はじめに
どうもこんにちは、きむらえいじゅん[.mov]です。
普段SNSを中心にCG合成(VFX)の動画を制作・投稿しています。
詳しくはTwitterをご覧ください!
Twitter:@kuro_40
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この記事では…
こちらの記事では、タイトルの通り **『VFXで重宝するアイテム』** を紹介します!
それぞれ 「ハードウェア(機器)」 と 「ソフトウェア」 に分けて、
アイテムの特徴や 「どういう使い方をしているか」 など、こだわりの部分も紹介していきます!
はじめて紹介する物やマニアックなものもあると思うので楽しんでもらえたら嬉しいです。
そして後半には映像編集をスムーズに進めるアイテムの1つ、クリエイターに特化したハイエンドなSSDストレージのレビューもあります。
もっと作業を快適に進めたいと思っている方、ぜひ読んでみてください。
『VFXで重宝するアイテム』ハードウェア編
まずはカメラ、コンピュータ、周辺機器の3ジャンルでご紹介
<カメラ>
**①メイン:iPhone12pro**
スマホです。僕はSNS動画の多くをiPhoneで撮ってます!
これは「iPhoneが特別」なのではなく 「日常的に持ち歩いてる」スマホカメラが特別なんです。
"ふと目にした景色"や"友達がぼーっとしてる姿"とか、スマホだから撮れるものがめちゃくちゃあると思ってます。
やっぱり軽い,小さいは正義! あと多くの人がスマホでSNSを見てて、撮影カメラの画面サイズ=みんなの画面サイズなので、撮影時に「みんなが見にくくないか」を想像しやすいのも地味にメリットだったりします。
でも、センサー性能がネックとなって解像度が満足いかなかったり、屋内,夜間など光量が足りないシーンではノイズが出やすいので、商用の撮影現場で使うには不安が大きいです。
**②サブ:Sony α7SⅢ**
ソニーの一眼カメラです。お仕事での撮影、綺麗な画を撮りたい時、後で色を調整したい時に重宝するカメラです!
(こちらはα7SⅡです。ご参考まで)
一番のメリットは暗所に強いという点です。暗所に強いといろんな場所に安心して持っていくことができます。撮影は一発勝負でやり直しが効かないことも多いので心配事が多いんです。このカメラで大丈夫だろうか… という心配が少ないのは助かりますね!
一方で本体が重いのがデメリットです。レンズをつけるのでさらに重くなり、スマホのように普段づかいするには体力と筋力が必要になります。
**③飛び道具:RICOH THETA Z1**
360°カメラです。こちらはマニアックな使い方をしているのですが、HDRIを作成するために使っています。
↓
いきなり何!?って感じだと思いますが、簡単に言うと 「CGソフト上で現実の照明を再現するための画像」を撮るのに使います。このカメラで360°写真を撮っておくと合成の見栄えがぐんと上がるんです。
ふつう360°写真って、一眼カメラを三脚に固定して、くるくる回しながら何枚も写真を撮らなきゃいけないんですよ。数分間……
街中だと迷惑になりそうだし、恥ずかしいですよね…不審がられるし…
でもTHETA Z1なら、撮る場所に置いてボタンを押すだけ。
本体も小さいから手軽だし、なにより怖がられない!
さらにマニアックな話なのですがTHETA Z1は 「RAW(DNG)+ブラケット撮影」 を行うことができます。これのスゴさを語るとちょっとマニアックすぎるので興味がある人は「HDRI 作り方」で検索してみてね。
<コンピューター>
**①メイン:Apple MacPro(2019)**
言わずと知れた大根おろしですね。
AppleデバイスとMacOSが好きなので使っていますが、やはり3DCGとMacの相性は良いとは言い難いです。なによりNvidiaのグラフィックボードをMac環境で使えないのは痛いです。RTX…ウッ…頭が…。
とはいえApple製品はデバイス間での連携が非常に強く、AirDropでiPhoneで撮った動画をMacに共有、企画書用に作成したラフ動画をiPadに共有、そのほかにも連携による恩恵が大きく、なかなかMac環境から抜け出せないのが現実です。
**②サブ:iPadPro(2018)**
メインPCと同じくらい重宝しているのがiPadProです。
主に企画書、絵コンテ、3DCGモデル作成時のラフスケッチ、メモ帳に使っています。要はペンを使う系の作業の時に使う感じですね。絵が上手いとかではなく、むしろ苦手だから 「苦手な絵で描けるものならCGでも再現できる」 と思えるので手書きしています。
またiPhoneでもできる超Tipsなのですが、画面の読み上げ機能とKindleアプリを組み合わせると擬似Audible(音声書籍)化できて、読書が捗ります。
さらにiPadをMacにつないでQuickTime音声収録を併用すると、iPadが書籍を読み上げてMacからその音を再生しつつ編集作業などできるのでおすすめです。
