カメラで撮影したデータに問題があって、頭を抱えたことはありませんか? DaVinci Resolveなら、ありがたいことに、パワフルな修正ツールがたくさん搭載されているので、撮影時の失敗をうまくカバーすることができます。どのツールでどのような修正ができるのか知っておけば、不測の事態にも備えられますね。
手ブレしている
DaVinci Resolveには強力なスタビライズツールが入っています。たいていの揺れはこれで挽回できます。昔はスタビライズツールはカラーページにしかありませんでしたが、今はカットページ、エディットページのインスペクタにも存在しています。
映っちゃいけないものが映っている
カラーページでモザイクをかけてしまいましょう。パワーウィンドウとトラッキングとResolve FX「ブラー(モザイク)」を使えば簡単です。パワーウィンドウとトラッキングの使い方はこの動画をどうぞ。
Resolve FX「ブラー(モザイク)」はこちらにあります。
モザイクではなくもっと自然に消す方法ないか? あります。もう少し高度な技として、べつの場所から映像を持ってきて補完するという方法があります。ちょっとレベルが高いですが、Resolve FX「パッチリプレイサー」を使う方法です。
さらに上のレベルとしては、Fusionページのペイントツールを使うやり方があります。これはかなり上級者向けといえます。
映像にノイズが入っている
DaVinci Resolve Studio(有償版)には定評のあるパワフルなノイズリダクションが入っています。カメラで撮影した際に、暗部にチラチラした小さなノイズが出ることがありますが、そういうノイズはこのノイズリダクションできれいに消えます。従来からカラーページで使えていましたが、DaVinci Resolve 17からはResolve FX「ノイズ除去」として追加されたため、カットページ、エディットページでも使えるようになりました。
Resolve FX「ノイズ除去」の使い方は、この動画の45:52から説明されています。
フリッカーが出る
シャッタースピードを間違えて室内で撮影すると、フリッカーが出ることがあります。これはResolve FXの「フリッカー除去」で修正できます。
コマ落ちしている
収録時に書き込み速度などの問題で一部のフレームがコマ落ちしてしまうことがあります。その場合、DaVinci Resolveではそういったフレームはこういう赤いメディアオフラインという表示で出てきます。
このように表示されたとしても天を仰いで嘆く必要はありません。DaVinci Resolve 17.3から、Resolve FX「フレームリプレイサー」が追加されています。これは前後のフレームを利用して新しいフレームを作り出す機能です。
Resolve FX Frame Replaceをクリップに適用します。そしてコマ落ちをしているフレームに再生ヘッドを置き、Replace this frameのチェックを入れます。
そうすると、前後のフレームがブレンドされて、コマ落ちしていたフレームが新しく生成されます。
画素欠けしている
カメラによっては、センサー自体で画素欠け(ドット落ち)してしまっていることがあります。そのような場合には、Resolve FX「デッドピクセル修正」を使いましょう。
色温度(ホワイトバランス)を間違えた
RAWの場合と、そうでない場合でやり方は異なります。Blackmagic RAWなどのRAWの場合には、データに色温度(ホワイトバランス)が焼き付いていないので、あとからいくらでも変更できます。カラーページでも変更できますし、
カットページ、エディットページのインスペクタからも変更できます。
素材がRAW素材ではない場合には、カラーページのプライマリーホイールセクションを使いましょう。MP4やMOVなどの素材には、撮影時に色温度が決められてしまうため、RAWファイルほど自由自在に色温度を変えることはできませんが、それでもある程度の修正はできます。
ISOを間違えた
色温度と同じことが、ISOについても当てはまります。RAWの場合には、後処理での調整ができます。カラーページでも、カット・エディットページでもどちらでもかまいません。
他社のカメラとVideo Assist 12G HDRの組み合わせでBlackmagic RAWを撮影した場合、ISOが後処理で触れないことがありますが、「露出」の項目で同様の結果が得られます。
RAW素材でない場合には、プライマリーカラーホイールを使いましょう。
色や明るさがおかしい
DaVinci ResolveのAIに任せてみましょう。カラーページでこのボタンを押すと、一瞬で色や明るさが補正されます。100%完璧にいくかどうかは保証できませんが、ほんの数秒で終わるので試してみる価値はじゅうぶんにあります。
カラーページにいかなくても、じつはカットページにもこの自動カラー補正機能は搭載されています。ビューワーの下のツールのセクションです。
前後のショットで色や明るさがマッチしない
撮影時間、設定内容、カメラの種類などの違いによって、ショットの見た目が大きく違ってしまうことがあります。同じシーンなのにショットの見た目が違うと、見る人に違和感を与えてしまいます。しかしそれでも案ずるには及びません。DaVinci Resolveには簡単にショットの色や明るさをマッチングできる機能があるからです。ショットマッチという機能です。
音声にホワイトノイズやハムノイズが入っている
ホワイトノイズにはFairlight FX Noise Reductionを使いましょう。
電源由来のハムノイズは、同じくFairlight FXのDe-Hummerが使えます。
こちらの動画で説明されています。23:55からです。
音声の左右のバランスがおかしい
ステレオで収録したけど左右のバランスがおかしい。両者を揃えて最終的に同じくらいのレベルにしたいということなら、FairlightページでFairlightプラグインのStereo Fixerを適用することをお勧めします。ダイアログで左から3つ目のモノラルのボタンを押すと、左右のバランスが揃うことになります。左だけの音声、右だけの音声を使うこともできます。
Fairlightページにはそのほかにもたくさんのエフェクトが用意されています。
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フレームレートを間違えた
撮影時にフレームレートを間違えたとしても基本的には気にする必要はありません。DaVinci Resolveは自動的にフレームレートを補正してくれるからです。たとえば30pのタイムラインに24pの素材を入れたら、その素材は自動的に保管されて30pの素材になります。スピードワープという機能を使えば、AIに途中のフレームを作らせることもできます。
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タイムコードを間違えた
撮影時に間違ったタイムコードがファイルに記録されていたとしても、それはDaVinci Resolveで修正できます。クリップを右クリックして、クリップ属性のメニューからタイムコードの修正ができます。「現在のフレーム」の数値を変えるだけです。
撮り損ねた
「いや、さすがにそれは無理でしょう。いくらなんでも撮り損ねたらどうしようもないでしょう」とあなたはおっしゃるかもしれません。しかしそれができるのです。DaVinci ResolveのAI機能なら、時間をさかのぼって、空間を超越して、撮れなかった映像を新しく撮影し直してくれます。だからこれがあればカメラがなくても大丈夫・・・というのは嘘です。さすがにそこまでは無理ですね。20年代現在のテクノロジーでは不可能です。
しかしそれに近いことならできます。マルチカムの撮影をしていて、一部のカメラがなんらかの理由で撮影できていなかったことがあります。その場合には、ちゃんと撮影されているカメラの映像から、クローズアップして別のアングルを作り出してみてはいかがでしょうか。冗談のような話ですが、これもAIを使っているので、わりといい出来栄えの別アングルができあがります。
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