画において「どういう世界観で、誰が主人公で、何がテーマか」を見せるのを「セットアップ」と呼ぶのですが、この作品の冒頭では、「どうやら人間とクローンが違う存在としている世界」という「不穏な違和感にこだわりました。

宮原:
対角線の斜めの構図に主人公の男性を置いて、クローンは証明写真のような正面の図(写真左)。食事も、不規則にお皿を置くか、左右対称にするか(写真中央)。右は同じ構図ですが、片方は話をする人間らしいアクションともう一方は無機質な動き(写真右)。そういった差をつけて違和感を演出しました。

ポイント

画の見せ方を変えることで、対極にあるものを演出。

宮原:
縦の画にどう遊びを入れ込むかと考えた時に、縦で映える動きを入れました。作品冒頭の5枚のカットには顕著に出ています。

「卵を割る」
「牛乳を注ぐ」
「ベーコンを焼く」
「ブラインドが上がる」

最初の4枚は縦の動きで統一され、最後にブラインドが上がることで、エスタブリッシュメントのような主役の男性が出て来る立て付けにしました。あとは、今回のテーマが人間とクローンです。より人間らしさの強調をするために、卵、牛乳、肉、人間の順番で映すことで、肉々しさを表現。つまり生命の始祖としての卵に、液体と肉体、人間が成り立つ動物的な描写を描きました。

ポイント

単純に縦の動きを見せるために映像を見せるのではなく、映しているものが意味することをテーマに沿って選定することも重要です。

宮原:
ハイアングルとダッチアングル(※)を掛け合わせる、特殊な構図も意識しました。これはゲーム『ぼくのなつやすみ』を参考にしていて、日本の民家を監視カメラのように、高いところから狙って映した構図になっています。

※ダッチアングル・・・カメラの撮影技法の一つ。カメラを水平にせず、あえて傾けて撮影する方法で、「恐怖」や「不安」を表現する際に用いられることが多い。「ダッチチルト」「カンテッドアングル」「オブリークアングル」と呼ばれることもある。

緩急で見る側をコントロールする、構図の繋げ方

宮原:
この作品は10分間の中でほぼセリフがない、静かな映画です。なので、冒頭のセットアップ以降、上手く言葉を入れずに力強く描くようにしました。

例えばですが、圧倒的なクローズアップの多用です。

宮原:
やはり縦型動画は普通に撮影してしまうと、面白みに欠けた画になってしまうので、Pinterestの写真と同じように、必要ない部分を省いて印象付けるようにしました。そうした方が引き込まれるものがあるので、ここは強く意識して撮影に臨みました。

個人的な好みなのですが、一番右の画は、ポニーテールが一部映し出されていますよね。人間の場合は、絶対にこの切り取り方はしません。「奥の話者が、このクローンをどう見ているか」みたいなものを表現しました。

これに限らず、いかに人間を物体的に扱って切り取るかみたいなことは、今回すごく考えて撮影しています。

次は逆に、縦の余白で空間を作っています。

宮原:
右2つは食事のシーンなのですが、先ほどの極端な寄り引きとのコントラストで作っています。テーブルを映さずに顔のみ映し、さらに上には何も映していません。それが先ほどのクローズアップと掛け合わさると、良いリズム感を生み出し、この緩急が見ている側のテンションをコントロールしています。


以上が、今回のウェビナーで解説していただいた、縦型動画のポイントです。

ウェビナーの最後に、宮原さんは「これまでの横の動画は残りつつも、縦型動画は新しいカルチャーとして栄えるのではないかと思います。今だからこそ、そのパイオニアとして取り組むと第一人者として活躍できるのではないでしょうか」と、縦型動画の可能性について話しました。

既存の法則が通用せず、新しいカルチャーとして認知されつつある「縦型動画」。

これを機会に、ぜひ縦型動画の制作に挑戦してみてはいかがでしょうか。


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第2回のウェビナーもまとめ記事でお楽しみいただけます!

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