<周辺機器>
周辺機器では、マウスとキーボードとモニターを紹介します。マウスとキーボードは「VFXと関係ないじゃん」って思いそう(自分が)ですが、PC作業する上で最も長い時間触っているデバイスなんです。なので僕はモニターも含めて周辺機器で自分の五感に関係するものは割とこだわって選んでいます。
**①マウス:Logicool G703h**
このG703hはワイヤレスのゲーミングマウスなのですが、超低遅延+高精度+バッテリー最長60時間+約7800円でとても満足度の高いマウスです。ゲーミングマウスは精度高いので作業中の誤操作が少ない上、無線なのでケーブルが擦れることも引っかかることもないのでストレスが少なく、机の上もスッキリします。全然必要ないのにもう一個買いそうになったマウスです。
**②キーボード:東プレREALFORCE R2SA-US4-BK , Logicool G915TKL**
REALFORCEは「静電容量無節点方式」といって、ATMのキーボードの感じなキーボードです。スコスコな打鍵感が気持ちよく静音モデルを選んだこともあり、こだわった分キータッチは一番好きなキーボードです。
G915TKLはテンキーレス無線キーボードで、配線に気を使わず場所を動かしやすいです。キータッチはメカニカルキーボードの中では好きな部類で、打ってる感があるので意外とゲーム用途だけじゃなく文字を打つのも楽しいキーボードだったりします。USBレシーバーとBluetooth接続で2台のデバイスにキーボードを接続できるのも利点です。僕はMacとiPadに接続しています。こちらもマウス同様バッテリー持ちがかなりいいです。
映像や3DCGをやるひとはテンキーがあるキーボードがおすすめで、
テキストを日本語で入力してそのまま数字を打つと全角になってしまいますが、テンキーがあれば入力切り替えせずに半角数字を打つことができたり、カメラ方向等のショートカットを利用しやすいからです。
**③モニター:BenQ SW271**
カラーマネジメントモニターといって、表示する色を調整することができるモニターで、なるべく正しくモニターの色を表示させるために使っています。
この世の液晶は全てバラバラで 「何が正しい色とは何か…」 みたいな哲学になっていきそうなので、ひとまずキャリブレーションして正しいとされた色をモニターに表示させるために使っています。4K解像度で27インチです!
『VFXで重宝するアイテム』ソフトウェア編
ソフトウェアはメイン、サブで分けて紹介していきます!
<メイン>
**①Adobe AfterEffects**
動画に特殊効果をつけるソフトです。僕は主にSF的な光るテキストやモーションの作成、3DCGを実写に合成する作業をこのソフトで行っています。
僕の動画制作の中心、本拠地のようなソフトです。このソフトだけでも限りなく多くのことができて、限りなく多くのアイデアを形にすることができます。趣味だけじゃなく仕事でもほとんどこれを使っています。
**②Maxon Cinema4D**
3DCG制作ソフトです。
いつも説明に困るのですが、簡単にジュラシックパークで言うと恐竜を作ったり動かしたりするようなソフトです。3DCGソフトの中では比較的シンプルなインターフェイスで初心者でも覚えやすいのが特徴です。
モーショングラフィックスが得意なクリエイターの方がよく使っているイメージ。
同じようなソフトでは有名なBlenderがあり、そちらはオープンソース・無料で利用可能です。
**③ClipStudioPaint**
漫画やイラスト、アニメーションを制作するためのソフトです。
買い切りのPC版とサブスクのiPad版の両方を持っていて、主にiPadアプリを使っています。
一時期手描きのアニメーション制作して実写に合成したりしていました。
最近は動画アイデアのラフ、お仕事の企画書を手書きで作成するのに使っています。
メモアプリとの違いは 「レイヤー分けできる」 「アニメーションを作成できる」 ところで、デジタルで描くメリットを最大限まで活用することができるソフトだと思います。
<サブ>
**①Topaz Gigapixel AI**
AI技術で画像の解像度を向上させるソフトです。僕は主に3DCGをレンダリングした後に使用しています。CGのレンダリングってすごい時間がかかって、設定によって1フレーム書き出すのに数分かかったりする。なので1080pの動画を作っているとしたら、CGを720pの連番画像で書き出してこのソフトで1080pに解像度をアップさせることをしています。時間短縮できます。
**②PTGui Pro**
画像スティッチングソフトです。
THETA Z1で撮影した明るさ違いの360°写真を複数枚を1つのHDRIにするのに使っています。…難しいですね。簡単に言うとこのソフトで作ったHDRIを3DCGソフトに読み込むと、現実みたいなCGが作りやすくなる! って感じです。
気になる人は 「Image Based Lighting」 で調べてみてね!
③DaisyDisk
ストレージ管理ソフトです。
動画や3Dを制作していると、いろんなファイルが増えてストレージ容量を圧迫してしまうことがよくあります。
でも通常どこのフォルダが容量を圧迫しているかわかりづらい…
DaisyDiskは容量を視覚的に表示した上で、ファイルサイズが大きい順にリストアップしてくれるからどれを消せばいいかわかりやすい。Mac用のソフトですが、似たようなソフトがWindowsにもあると思うので、探してみるといいかもしれません。
動画データ、どうやって保存してる?
ここまで「VFXで重宝するアイテム」を紹介してきましたが、先ほども触れた通り、動画や3DCGを制作しているとファイルが増えてストレージ容量を圧迫してしまうことがよくあります。
4K・8K編集ができるPCが増えてきた昨今ですが、みなさんは動画データをどこにどうやって保存しておりますでしょうか?
「え〜と、PC本体の1TBの内蔵SSDに作業用のデータを保存して、この前完了したプロジェクトの作業用データを一応外付けHDDに移動して…あれキャッシュで内蔵SSDの容量が圧迫されているな…DaisyDiskで削除して…」
そんなことをやっている本記事の筆者、きむらの元に今回ウエスタンデジタル様が高速大容量RAIDストレージを送ってくれました。
<商品概要>
さて、今回お借りしたのはウエスタンデジタルから新たに登場したSanDisk Professionalブランドの「G-RAID SHUTTLE SSD」です。
商品名:G-RAID SHUTTLE SSD
特徴①:最大2800MB/秒の高速データ転送
4K/8K映像やマルチレイヤーエフェクトのレンダリングなどを伴う編集作業用のストレージとして最適です。
特徴②:Thunderbolt 3ポートを2基搭載
特徴③:SSD8台搭載(32TB)、ハードウェアRAIDに対応
RAID 0、1、5、10、50、60に対応(出荷時:RAID 5)
特徴④:取っ手がついた、持ち運び可能なデザイン
▼SanDisk Professional製品詳細はこちらから
https://www.sandiskprofessional.com
シンプルに言うと
「4K・8K動画の編集が余裕でできる速度の大容量ストレージ」 です。
<検証>
普段M.2 SSDにプロジェクトファイルや動画データなどを保存しています。こちらのM.2 SSDは1600MB/秒ほどでした。
では、お借りした『G-RAID SHUTTLE SSD』での速度を見ていきます。
結果は約2000MB/秒!!
出荷時はRAID5なので、RAID0ならさらに高速になりそうです。
<個人的印象>
見た目はSFのハードサーフェス的な堅牢感と無骨さがあります。
カッコいい…そして、本体上部に持ち手があるので、素材を持ち運んで複数の環境で作業することも想定されています。
「高速×大容量」 はこの商品のコンセプトを顕著に表していて、
「データ管理と素材の読み出しをこれ一個で完結させたる!」
という強い意志を感じます。
デイジーチェーン対応なので、複数のG-RAID SHUTTLE SSDをThunderbolt3で接続してより多くのストレージを管理することもできます。
褒めてばっかりだといやらしいので、率直に僕の「ここは惜しい」という点を挙げると、ファンが割としっかりめに回ることです。本体を近くに置いていると、この音が結構大きく感じます。
SSDはHDDに比べて本体が熱くなりやすいので、放熱性を高め、性能を引き出すこととのトレードオフですね。
ともあれ、8Kデータをそのまま読み出して作業可能な外付けSSDというのは個人のVFX制作でもメリットは大きいのかも…!
撮影データの保存、そのまま読み出して制作、録画データ保存などがG-RAID SHUTTLE SSDでは一台で完結できます。
最近はM1 MacBookProなどの性能向上が話題でしたが、ノートPCの内蔵ストレージ増設はまだハードルが高い、それに数年ごとにPCを買い替える可能性もあります。
「今後PCを買い換えたとしてもG-RAID SHUTTLEは使い続けられる。」 と考えると、本来のターゲットであるハイレベルな制作現場だけじゃなくても活用しやすく 、カメラ本体に対するレンズのような価値がありますよね。
素材データを外部ストレージで管理したい方はぜひ検討してみてください
まとめ
ここまで読んでくださってありがとうございました!
今回は僕のVFXで活躍するアイテムたちを紹介しました。
この記事で改めて言いたいのは
アイテム選びで大事なのはスペックだけじゃない!
ってことでした。
スペックやコスパだけじゃなく 「使っていてストレスが少ない」「使ってて楽しい」「買うときにこだわった」 など理性的じゃないようなところも大事にしてもらえたらなと思います。
だって何かを作るのに必要なのって理性だけじゃないと思うから!
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きむらえいじゅん[.mov]@kuro_40
VFXアーティストとして、広告,テレビドラマ,MVなどのエフェクトを担当。Twitter,TikTokに動画を投稿し、TikTok(計8本)での再生回数は3400万回以上。SNSでの映像表現を模索中。
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